保育士に学歴は関係あるのでしょうか?このコラムでは、保育士になるために学歴は関係あるのか、また学歴によって保育士のキャリアに影響があるのかどうか解説します。
KPG_Payless/shutterstock.com
保育士になるために必要な学歴
保育士になるためには学歴は必要なのでしょうか?大卒や専門卒、高卒、中卒など学歴によって左右されるのかどうか見ていきます。
保育士になるのに学歴は関係ない
原則として、保育士になるのに学歴は関係ありません。保育士になる方法は2つ。保育士養成校を卒業するか、保育士試験に合格するかです。
特に保育士試験に関しては、条件付きではありますが、高卒、中卒の方でも受験できるような受験資格を設けています。
まずは、保育士試験の受験資格について大きく2つの分類で方法を見ていきます。
短大以上の学歴の場合
4年制大学、短大、専門学校以上の学歴の場合、2年以上の課程であれば保育士と関係のない学部に所属している場合でも、卒業するなどの一定の条件を満たすことで保育士試験の受験資格が認められます。
詳しい説明はこちらから
高卒・中卒の学歴の場合
高卒や中卒の場合、保育士試験の受験には実務要件が必要になるのが一般的です。この実務要件というのは、指定された保育関連施設に一定の期間と時間数、実際に働くこと。それぞれの条件を満たすことで、受験資格が認められ、保育士試験に合格することで保育士資格が取得できます。
詳しい説明はこちらから
保育士養成校で学び直すこともできる
試験の受験が不安な場合は、保育士養成校への入学を考えてみてはいかがでしょうか。養成校は実習や実技もカリキュラムに含まれており、卒業と同時に資格が取得できます。入学の要件は高卒程度の学歴が必要ですが、高卒認定を取得しての入学もできます。社会人入試枠を設けている学校があるなど、さまざまな方を受け入れているようです。
学歴によって多少の違いはあるとはいえ、大卒から中卒まで学歴に関係なく、保育士資格を取得することができるといえるでしょう。
保育士の履歴書で学歴は重視される?
保育士が就職を考えたときには学歴は重視されるのでしょうか?新卒と転職の場合に分けて考えてみましょう。
新卒の場合
新卒の場合には、学歴は特別なことがない限り重視されないようです。学歴が影響する場合としては、在学している学校が施設と提携している場合、同じ学校の卒業生が何人か園にいて学生の雰囲気がわかっている場合、保育業界でも名門といわれる学校に在学している場合、などが考えられます。
こうした事情があるとしても、面接で確認したいのは学生がどのような人物なのかということ。学歴はあくまで自分の評価の一部と捉えていてもいいかもしれません。
転職の場合
転職の場合、一般的に学歴はあまり重視されないようです。むしろ、学歴より職歴が重要といえます。転職の面接では、既に仕事をしたことがあるという点がポイントになることが多いです。
保育の現場をどれだけ経験してきたのか、何年継続してきたのか、どのようなキャリアを築いてきたのか、即戦力になってくれるのかどうか、など転職してきたからこそ面接官が知りたいポイントがあります。学歴はあくまで参考程度と考えましょう。
学歴によって保育士が影響を受けること
buritora/shutterstock.com
資格取得または就職に保育士の学歴はそこまで大きく影響を与えるわけではないということが分かったと思います。そのような保育士でも学歴によって影響を受ける部分もあります。ここでは、学歴によって保育士が影響を受ける場合についてみていきます。
新卒の初任給
施設の方針にもよりますが、新卒の初任給に影響がある場合があります。このような施設では、4大卒と、短大や専門卒の場合では4大卒の初任給の方が高くなるでしょう。こうした園は基本的に年功序列の給与体系を採用しており、学歴は違っても同年代であれば働くうちに追いつくことができる給与になっています。
また、この2つの学歴に関しては、短大や専門を2年で卒業して早く現場に入って経験を積むか、4年制大学で余裕をもって資格を取得したり、より広い分野について学ぶ時間を持つか、という点でも異なりますね。
幼稚園教諭免許の取得
幼稚園教諭免許の取得を考えている場合は高卒以上の学歴が必要になります。幼稚園教諭免許の取得ができるの方法は原則、免許を取得できる学校を卒業することのみ。そのため、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得する場合には、結果的に短大などの養成校に進学できる高卒程度の学歴が必要になるということです。
認定こども園の制度ができたことや保育士養成校でも両方の資格を持っているカリキュラムを設置する学校が増えてきたこともあり、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方の資格を持っていることが一般的になってきました。
通信制大学や定時制など幼稚園教諭免許を取りやすい環境も整ってきています。保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持っていると認定こども園でも活躍できるなど、将来の選択肢が増えるかもしれませんね。
公務員保育士の給与
公立保育園の保育士になる場合も学歴によって初任給が異なることがあります。公務員保育士の受験資格は基本的に年齢による要件ですが、採用が決まったのちの初任給は学歴によって違いが出ることがあります。これも一般的には経験年数を重ねる中で追いつく程度といっていいでしょう。
また、年齢要件を満たせば、高卒から保育士試験を合格して保育士になった方や、一度民間に就職して転職してきた方も公務員保育士になることができます。こうした場合の初任給は今までの実務経験が給与に加味されるので、学歴だけでなく職歴が影響を与えています。
職業訓練の保育士養成講座の場合
職業訓練を利用して保育士資格を目指す場合にも学歴が関係する場合があります。こうした職業訓練は、多くが2年間保育士養成課程で勉強して、保育士資格の取得を目指しますが、利用資格に高卒程度の要件が課される場合があります。気になる方は自身の住む自治体の要件をチェックしてみてくださいね。
学歴は保育士としてのキャリアに大きくは影響しない
保育士と学歴の関係についてみてきました。条件はありますが、学歴に関係はなく誰でも保育士になることができます。
また、就職の際にはあくまでも学歴は参考程度と思って面接に臨むようにしましょう。初任給や幼稚園教諭免許の取得には一部学歴による違いがありますが、働くうちの昇給で追いつく範囲だったり、学習環境が整ってきていることもあり、カバーできるような差が多いです。保育士になりたいという思いがある方は、学歴に関係なく、保育士として働くことに挑戦してみてはいかがでしょうか。