てぃ先生の園長見習い中 第3回 保育園元気キッズ

新人の離職率は6年間でゼロ。保育士が働きやすくなる4つの約束を決めた『保育園元気キッズ』


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Twitterで話題の男性保育士てぃ先生。

最も近い目標としている夢は、自分で保育園をつくること。
(てぃ先生が保育園をつくりたい理由はこちら)


新たにスタートした「てぃ先生の園長見習い中」は、てぃ先生が実際に保育園を訪問し、
保育園を経営する先輩からヒントをもらう対談企画です。



新たにスタートした「てぃ先生の園長見習い中」は、てぃ先生が実際に保育園を訪問し、保育園を経営する先輩からヒントをもらう対談企画です。



第3回目の対談相手は、株式会社SHUHARIの代表取締役である中村敏也さん。同社は埼玉県にて、保育園元気キッズおよび児童発達支援教室を運営しています。

今回は、この春にオープンしたばかりの小規模保育所「元気キッズ朝霞岡園」にお邪魔しました。



元気キッズグループでは、過去6年間において新人の離職者が1人もいないそうです。

しかし、そのバックグラウンドには、保育士たちが笑顔で働くための試行錯誤がありました。

子どもも保育士も笑顔になる保育園づくりの秘訣とは...?



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■話を聞く人
てぃ先生。Twitterフォロワー数40万を超える現役保育士。 Twitter原作のマンガ『てぃ先生』のほか、
書籍『ほぉ...、ここがちきゅうのほいくえんか。』『ハンバーガグー!』を刊行。
アニメも公開中!(タテアニメ
https://twitter.com/_happyboy


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■話を聞いた相手
株式会社SHUHARI代表取締役 中村敏也さん。
埼玉県志木市と新座市、朝霞市で保育施設「保育園元気キッズ」を運営。
また発達障がいなど育てにくさを抱えた子供たちへの療育の場として、母子分離の保育を行う児童発達支援 元気キッズも同時に運営。事業の目的は、子ども達の豊かな未来の基礎作りを行うこと。
http://www.genki-kids.net/index.html


子どもたちの笑顔が溢れる場所を作りたい


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てぃ先生:中村さんはもともと一般企業で働いていたそうですが、なぜ保育園を立ち上げたのですか?
中村さん:僕はもともと保育の世界とは全く別の企業で働いていたのですが
「社会に貢献するために自分ができることはないかな」と学生時代から漠然と考えていたんです。


アメリカ留学をしてアートの世界に触れたりもしたのですが、その後もずっとモヤモヤしたまま一般企業で働いていました。

僕が保育に興味を持ったのは、今から16年前にいとこが出産したことがきっかけでした。

その時に初めて待機児童問題の存在を知り、自分でも何とかできないだろうかと考え、必死に勉強したんです。その後、27歳の時に認証保育室を開設しました。


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てぃ先生:きっかけは待機児童問題だったのですね。
保育業界以外から来た方は、子育てや保育指針に対しても柔軟な考えを持っている方が多いような気がします。

「伝統的な保育も良いけど、こんな新しい考え方もあるよ」と提案してくれたり。


中村さん:保育の世界に入ったきっかけは待機児童問題でしたが、保育園を経営しながら、
真に子どもにとって最高の場所はどこだろう?と考えるようになり、

子どもの笑顔が溢れる場所なんじゃないかと気付きました。



発達障がいの子のための施設を作ったのも、子どもたちが輝ける場所を作りたいという思いからだったんです。
一般的な保育現場では、発達障がいがある子たちに対して十分なアプローチが難しいと感じていました。



発達障がい児のための通所施設を作ったことで保育士は前向きに保育に取り組むことができるようになり、

その結果、子どもたちの笑顔が溢れる場所となりました。



経営者と保育士の意識の差をどう埋めるか




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てぃ先生:一般企業から保育業界に入られて、感じたギャップなどはありましたか?


中村さん:まず、これまで僕が使ってきた言語と保育業界の言語が違うので、言葉の質を合わせるまでに3年かかりましたね(苦笑)。
あとは、保育士たちとのコスト意識の差ですね。

使うべきところ、切り詰めるべきところの意識はしっかりと持つべきだと感じました。


てぃ先生:保育士のコスト意識の問題は、僕も感じたことがあります。

たとえば、子どもが絵を描くための用紙を、子どもが求めるままにどんどん与えてしまったり。

備品ひとつひとつの値段を考えずに使ってしまうことで、

経営者側が苦しくなってしまうのに、なかなか意識できていないんですよね。

僕は、過去には一緒に働いている職員に対して、

備品の無駄遣いについて注意をしたことがありますが、
これは現場で働いている保育士だからできることだと思います。

中村さんのような経営者の方が現場の保育士に注意をすると、
関係が悪化してしまう可能性が高いのではないでしょうか。

そのため、経営者と保育士の間のつなぎ役になる職員が各園にいるといいなと思うんです。



中村さん:そういう人が1人いると、とてもありがたいですよね。

うちの法人では、祝日のない6月に特別休暇が取得できるのですが「特別休暇が取れるのは、当たり前のことじゃないんだよ。
会社に感謝をして有意義に使おう」と言ってくれた職員がいて...。
その時は、ちょっと嬉しかったですね〜。


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1人ひとりの性質に合わせ、配属園を提案




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てぃ先生:元気キッズさんは新人の離職者が過去6年間で0人と伺っていますが、

採用の時に大切にしているポイントなどがあれば教えてください。


中村さん:人柄によって合う園が違ってくるので、ミスマッチが起こらないように配属しています。

その人の保育や仕事ぶりを見ながら、「こっちの園だったらもっと輝けそうだよ」と提案することもあります。

離職率が低いのは、本人と各園のカラーのミスマッチをしないように十分に配慮しているからかもしれません。


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この春から朝霞岡園の主任に就任した角田貴望先生。優しい笑顔で子どもたちを見守る。

「男性保育士だから気をつけていることはありますか?」と尋ねると、
「男性保育士は清潔感のある見た目が大切。ジャージや靴にはこだわっています!」と答えてくれました。



てぃ先生:園や法人にマッチしている人ばかりが集まると、

似通った性質の保育士だけで職員が構成されるリスクはありませんか?


中村さん:実はその点は、試行錯誤中なんです。

たとえば、職員たちがすごく元気で真面目な園があるのですが、完璧を求めすぎてしまい、新人が居づらくなってしまう場合があります。

そういった時は、その保育士がより輝ける職場で働けるよう異動を促したりもします。


あとは、グループ園同士が近距離なので、

僕がバイクに乗ってこまめに巡回し、各園の様子を把握できるようにしています。


若手保育士が働きやすくなる4つの約束




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中村さん:保育園を立ち上げた当初は、離職する職員が増え悩んでいたこともありました。

僕が感じたのは、立派な理念やミッションがあっても園長が絶対的な立場になっていたり、

長く勤めた職員が、いわゆる「お局」になってしまう問題があるということです。

そういう人たちが固定化し、雰囲気が硬直化してしまうと、若手の職員から意見が出にくくなり、離職率も高まっていきました。


そこで創業して3年目、このままではいけないと思い、基本に立ち返って保育理念を作り直すことに決めたんです。

それと同時に、職員に4つの約束を伝えるようにしました。


1つは、挨拶をしっかりとすること。2つ目は礼節。

「ありがとう」を言うことでお互いをリスペクトし合うことです。

そして3つ目は、相手の言うことに耳を傾けること。

保育は複数の子どもを複数の保育士で見る場所なので、意識して相手の声に耳を傾けなければ意思疎通が難しくなります。

そして最後は、相手に伝える勇気を持つことです。



この4つの約束は、入社時やミーティングの際に必ず伝え、

"今より少しでも良いところがあったら採用する"というスタンスを続けたところ、

価値観を共有できる方が残ってくれるようになりました。

その結果、理念に共感し、実践しようとしてくれる職員が残ってくれています。


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てぃ先生:長く勤めているから偉そうにするっておかしなことですよね。

僕が保育園を立ち上げたら、園長や主任という役職は作らず、

全員が同じ立場で共通認識を持ってフレキシブルに動けるようにしたいなと考えているんです。

園長や主任だから偉い、というのではなく、○○さんのやり方って素敵だね、という考え方ができる保育園にしたいと思っています。

偉い=素敵 ではないと思うんです。



中村さん:てぃ先生も僕も、根本の考えは同じだと思います。

保育現場の素敵レベルを上げていきたいですよね。

ただ、対外的にセッションをし、責任を取る人は必要だと思います。行政や地域とのやり取りや、何かがあった時の責任は僕が被らなくてはいけません。

施設長と現場の職員を守るために矢面に立つこともあります。



もちろん、現場はフラットな関係で良いと思います。

元気キッズでは、正職員もパート職員も対等であると伝えています。



休日も充実させて笑顔で保育を



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てぃ先生:子どもたちが笑顔になる場所を作りたい、と仰っていましたが、そのためには何が大切だと思いますか?



中村さん:子どもたちが笑顔になるためには、先生たちが笑顔にならなければいけないと思っています。

先生が笑顔になるためには、仕事を楽しまなければいけない。

そして、仕事を楽しむためには、オフの時間も大切ですよね。



仕事の時は、100%仕事にのめり込んでほしいけど、オフの時は、家族と過ごしたりデートをしたり充実した時間を過ごして欲しいです。

ただ、その時に「この絵本は保育に使えそう」とか「映画の中のこんなアイデアを明日の保育に活かそう」とか、

頭のどこかで保育のことを考えてほしいなと思っています。



僕自身は留学をしていたので、職員にも積極的に海外に行ってほしくて「金曜と月曜日休んじゃえば?」と勧めることも(笑)。

そのため、海外旅行に行く人が増えました。

心と体をリフレッシュさせて、その分、オフの日に得た気づきを職場に持ち帰ってきてね、と考えています。

休んだ時に誰かが仕事を代わってくれた分は、次の月に自分が頑張れば良いんです。



てぃ先生:そのことを、みんなが共通意識として持っているのがいいですね。

誰かが我慢するわけではなく、お互いに理解した上で休暇が取れますね。


中村さん:保育園は人員を増やすべき、という考え方もありますが、僕はそれよりも、
チームワークと共通意識こそが大切だと思います。



てぃ先生:貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。




てぃ先生の訪問日誌



新人の離職率がここ6年間で0人。

実際に話を伺うまではこのポイントばかりに目が向いていましたが、
当たり前のように保育環境が良く、そこを最も気遣っているからこそ、
自然と職員たちが生き生きしているのだと感じました。

新人に限らず、他の職員や代表の中村さんが心から子どもと、そして保護者のために日々試行錯誤を重ねた結果がこの数字に結びついているようです。

最高の保育を目指すと、職場も最高になる。とても素晴らしいものを見させていただきました。


プロフィール



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てぃ先生:
関東の保育園に勤めるカリスマ保育士。
保育園の日常をつぶやくツイッターには40万人を超えるフォロワーがいる。
Twitter原作のマンガ『てぃ先生』のほか、
著書に『ハンバーガグー』『ほぉ...、ここがちきゅうのほいくえんか。』
(ともにベストセラーズ)など。マンガのアニメも公開中!(タテアニメ
https://twitter.com/_happyboy

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