新人保育士さんの育成に向けて指導マニュアルの作成や面談の設定などさまざまな取り組みを実践する園があるでしょう。育成方法のポイントを抑えしっかり指導することで、早期退職の防止や人材の定着化、保育の質の向上につながります。今回は新人保育士さんが抱きやすい悩みや育成のコツ、園全体で取り組むポイントを詳しく紹介します。

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保育園で新人保育士の育成に取り組もう
保育園の人材の定着化を目指すうえで、新人保育士さんの育成に取り組むことが大切です。
せっかく採用が成功しても、新人の方がすぐに辞めてしまえば、また最初から採用活動をスタートしなければなりません。
早期退職を招かないためにも、職員が「ここの園に就職してよかった!」と仕事へのモチベーションが高まるように、育成方法について考えることが大切です。
まずは、新人保育士さんが抱えやすい悩みについて紹介します。人間関係や仕事量の多さなど、悩みの内容を確認し指導方法を工夫することで、働きやすい環境づくりに役立てていきましょう。
新人保育士さんの4つの悩み

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新人保育士さんが抱きやすい4つの悩みを紹介します。
子どもとの接し方がわからない

新人保育士さん
子どもが話を聞いてくれず、自信をなくしています。子ども同士で言い合いになったときに、どのようなタイミングで声をかけてよいのかわからず、オロオロしてしまうのが悩みです。
慣れないうちは子どものケンカの仲裁の仕方や集団活動への促し方などがわからず悩むことも少なくありません。
経験を重ねれば次第に対処法がわかりますが、入職したての時期は自分の関わりに自信が持てずに不安を抱く方が多いでしょう。
人間関係が上手く築けない

新人保育士さん
先輩が忙しく仕事をしているときに話しかけてよいのかと戸惑うことが多いです。また、今自分が何をすべきなのか、どう聞いてよいかわからない場面もあります。相談したいと思っても『自分で考えて!』と言われそうでよい関係が築けずにいます。
保育園にはさまざまな年齢の保育士さんが働いていることでしょう。いろいろな年代の方と働くことに慣れておらず、コミュニケーションの仕方がわからずにストレスを抱える新人の方もいるかもしれません。
また、新人保育士さんはベテラン保育士さんとペアで仕事を進めることも多いでしょう。
担任を任されるという重圧の中でベテラン保育士さんから叱責されたり、子どもに上手く指導できなかったりすると、プレッシャーを感じてしまうこともあるようです。
保育技術の未熟さに不安を抱く

新人保育士さん
子どもたちの前で手遊びや歌を披露しても自信がなくて声が小さくなってしまいます。ピアノも上手く弾けずに自分の未熟さを痛感しています。子どもたちの生活のサポートについても悩むことが多いです。予定よりも食事やトイレの援助に時間がかかり、いつも余裕がなくて...。どうすればよいのかわかりません。
経験が浅いゆえ、保育技術の未熟さに不安を抱く新人保育士さんもいるでしょう。
保育士さんは手遊びや歌などを披露する場面が多く、緊張してしまう方は不安になることもあるかもしれません。
また、子どもへのサポートが上手くできず「私は保育士に向いていないのかな…」と1人で悩みを抱え込んでしまうこともあるでしょう。
仕事量が多すぎて効率的に進められない

新人保育士さん
保育士の仕事の大変さは実習を経てわかっていたつもりでいました。ただ、実際に職員として働いていると仕事量の多さに驚いています。保育活動の合間に連絡帳を書いたり、保護者への連絡をしたり教育担当の方から指導を受けたりと、忙しい毎日です。スムーズに仕事が進まずに不安を感じています。
保育士さんは保育活動以外にも、行事や設定保育の準備、保育記録の作成、保護者対応など多種多様な業務をこなします。
その中で新人保育士さんは指導案や保育記録、連絡帳などを記入して指導担当に提出を行うでしょう。業務に慣れるまで、添削を受けたり反省会に参加したりと多忙になることが考えられます。
効率的に業務をこなせずに悩みを抱えることもあるでしょう。
新人保育士の育成に欠かせないポイント

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さまざまな悩み抱え、早期離職を考えてしまう保育士さんもいるでしょう。
続いて、新人保育士さんの定着化や成長をサポートするためのポイントをまとめました。
楽しい保育現場を作り上げる
新人保育士さんは毎日不安でいっぱいです。「どうして子どもと上手く関われないのだろう?」「声かけは合っていたのかな?」など悩むことも多いでしょう。
その課題を乗り越えることが保育士としての成長につながりますが、ときには精神的に追い詰められてしまうこともあるかもしれません。
保育士としての成長を支えるためにも、まずは子どもと関わることが「楽しい」と思ってもらえるような現場の雰囲気を作り上げることが大切ですね。
先輩保育士さんは「〇〇ちゃん、言葉が増えたね。楽器の練習も楽しんでいたね。」などと声をかけ、子どもの成長をともによろこび合える関係を作ることを意識しましょう。
楽しい現場であれば新人保育士さんも自然とやりがいを感じることができそうです。
「あの子にはこうやって接してみたらいいのかな。」「この遊びを取り入れたら子どもたちがよろこんでくれそう。」と前向きな気持ちで仕事に取り組めるよう、サポートしていきましょう。
よい点を認めてからアドバイスする
新人保育士さんとの反省会では、まずその日に「できたこと」「頑張っていたこと」を認めて褒めることを意識するとよさそうです。
始めのうちは誰しもできないことばかりに目を向けて、ネガティブになってしまうこともあるでしょう。
「子どもに優しく声をかけていたね。」「絵本の読み聞かせは声が大きくて聞きやすかった。」など先輩保育士さんから具体的に褒められると自信を持つことができそうです。
よい点を褒めたうえで、改善が必要な部分をアドバイスしたりいっしょに対応方法を考えたりして、よい関係性を築いていきましょう。
意識的に「質問」をしてやり取りを増やす
新人保育士さんは質問のタイミングがわからなかったりどんな風に行動してよいのか迷ったりする場面も多いかもしれません。
意識的に「次の設定保育で心配なことはない?」「〇〇ちゃんの対応に悩んでいたみたいだけど大丈夫だった?」とこまめに質問するとよいでしょう。
頼りになる存在が近くにいれば、悩みを打ち明けてくれそうです。「忙しくしていても、聞きたいことがあれば声をかけてね」と話しておくことも大切ですね。
新人保育士を育成に向けた園全体の取り組み

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新人保育士さんの育成にあわせて、教育担当の方が指導しやすい環境を整えることも大切です。園全体での取り組みについてまとめてみました。
育成マニュアルの作成
まず、新人保育士さんの指導方法や声かけ例などを記載したマニュアルを作成しましょう。
1年目、2年目と段階的なステップアップを支えられるよう、研修の概要や指導方法を具体的に記載するとよいかもしれません。
また、新人保育士さんが担当する業務内容を記載し、効率的に取り組む方法を紹介するとよさそうです。
中には英語やリトミックなど専門的な活動を保育活動に取り入れる園もあるでしょう。
新人保育士さんが特色をしっかり理解して保育に取り組めるよう、目的や概要を資料にまとめておくとよいですね。
指導保育士へのフォロー
新人保育士さんは人間関係で悩むことが多いことから、指導担当の方は相談しやすい環境を整える必要があります。
ただ、指導担当の方の業務量が多く、時間的・精神的に余裕がない状態だと新人保育士さんへの指導が思うように進まない可能性もあるでしょう。
そのような事態に陥らないよう、指導担当の方の業務の負担軽減に取り組んだり相談し合える環境を作り上げたりして、フォロー体制を整備していきましょう。
定期的に面談をする
新人保育士さんは環境に慣れるまでに時間がかかることが予想されるため、定期的に面談を行い、積極的にコミュニケーションの場を設けるようにしましょう。
面談では悩みや不安の有無などを聞き、精神的なケアができるように配慮することが重要です。
また、園側は新人保育士さんの面談を行うと同時に指導担当の方との話し合いの場を設けましょう。指導担当の方もどのように教育すべきか悩みを抱えているかもしれません。
話し合いの内容は内密にすることを説明したうえで、不安や悩みはないか聞いたうえで助言することが大切ですね。
研修・講習会を開く
保育活動に必要な知識や技術の習得を支えるために、研修や講習会を積極的に開きましょう。
厚生労働省の「保育士が働きやすい職場づくりの手引き」の資料によると、保育内容の専門性を高めるために外部から講師を招き、年間で5回のコーチング研修や保育カウンセラー研修を開催する保育施設もあります。
担当する子どもの年齢に応じて保育のねらいやサポート方法も異なるでしょう。
現在抱いている悩みをアンケートで回収したり話し合いの場を設けたりしたうえで、普段の業務に活かせる研修や講習会を開催できるとよいですね。
出典:保育士が働きやすい職場づくりの手引きP26/厚生労働省
新人保育士の育成に取り組み、長期雇用の実現へ
新人保育士さんの育成に取り組むためにはマニュアルの作成や面談の設定などを行い、精神的ケアに取り組むことが重要です。
環境に慣れない中、1人で悩みを抱えてしまうと早期離職につながる可能性もあります。
長期雇用を目指し、新人保育士さん一人ひとりがキャリアアップできるような職場環境を整備していきましょう。
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