親友の結婚式、ずっと楽しみにしていた旅行。「行きたいけど、仕事が……」と、職場の忙しい雰囲気を察して有休取得を言い出せなかった経験はありませんか?
「人手不足で行事前、周囲のあわただしい姿を見ると『私用で休みます』なんて気が引ける……」
保育士のミサキも、まさに今、そんなプレッシャーを一人で抱え込み、「善意の落とし穴」にハマりかけているようです。

※第1話「『壁面制作が終わらない…』これって私の要領が悪いだけ? 厚労省データ『平均残業月3時間』の裏にある保育士のリアル」はこちら
【マンガ】第2話:有給休暇と見えないプレッシャー

有休の取得率、あなたの園はどうですか?
「休み希望を出せるのは冠婚葬祭だけ」「少し体がだるくても、熱さえなければ出勤するのが当たり前」
そんな暗黙のルールに縛られていませんか?
年次有給休暇(以下、有休)が実際にどれくらい使われているのか、まずは全産業の数字から見てみましょう。
(令和6年・過去最高)
取得率(人数構成比)
達成できた施設
厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」(2025年12月公表)によると、令和6年の年次有給休暇の取得率は66.9%で過去最高を記録しました。付与された18.1日のうち、平均12.1日を取得している計算です。
国は2028年までに取得率70%以上という目標を掲げていて、世の中は少しずつ「休める方向」へ進んでいます。
では、保育の現場はどうでしょうか。
当社の調査機関「保育士バンク!総研」が保育施設の労務データ(約7,500人分)を集計した調査では、取得率の人数構成比は「30%」が最も多く15.5%、次いで「20%」が14.7%。
地域別に見ても最も高い大都市で55.9%、東京23区は50.5%と、いずれも全産業の66.9%には届きません。さらに主任・園長といった役職者になると、40%を下回ります。「休みたいのに休めない」が、数字にもはっきり表れているのです。
【比較表】有休取得率のちがい
施設単位のデータでも同じ傾向です。
独立行政法人福祉医療機構(WAM)の調査では、職員の有休取得率が「40%以上60%未満」の施設が最も多く34.0%。取得率100%を達成できている施設は3.6%にとどまりました。
有休が取りづらいと感じるのは、あなたの気のせいでも、頑張り不足でもありません。保育業界が全産業の平均から取り残されている。それが、数字が示している現実です。
参照元:
厚生労働省「令和7年 就労条件総合調査 結果の概況」(2025年12月19日公表)
保育士バンク!総研「保育士の働き方に関する調査」(2023年11月20日公表/保育園・幼稚園に勤務する約7,500人の労務データより算出)
独立行政法人福祉医療機構「2020年度 保育所および認定こども園の人材確保に関する調査について-第二弾」(2021年3月16日公表/818法人・855施設が回答。公立施設は含まない)
「みんな忙しいから」が、あなたの権利を消していませんか?
園長先生も先輩も、決して意地悪をしているわけではなく、子どもたちのために必死に頑張っているんですよね。
だからこそ、「私だけ休みたいなんて言えない」「迷惑をかけられない」と、有休の申請をためらってしまう……。
ミサキのように、職場のチームワークを大切にする優しい人ほど、この「善意の落とし穴」にハマってしまいがちです。
有休の申請をためらってしまう理由
- ・慢性的な人手不足でギリギリのシフト
- ・行事前で先輩も残業しているから
- ・「私用で休む」と言い出しにくい同調圧力
この「ギリギリのシフト」は、あなたの園だけの話ではありません。WAMが2025年に実施した最新の調査では、42.6%の施設が「職員が不足している」と回答。
その影響としては83.7%が「現場負担の増加」と答えています。自由記述にも「年休を十分に取得できない」「休憩時間の確保が難しい」といった、思わずうなずいてしまう声が並びました。
「お互い様」でカバーし合うのは素晴らしいことですが、それが常態化して「有休=悪」のような空気になってしまうのは、少し違います。
本来、誰かが休んでも現場が回るように人員配置をするのは、現場の保育士ではなく「園(組織)」の役割です。
保育士・幼稚園教諭・看護師・調理師 etc.無料転職サポートに登録知っておきたい、有休の3つのルール
「休みたい」と言い出せないとき、味方になってくれるのが労働基準法です。あらためて確認しておきたいポイントを3つだけ整理します。
1年5日は「園が取得させる義務」がある
2019年4月から、年10日以上の有休が付与される職員については、使用者(園)が時季を指定して年5日は取得させなければならないと定められています(労働基準法第39条第7項)。守られていない場合、罰則の対象になることもあります。
つまり年5日分は、あなたが遠慮して取らないほうが、園にとって困る話なのです。
2「何のために休むのか」を伝える義務はない
有休をどう使うかは働く人の自由であり、取得理由を申告する義務はありません(最高裁 昭和48年3月2日判決・白石営林署事件)。
「私用のため」と伝えるだけで十分です。結婚式でもライブでも、後ろめたく思う必要も嘘をつく必要もありません。
3「忙しいから」だけでは断れない
園には希望日をずらしてもらう「時季変更権」がありますが、これは事業の正常な運営を妨げる場合に限られます(労働基準法第39条第5項)。
過去の裁判例では、園・会社の側に代替要員を確保する努力が求められると判断されており、単に「人が足りない」「忙しい」という理由だけで有休を拒むことは認められていません(最高裁 昭和62年7月10日判決・弘前電報電話局事件)。

💡 3つのルールをひと言でいうと
①年5日は園に取得させる義務がある ②理由は「私用で」でOK ③「忙しい」だけを理由に断ることはできない。有休は”お願い”ではなく、法律で守られた権利です。
※実際の運用は就業規則や個別の事情によって変わります。気になることがあれば、園の担当者や労働基準監督署、社会保険労務士などに確認してみてください。
あなたならどうする? 読者アンケート
園全体が忙しい時期、どうしても行きたい「友人の結婚式」や抽選で当たった「推しのライブ」があるとします。周りの先生も必死に頑張っている状況で、あなたならどうしますか?
(今の気持ちに近いものをタップしてください)
「休める環境」は、保育の質も守ります
アンケートの結果はいかがでしたか?
「我慢して出勤する」を選んだ方も、「理由をぼかして休む」を選んだ方も多いかもしれません。
でも、先ほど確認したとおり、有休の理由を説明する義務はありません。本当の理由を隠さなくても、嘘をつかなくても、有休は取れるのです。
罪悪感を感じてしまうのは、あなたが責任感の強く、心優しい保育士さんだからこそ。でも、無理を続けていつか心が折れてしまっては元も子もありません。
そして、少しずつ変わりはじめている園もあります。
WAMの2025年の調査では、「時間単位の年次有給休暇」を導入して効果が高いと答えた施設が62.8%、「入社後6カ月未満の職員にも年休を付与している」施設が51.8%にのぼりました。「1時間だけ抜けて子どもの行事に行く」「入職1年目でも休める」。そんな働き方が、もう特別ではなくなってきているのです。
さらに同じ調査では、職員の定着に向けて実際に行われている取り組みとして、次のような園の声が報告されています。
- 完全週休2日制に変更し、有休は希望どおり取得できる体制にした
- 有休のほかに誕生日・看護・介護などの特別休暇を導入
- 保育補助員を増員して負担を軽減
- フリー保育士の配置で、急な休みもカバーしやすく
- ICT化による業務負担の軽減
「お互い様」で我慢し合うのではなく、「お互い様」で堂々と休める。そんな環境があることを、まずは知ってみてください。
今の園で頑張り続けるのも選択肢の一つですが、「外には当たり前に休める園もある」と知るだけで、心の余裕が変わってくるはずです。
参照元: 独立行政法人福祉医療機構「2025年度 保育所・認定こども園の人材確保に関する調査結果」(2025年11月19日公表/2025年8月から9月に実施/1,150法人・1,381施設が回答。公立施設は含まない)
「外の世界」を少しだけ覗いてみませんか?
「有休の取得率ほぼ100%」や「希望休が通りやすい」をアピールポイントにしている求人は、探せば意外と見つかります。
ちなみに全産業の年間休日総数は1企業平均112.4日(前掲・就労条件総合調査)。「年間休日120日以上」は、全産業の平均を上回る水準だと考えると、探す基準もはっきりしてきます。
転職するかどうかは、今の時点では決めなくて大丈夫。
一人で「誰も悪くないから仕方ない」と思い悩んでしまう前に、まずは「自分の通える範囲にどんな園があるのかな?」と、少しだけ外の世界を覗いてみませんか?自分に合った働き方を見つけるヒントにしてみてくださいね。
- ✓ 有休取得率が高め・ほぼ100%の求人も
- ✓ 希望休が通りやすい・時間単位の有休あり
- ✓ 年間休日120日以上(全産業平均を上回る水準)
- ✓ 在職中の相談・情報収集だけでもOK
▼ 「当たり前に休める園」を探すなら、こちらの条件がおすすめです
【4コマ漫画の内容に関するお願い】
この4コマ漫画は、保育士の方々の一般的なお悩みや仕事上の出来事、感情などを参考にAIが作成したフィクションです。登場する人物、施設、団体名、出来事などは架空のものであり、実在の人物や施設、団体とは一切関係ありません。
また、特定の職種や働き方を否定、あるいは推奨する意図はありません。あくまで一つの参考事例として、ご覧いただけますと幸いです。
【表現に関するお願い】
この4コマ漫画は、読者の方々に楽しんでいただけるよう、表現を誇張したり、ユーモラスに描いたりしている場合があります。現実の保育現場とは異なる点もあるかと存じますが、ご理解いただけますと幸いです。
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