保育における工作には、細かい動作の練習や新しい発見など、さまざまなねらいがあります。その中でも、ブレスレットやネックレスなどのアクセサリーの工作を、今回のコラムで紹介します。子どもの自己表現のひとつとして保育に取り入れるとよいですね。工作アイディアも動画つきで紹介しているので、日常保育の製作に役立ててみてくださいね。
保育における「表現活動」とは?
保育における表現活動とは、子どもの考えや感じたこと、感情など、内面にあるものをなんらかの見える形として表現することを指します。
特に今回のテーマである、アクセサリー作りに関しては、子どもたち自身が身に着けるものを製作するため、おもちゃ作り以上に自分を表現する機会になるでしょう。子ども自身が持つイメージを、自分のやり方で自分らしく表現することは、保育の表現活動においてとても重要です。
保育士さんが気をつけたいこと
年中~年長になってくると、身に着けるものを作りたがる子どもの姿が見られます。この時、子どもの自己表現を促し、活動を豊かに発展させていくために、保育士さんが気をつけたいことがあります。
指示しすぎない
子どもの自己表現においては、保育士さんが必要以上の指示をせず、子どもの発想を尊重して見守ることが大切です。これはごっこ遊びなどにも共通して言えることですが、常識や一般的な価値観を知る大人がアドバイスをしすぎてしまうと、子どもだからこそできる自由で柔軟な発想を妨げてしまいかねません。
子どもが困っているときや詰まってしまったときのみにアドバイスをして、表現活動を促す手助けができるよう、心がけてみてください。
受け入れる
子どもたちは自分の考えや感じたことを周りの友達や保育士さんに受け止めてもらうことで、自信をつけます。そしてそれによって表現する意欲が高まり、自分の好きなものや感じたこと、考えなどを表現する楽しさを知ります。
子どもの「こういうものを作りたい」という思いを具現化させ、それを実現する喜び・楽しさを知ってもらいましょう。そして、子どもなりの自己表現に対して、「こうした方がいいよ」などの評価ではなく、世界観や発想を褒めるなどして、受け入れる姿勢を見せてあげましょう。
ねらいは完成度の高さよりも、その子らしさを大切に
工作を作るときは、最後の完成まで作り上げること、それにより子どもに達成感を感じてもらうことが大きな目標です。しかし、完成まで作り上げること=お手本と同じものを作ること、ではありません。
少し混同してしまいそうですが、これは完成までの手順をしっかり踏むということであり、まっすぐに切ることや、満遍なく色を塗ることなどの、出来栄えの完璧さを求めるものではないということです。
ねらいとして大切なのは完成度の高さではなく、子どもが自分らしい表現をできたかどうかです。そして、子どもが工作を作る過程を楽しめるように、保育士さんがサポートすることも重要ですね。
手や首につけるアクセサリー
以上のことに気をつけながら、実際にアクセサリーを作ってみましょう。手や首につけられる、身に着けやすいアクセサリーです。
オリジナルブレスレット
ペットボトルで作るブレスレットです。カットしたペットボトルの切り口にアイロンを当てて丸くし、マニキュアで色を塗れば完成です。太い1本をつけるのも、細い2本をつけるのもいいですね。マニキュアを使うことで、マニキュアへの興味を持ったり、表現の幅が広がったりするかもしれませんね。
詳しくはこちら
プラバンアクセサリー
プラバンにトースターで熱を加えて作る指輪です。ヤスリを初めてさわる子もいるかもしれないので、新しい経験をさせてあげられる機会になるでしょう。自分が作ったものを身に着けることで、指輪に対しての愛着も湧きますね。
詳しくはこちら
手作りアクセサリー
ストローを材料に、フィンランド伝統のヒンメリを模したネックレスを作ることができます。ストローの長さや色遣いなども自由にアレンジしてみましょう。画用紙やアルミホイルなどを使ってオリジナルの飾りを作れば、他の人と被らない、自分のアイディアが光る作品になりそうですね。
詳しくはこちら
頭につけるアクセサリー
カチューシャやヘアゴムなど、頭につけるアクセサリーです。普段の保育生活でつけるのはもちろん、行事用にアレンジしてつけるのもいいですね。
お花飾り
紙皿を使って作る、お花の飾りをつけたヘアバンドです。花びらをくるんとさせるところは、こだわることでよりきれいな作品を作れることを学べそうですね。クラス全体の主活動として工作を行う場合には、行事に合わせて季節のモチーフなどを付けるのもよいでしょう。
詳しくはこちら
水切りネットシュシュ
キッチングッズの水切りネットを使って作るシュシュです。水切りネットの特性を活かしたふわふわなシュシュ。中に好きなものを入れてカスタマイズできるので、自分だけのオリジナルシュシュが作れます。中身や色など、好きなものをたくさん盛り込んでみましょう。
詳しくはこちら
水切りネットのリボン
こちらも水切りネットを利用した、リボンの飾りです。針と糸が必要なところがあるので、適宜手伝ってあげましょう。日常生活にある身近なものを材料にして、お気に入りのものを手作りできる体験は、子どもの自己表現の幅を広げてくれそうです。
詳しくはこちら
まとめ アクセサリー作りで、自己表現を促そう
子どもたちの自己表現を大切にするために保育士さんが気をつけたいことと、自己表現をしやすい工作の作り方について主に解説してきました。
子どもによっては、完成度の高さとその子らしさを分離して考えるのは難しい場合もあるかもしれません。そういったときには、子どもが製作を楽しんでいるかということを大切にしてあげましょう。
アクセサリー作りを通して、幼児期にしかできない自己表現の幅を広げてあげてみてください。
参考:保育所保育指針解説(厚生労働省)