元保育士ライターの佐藤愛美です。新たに保育園で働こうと決めた時、「働きやすいところがいいな」「自分に合った園を選びたい」という気持ちでリサーチをする人が多いと思います。実際に入職してみないと分からない部分は多いものの、できるだけ園のことを知った上で応募を決めたいですよね。私も過去に就職活動をしながら、事前にホームページをチェックしたり、見学に行った時に保育園の様子を隅々まで確認するようにしていました。
今回は、働きやすく自分に合った保育園を見つけるために、応募の前にチェックしておきたいポイントについてご紹介します。
園の規模~20人と200人の園ではまるで雰囲気が違います~
定員20名ほどの小規模な園から、200人以上の子どもが在籍する大規模な園までさまざまな保育園があります。マンションの一室を保育室として利用しているところもあれば、公園のような広い園庭がある園もあり、規模によって雰囲気は大きく異なります。できるだけ家庭的な雰囲気の園がいいな、と思っていた私は、園児の定員数が50名くらいの保育園に絞って就職先を探しました。
じっくりと子どもに関わるような保育がしたい人は小規模〜中規模、たくさんの子どもたちと一緒に賑やかに過ごしたいという方は大規模な園を選択すると、自分の理想と近い働き方がしやすくなると思います。しかし、数字だけでは雰囲気が分からないのも事実。実際に見学に行って保育の様子を肌で感じることをおすすめします。
保育理念~理念は園の「看板」~
ホームページを見ると、多くの園では保育理念を紹介しています。自然豊かな環境でのびのびと育てる、地域社会との連携を大切にしながら健やかな子を育てる、子どもたちの五感を育むために芸術活動に力を入れている……etc。シュタイナー教育やモンテッソーリ教育を特色としている園もあります。保育理念は1つ1つの園の看板のようなものなので、保育園を探す時の一つの指針になります。
保育理念に共感できることは、働く園を選ぶ上で大前提でしょう。
立地~近すぎず遠すぎず。通勤路を辿って確認しよう~
どんな職業であっても、働く場所がどこにあるかは重要なポイントです。通勤に何分かかるのか、電車を使う場合は乗り換えが何回あるのか、朝の混雑具合も調べておくと良いでしょう。私は、自宅から徒歩圏内の保育園に勤務したことがありますが、通勤はとても楽でした。
朝7時からの早番の日も、6時に起きれば十分間に合います。しかし、園の近所に住むことで仕事とプライベートの境界が曖昧になってしまう覚悟は必要だと感じました。買い物をしていたら、保護者に会ってしまった……ということも日常茶飯事。反対に、電車と徒歩で1時間以上離れた職場で働いた時は、通勤時間に本を読んだり、その日の保育についてシミュレーションをしたりと、頭を切り替える余裕を持つことができました。
ただし、天気の悪い日はちょっと大変です……。立地選びにも一長一短があるので、応募の前に実際に通勤路を辿って検討するのもオススメです。
設立年数~園の雰囲気に大きく影響します~
設立何年目の園であるのかは、ぜひ事前に調べてみてください。50年以上の歴史がある社会福祉法人と、3年前に株式会社が立ち上げた保育園とでは雰囲気が異なります。
歴史のある保育園では、しっかりとした保育理念のもと、地域社会に根付いた保育を行っているところが多く、園が積み重ねてきた確かな保育に携わることができます。設立年数が浅い保育園は、現代のニーズを積極的に取り入れ、若い保育士もアイデアを出しやすい雰囲気があります。もちろん園のカラーによる部分も多く、一概には言えません。
一つの目安として、設立年数をチェックしてみてはいかがでしょう。
年間の行事~業務負担に直結!頻度を確認しよう~
年間でどんな行事を行っているのかも確認しておきたいですね。保育参観やお誕生日会、遠足などは、園の規模に関わらず共通した行事だと思いますが、「発表会」と一口に言っても「生活発表会」「作品展」「クリスマス発表会」など発表会の種類や回数もさまざまです。行事と行事の間にどれくらいの期間が空いているのかを見ると、だいたいの忙しさが予想できます。
例えば、私が前に勤めていた園では10月中旬の運動会が終わったら、12月上旬には発表会、さらに毎月20日に誕生日会があり、保護者面談を3か月に一度行っていました。このような場合、行事と行事の間の日数が少なく、準備に追われます。たくさんの行事を経験したいのか、行事よりも日々の保育に集中したいのか、年間の計画と自分がやりたい保育を頭の中で照らし合わせてみると良いと思います。
イレギュラーな保育の有無~延長保育や休日保育~
保護者のニーズの多様化により、保育園にも多様な機能が求められるようになってきました。土日の保育や早朝・夜間保育を行っている園は、首都圏では珍しくありません。また、病後児保育や一時預かりを行う保育園もあります。週に一度は地域の親子が自由に遊びに来ることができる、ひろば型の事業を行っている園もあるでしょう。保育士はシフトを組んで交代制で勤務を行うのが通常です。夜間や早朝、日曜日の保育がある場合は、自分のライフスタイルを考慮した上で働き方を考える必要があります。
例えば、小さな子どもがいる場合や、両親の介護をしている場合、自宅と園が離れている場合は、イレギュラーなシフトに柔軟な対応ができない可能性も出てくるのです。あらかじめ、保育を行っている曜日と時間、保育士が携わる仕事内容について調べておくことをおすすめします。
施設の環境~保育や周辺の環境、ロッカーなども~
働きたい保育園の環境は、ぜひチェックしておきたいポイントです。環境構成によって、保育のしやすさが大きく変わります。保育室の作りはもちろん、園庭の広さや、周辺環境(交通量や公園の有無)まで調べておくと良いでしょう。そして、職員室やロッカー、駐車場、休憩室など、子どもと関わりがない場所まで確認したいところです。
しかしこれらの情報は、ホームページを見ただけでは分かりにくいですね。私は、応募前に見学に行った時に少しだけ案内してもらうことができました。見学の時に気になる場所を積極的に見せてもらうことで職場選びの材料が増えます。
給食~子どもと一緒に食べるかどうかも~
給食に関しても、園によって扱い方が違います。子どもと保育者が一緒に給食を食べる園もあれば、保育者は自分の昼食を持参するという園も。
週に1度はお弁当の日があったり、食育に力を入れている園では子どもたちと一緒にお昼ご飯を作る日が計画の中に組まれているという場合もあります。入職してから「え!職員は毎日お弁当なの?」と驚くことがないように、見学の時に確認しておきたいポイントです。
私が働いていた保育園では、野菜の栽培に力を入れていたので、子どもたちと一緒に育てた野菜が給食やおやつの時間によく出てきました。食に関するユニークな取り組みをしている園も増えているので、「食」を保育園選びの基準にするのも面白いですね。
職員の平均年齢~中堅が多い?若手が多い?~
働いている職員は、どれくらいの年代の人が多いのかを知っておくことで、園の雰囲気を掴みやすくなります。
中堅層の職員が多い保育園は、離職率が低く質の高い安定した保育を行っている、と捉えることもできるでしょう。若手の多い保育園は上下関係が厳しくない傾向……といったメリットもあるので、見学に行った際に職員の様子も把握できると良いですね。
働く保育園を選ぶ上で、まずは自分がどんな保育をしたいか紙に書き出してみる方法をおすすめします。園の雰囲気は?自分の働き方は?園長の考え方は?と、一つひとつ考えてみましょう。すると、自分がどんな保育園で働きたいのかが明確になってきます。
ホームページ等で情報を集めることもできますが、いちばん参考になるのは、応募の前に実際に見学をさせてもらい、自分の目と足で保育園の雰囲気を知ることです。求人を出している園は、快く見学者を受け入れてくれる可能性が高いので、電話で問い合わせてみましょう。
プロフィール
佐藤愛美
元保育士のフリーライター。現場で働く保育士や、保育園に関わる保護者や地域の人々に向けて、リアルな情報発信を行っています。好きな場所は沖縄の離島。「地域活性化×子育て支援」というテーマにも興味があります!