公務員保育士はなくなる?公立保育園の民営化はどこまで進んだか【2026年最新】

公務員保育士という仕事がなくなることはありません。公立園の民営化が進んでも地方公務員の身分自体は失われないためです。一方で公立保育園の割合は2000年の約57%から約35%まで低下し、採用枠は縮小傾向にあります。さらに2025年の待機児童は2,254人と過去最少になったことからも、民営化が進む理由は「定員割れと財政」へと変わりました。この記事では民営化の最新状況と、勤務先が民営化されたときに起こる3つのパターン、公立と私立の給与差(常勤保育士で月2万1,847円)まで最新データで解説します。

この記事でわかること
  • 公務員保育士はなくならないが、公立保育園の割合は約35%まで低下▼詳細
  • 待機児童は2,254人で過去最少。民営化が進む理由にも変化が▼詳細
  • 民営化されても失職はしない。ただし配属先は選べない▼詳細

目次

公務員保育士がなくなることはない。ただし公立保育園は減り続けている

公務員保育士という職種が完全になくなることは考えにくいでしょう。

すべての公立保育園が民営化されるわけではなく、児童相談所や子育て支援センター、児童福祉施設など、自治体が直接運営する保育の場は今後も残ります。

ただし「今と同じ職場で、今と同じ働き方を続けられるか」は別の問題です。公立保育園の数そのものは、長期的に減少を続けています。

公立と私立の割合は20年で逆転した

保育所全体に占める公立の割合は、2000年時点の約57%から2019年には約35%まで低下したとされています。

同じ期間に私立は約43%から約65%へと増加しており、公立と私立の比率が完全に逆転した形です。

背景にあるのが2004年度の「三位一体改革」です。

それまで国庫負担金でまかなわれていた公立保育所の運営費が一般財源化され、自治体が自前の予算で運営する形に変わりました。

これにより公立保育園の運営費が自治体の財政を圧迫するようになり、民営化の動きが加速しました。

民営化されても失職しない理由

「勤務先が民営化されたらクビになるのでは」という不安を持つ方は少なくありません。

しかし、公立保育園の民営化を理由に公務員保育士が解雇されることは、原則としてありません。

公務員保育士の雇用主は保育園ではなく自治体そのものです。

園の運営が民間に移っても、自治体職員としての身分は続くことになるのです。

また、多くの自治体は民営化を段階的に進めます。

定年退職に合わせて新規採用を絞る、対象園を数年かけて順次移管するといった進め方が一般的で、保育士さんが急に仕事がなくなるようなことはありません。

採用枠は縮小傾向にある

影響が出やすいのは、これから公務員保育士を目指す方です。

公立保育園の数が減れば必要な職員数も減るため、新規採用の募集人数が絞られ、採用試験の競争率が上がりやすくなります

自治体によっては保育士の採用を隔年にする、正規採用を止めて会計年度任用職員での募集に切り替えるといった対応も見られます。

公務員保育士を目指すなら、志望する自治体の採用実績を数年分さかのぼって確認しておくことをおすすめします。

 
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民営化が進む理由は「子どもの定員割れと財政」

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民営化の理由として長く語られてきたのは「待機児童の解消」でした。しかし、この前提はすでに過去のものになっています。

待機児童は2,254人で過去最少

こども家庭庁の公表によると、2025年4月1日時点の待機児童数は2,254人

ピークだった2017年の2万6,081人から8年連続で減少し、10分の1以下の水準です。

保育をめぐる状況(2025年4月1日時点)
待機児童数 2,254人 前年比313人減・過去最少
保育所等の利用定員 約303万人 前年比1.5万人減
利用する児童数 約268万人 前年比2.7万人減
定員充足率 88.4% 前年比0.4ポイント減
出典:保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)/こども家庭庁をもとに作成

注目したいのは定員充足率88.4%という数字です。これは、全国の保育所等で定員の1割以上が埋まっていない状態を意味します。

2029年までに申込者数は約8.6万人減る見込み

この流れは今後さらに加速します。

各市区町村の計画を集計したこども家庭庁の資料では、2025年4月から2029年4月までの5年間で、申込者数は約8.6万人減少する一方、利用定員は約2.2万人分増加する見込みとされています。

つまりこれからの民営化は「園を増やす」ではなく「園を整理する」流れになるでしょう。

国の方針も「統廃合・多機能化」へ

2024年12月に取りまとめられた「保育政策の新たな方向性」では、待機児童対策とあわせて、人口減少下での保育機能の確保・強化に対応する方針が示されました。

具体的に挙げられているのが次の3点です。

  • 統廃合
    定員が埋まらない園を統合し、地域の保育機能を集約する
  • 規模の縮小
    園を残しつつ定員を減らし、運営を維持する
  • 保育施設の多機能化
    こども誰でも通園制度や一時預かり、子育て相談などを組み合わせる

保育士さんの立場から見ると、これは「園がなくなる」だけでなく「園の役割が変わる」ことになるでしょう。

今後は在園児の保育だけでなく、地域の子育て家庭全体を支える業務が増えていく可能性があります。

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勤務先が民営化されたら保育士はどうなる?3つのパターン

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実際に勤務先が民営化されると、どうなるのでしょうか。起こりうるのは次の3つです。

①ほかの公立保育園に異動する

もっとも多いのがこのパターンです。

同じ自治体内の別の公立保育園に配置されるため、公務員としての身分・給与・福利厚生はそのまま維持されます。

ただし公立保育園の数が減っている地域では、希望する園に移れる保証はありません。

通勤時間が大きく変わるケースもあります。

②保育園以外の公的施設・部署に異動する

公立保育園の受け入れ枠が足りない場合は、公立の認定こども園、児童養護施設、乳児院、子育て支援センター、児童館、学童保育などへの異動が考えられます。

自治体によっては、保育以外の行政部署(福祉課の事務など)への配置転換もあり得ます。

身分と待遇は守られますが、「保育園で子どもと関わる仕事」から離れる可能性があるのはこのパターンです。

公務員保育士はもともと2〜4年ごとに異動があるため、その延長として受け入れる方もいます。

なお、異動先が認定こども園になる場合は職種が「保育教諭」に変わります。

こども家庭庁の調査では、公立の認定こども園に勤務する常勤の保育教諭の給与月額(賞与込み)は34万6,808円で、公立保育所の常勤保育士(36万3,315円)より1万6,507円低い水準です。

ただしこれは施設種別ごとの平均値であり、同じ自治体内の異動で給与が下がるわけではありません。

公務員の給与は自治体の給与条例にもとづくため、等級と勤続年数に応じた金額がそのまま適用されます

③公務員を辞めて私立保育園に転職する

「保育園での保育を続けたい」という希望がはっきりしている方が選ぶのがこの道です。

公務員という身分は失いますが、園を自分で選べるという点が最大の違いです。

気になるのが待遇差でしょう。

保育士全体の平均年収は427万6,000円(令和7年賃金構造基本統計調査)ですが、ここでは公立と私立を比較するために、こども家庭庁の経営実態調査(令和6年)を確認してみましょう。

保育所で働く職員1人当たり給与月額
(賞与込み・常勤)
職種 私立 公立 差額
保育士 34万1,468円 36万3,315円 2万1,847円
主任保育士 47万2,529円 56万2,944円 9万415円
施設長 58万354円 64万5,307円 6万4,953円
全職種の合計 36万2,314円 40万6,857円 4万4,543円

出典:令和6年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査/こども家庭庁をもとに作成※金額は令和6年3月分の月額給与に令和5年度分の賞与の1/12を含めた額。集計施設数は私立3,008施設・公立2,298施設。

結論として、平均で見れば公立のほうが給与水準は高いのが実情です。

保育士では月2万1,847円、単純に12か月換算すると年間約26万円の差になります。

注目したいのは役職につくほど差が広がる点です。主任保育士では月9万円以上、年間では約108万円もの開きがあります。

公立は年功序列で役職手当も条例で定められているため、長く勤めて昇任するほど有利になります。

一方で、これはあくまで全国平均です。私立保育園は運営法人ごとに給与規程が異なり、処遇改善等加算の配分方法や独自手当によって、公立を上回る園も存在します。

「移管」と「委託」で結果が変わる

民営化には2つの方式があり、どちらかで働く人への影響が変わります。

民営化の2つの方式
方式 内容 公務員保育士への影響
移管 施設ごと民間法人に譲渡し、運営権を移す 職員は別の公立施設・部署へ異動
委託
(公設民営)
施設は自治体所有のまま運営のみ民間に任せる 職員は委託先の職員に入れ替わり、異動

いずれの方式でも、「そのまま同じ園に残る」という選択肢はないと考えられます。

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    民営化に備えて今からできる3つの準備

    民営化は自治体の判断で進むため、個人で止めることはできません。

    だからこそ「決まってから動く」のではなく「決まる前に知っておく」ことが自分を守ります。

    ①自治体の計画を先に確認する

    民営化は突然決まるものではありません。

    多くの自治体は事前に計画を公表しています。次の資料を確認してみましょう。

    • 保育提供体制の確保のための実施計画
      市区町村ごとに保育需要と提供体制を「見える化」した計画。定員と申込者の見通しが分かります
    • 公立保育所の民営化計画・再編計画
      対象園や移管の時期、方式(移管か委託か)が示されます
    • 子ども・子育て支援事業計画
      5年ごとに策定される計画。統廃合の方向性が読み取れます

    いずれも自治体の公式サイトで公開されているのが一般的です。

    自分の勤務先が対象に入っているかどうかを確認しておくだけで、心の準備が変わります。

    ②公立に残る場合の異動先を想定しておく

    公務員として働き続けるなら、保育園以外への配属も視野に入ります。

    児童福祉施設や学童保育、子育て支援センターなど、自治体が運営する施設にどんな職場があるのかを事前に知っておくと、希望を伝えやすくなります。

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    ③私立の求人を「見るだけ」しておく

    実際に転職しなくても、今の待遇が相場と比べてどうなのかを知っておくだけで、いざ選択を迫られたときの判断が速くなります。

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    公立保育園の民営化と公務員保育士についてのQ&A

    Q. 勤務先が民営化されたら解雇されますか?

    A. 民営化を理由に解雇されることは、原則ありません。

    公務員保育士の雇用主は園ではなく自治体です。園の運営が民間に移っても自治体職員としての身分は続くため、起こるのは解雇ではなく異動です。

    多くの自治体は定年退職に合わせて採用を絞るなど、数年かけて段階的に進めます。

    Q. 民営化されたら異動先はどこになりますか?

    A. 別の公立保育園、または保育園以外の公的施設です。

    もっとも多いのは同じ自治体内の別の公立保育園への異動です。受け入れ枠が足りない場合は、児童養護施設や乳児院、子育て支援センター、学童保育などへの配置もあります。自治体によっては保育以外の行政部署への配置転換もあり得ます。希望はある程度伝えられますが、最終的な決定権は自治体にあります。

    Q. 異動しても給料や退職金は変わりませんか?

    A. 自治体職員のままなら、給与体系・退職金制度は維持されます。

    公務員の給与は自治体の給与条例にもとづくため、配属先が変わっても等級や勤続年数に応じた給与がそのまま適用されます。退職金や共済の制度も継続します。ただし職務内容によって手当の内容が変わることはあるため、詳細は所属先で確認しましょう。

    Q. 公務員保育士の採用試験は今後厳しくなりますか?

    A. 募集人数が絞られ、競争率が上がりやすい状況です。

    公立保育園が減れば必要な職員数も減ります。自治体によっては採用を隔年にする、正規採用を止めて会計年度任用職員での募集に切り替えるといった動きもあります。志望する自治体の採用実績を数年分さかのぼって確認しておくことをおすすめします。

    Q. 自分の園が民営化されるかどうかは、どこで分かりますか?

    A. 自治体が公表している計画で確認できます。

    「保育提供体制の確保のための実施計画」「公立保育所の民営化計画・再編計画」「子ども・子育て支援事業計画」などが公式サイトで公開されているのが一般的です。対象園や実施時期、移管か委託かといった方式まで記載されている場合があります。

    Q. 待機児童が減っているのに、なぜ民営化が続くのですか?

    A. 目的が「園を増やすこと」から「園を整理すること」に変わったためです。

    2025年4月時点の待機児童は2,254人で過去最少、定員充足率は88.4%です。2029年までに申込者数は約8.6万人減る見込みで、今後は統廃合や規模縮小、多機能化が課題となっています。加えて2004年度の三位一体改革以降、公立保育所の運営費は自治体の負担となっており、財政面の理由も残り続けています。

    Q. 私立保育園に転職すると年収は下がりますか?

    A. 平均で見れば下がりますが、園によって大きく変わります。

    こども家庭庁の調査では、常勤保育士の給与月額(賞与込み)は公立36万3,315円、私立34万1,468円で、月2万1,847円の差があります。主任保育士では月9万円以上に広がります(全国平均)。求人票の基本給だけでなく、手当・賞与月数・昇給幅・住宅補助まで含めて比較することが大切です。

    Q. 公立と私立では働き方にどんな違いがありますか?

    A. 「異動」「昇任時の給与」「保育方針の決め方」の3点が大きく違います。

    公務員保育士は2〜4年ごとに異動があり、保育方針は自治体単位で統一されています。給与は年功序列で、主任・施設長へ昇任したときの伸び幅が私立より大きいのが特徴です。一方私立は異動がほとんどなく、園ごとに保育方針が異なります。「同じ園で腰を据えたい」「この保育をやりたい」という希望がはっきりしている方は、私立のほうが叶いやすい面があります。

    Q. 公立と私立では働き方にどんな違いがありますか?

    A. 大きく違うのは「異動」と「保育方針の決め方」です。

    公務員保育士は2〜4年ごとに異動があり、保育方針は自治体単位で統一されています。一方私立は異動がほとんどなく、園ごとに保育方針が異なるのが特徴です。「同じ園で腰を据えたい」「この保育をやりたい」という希望がはっきりしている方は、私立のほうが叶いやすい面があります。

    Q. これから公務員保育士を目指すのは避けたほうがよいですか?

    A. 避ける必要はありませんが、併願はしておくと安心です。

    公立保育園がすべてなくなるわけではなく、雇用の安定や福利厚生といったメリットは今も大きいです。ただし採用枠が絞られている自治体もあり、年齢制限がある点は押さえておきましょう。採用試験の結果を待つ間に私立の選考も進めておくと、選択肢を確保できます。

    Q. 転職サービスに登録したら、今の職場にバレたりしない?

    A. バレません。あなたの許可なく、今の勤務先に情報が共有されることは一切ありません。

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    Q. まだ転職するか決めていないけど、相談だけでも大丈夫?

    A. もちろん大丈夫です。

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    民営化の現状を正しく知って、自分の選択肢を用意しておこう

    公務員保育士がなくなることはありません。

    ただし公立保育園は減り続けており、「同じ園で働き続ける」という前提は崩れつつあるのが現実です。

    「保育園で保育を続けたい」「自分で園を選びたい」という思いがあるなら、私立という選択肢を知っておくことは前向きな準備です。

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