幼保小連携とは?幼児教育と小学校教育をつなぐ取り組み

幼保と小学校のつながりを深め、子どもたちの生活や学びの基盤を支える「幼保小連携」。小学校入学後、「授業中、席を立つ」「先生の話を聞かずに遊び始める」といった小1プロブレムが問題視されています。この解決策として幼保小連携が注目されている今こそ、取り組みのポイントについて考えてみましょう。その必要性や問題視される背景もあわせて紹介します。


入学式の様子

JenJ_Payless/shutterstock.com


幼保小連携の必要性

幼保小連携とはその名の通り、幼稚園、保育園、小学校が連携することを指します。子どもたちの生活や学びの基盤を保障するため、幼児期の教育と児童期の教育を円滑に接続し、組織的に支えることを意味します。


その取り組みが注目されている背景には、「小1プロブレム」という問題が深く関係しています。


これは小学校入学後の児童が「教師の話を聞かない」「授業中に立ち歩き、教室を出て行く」など、落ち着きのない行動が数カ月続いてしまう状況のことを指し、多くの地域で問題視されているものです。


文部科学省においても「小1プロブレム」問題の解消に向けて取り組んでおり、その中で幼保連携の必要性について言及しています。子どもたちが小学校生活に適応するためには、幼児期の教育を担う施設と小学校が連携して環境を整備することが大切になるのです。


これは教育現場において大きな課題のひとつとなりますが、そもそも小1プロブレムの問題の原因とは、どのようなものが挙げられるのでしょうか。


まずは、幼児教育・保育と小学校の違いをとらえ、その要因について見ていきましょう。


出典:保育所や幼稚園等と小学校における連携事例集/厚生労働省

出典:名張市教育委員会平成31年3月 平成28年度~平成30年度幼児教育の推進体制構築事業しっかりつなぐ育ちのバトンp5~小1プロブレムの現状~/厚生労働省

【幼保小連携】幼児教育・保育と小学校教育の違い

幼児教育・保育と小学校教育の違いについて、以下の表にまとめてみました。


幼児・保育・小学校教育

上記に示したように、幼児教育は子どもたちの生活リズムを基本として、遊びや体験を通した活動を中心に行います。その一方、小学校教育は学習を基本として、教科ごとの学びを中心に取り組んでいることがわかります。


このような方針や環境の違いがある中で、援助やサポートがないまま子どもたちが小学校に入学すると、変化に対応できず「小1プロブレム」問題へと発展する可能性は少なくありません。


これらのギャップを埋めるためにも、幼保小連携に取り組み、幼児教育から小学校教育への接続が円滑に進むように取り組むことが大切になるでしょう。


出典:学習指導要領「生きる力」/文部科学省

幼保小連携に取り組むための大切なポイント


子どもの楽し気な様子

milatas/shutterstock.com


ここでは、幼保小連携を図るために重要なポイントを詳しく紹介します。



地域で定期的に職員の交流会や研修を開催する


まずは、子どもたちを見守る保育士さんや幼稚園教諭、小学校教諭が積極的にコミュ二ケーションを図り、お互いの教育観や保育観を知る機会を設けることが必要でしょう。


定期的に交流会や研修会を開催し、子どもたちが幼児期や学童期にどのような生活を送っているのか、学習や遊びの環境について理解を深めることが重要になります。


厚生労働省の「保育所や幼稚園等と小学校における連携事例集」によれば、実際に教職員の交流の場を設け、互いの参観や研修などが行われている都道府県もあります。


今後の連携の在り方について意見交換の場も設定されているため、このような取り組みを全国各地で行うことが求められるでしょう。



年長児クラスでは小学校見学の機会を設ける


子どもたちの中には、小学校入学後に「幼稚園では毎日たくさん遊んでいたにもかかわらず、小学校へ行くと椅子に座って勉強をする…」ということに違和感を持つ子どもいるでしょう。


環境の変化に対応できないまま、「授業中、学習に集中できずに寝てしまう」「勉強が嫌になり、教室を出て行く」といった行動をとることもあるようです。


徐々に環境の変化に適応できるようにするためにも、まずは保育園や幼稚園の年長児が小学校に出向く回数を増やすことが必要かもしれません。


地域の実情に合わせて、定期的に小学校を訪ね、外国語活動に取り組んだり、グラウンドで遊んだりと子ども自身が小学校生活への見通しが立てられるような場を用意しましょう。


「遊び」が中心だった生活から、少しずつ「教育」が中心となるような機会を設け、環境を整えられるとよいですね。



スタートカリキュラム・アプローチカリキュラムの内容を工夫する


先述のように年長児に対してのアプローチも大切ですが、小学1年生が「学校」という教育の場に慣れることができるような取り組みも重要でしょう。


これを「スタートカリキュラム」といい、入学当初に学校探検をしたり、短時間の学習をしたりしてスムーズに学校生活のスタートがきれるよう、全国の小学校で取り入れられています。


その中で幼児教育と小学校教育の架け橋となるよう、内容を見直すことも必要かもしれません。


例えば、保育園や幼稚園の遊びの中で取り組んでいたものと近い、図画工作や音楽、生活科といった教科を中心にカリキュラムを展開し、子どもたちが徐々に学習することへの楽しさを感じられるような工夫をするとよいかもしれません。


また、保育士さんや幼稚園教諭の方も、年長クラスの中でその取り組みに合わせて小学校の教科を意識した工作や音楽活動を取り入れるとよいかもしれません。


遊びから学習への移行がスムーズに行われると、子どもたちは自然に「小学校」という場に慣れることができるのではないでしょうか。


スタートカリキュラムの効果が発揮されるよう、保育施設側からも積極的に園の活動を伝え、職員同士が話し合い、内容の充実化を進められるとよいですね。



電子システムを活用し、保育記録を共有する


年長児が小学校に入学する際は、「保育所児童保育要録」「幼稚園幼児指導要録」「認定こども園こども要録」などの記録の提出を行います。


このような書類を教育現場で共有することは、子どもたちの健全な育成を支えるために必要なことでしょう。


ただ、小学校入学後に「子どもたちが環境に適応できているのか」「何か困っていないか」といった記録の共有が教職員同士で行われている地域は少ないようです。

そのため、保育士さんや幼稚園教諭が小学校後も子どもたちの様子がわかるように、記録の共有を行うことが大切でしょう。


また、記録を電子システム化することで、パソコンやタブレットでの情報交換が簡単になります。

保育施設ではICTシステムを積極的に導入し、園児情報の一括管理や共有に活用している園も多いようです。教育現場全体で、電子システムの導入に取り組み、幼保小連携に役立てていきましょう。


出典:保育所や幼稚園等と小学校における連携事例集/文部科学省・厚生労働省

出典:小学校学習指導要領における「幼児教育との接続」や「スタートカリキュラム」に関連する主な記述/文部科学省

幼保小連携を強化して子どもたちの健全な育成を支えよう

幼保小連携は、子どもたちが幼児教育から小学校教育へとスムーズに適応するために必要な取り組みです。


各地域で「小1プロブレム」問題に向き合い、教職員がさまざまな観点から連携を図ることが重要となります。


積極的に教職員の交流会やスタートカリキュラムの創意工夫などを行い、子どもたちの環境整備に取り組んでいきましょう。



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