4歳児の運動遊びのアイデアについて知りたい保育士さんもいるでしょう。そこで今回は、マット運動やサーキットなど、身体を使って楽しめるアイデアを紹介します。あわせて、4歳児の運動遊びを行うねらいや指導案作成のコツについてもまとめました。運動会など行事の際にも参考にしてみてくださいね。
Purino/shutterstock.com
4歳児にとっての運動遊び
4歳児の保育において、どのような運動遊びを行うとよいのでしょうか。
4歳児になると3歳児のときにも増して全身バランスがとれるようになり、つま先立ちやケンケン、スキップができる子どもが出てくる頃でしょう。
ジャングルジムのように全身を使った遊びが楽しめるようになるなど、より活発に運動する姿が見られるようになるかもしれません。また、友だちといっしょに遊ぶなかで競争心が芽生え、友だちに負けないように頑張ろうとする姿も見られるようになるでしょう。
そのなかで4歳児は走りながら縄跳びをするなど、同時に2つの運動ができる子どももいるかもしれません。友だちと関わることを楽しみながら、運動遊びを通していろいろなことに挑戦できるとよいですね。
4歳児に運動遊びを取り入れることには、次のようなねらいが挙げられます。
- さまざまな運動遊びに興味をもって取り組む
- 友だちと一緒に身体を動かして運動することを楽しむ
- 自分のイメージのとおりに身体を動かす
- できる方法を工夫しながら取り組む
運動遊びをする際に活動におけるねらいを明確にすると、保育指導案を作る方向性が見えてくるかもしれません。
指導案を書くときのポイント
保育指導案の書き方に悩む保育士さんは多いもしれません。
4歳児の運動遊びにおける指導案を書くコツについて、項目ごとにまとめました。
【子どもの状況】子どもの様子を日々把握する
「友だちとの関わりを求める」「興味のある活動は集中して取り組む」など、4歳児の特徴をふまえたうえで子どもたちがどのような姿なのか、思い出しながら書くようにしましょう。
普段から個々の遊ぶ様子を観察しながら、子どもの小さな変化にも気づけるとよいですね。
【活動内容】4歳児の発達状況に沿った内容でかく
4歳児の子どもの発達状況を考慮して、どのような活動を行うのとよいのか方向性を決めるとよいでしょう。
運動能力には個人差があるため、どの子どもでも楽しめるようサーキットで複数のコースを設定しておくなど、難易度を調整できるように準備をするとよいかもしれません。
【準備】4歳児の様子を想像した環境構成にする
決めた活動を実際に行うことを想定して用意するものを書き出しましょう。友だちと関わりながら取り組む4歳児の姿を想像し、友だちと競ったり協力し合って楽しんだりできるような環境を設定するとよいかもしれません。
4歳児の行動を十分予期した上でケガをしないよう留意し、安全を考慮して準備するものを揃えておくことも大切でしょう。
【ねらい】ねらいを明確にする
4歳児では、自分でどのように身体を動かすとよいのか考えたり、友だちを意識しながら運動遊びを楽しめたりするようになるでしょう。
そのため「自分で考えながら、運動への意欲を高める」「友だちと活動するなかで社会性を育む」などのように、4歳児の行動を想像しながらねらいをいくつか挙げていきましょう。
【保育士の援助】援助する要点や保育士の関わり方をかく
たとえば「子どもが自分で達成できたところを褒める」ことで、子どもの意欲を汲み次へのやる気へつなげたり、「子どもたちが友だちと楽しく取り組めたかどうか感想を聞く」ことで友だちと協力し合って成し遂げる喜びを伝えるなど、保育士としてどのように関わるのかを書きましょう。
4歳児になると自意識が目覚め、自己主張が強いこともあるかもしれません。子どもの思いを受け止め、次の自信へつながるような指導ができるとよいですね。
【室内】4歳児の運動遊びのアイデア
室内でも楽しめる、4歳児の運動遊びのアイデアを見ていきましょう。
マット遊び
4歳児が室内で楽しめる、マット遊びを紹介します。
手押し車
手押し車は、2人ペアになって行う遊びです。4歳児がマットの上で四つ這いになり、保育士さんや5歳児の子どもが4歳児の足を抱え、手だけを使ってマットの上を進んでみましょう。
チームに分かれ、リレー形式にして競っても楽しそうですね。
タオル引き
マットの上で子ども2人が向かい合わせに立ち、タオルの端をそれぞれ持ちます。綱引きのように引っ張り合い、マットの外へ足が出たり倒れたら負けです。
勝ち抜き戦にしてチャンピオンを決めると、盛り上がりそうですね。
跳び箱遊び
跳び箱を2つ繋げて上にまたがり、腕を使って前へ進みます。最初は高さに慣れず怖がる子どもがいるかもしれないので、徐々に高くするなど調整するとよいでしょう。
慣れてきたら跳び箱の数を増やして、距離を長めに設定します。腕だけを使って前へ進む運動は腕力が鍛えられそうですね。
フラフープ遊び
4歳児が室内で楽しめる、フラフープ遊びを紹介します。
渡しリレー
この遊びは、チームに分かれてそれぞれ一列に並び、フラフープをくぐりながら隣へ渡していくゲームです。くぐり方は頭からでも足からでも構いません。先頭から一番後ろの友だちまで、先にフラフープをくぐり終えたチームの勝ちです。
輪になって同じようにフラフープを渡していき、流れている音楽が止まったときにフラフープを持っている子どもが勝ちというように、ルールを工夫するとより楽しめそうですね。
輪投げ
コーンをランダムに並べます。指定の立ち位置から、選んだコーンめがけてフラフープを投げましょう。遠くのコーンにフラフープが入るほど高得点です。
個人戦でもチーム戦でも盛り上がりそうですね。
新聞紙遊び
室内でも楽しめる、4歳児の新聞紙遊びのアイデアを紹介します。
準備運動
新聞紙を使ったモノマネ遊びです。保育士さんは新聞紙を使ってユラユラ揺れたり、丸くなって屈んだりしましょう。子どもは新聞紙の動きを見ながら、マネをして運動します。
音楽を流しながらリズムに合わせて行うと、リズム感も養われるかも知れませんね。
新聞島
新聞紙を島に見立てて遊ぶゲームです。2人ペアになって向かいあい、広げた新聞紙の上に立ちましょう。じゃんけんをして負けた子どもは新聞紙を半分に折り、小さくなった新聞紙の上に立ちます。
何度かじゃんけんを繰り返すと、負けた子どもの新聞紙はどんどん小さくなります。次第に片足立ちでないと新聞紙の上に立てなくなるでしょう。バランスを崩して倒れたら負けです。小さくなった島の上で片足立ちをすることで、バランスをとる能力が鍛えられそうですね。
新聞リレー
風の力を利用した遊びです。新聞紙を広げて身体に貼りつけて走ると、手を使わなくても新聞紙が身体から落ちなくなるので、その様子に子どもは驚くかもしれません。
チームに分かれてリレー形式にすると盛り上がりそうですね。スタート地点から新聞紙が落ちないように走り、途中Uターンをして自分の陣地に戻ります。次の友だちへバトンタッチをして、最後のアンカーまで先に走り終えたチームの勝ちになります。
ボール運び
新聞紙で細長い棒を2本と、丸いボールを作ります。2人でペアになり協力しながら棒2本の上にボールを乗せ、ボールを落とさないようにスタートからゴールまで運ぶゲームです。
棒を使ってボールを落とさないように指定の場所でボールを拾ったり、置いたり、ゴールまで運んだりする工程は、友だちと息を合わせないとなかなか上手にできないかもしれません。普段余りいっしょにならない友だち同士のペアを作ると、関わりを持つきっかけに繋がるかもしれませんね。
慣れてきたら的やボールを小さくしたり、コースの途中に踏んではいけない新聞紙などの障害物を置いたりと、難易度をあげて楽しみましょう。
新聞タオルキャッチ
新聞紙で細長い棒を作り、2人ペアになり棒を1本ずつ持ちましょう。タオルを友だちに投げ、受け取る子どもは棒でキャッチします。
慣れてきたら距離を離したり棒を短くしたりと、難易度をあげてみましょう。そうすることで、子どもはもっと挑戦したいという気持ちになるかもしれません。
新聞紙遊びのくわしい内容は、以下の動画を参考にしてみて下さいね。
参考動画:【新聞紙あそび5選】新聞紙だけで準備運動から楽しめる物まで5つ紹介【mocaちゃんTime】/保育士バンク!
サーキット遊び
サーキット遊びとは、さまざまな道具を組み合わせたコースを設置し、周回しながら運動遊びが楽しめる活動です。4歳児ではマットや跳び箱、フラフープ、ボールなどを活用するとよいでしょう。
コース間の移動の際には後ろ向き歩きやスキップ、ケンケンで進むなど、4歳児の運動能力に見合ったルールを作ってもよいですね。
最初に好きなアイテムを身に着けて変身してから進むなど、ストーリー性を持たせると子どもは夢中になって取り組めるかもしれません。安全のため周りにマットを敷くことも忘れないようにしましょう。
ゲーム性のある遊び
4歳児が室内で楽しめる、ゲーム性のある運動遊びを紹介します。
キャタピラー競争
保育士さんはあらかじめ、段ボールで子どもの身体が入る大きさのキャタピラーを作ります。グループに分かれてキャタピラーにクレヨンで絵を描いたり折り紙を貼ったり、自由に共同製作を楽しみましょう。
そのあと、チームを作り、キャタピラーでリレーを楽しみます。仲間に声援を送ると、同じチームの友だち同士で協力して頑張る姿が見られそうですね。
ドンじゃんけん
2チームに分かれて遊びます。縄跳びを数本使ってくねくね道を作り、両端のスタート地点からそれぞれ1人ずつ中心へ向かって進みます。
交わったところで「ドン」と手を合わせ「じゃんけん」をして、負けたら自分の陣地へ戻り次の友だちがスタートします。勝てばそのまま前進し、相手の陣地に攻め入ることができると勝ちになります。
集団でゲームを楽しむなかで、チームで勝つためには自分勝手な行動は取れないことや、ルールを守ることの大切さを学ぶことができるかもしれません。
【戸外】4歳児の運動遊びのアイデア
onotorono/shutterstock.com
戸外で楽しめる、4歳児の運動遊びのアイデアを紹介します。
ボール遊び
4歳児が屋外で楽しめる、ボール遊びを紹介します。
キャッチボール
友だちとペアになってキャッチボールを楽しみましょう。4歳児になるとバウンドさせずに行うなど、3歳児のときより難易度をあげて挑戦します。最初は近い距離から徐々に離れて練習してみましょう。
慣れてきたら1人がボールを上へ高く投げ、もう1人が両手でキャッチします。適度な位置にボールを投げるようにすると、ボールを上手にコントロールすることが求められるので少し難しくなりそうですね。
サッカー
4歳児になると簡単なルールを定めたゲーム形式で、サッカーを楽しむこともできるようになるでしょう。少し固いボールを用意し、2チームに分かれてそれぞれ足だけを使いボールをゴールまで運びます。
友だちにボールをパスすることを意識できるように、遠くからゴールめがけてシュートをすることは難しいことを伝え、「〇〇くんがいいところにいるよ。」「〇〇ちゃんにパスできるかな?」などと言葉掛けをするとよいかもしれません。
縄跳び遊び
4歳になると、縄跳びで両足跳びができるようになる子もいるでしょう。
屋外で楽しめる、縄跳びを使った遊びを紹介します。
ゆうびんやさん
長縄を用意します。2~5人の子どもでチームを作り、歌に合わせて遊びましょう。
1.保育士が長縄の両端をそれぞれ持ちます。
2.長縄の横に跳ぶ子どもが立ちます。
3.保育士が長縄を左右に揺らしながら、次の歌詞を歌います。
「ゆうびんやさんの おとしもの ひろってあげましょ」
子どもは長縄を踏まないよう歌に合わせてジャンプします。
4.保育士が長縄を大きく回しながら、次の歌詞を歌います。
「1まい、2まい、3まい…10まい」
子どもは長縄を踏まないよう歌に合わせてジャンプします。
5.保育士が「ありがとう」の歌詞に合わせて長縄を大きく回し、子どもは歌詞の「う」のときに足を広げ、回ってくる長縄を足に挟めば成功です。
みんなで元気に歌を歌うと、リズムに合わせて跳びやすくなるでしょう。途中で失敗してしまった子どもには「次は〇枚までひろえるようにがんばろう」などと目標を伝えると、次への意欲に繋がるかもしれませんね。
おとしものを10枚拾うときに、実際に屈みながらジャンプをすると難易度はアップします。数を数える練習にも繋がりそうですね。
山あり谷あり
保育士さんが複数の縄跳びを平行に張るように持ち、さまざまな動きを連続して行えるようなコースを作ります。
縄跳びの高さを低めに設定しているところでは上を飛び越えたり踏んだり、高く設定しているところでは下をくぐったりと、縄跳びの高低に合わせて遊びましょう。
ゲーム性のある遊び
4歳児が室外で楽しめる、ゲーム性のある運動遊びを紹介します。
立体パズル
あらかじめ保育士さんは段ボールを使って大きなパズルを作ります。段ボール6個でひとつの絵になるよう作成し、3セットほど用意するとよいでしょう。スタート地点から離れた場所に、各チーム毎バラバラにパズルを並べておきます。
チームに分かれ、2人ペアになりパズル1個を息を合わせ抱えながら陣地に運びます。順次タッチをし、チーム全員パズルを運び終わったら、協力し合って立体パズルを完成させましょう。早く絵を完成させたチームの勝ちです。
謎解き宝探し
次のポイントを示すクイズに答えながら、宝物を探すコースを作ります。途中で段ボールのトンネルを通ったり、ブルーシートの下をくぐったり、借り物競争のようなお題などがあっても楽しそうですね。
2人ペアになり、協力しながらゴールの宝を目指しましょう。スタート地点に海賊や忍者の変身アイテムを用意すると、子どもの気分が盛り上がるかもしれません。
4歳児が楽しめる運動遊びを取り入れよう
社会性も徐々に身につく4歳児では、友だちと協力しながら取り組もうとする姿も見られるようになるでしょう。
友だちの存在を意識することで競争心をあらわにすることがあるかもしれませんが、危険が予測される運動遊びの場合は個人戦で行うなどの配慮も大切です。
今回紹介したアイデアを、雨天時の室内遊びや運動会の行事で活用してみても盛り上がるのではないでしょうか。保育士さんが楽しそうに取り組む様子を見せるなど、子どもがワクワクするような導入をするとよいでしょう。友だちと仲良く協力し合って楽しめるような運動遊びを用意できるとよいですね。