社会福祉法人青い空保育園様(世田谷区・4施設、職員95名)では、産休に入った職員のほとんどが、辞めることなく現場に戻っています。ここ数年の実績は、8人中2人のみの退職。この高い定着率に加えて、「保育士バンク!」を利用し、直近1年で4名以上の採用にも成功しています。不採用基準の明確化、配置基準を上回る職員体制、対話を軸にした職場づくり。戸田慎太郎理事長(青い空園長兼任)は、採用の入口から入職された方の定着まで、独自の取り組みを積み重ねています。「長く働き続けられる園」を、どのようにつくってこられたのでしょうか。担当のキャリアアドバイザーとのやり取りも含めて、お話を伺いました。

プロフィール
社会福祉法人青い空保育園
| 所在地 | 東京都世田谷区 |
| 運営施設 | 4施設(認可保育園3園〈うち1園は分園〉、小規模保育1園) |
| 職員数 | 約95名 |
| 創業 | 祖母である平岩かの氏が創設 |
| 理事長 | 戸田慎太郎氏(四代目) |
| 法人理念 | 「子どもに夢としあわせを」 |
世田谷で58年。青い空保育園の採用のいま
社会福祉法人青い空保育園は、職員は95名ほど働いており、採用は理事長の戸田さんを中心に担っています。
一人で採用活動を行いながらも、多くの保育士さんが園見学や面接に訪れています。
その採用活動の秘訣について、詳しく伺いました。
採用活動の取り組み方について教えてください
採用の方法はいろいろありますが、一番力を入れているのがホームページ制作です。
もともと採用ページをホームページとは別に作っていたため、求職者の方に園のことを知ってもらう機会自体が少なかったように思います。
そこで採用ページをリニューアルし、外部の掲載サイトを経由しなくても、ホームページの中で求人情報まで見られるようにしました。
2026年7月には採用情報ページをリニューアルし、求人情報へアクセスしやすくなっています。

引用:社会福祉法人青い空保育園
また、求職者の方が気軽に見学にこられるように、見学対応可能な日程をリアルタイムで表示しています。

引用:社会福祉法人青い空保育園
ただ、正直に申し上げると、このページを見て直接応募してくださる方は、そう多くはありません。
実際の出会いのほとんどは、人材紹介を通じてのものです。ですから、求職者の方だけでなく、エージェントの方に日程を見て調整いただくことも多いです。
採用の計画についてはどのように取り組んでいますか
以前は、職員の意向調査の結果を待ってから、必要な人数を決めて動き出していました。
ですが、優秀な方ほど5・6月など、早い時期に次の勤め先を探しているということがわかってきたんです。
また、今年(2026年)はお盆の時期に応募があったり、実習に来てくださる方がいたりと例年、転職者の動きが変わってきていると感じています。
そのため、秋の意向調査の結果が出るのを待ってしまうと、良い人材を逃してしまう可能性があります。
ですから実際に欠員が出るかどうかを待たずに、早めに動き出すようにして、エージェントの方にも紹介をお願いしているんです。
ここ数年は、職員が産休に入る時期が重なることも多く、復帰後は時短勤務になる方もいらっしゃいますので、そうした状況も見越しながら、通年で採用活動を続けるようにしています。
青い空保育園に興味がある職員が「一緒に働きたい人」を基準にする

引用:社会福祉法人青い空保育園
求める人材を見つけるために、保育士さんとの出会いを大切にする戸田理事長。実際どのように採用を決めているのでしょうか。
採用の基準について教えてください
採用のミスマッチをできるだけ減らすため、園が求める人材像を社内でも社外でも、できるだけ丁寧に共有するようにしています。
面接や見学にいらっしゃる方にも、事前に園の様子や求人票、大切にしている考え方など、ホームページを読んできていただくようにお願いしています。
ただ、人柄や人間関係の築き方などは、履歴書や職務経歴書だけではなかなか伝わってきません。
そこで面接時には適性検査も取り入れています。
特性やコミュニケーション能力などを確認できるので、その結果を踏まえながら、面接では一歩踏み込んだ質問をするようにしています。
退職理由や受け答えに対して深掘りして、しっかり人間関係を築ける人なのかというのを確認することもあります。
また、不採用基準というのも明確にしています。
早期離職を防ぐだけでなく、入職後に保育園の方針とミスマッチが起こりそうな方を、あらかじめお断りするための予防線のようなものですね。
面接では各施設の施設長にも面接に同席してもらい、「こういう方は難しいですね」「今の方はどんな印象だった?」ということを、一緒に確認しながら基準を作成してきました。
しっかりと双方とやり取りをしながら、本当に欲しい人材かどうかを見極めています。
ただ、「転職を繰り返す方」や「メンタル面がきつくて辞めてしまう方」もなかにはいるので、どのような人材をとるかは悩みどころではあります。
採用の判断は、どのように行っているのでしょうか
採用を決める前には、体験実習を用意しています。
そこで、「しっかりコミュニケーションがとれるか」「相手を尊重して話せるか」などある程度、確認しています。
実際にそのクラスに入っていただき、実習に関わった職員全員に、一緒に働きたいと思えるかどうかを聞くんです。
「実際に採用したときにこの人とペアを組んで働けるか」「育成できるか」などの現場目線はとても大切です。
だからこそ、職員にも採否権を渡していて「『〇』一緒に働ける」「『△』何とか一緒に働けるかもしれない」「『✕』一緒に働くのは難しい」の3つの視点で選んでもらっています。
また、採用人数を増やしたい時などは、評価を柔軟に変更することもありますが、まずは全員が「一緒に働きたい」と思わなければ、内定を出すことはありません。
この形にしてから、大きく変わったことがあります。
採用の精度も上がったことはもちろん、実習に立ち会った職員からは、「この人は、自分たちで選んだ人だ」という責任感が生まれ、新しく入った方が困っていると声をかけることが増えました。
実習の場にかかわることが、入職後も気にかけ、フォローし続ける気持ちを育てているのだと思います。
人材を選ぶ責任を持った分だけ、育てる責任も芽生える。
そんな循環が生まれています。
事前準備
ホームページなどで園の情報を確認してから面接へ
面接
適性検査の結果をもとに、一歩踏み込んだ質問を
体験実習
実際にクラスに入っていただき、職員との相性をチェック
採用判断
関わった職員全員が「一緒に働きたい」と思えてはじめて内定
AIも採用活動に取り入れていると伺いました。具体的にどのように活用されているのでしょうか
コパイロット(Microsoftアカウントで管理されており、学習内容が外部に漏れない仕組みのツール)を使い、履歴書・職務経歴書・適性検査の結果を、個人情報を削除したうえで学習させています。
そのデータをもとに、一次選考の判定、面接での質問内容、体験実習でのチェックポイント、採否の判断ポイント、早期退職の予想、メンタル不調の予想などを行い、関係者間で共有したうえで、面接や体験実習の際にチェックしています。
また、一次選考でいただく書類についても、AIによって作成されたものかどうかを判定させています。
さらに、青い空保育園のデータを学習させることで、求職者側が面接時に青い空保育園へ聞いてくるであろう質問を予想し、それに対する深掘り質問もあわせて用意して対応しています。
入職された方が、長く働き続けられるように
※園舎外観の画像/引用:社会福祉法人青い空保育園
産休や育休に入る職員が多い青い空保育園。
長期的に働く人材が在籍しているという証でもあります。人材定着化に向けてどのような工夫をされているのかを伺いました。
保育の記録は、どのように管理されているのでしょうか
長く働いてもらうためには、まず日々の業務の負担を減らすことが大切です。
前職では、ICTが整っているのが当たり前の環境でした。ですから、園の運営に加わった当初、行事の記録をはじめ、多くの記録が手書きで残されていることに驚きました。
それから少しずつ手書きの記録をパソコンに置き換え、保育や行事記録などは、決まった形式に入力すれば、誰でも同じように作れるようにしています。
作ったものはインターネット上に保存する仕組みを使っていて、職員の育成の記録や研修の計画もまとめて管理できるようにしています。
記録を書くときは、初めて読む人もわかるような内容にすることを伝え続けてきました。
そのやり方が今ではしっかり定着していて、引継ぎもスムーズです。
ですから、採用の基準においても「パソコンの基本操作ができること」は大切にしている条件のひとつです。
職員の残業を減らすための工夫を教えてください
職員の「ワークライフバランス」はとても大切にしています。
― 残業をなくすための工夫 ―
- ✓会議や打ち合わせは13時半〜15時(午睡中)に行い、不要な会議はなくす
- ✓園内会議・研修は月1に
- ✓昼の会議を毎日→週1へ
- ✓パソコンの中での情報共有の徹底
行事についても、8割ほどのベースをあらかじめ用意しておき、毎年そこに少しだけアレンジを加えるという形にしています。
「行事は日頃の保育の延長線上にあるもので、行事のための保育にはしたくない。日頃の保育の通過点」という方針を大切にしているんです。
例えば、こども縁日は保育士が主導で行っていましたが、現在は5歳児を中心に企画や製作、小さい子のお世話なども行っています。
職員は見守り、フォローする役目なので、持ち帰って作業する必要もないんです。
意見を言いやすい場は、どのようにつくってこられたのでしょうか
会議を対話形式に
以前は、会議も研修も一方通行で伝えるだけの形が多かったように感じます。
現在は、対話形式に変えました。3、4人ほどの少人数のグループをつくるのですが、あえて自分のクラス以外の職員と組むようにしています。
自分のクラスの職員とは、日頃から話す機会があるため、できるだけ他の職員と話せる機会を増やしています。
研修のときだけでなく、職員会議で意見を集める際も取り入れているので、コミュニケーションの場が増え、関係性がよくなっているという実感があります。
本音を言える雰囲気を大切に
職員の意向を汲むためにも、6月から7月、11月から12月の年2回、各施設で職員一人ひとりと面談しています。
その都度、「できるだけ長く働きたい」「来年までは働けそうだが、その先はわからない」「今年度で辞めたい」「相談したい」という4つの段階から、今の気持ちに近いものを選んでもらうようにしています。
こうした面談を重ねるなかで、本音で話せる場面も自然と生まれるようになりました。
職員アンケートを見ても、以前は否定的な意見が目立っていましたが、年々、園に対する提案や建設的な声へと変わってきています。
休暇を申請するときの理由も、正直に話してくれる職員が多くなりました。「推し活で休みたいんです」というような理由を教えてくれることも。
何でも話せる空気が、少しずつ根付いてきているのだと思います。
休憩室でも自然な対話がうまれるように…
休憩の取り方も変えました。以前は、保育室の中で休憩をとることが多く、休憩室を使う文化はあまりなかったんです。
コロナ禍をきっかけに、休憩室で全員が食事をとることがマストになり、自分のクラス以外の先生と話すきっかけができました。
それが思いのほか楽しいとわかったようで、今では休憩室でくつろぐことが当たり前の光景になっています。
また、7、8年ほど前から意図的に取り組んできたこともあります。
時間帯ごとに、そのクラスにいる子どもの人数から、最低限必要な配置人数を割り出せる表をつくりました。
というように、数字で示すことで、休憩に入るタイミングを職員自身が判断できるようにしたんです。
今では主任や副主任をはじめ、リーダー層がこの表を意識して使ってくれるようになりました。おかげで、よほど特別なことがない限り、ほぼ全員が休憩をとれるようになっています。
入職してすぐの方も、産休から復帰する方も、安心して働ける仕組みとは
職員が安心して働ける環境をつくるうえで、まず大切にしているのが人材配置です。
職員の配置については、国が定める基準よりも、常に2〜3名ほど多く配置するようにしています。
「子どもたちに安全な保育を届けるためには、職員に気持ちの余裕がなければならない。」そう考えてのことです。
産休に入った職員の多くが、育休を経て戻ってきてくれています。
復帰後は時短勤務になる方もいらっしゃいますので、それを見越して、正規職員の体制を整えるようにしてきました。
年に2回の意向調査に加えて、入職1カ月の方には個別の面談も行っています。
【面談内容】
※一部抜粋
- ✓体調のこと
- ✓入職後の予想と入職後のギャップ
- ✓うれしかったこと
- ✓困っていること
- ✓人間関係・組織のこと
一人ひとりの声を、できるだけ丁寧に拾い上げるようにしています。
採用を任せられる相手と歩む
採用について、保育士バンク!との付き合い方についても伺いました。
青い空保育園が利用しているのは、必要な人数をあらかじめ決めて契約し、まとまった人数の採用を計画的に進めていく「パッケージプラン」。
キャリアアドバイザーがチーム一丸となって、採用に取り組むプランとなります。
人材紹介の会社との付き合い方で、変わったことはありますか
人材紹介の会社は、担当者ごとの個人営業のような形になっていることが多く、同じ会社であっても、担当が変わるたびに一から説明をし直さなければならない、ということがよくありました。
ですが、パッケージプランをお願いするようになってからは、チームで対応していただけるようになり、一度お伝えしたことがきちんと共有されています。
何度も同じ説明をしなくていい、というのは本当に助かっています。
求人票には書けない不採用基準も、担当の方には直接お伝えしています。
それを踏まえたうえで、厳しい条件をクリアした方の中から選び抜いて紹介いただけるので、キャリアシートを拝見して驚くようなことはほとんどありません。
パッケージプランを、どのようなタイミングでお願いすることになったのか聞かせてください
最初にお願いしたのは、複数の職員が同じ時期に産休に入ることになり、急いで採用を進めなければならない状況になったときでした。ちょうどそのタイミングで、内容の面でも納得できるご提案をいただき、お願いすることに決めました。
急に人材が必要な時にも必要な人数をきちんと採用していけるという安心感があったからです。
担当の方には、どのようなお気持ちをお持ちですか
数年前からずっとお世話になっていて、私たちの園のことをこれだけ理解してくださっている方は、他にいないと感じています。
厳しい条件をすべてクリアした方の中から、さらに選び抜いてご紹介いただいているので、それだけ手間をかけてくださっているのだろうと思っています。本当に感謝しています。
今後の展望と職員の定着への想い
最後に、これからの展望について伺いました。
職員の方に長く働いていただくことについて、どのようにお考えでしょうか
職員の行動指針として、穏やかに、温かく、受容的に、応答的に、共感的に、肯定的にかかわる事を掲げています。
「新人もベテランも、意見は対等で、否定しない。子どものために、みんなで良い意見を出し合おう」と、日頃から伝え続けてきました。
この指針をつくってから6年ほど経ちますが、少しずつ、職員同士の関わり方にも表れてきているように思います。
また、職員の入れ替わりも進んでいます。ここ数年で、ほぼ全員が新しく採用した職員に替わりました。
今の環境や方針を理解したうえで入ってきてくれる方が多いので、素直に、吸収力高く働いてくれる方が増えている実感があります。
これから取り組んでいきたいことを教えてください
2026年の12月には、1年半ほどかけて見直してきた新しい人事評価制度をリリースする予定です。4つの段階ごとに、職員に何を期待するのかを明確にしました。
運用しながら必要があればまた、見直していくつもりです。
こうした取り組みのヒントは、外部からも積極的に取り入れるようにしています。
気になる会社の情報を集めたり、さまざまな研修を受けたりしながら、そこで得た学びを園の取り組みに反映するようにしています。
「人は死ぬまで成長できる」という言葉が好きです。
もっと上を目指したい、という気持ちは、特別なことではなく、ずっと持ち続けてきたことです。
「この園は祖母が立ち上げた場所ですから、自分の代で終わらせるわけにはいかない。」そのことが大きな原動力となっています。
採用について相談したい




















































