0歳児、1歳児、2歳児の子どもが夢中になれる秋の製作を、保育に取り入れましょう。コスモスやきのこなどのモチーフをテーマにすれば、秋の風情を感じられそうですね。今回は、乳児クラス向けの秋の製作について、タンポや野菜スタンプなどを使ったアイデアを紹介します。あわせて、製作を行うねらいをまとめました。

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■目次
0歳児、1歳児、2歳児クラスで秋の製作を楽しもう
秋にはきのこやコスモスなど、季節を感じられるモチーフがたくさんありますよね。
秋に見られる花や昆虫、食材などをテーマにして、0歳児、1歳児、2歳児クラスに製作活動を取り入れてみましょう。
指先を使う細かい作業が難しい0歳児、1歳児、2歳児クラスの子どもの場合、次のような製作道具が扱いやすいかもしれません。
- タンポ
- スポンジ
- 野菜スタンプ
- 粘土
- 絵の具
- クレヨン
- のり
乳児クラスの製作活動で絵の具を用いるときは、子どもが色つけしやすいタンポや野菜スタンプなどを活用すると、自分の力で取り組みやすいかもしれません。
また、丸めたり伸ばしたりと自由に好きな形を作れる粘土を使った遊びも、乳児クラスの子どもが夢中になれる製作道具のひとつでしょう。
2歳児クラスでは、徐々にはさみの使い方も学べるとよいかもしれませんね。
まずは、乳児クラスで秋の製作に取り組むねらいから見ていきましょう。
0歳児、1歳児、2歳児クラスで秋の製作を行うねらい
乳児クラスで秋の製作を行うねらいとして、以下が挙げられるでしょう。
- 秋の製作を通して、季節の移り変わりを感じる
- 自由に表現しながら、色彩や形の変化などを楽しむ
- 製作で扱う道具に興味をもち、手先の感覚を養う
きのこやコスモス、秋野菜など秋のモチーフを積極的に取り入れて製作活動を行えば、乳児クラスの子どもも季節の移り変わりを感じることができるでしょう。
また、0歳児、1歳児、2歳児、それぞれのクラスの成長段階に合わせた製作活動を通して、自分の手で作り上げるよろこびを感じられるかもしれませんね。
次より、年齢別の秋の製作アイデアを紹介します。
【0歳児向け】保育に使える秋の製作アイデア
0歳児クラスでは製作を楽しみながら、さまざまな色や形に触れて五感を養える活動をするとよいでしょう。
お月見団子
用意するもの
- 小麦粉
- 水
- ボウル
作り方
1.保育士さんといっしょに小麦粉粘土を丸めて団子に見立てます。
2.作った団子を三方の上に乗せればできあがりです。
製作のポイント
お月見の行事に親しみながら感触遊びが楽しめる製作です。
保育士さんは、あらかじめ空き箱や色画用紙でだんごを乗せられる三方を作っておきましょう。
小麦粉の粘土なので万が一口に入れても安全ですが、使用前に子どものアレルギーの有無を確認しておくことが大切です。
また、小麦粉は食品のため、長時間放置するとカビが生える可能性があります。小麦粉の製作を複数回行う場合は使い終わるごとに破棄し、常に新しい小麦粉粘土を使用するように心がけましょう。
指スタンプきのこ
用意するもの
- 画用紙(桃、黄)
- 絵の具
- のり
製作のポイント
子どもが自分の指で模様づけを行う製作です。
さまざまな色の絵の具を用意すると、カラフルな仕上がりになりそうですね。
子どもが誤って絵の具をなめないよう、製作中は目を離さないよう注意しましょう。
製作を通してきのこに興味をもてれば、散歩中に道端などで見つけた際に子どもがよろこぶ姿も見られるかもしれませんね。(詳しい作り方はこちら)
タンポでポンポンお絵かき
用意するもの
- 木の描かれた画用紙
- ガーゼ(1枚)
- 脱脂綿(1枚)
- 絵の具
- 輪ゴム
製作のポイント
0歳児が扱いやすい、タンポを使った製作です。
保育士さんが画用紙にえがいた木の枝に、秋らしい色合いの絵の具で色をつけましょう。
複数の色が混ざりないように、紙皿に絵の具を一色ずつ分けて入れ、色ごとに使うタンポを決めるとよいかもしれません。
保育士さんが模造紙にえがいた木の枝に、タンポを使ってきれいな花をたくさん咲かせれば、秋の保育室を彩るすてきな共同製作が仕上がりそうですね。(詳しい作り方はこちら)
【1歳児向け】保育に使える秋の製作アイデア
1歳児クラスでは、身近な素材を活用する楽しさを伝えながら、指先を使った製作を取り入れてみましょう。
秋のぶらぶらミノムシ
用意するもの
- 紙コップ
- 折り紙(3枚)
- 紐
- ストロー
- のり
製作のポイント
身近な素材の紙コップを使った製作です。
いろいろな色の折り紙を用意して、カラフルなミノムシを作りましょう。
糸とストローを使う行程を保育士さんがあらかじめ行っておけば、1歳児の子どもでもスムーズに取り組めそうです。
折り紙をビリビリとやぶる音で聴覚を刺激しつつ、のりでペタペタ貼る工程を繰り返すことで指先を使う練習にもつながるでしょう。
製作をきっかけに、トンボやバッタなどいろいろな秋の虫に興味がもてるとよいですね。(詳しい作り方はこちら)
【折り紙あそび】折り紙でちぎり絵の落ち葉を作ろう
用意するもの
- 折り紙
- 画用紙
- のり
製作のポイント
折り紙を使ったちぎり絵で、表現遊びが楽しめる製作です。
保育士さんは、あらかじめ木の幹をかいた画用紙を準備しましょう。
折り紙を貼るスペースを小さめにしておけば、子どもが最後まで仕上げやすくなるので達成感を得られそうです。
また、折り紙をたくさんちぎると、その分貼る作業が増えるため飽きてしまう子どももいるかもしれません。
子どもの集中力が途切れてしまった場合は、画用紙の木に直接のりをつけて、ちぎった折り紙を上から降らせて仕上げてもよいですね。(詳しい作り方はこちら)
カラフル松ぼっくり
用意するもの
- 松ぼっくり
- 絵の具(赤・青・黄など)
- シール
作り方
1.指に絵の具をつけて、松ぼっくりに色を塗ります。
2.(1)をしっかり乾かします。
3.松ぼっくりに好きなシールを貼ればできあがりです。
製作のポイント
秋の自然物である松ぼっくりを使い、フィンガーペインティングを楽しめる製作です。
濃いめの絵の具を準備すれば、松ぼっくりに色がしっかりのるかもしれません。
また、赤、青、黄色の三原色を用意すると、色が混ざりあってできるきれいな色彩も楽しめるでしょう。
仕上げにジャックオーランタンやこうもりなどのシールを貼れば、ハロウィンの行事でも活用できそうですね。
マラカス
用意するもの
- 乳酸菌飲料の容器(蓋がついているもの)
- どんぐり
- ビニールテープ
- シール
あらかじめ、乳飲料の容器は家庭で用意してもらいましょう。
作り方
1.乳酸菌飲料の容器の中にどんぐりを入れます。
2.(1)の容器の蓋を閉めたあと、ビニールテープで固定します。
3.仕上げに好きなシールを容器に貼るとできあがりです。
製作のポイント
散歩中に子どもが拾い集めたどんぐりを活用して、音の鳴る楽器を作りましょう。
容器にどんぐりを入れる工程では、子どもが穴にたくさん詰めようと夢中になる姿が見られるかもしれません。
マラカスができあがったら、1歳児の好きな曲に合わせ音を鳴らして遊びましょう。
100円均一ショップで手に入るキラキラしたビーズなどの素材を用意すれば、見た目がきれいになるだけでなく音の変化も楽しめそうですね。
【2歳児向け】保育に使える秋の製作アイデア
2歳児クラスでは、秋の野菜や行事に親しみながら取り組めるような製作を取り入れてみましょう。
自分でやりたいという気持ちを優先できるよう、保育士さんのフォローは子どもが行き詰まったときなど最低限に留めるとよいですね。
秋野菜スタンプの花畑
用意するもの
- 野菜(さつまいも、しいたけ、れんこん)
- 新聞紙
- 絵の具
- 紙皿
- 画用紙(白、緑)
- 模造紙
- キッチンペーパー
- はさみ
- のり
作り方
1.模様が出るように野菜を切ります。
2.それぞれの色が混ざらないよう、数種類の絵の具を色ごとに分けて紙皿に用意します。
3.(2)にキッチンペーパーを浸して、各色のスタンプ台を作ります。
4.野菜の断面に絵の具をつけます。
5.色のついた野菜を画用紙に押しつけ、よく乾かします。
6.スタンプ1つを1枚の花弁に見立て、淵をはさみで切ります。
7.花弁5枚を揃え、模造紙に貼った葉にのりでつければできあがりです。
製作のポイント
さつまいもやきのこなど秋の味覚を使って、野菜スタンプを楽しみましょう。
保育士さんは、あらかじめ緑の画用紙で複数の葉を作り、模造紙に貼っておきます。
活動に入る前に旬の野菜を観察する時間を設ければ、それぞれの色や匂い、形などに触れる体験を通して食への興味につなげることもできるかもしれません。
できあがったら共同製作として保育室の壁などに貼ってもよいですね。
記念になる月見うさぎ
用意するもの
- 画用紙(黒)
- 折り紙(白)
- 絵の具(白)
- 丸シール
- のり
- 子どもの顔写真
あらかじめ保育士さんが、子どもの顔写真を用意しておきましょう。
作り方
1.保育士さんが子どもの足の裏に白い絵の具を塗ります。
2.黒い画用紙に子どもの足形をつけて、よく乾かします。
3.かかとの部分をうさぎの顔に見立て、白い折り紙で作ったうさぎの耳をのりで貼ります。
4.保育士さんがうさぎの顔の部分に子どもの顔写真を貼ればできあがりです。
製作のポイント
子どもの足形を活用した、お月見製作です。
2歳児時点での足形や顔写真を使うので、子どもが自身の成長を保護者といっしょに懐かしく感じられる作品となるでしょう。
お月見という伝統行事に触れることで、日本の風情を伝えることもできるかもしれません。
スポンジでポンポン色つけして作れる壁画コスモス
用意するもの
- 紙皿
- スポンジ
- コスモスの形に切り取った画用紙
※紙皿を切り抜くときの型として使います
- 画用紙(白)
- 絵の具(今回は赤・青・黄)
- カッター
製作のポイント
保育士さんが、あらかじめコスモスをかたどった紙皿を子どもの人数分用意しておきましょう。
絵筆の代わりにスポンジを使ってえがくので、2歳児の子どもでも簡単に取り組めるかもしれません。
絵の具の赤と青が混ざれば紫になるなど、色の足し算に触れることもできそうですね。
できあがった作品を壁面製作として飾れば、保育室にコスモスが咲いてきれいかもしれません。(詳しい作り方はこちら)
秋の工作!紙とスズランで作るひらひらトンボ
用意するもの
- ラップの芯
- 画用紙
- PEテープ(30cmx2本)
- セロハンテープ
製作のポイント
身近な素材であるラップの芯を使った製作です。
画用紙をくるくると芯に巻きつける工程は、保育士さんが「クルクルクル」と擬音を使って声掛けすれば、遊びの一環として楽しく取り組めそうです。
PEテープを芯に結ぶ作業は2歳児にとって難しいかもしれませんが、保育士さんが「ここを引っぱってごらん。」などと声をかけながらいっしょに行えば、結ぶ練習にもなるかもしれません。
仕上げにトンボの目に見立てた丸シールを貼って表情を作れば、愛着が沸く作品になりそうですね。(詳しい作り方はこちら)
0歳児、1歳児、2歳児が夢中になる製作を通して、秋の雰囲気を体感しよう
今回は、0歳児、1歳児、2歳児が楽しめる秋の製作を、年齢別に紹介しました。
タンポや野菜スタンプといった道具や、フィンガーペインティングなどの技法を活用すれば、乳児クラスでも絵の具を使った製作にスムーズに取り組めるかもしれません。
難しそうな工程は保育士さんがいっしょに行うなどして、子どもが楽しく製作できるように工夫することが大切です。
0歳児、1歳児、2歳児クラスの子どもが、製作を通して手足の感覚や視覚などの五感を育みながら、秋の季節を感じられるとよいですね。