保育現場で働ける仕事の一つに、保育補助があります。主に保育士のサポートをする役割を担っており、資格なしでも働くことができるようです。今回は、保育補助の役割や仕事内容、スキルアップできる資格の一つ、子育て支援員について紹介します。また、保育補助として働くうえでの楽しい点や辛いと感じる点もまとめました。

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■目次
保育補助とは?
保育補助とは、保育現場において保育士さんの仕事をサポートする役割を担っている職員のことです。
ここでは、具体的にどのような役割があるのか、また必要とされている理由などを紹介します。
保育補助の役割
保育補助は、人手不足が慢性化している保育現場において、保育士さんの手が回らない部分の業務を担当する役割を担っています。
主にヘルプとして位置づけされることが多く、保育施設をスムーズに運営できるように手助けをするのがメインと言えるでしょう。
保育補助が必要とされる理由
保育補助が求められている理由として、保育士不足が挙げられます。
待機児童解消に向けて新しく保育施設が設立されていることや、既存園での保育士の離職、潜在保育士などの問題があり、保育士の人手が足りていないという現状があります。
このような保育士不足を受けて、政府は2016年より保育補助者雇上強化事業をはじめました。
この保育補助者雇上強化事業は、保育士の負担軽減・離職防止を目的としており、積極的に職員の雇用管理や労働環境の改善に取り組んでいる事業者に対して、無資格の保育補助者の雇用に必要な費用を支援するというものです。
最近ではこの取り組みを活用して、アルバイトやパートなどで保育補助を採用している園が増えている傾向にあるため、引き続き保育補助の需要が高まっていくことが予想されるでしょう。
保育補助の仕事内容
保育補助の仕事内容は園によって異なりますが、基本的には以下がメインのようです。
- 掃除や片付け、翌日の準備
- 保育日誌の記入
- 定期的な行事の準備や当日の対応
- 保育士との共同保育
保育士さんの手助けをしたり、子どもたちにとって安全な環境づくりをしたりすることが、保育補助の基本的な仕事内容と言えるでしょう。
場合によっては、子どもたちの寝かしつけやおむつ替え、食事のサポートなどといった直接的な保育をすることもあるかもしれません。
しかし、保育士さんに比べて子どもに関わる業務の幅は少ないようです。
保育士さんのようにクラスを受け持ったり、保育計画を作成したりすることはなく、保育士さんの指示に従って業務にあたることが主な役割と考えるとよいですね。
保育補助の働き方
保育補助として働く場合、どのような働き方があるのでしょうか。雇用形態や求人状況などを紹介します。
雇用形態
保育補助の雇用形態は、基本的にはアルバイトやパートが中心となっています。
保育補助は無資格でもなることができるため、未経験の方を募集している園もあるようです。
ただし、保育士の業務をサポートするのがメインとなるため、保育経験があると優遇されやすいかもしれません。子育て経験などがある方は、志望動機を書く際にアピールすることもできますね。
また保育補助者雇上強化事業において、事業者に対する支援費用の支給条件には保育補助者が保育士資格の取得に努めることと規定されています。
資格なしからスタートした場合でも、保育補助として働きながら資格の取得に励むことができそうですね。
求人状況
保育補助の求人は、認可保育園や認可外保育園など、さまざまな施設で募集されています。
先ほど説明したように、アルバイトやパートとして募集をかけている園が多いようですが、正社員の保育補助求人もあるようなので、自分の希望する働き方が実現できる園を探してみるとよいでしょうね。
また、無資格OKの求人や、ブランク・未経験歓迎の求人もあるので、保育現場が初めてという方も働きやすいかもしれません。
ただし、保育補助として働くうえで、「子どもが好き」「心身ともに健康」といった素質は大切になります。また、子どもを預かることへの責任感を持っていることも求められそうです。
保育補助の志望動機や自己PRを書くときは、これらの要素を盛り込んでアピールするとよいかもしれませんね。
保育補助の給料事情
パートやアルバイトなどの求人が多い保育補助の場合、給料がいくらもらえるのかも気になるところでしょう。
ここでは、厚生労働省の資料をもとに、保育士と保育補助の給料を以下の図で比較してみました。

このように、保育士と保育補助の給料には多少なりとも差があることがわかります。
特に、正社員の常勤保育士と保育補助の場合、約8万円の差が発生しています。
また、パート保育士の時給はおよそ1200円から1500円程度が平均的ですが、パート保育補助の時給は1000円から1100円程度と言えるでしょう。
地域や運営法人によって違いはあるものの、保育士資格を持っていると時給が100円程アップすることもあるようなので、求人票を確認してみましょう。
出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】/内閣府
新たな保育補助の資格「子育て支援員」とは?

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「保育の学校に通ったり保育士試験を受けたりする時間や余裕がない。でも、保育の仕事に携わりたい」という方は、2015年からスタートした「子育て支援員」の資格にチャレンジしてみるとよいでしょう。
子育て支援員の概要
子育て支援員とは、子育て支援に関わる仕事に就きたいと考える無資格の方向けにできたもので、新しい子育て支援の担い手として注目されている仕事です。
子育て支援員になると、小規模保育や放課後児童クラブ(学童)、企業主導型保育園などで働けるようです。
施設によっては、保育士の配置基準としてカウントされるということもあり、今後、補助的な保育従事者としての需要が高まっていくことが予想されるでしょう。
子育て支援員になるためには?
子育て支援員になるためには、子育て支援員研修を受講し資格を取得する必要があります。
研修の受講料は基本的に無料で、テキスト代や交通費などの実費は自己負担となる自治体が多いようです。一般的に、1週間程度で修了できる研修内容となっています。
時間面・費用面ともに低コストで取得しやすい資格であるため、保育補助として働きながらキャリアアップしたいと思ったら、子育て支援員になることを目指してみるのもよいかもしれません。
保育補助として働くうえでの楽しいことや辛いこと
保育補助として働くうえで、楽しいことや辛いと感じることについてまとめました。
楽しいこと・メリット
保育に関する知識を得ることができる
保育補助として働くと、保育に関する知識を得ることができるでしょう。
初めて保育現場で働く方や、保育士資格の取得を目指している方にとって、現場で働きながら実践的な保育の知識を得ることができるというのは大きな利点かもしれません。
保育補助は資格なしでも働くことができるため、子どもたちの保育に携わりたいという方にとっては楽しいと感じられる仕事と言えそうですね。
仕事とプライベートを両立させやすい
保育補助として働くと、仕事とプライベートを両立しやすくなるでしょう。
保育補助はアルバイトやパートでの勤務がメインとなるため、勤務日数や時間を調整し、自分のプライベートの時間を確保しながら働けるかもしれません。
私生活を充実させることができれば、仕事に対する意欲向上にもつながりそうですね。
ただし、人手不足の園では週5日のフルタイムでの勤務が求められる可能性もあるため、自分の希望に合った働き方ができるのか、きちんと求人をチェックしておきましょう。
辛いこと・大変なこと
雑務が多いことも
保育補助として働くうえで、雑務が多いことに対して辛いと感じるという声もあります。
保育補助はあくまでも保育士さんの業務をサポートすることがメインとなります。
場合によっては子どもとほとんど関われずに、掃除や片づけなどの雑用や事務作業ばかりになってしまうこともあるようです。
子どもたちとたくさん関わりたいという方にとっては、保育に携われないのは辛いことかもしれません。
求人票に記載されている仕事内容を確認したり面接のときに質問したりして、事前にミスマッチを防いでおくとよいでしょう。
正社員保育士よりも給与が安定しにくい
保育補助で働くと、給料が安定しにくいという懸念点もあるようです。
アルバイトやパートなどの短時間勤務をメインとする保育補助は、正社員に比べると給料水準が低くなりがちでしょう。
また、もらえる金額は勤務日数や時間に左右されるため、一定していないのも不安要素の一つかもしれません。
安定した給料を得て働きたいという方は、資格取得支援制度などを導入し、正社員へのステップアップを応援している園で働くことを視野に入れてみるとよさそうです。
無資格でも、保育補助として保育現場で働こう
今回は、保育補助として働くうえで押さえておきたい、仕事内容や給料・求人事情などについて紹介しました。
保育補助は、保育士さんの業務をサポートする役割を担っており、無資格でも保育に携わることができる仕事です。
保育現場が初めての方は、現場で働きながら保育を勉強したいという点を志望動機や面接の場で伝えてみると、熱意をアピールできるでしょう。
保育補助として働くなかで、楽しい点や辛い点などさまざまありますが、これから保育にチャレンジしてみたいという人にはぴったりの仕事かもしれませんね。