人手不足のいま、保育士の福利厚生の充実を図ることで離職率の低下につながるかもしれません。住宅手当や特別休暇などの制度を用意することで、求職者の目に留まり、応募の増加も期待できるでしょう。今回は、保育士さんに人気の福利厚生制度や求職者が得られるメリット、保育士バンク!求人をもとに活用事例などを紹介します。
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福利厚生が充実している園は離職率が低い?
保育士の人材の定着や確保に取り組むためにも、福利厚生を充実させたいと考える採用担当者の方もいるかもしれません。
「給与が安い」、「業務量が多い」などマイナスのイメージが多い保育士という職種ですが、現場の職員のモチベーションを高めるためにも、よりよいサービスを提供することは重要でしょう。
そもそも福利厚生とは、雇用者が従業員に対して賃金の他に提供することをいい、法定福利厚生(健康保険や厚生年金基金など)と法定外福利厚生(住宅手当や退職金制度など)の2種類があります。
充実した制度を設けている園では、働きやすいことから離職率が低いという場合もあるようです。
保育士に人気のある福利厚生や求職者が得られるメリットなどを把握し、職場環境の改善、人材の補充に役立ててみましょう。
保育士に人気の福利厚生とは
まずは、保育士に人気の福利厚生について紹介します。
住宅手当・家賃補助
住宅手当や家賃補助とは、園側が給与とは別に住宅費用を支給するものです。
「最大月82,000円まで」、「家賃補助3万円~」など、園によって支給額に違いがあり、住居に対しての費用を補填するため、保育士さんに人気のある福利厚生といえるでしょう。
給与の中で住宅にかかる費用を占める割合多いことから、求人票に「住宅手当・家賃補助」と掲載している園があれば、応募が集まりやすくなることが考えられます。
また、住宅手当や家賃補助がない場合に、職員用の社宅を用意して住居費を低額に設定している園もあるようです。
給食無料
保育士は子どもと昼食をとることが多い職種のため、「給食無料」といった福利厚生制度は人気があるでしょう。
職員の中には、早朝保育などがあり、自身の昼食を用意する時間がとれないという場合もあるかもしれません。
その際に給食が無料で提供される園に就業することで、待遇面に関しての満足度が高まることも考えられます。
また、保育士は食育を通して、給食の栄養バランスや食べ物に対して話すことが多いことから、子どもと同じ食事をすることは保育活動を行ううえでも役立てられるかもしれません。
特別休暇
特別休暇とは有給休暇などとは別に、各園独自で設けることができる休日のことをいいます。
病気休暇やリフレッシュ休暇などさまざまな種類がありますが、保育士さんに人気のある特別休暇についてまとめました。
リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇とは、気分転換やストレス解消を目的とした制度です。
勤続年数5年の場合は3日など、勤続年数の長さによって休暇日数が増加することが多いようです。
保育士は命を預かる責任のある仕事から、業務量も多く、ストレスや悩みを抱える方も少なくありません。
リフレッシュ休暇があればきちんと休息期間を確保でき、「また仕事を頑張ろう」と気持ちを切り替えて仕事に臨む保育士さんが増えそうです。
慶弔休暇
慶弔休暇は、身内の訃報や結婚などの冠婚葬祭に関する特別休暇です。
具体的な日数や、対象範囲について園によって違いがあり、結婚式や葬式などの会場が遠い場合は、その分休暇日数を増やすケースもあるようです。
急に身内の訃報が届く場合もあることから、慶弔休暇があることで安心して働くことができるという保育士さんもいるでしょう。
結婚や出産祝い金
福利厚生制度の中で職員が結婚や出産をした場合に、祝い金を贈呈する園もあるようです。
金額については「結婚祝い金8万円」、「出産祝い金5万円」など規定を設けるなど園によって違いがあります。
祝い金の贈呈は、園側から祝福の気持ちの表れとなるため、保育士さんは「こんな風にお祝いしてくれる園ならずっと働いていたい」という気持ちになることもあるでしょう。
充実した福利厚生で求職者が得られるメリット
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次に、充実した福利厚生で求職者が得られるメリットについて紹介します。
安定した生活へのサポート
求職者の中には、待遇面に不満を抱えて転職を考えている方もいるでしょう。
そのなかで住宅手当や家賃補助を受けられれば、安定した生活を送ることにつながるでしょう。
また、給食無料など食事の援助などの福利厚生制度が確立されていると、生活費の節約にも役立ちます。
そのため、求人票で充実した福利厚生の園を目の当たりにしたとき、「この園なら長期的に働けるのではないか」、「待遇面できちんと支えてくれるのではないか」などと前向きな気持ちを抱き、応募を検討することも考えられます。
園側にとっても人材の確保につながることから、福利厚生の観点から安定した生活をサポートすることは重要でしょう。
プライベートの充実
保育士は多忙なあまり、プライベートの時間がとれないと感じる求職者も多いかもしれません。
しかし、リフレッシュ休暇や慶弔休暇など特別休暇制度があると、転職を考える保育士さんの目に留まることも考えられます。
また、休暇制度がきちんと確立されている園の方が長期的に働けるのではないかという想いを抱く方もいるかもしれません。
仕事とプライベートの両立を考えている保育士さんにとって、福利厚生の充実は重要です。
園側も特別休暇制度などを整備することで、職員のプライベートの充実を図ると人材の定着、確保に役立つでしょう。
結婚・出産後の復職を後押し
結婚や出産などに関して休暇やお祝い金などがあると、求職者にとってプラスになることは多いでしょう。
このような制度がある園の求人を見ると、「結婚や出産後も育児休暇も取得しやすいのではないか」、「妊娠後も長期的に働けることを考えられる」という想いを抱きやすいかもしれません。
保育士の人手不足が懸念されるいま、人材確保や定着化に取り組むためにも、結婚・出産に対しての福利厚生の充実は必要といえそうです。
保育園の福利厚生の実例
保育園で人気の福利厚生は、住宅手当や給食無料が挙げられますが、その他に実際、どのようなサービスの提供が行われているのか、保育士バンク!求人をもとに紹介します。
研修制度
保育士さんの復職やキャリアアップを支援するために、自治体ではさまざまな研修制度を設けていますが、福利厚生の中で園独自の研修制度を設けている施設もあります。
基本的に保育士は0歳~6歳までの子どもたちを預かりますが、各年齢に対しての保育活動には違いがあります。
例えば、0歳児は寝んねの時期は、抱っこしたり、ミルクを与えたりすることが多くありますが、1歳児は遊びの援助などが中心になっていくことでしょう。
対象年齢に合わせた保育活動を行うために、研修を受けることは重要な機会となります。
研修制度を確立している園では、保育に対して常に学ぶ姿勢を保つことができるため、保育士としての成長を考える方にとって大きな魅力となるでしょう。
親睦会費の補助
福利厚生制度のひとつとして、忘年会や新年会などの親睦会費の補助を行う園があります。
保育活動は保育士さんが互いに協力してクラス運営や行事を開催することも多く、定期的に交流を深めることは重要でしょう。
親睦会に対しての補助があると、費用の心配が少ないため、参加率も高くなり、職員の関係の構築にも役立つことが考えられます。
スポーツクラブやテーマパークなどの割引特典
福利厚生の中に、スポーツクラブやテーマパークなどの割引特典を用意している園があります。
このような制度を設け、職員のプライベートの充実に取り組むと、保育士さんの仕事へのモチベーションが高めることつながるかもしれません。
その他に福利厚生施設を会員料金で利用できる制度を取り入れている園もあり、職員が家族で活用することもできることから、利用しやすくなるでしょう。
福利厚生の充実を図り、人材の定着・確保につなげよう
福利厚生を充実させることは、求職者に向けて園のアピールポイントとなります。
特に結婚や出産に対して祝い金など贈呈する制度を設けると、離職防止に役立つだけでなく、育児休暇後も働きやすいと感じる現場の職員も多いかもしれません。
どのような福利厚生制度を取り入れるかは、各園で違いがあるため、他の園の求人票やHPなどを参考にしてどのような制度を活用するべきか検討してみるとよいでしょう。