療育とは。定義や役割、発達障害の子どもを支援する放課後等デイサービスなどについて

療育とは何か知りたい保育士さんもいるでしょう。保育園や幼稚園でも障害を持つ子どもの対応を行なうこともあるため、具体的な内容を知っておくと役立てられるかもしれません。今回は厚生労働省の資料をもとに、療育の重要性や放課後等デイサービスなどで働く保育士さんの役割、発達障害などを持つ子どもへの接し方についてまとめました。


ハートを持っている女性

karins/shutterstock.com

 

療育とは

保育の現場で耳にすることもある療育とは、どのようなものなのでしょうか。

 

療育の定義について、厚生労働省の資料では発達支援という言葉を用いて次のように記載しています。

 

「児童発達支援は、障害のある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な 援助である。」

出典:児童発達支援ガイドライン/厚生労働省から抜粋

 

療育と発達支援は、ほぼ同じ意味として使用されています。

 

もともと療育は、肢体不自由児への社会的自立に向けた支援いう概念でしたが、近年は知的障害などの障害も対象となっているようです。

 

発達支援は、発達が気になる程度の段階の子どもなども対象とし、日常生活の基本的な動作の指導など必要な支援を行うことをいい、親や家族への支援や、保育所などの地域機関への支援も含まれています。

 

つまり、療育は障害を持つ子どもに対する自立に向けたサポートと言えるでしょう。

 

出典:在り方検討会ヒアリング意見/厚生労働省

療育する目的や重要性

発達に遅れが見られる子どもを療育することには、どのような目的があるのでしょうか。

 

適応障害のない状態で成長できるように

 

適応障害とは、ストレスなどによる不安な感情が行動に表れるなどし、社会に適応することが困難となる状況をいいます。

 

社会に溶け込みやすくするためにも、療育は大切と言えるでしょう。

 

自立した生活を送れるように

 

療育では、コミュニケーション能力を高めたり、社会的生活のためのスキルを身につけたりと、身体機能の向上に向けた訓練を行なうようです。

 

これらはどんな障害であっても、自分の意思で自立した生活を送れるようにすることを目的とされているため、障害児にとっては大切なものと言えるでしょう。

 

子どもの将来がよりよいものとなるように

 

「児童の権利に関する条約」では、「生きる権利」「守られる権利」「育つ権利」「参加する権利」が規定されています。

 

障害の種別にかかわらず、障害児一人ひとりの将来をよりよいものにするためにも、療育は大切なのかもしれません。

 

出典:今後の障害児支援の在り方について(報告書)~「発達支援」が必要な子どもの支援はどうあるべきか~/厚生労働省

療育の種類

子どもの療育で行われる療法にはどのような種類があるのでしょうか。

 

薬物療法

 

薬物療法では、子どものコミュニケーション能力があがったり、イライラなどの精神的不安定な症状を軽減したりなど、多動症や自閉症などの改善に向けて薬物療法が行われることがあるようです。

 

子どもに心の安定をもたらすなどの効果が期待できそうですが、副作用が発生する場合もあるので注意が必要と言えるでしょう。

 

食事療法

 

食事を改善することで、脳に不足しがちな栄養素を補ったり、ホルモンバランスを整えたりします。

 

食事を改善することにより体調が整うにつれ、生活の質が向上する効果が得られると考えられているようです。

 

音楽療法

 

民間資格をもった専門家により行われる音楽療法もあるようです。

音楽を奏でたり聴いたりすることで、運動動機能の発達を促すという特徴があります。

 

身体の面だけでなく、精神的なストレスの解消や不安の軽減など、心理的に不安定な状態から回復へ向かわすことを目的としているそうです。

 

作業療法

 

作業療法士という国家資格をもった専門家により行われ、自閉症のある子どもなどの感覚統合の失調を回復へ促すことなどを目的としています。

 

出典:一般社団法人 日本音楽療法学会

 

出典:小児神経Q&A/一般社団法人 日本小児神経学会

療育を実施している施設

走っている子どもの後ろ姿

T.TATSU/shutterstock.com

 

療育を行っている施設で支援をする児童の対象は、身体に障害のある児童や知的障害または発達障害を含む精神障害のある児童などとなっています。

 

手帳の有無は問わず、児童相談所や市町村保健センター、医師等により療育が必要だと認められた児童も支援の対象です。

 

療育を実施している施設には、自宅から通う通所支援と自宅での生活が困難な子どものための入所支援などに分かれており、それぞれ次のような障害児援施設があります。

 

障害児通所系

児童発達支援

日常生活における基本的な動作の指導や、自活に必要な知識や技能が身につくための支援、集団生活へ適応できるような訓練などを行っています。

 

治療を行う医療型の児童発達支援施設もあります。

放課後等デイサービス

学校帰りや休校日に児童発達支援センター等の施設にて、生活能力向上のために必要な訓練や社会との交流促進などの支援を行っています。

 

障害児訪問系

居宅訪問型児童発達支援

重度の障害等により外出することの難しい障害児の自宅を訪問して、発達の支援を行っています。

保育所等訪問支援

保育所や乳児院、児童養護施設等で、障害児に対して障害児以外の児童との集団生活に適応できるよう専門的な支援などを行っています。

 

障害児入所系

福祉型障害児入所施設

施設に入所している障害児に対して、保護や日常生活の指導及び、自活に必要な知識や技能が身につくための支援を行っています。

医療型障害児入所施設

施設に入所または指定医療機関に入院している障害児に対して、保護や日常生活の指導及び、自活に必要な知識や技能が身につくための支援や治療を行います。

 

発達障害、知的障害、難聴、肢体不自由、重症心身障害等の障害を持つ子どもが身近な地域で支援が受けられるように、毎日通所できる施設や幼稚園・保育所に通いながら通所できる施設など、さまざまな施設を通して療育の支援が行われていることがわかるでしょう。

 

出典:障害福祉サービス等の体系②/厚生労働省

出典:児童発達支援の概要/厚生労働省

出典:障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要/厚生労働省

療育を必要とする子どもへの接し方

療育を必要としている子どもに対して、保育士はどのように接するとよいのでしょうか。

 

褒める

 

子どものできないところではなく、できたところに注目をしてたくさん褒めましょう。

 

自己肯定感を下げないような言葉がけをすることが大切ですね。

 

威圧をかけない

 

否定的な言葉で子どもに命令をすると、子どもはストレスを感じてしまうでしょう。

 

「〇〇ができたら〇〇の時間だね。」などと肯定的に話すよう心がけると、子どもは自信をもって課題に取り組めるかもしれません。

 

子どもの気持ちに寄り添う

 

子どもの気持ちを汲み、たくさん共感したり、ときには代弁したりしましょう。

 

もし子どもが間違えている場合にも「〇〇したいんだね。」などとその気持ちを一度受け止める、柔軟な心を持つことが大切です。

 

前向きな言葉掛けをする

 

子どもは失敗を繰り返すことで自信を失ってしまうことがあるかもしれません。

 

「もう一度がんばったらもっと上手になるね。」などと、次はできるかもしれないという期待を失わないような言葉をかけましょう。

 

施設により違いはあるものの、療育の内容には子どもとマンツーマン指導を行う個別療育と、5~6人の集団で行う集団療育があるようです。

 

親子で一緒に参加するタイプの療育もあるようですが、いずれの場合でも子ども一人ひとりが明るい気持ちで過ごせるよう、保育士さん自身も明るく前向きな姿勢で子どもと接するとよいかもしれませんね。

療育とは子どもの未来のための支援

療育とは障害などを持つ子どもが基本的な生活を送るための、大切な支援です。

発達障害の子どもは近年増加している傾向にあり、療育の必要性はますます高くなるでしょう。

 

保育園で働く場合でも子どもついて保護者の相談にのったり、施設との連携を図ったりすることがあるかもしれません。

子どもの成長を担う家族のサポートをすることも、子どもの療育支援の一環です。

 

子どもと親の心の支えになれるよう、子どもの未来のために保育士さんも療育について日頃から学んでおくとよいかもしれませんね。

 

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