初めて面接官になったとき、応募者の人間性や性格を知るためにはどのような質問をすればよいのでしょうか。事前に質問項目を検討しておけば、採用する人材の見極めに役立つでしょう。アイスブレイクなどを設け、和やかな雰囲気を作り上げることも大切です。今回は面接官が保育士採用に活用できる5つの質問例や流れ、内容を紹介します。

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■目次
面接官から応募者に質問するときの流れ
人材確保に大切な「採用面接」。
面接は自園が求める人材を見極めるための大切な機会です。
中には初めて面接官を担当する方もいるかもしれません。
事前に流れや質問内容を確認しておけば、当日もスムーズに進めることができそうですね。
まずは面接の流れを抑えておきましょう。
1.アイスブレイク
2.会社や園の説明
3.面接官からの質問
4.応募者からの逆質問
アイスブレイクとは応募者の緊張を和らげ、話しやすい環境を作りだす手法です。
いきなり本題に入るのではなく、面接に関係のない天気などの事柄を話せば、場を温めることができそうです。雰囲気がほぐれてから園の説明や質問などに入り、和やかな雰囲気の中で会話が進むように配慮するとよいでしょう。
面接官から応募者に質問するときの内容

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面接では応募者にさまざまな質問を投げかけるため、事前に内容をまとめておく必要があります。
主な内容は以下の通りです。
- 自己紹介
- 実績、これまでの経験等
- 転職理由
- 志望動機
- 逆質問
保育士としての経験や保育観、志望動機などを伺ったうえで自園が求める人材かどうか見極めていく必要があるでしょう。採用するうえで重視する点については各園で違いがあるため、事前に質問内容を話し合っておくことも大切ですね。
面接官が質問をするときに意識すること
ここでは面接官が応募者に質問するときの注意点をまとめました。
モラルを意識する
面接の中で応募者に聞いてはいけない項目がいくつかあります。
例えば、本籍や出生地、家庭環境や政治、宗教、思想などの本来自由であるべき事柄は質問NGです。これらは採用選考に関係のないデリケートな話題であるため、面接時に誤って質問してしまわないように注意しましょう。
リラックスできる雰囲気を作る
面接が始まったら、応募者が本音を話しやすいような雰囲気を作り上げることも重要です。
緊張をほぐすために簡単な質問や面接官自身のことについて軽く話してみるとよいかもしれません。
また、面接官が笑顔で話したり、適度に相槌を打ったりと聞いている姿勢を示すことも大切ですね。
リラックスした状態の応募者と話すと、より人間性や本質を知ることができ、選考に役立つでしょう。
時間軸に沿って質問する
面接官が尋ねる内容は「過去・現在・未来」の時間軸を意識して質問するといいでしょう。
「保育士としてどのように成長したいですか?」という問いの次に「過去にはどんな保育経験がありましたか?」と聞くなど、未来や過去の内容を行ったり来たりして質問すると混乱を招くことも考えられます。
まずは過去の保育士経験を尋ね、続いて自園でそのスキルをどのように活かしていきたいのかという未来の話につなげると応募者も話しやすいでしょう。
わかりやすい言葉で質問をする

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質問をする際は抽象的な文言は避け、わかりやすい内容にしましょう。
例えば「当園はどのような印象ですか」などぼんやりとした尋ね方だと、応募者は何を問われているのかわからず戸惑ってしまうこともあるでしょう。
面接官の意図が伝わるよう聞き方を工夫して、言葉のキャッチボールがスムーズに進むように配慮しましょう。
具体的に能力やスキルを尋ねる
応募者に今まで培った能力やスキルなどを尋ねるときは深堀りして聞くことを意識するとよさそうです。
例えばピアノや歌が得意であるという応募者には、「前職ではどんな曲を弾いていましたか」「子どもたちに歌を教えるときに気をつけていることを教えてください」と質問すると特技にまつわる詳しいエピソードや保育に対する考えも聞くことができそうです。
応募者の能力だけでなく、保育観を知るためにも詳しく尋ねてみるとよいでしょう。
【流れ別】面接官が活用できる質問例
面接時の注意点がわかったところで、面接官が活用できる質問の例を紹介します。
①緊張を和らげる
「緊張されていますか?」
「こちらまではどのくらいかかりましたか。」
「こちらまで道に迷いませんでしたか。」
「雨の中、お越しいただきありがとうございます。大丈夫でしたか?」
「寒暖差が激しい日が続きますが、体調崩されていませんか?」
冒頭でも説明した通り、面接の始めは応募者の緊張を和らげるような会話をして、よい雰囲気を作り上げましょう。
自園が求める人材か否かを見極めるためには、応募者本来の姿を引き出すことが重要です。答えやすいような内容を尋ね、本音で話せる場となるように心がけましょう。
②過去の職歴や経験を確認する
「簡単な自己紹介をお願いできますか。」
「○○の経験は何年ほどありますか。」
「過去の保育経験で印象に残ったエピソードを教えてください」
「いままでどのような目標・目的をもって仕事に臨んでいましたか」
「保育の場で活かせる特技はありますか。」
保育士としての経験やスキルを聞いていきましょう。その内容にまつわるエピソードやプロセスなどもあわせて聞けば、応募者の経歴を詳しく知ることができそうです。
③前職を退職した理由を知る
「以前勤めていた園(あるいは職場)を退職した理由を教えていただけますか。」
「なぜ、今回転職をしようと考えたのでしょうか。」
「今後、また転職をするとしたらどのような理由だと思いますか。」
前職の退職理由や転職理由を聞き、入職後に同じような理由で退職しないかを見極めていきましょう。本音が出にくい内容でもあるので、柔らかな口調で相槌を打ちながら対応することが大切です。
④保育観を知る

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「保育士の仕事に就くうえで大切にしていることを教えてください。」
「理想とする保育士像を教えてください。」
「子どもと接するうえで気をつけていることを教えてください。」
自園と応募者との間で保育観に相違があると、採用しても早期離職につながる可能性があります。保育に対する姿勢を尋ね、園の方針や理念を理解したうえで応募しているのかを確認しましょう。
⑤人間性や性格を知る
「ご自身の長所と短所を教えていただけますか。」
「ご友人の方からはどのような人だといわれますか。」
「今までに経験した失敗や挫折と、それを乗り越えた対処法を教えて頂けますか。」
「保育士として仕事で失敗したときには、どのようにモチベーションを維持していましたか。」
保育士は現場の職員とコミュニケーションを図りながら協力して行う仕事も多いものです。人間性や人柄を聞いて園の雰囲気に合った人材なのか、見極めていきましょう。
⑥志望理由や入社意欲を確認する
「当園に興味を持った理由を教えてください。」
「登園の他に面接を受けるまたは受けた園はありますか。」
「乳児クラスを担当したいなどなにか要望はありますか。」
「いつまでに転職先を決めたいですか。」
「当園について質問はありますか。」
「志望動機を話してください」などストレートな聞き方をすると話しづらい印象を与えてしまうかもしれません。応募者が話しやすいように質問の仕方を工夫しつつ、入社意欲を確かめていきましょう。
面接官として質問の流れや例を把握して人材の確保に役立てよう
面接官は応募者にさまざまな質問を投げかけ、自園が求める人材なのかを見極めていきましょう。
また、アイスブレイクの時間を設け、和やかな雰囲気を作ることが大切です。応募者の本来の姿を引き出せるように話し方や尋ね方も工夫するとよいですね。
人材がなかなか定着せずに困っている園もあるかもしれません。採用ミスマッチなどが起こらないよう面接準備をきちんと行い、自園に必要な人材を確保していきましょう。