保育園の製作遊びで0歳児ができることについて知りたい保育士さんもいるでしょう。活動のねらいや配慮すべきポイントを押さえて、日々の保育に活かせるとよいですね。今回は、製作のなかで見られる0歳児の姿や、できることの目安について紹介します。指スタンプや手形を使ったアイデアもまとめました。
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■目次
製作のなかで見られる0歳児の姿やねらいとは?
保育園に入りたての0歳児の赤ちゃんと、製作遊びを楽しみたいと考える保育士さんもいるでしょう。
できることの目安や援助のポイントなどを知っておけば、子どもたちの発達を促すかかわりができるかもしれません。
0歳児の特徴
そもそも、0歳児は、生後3カ月頃までに「あー」「うー」などの喃語を話したり、周りで動いているものを目で追ったりする姿が見られるようになると言われています。
そして、6カ月を過ぎた頃になると、物を握れるようになったり、指先でつまんだりする動きをし始めるようです。
製作遊びのなかでは、保育士さんの真似をしてスタンピングしたり、クレヨンを握って殴り書きしたりすることができるようになるかもしれませんね。
0歳児の製作のねらい
- カラフルな絵の具を見たり手で触ったりと、さまざまな感覚を働かせることを楽しむ
- 色がつくことや変化することを楽しむ
外部から動きや音などをたくさん吸収する時期の製作遊びでは、色彩の変化で視覚を働かせたり、素材で手足の感覚を刺激したりすることがねらいとなるでしょう。
なかには、絵の具の感触に驚いたり嫌がったりする様子も見られるかもしれません。保育士さんは、子どもの状況にあわせた援助をしていきましょう。
0歳児ができるようになることやねらいを踏まえたうえで、まずは製作のなかでできる技法について紹介します。
0歳児向けの製作・描画技法
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手形・足型
手形や足型は、手のひらや足の裏に絵の具を塗って画用紙にスタンピングし、型をとる技法です。
色がつくことを楽しめるのはもちろんのこと、感触遊びという面でも0歳児の五感を刺激しそうですね。
絵の具や紙などさまざまな素材に触れて楽しむことが、「自分なりに表現したい」という気持ちをもつための土台作りになるかもしれません。
また、子どもたちの手足の大きさがひと目でわかるので、特に成長が著しい0歳児の製作に向いていると言えそうです。
指スタンプ
指スタンプは、指先に絵の具をつけて画用紙に色づけしていく技法です。
0歳児は、自分が指を動かすことで色のつき方が変化したり、絵の具が伸びたりするという気づきを得ることができるでしょう。
色の変化による視覚的な面白さだけでなく、絵の具の冷たい感触ややわらかい質感も味わえるため、さまざまな感覚を働かせて遊べる技法と言えますね。
デカルコマニー
デカルコマニーは、紙の片側に模様をつけ、半分に折ることで反対側に模様を転写する技法です。指で直接色を塗ったり、たんぽを使って色づけしたりすることができます。
模様が左右対称になったり、自分が意図しないようなできあがりになったりするため、0歳児の子どもの視覚や好奇心を刺激することにつながるでしょう。
また、自分で色をつけたものがどんな風に変化するのか期待する心を育み、製作を楽しむ気持ちを持てるかもしれませんね。
0歳児向けの製作遊びのアイデア
できるようになることや年齢に合った技法を踏まえたうえで、0歳児向けの製作遊びのアイデアを紹介します。
指スタンプ
きのこ
<用意するもの>
- 画用紙(桃)
- 画用紙(黄)
- 絵の具
- のり
<ポイント>
思いきり色づけできるように、少し大きめの画用紙を用意しておくとよいでしょう。
また、さまざまな色の絵の具を用意しておき、子どもが好きな色を選んで模様づけできるようにしておくとよいですね。
保育士さんが見本をみせて指スタンプをすれば、0歳児も動きを真似してくれるかもしれません。 (詳しい作り方はこちら)
こいのぼり
<用意するもの>
- 画用紙
- 絵の具セット
- はさみ
- テープ
<ポイント>
製作をする前に、こいのぼりの絵本や写真などをみせて、子どもたちの想像を膨らませてみましょう。
使う指を変えることで色のつき方が変化するので、保育士さんが親指や小指などを使って模様づけする様子をお手本として見せるとよいかもしれません。
絵の具を点で置いたり伸ばして線にしたりと、子どもによって作風の違いを楽しめそうですね。 (詳しい作り方はこちら)
たんぽでお絵かき
用意するもの
- 木の描かれた画用紙
- ガーゼ 1枚
- 脱脂綿 1枚
- 絵の具
- 輪ゴム
ポイント
先生はあらかじめたんぽを作っておきましょう。
その際、乳酸菌飲料の容器など、0歳児が持ちやすい太さのものと組み合わせて作ると、子どももやりやすくなるかもしれません。
「オレンジ色と黄色をいっしょにしたら、どんな色になるかな?」や「すごいね、新しい色が出てきたよ」などと声をかけ、子どもたちが好奇心を膨らませて製作できるとよいですね。(詳しい作り方はこちら)
手形で桜の木
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具セット
- ペットボトル
ポイント
子どもの手のひらに絵の具を塗るときは、保育士さんが絵筆を持って塗るようにしましょう。
また、0歳児が1人でペットボトルをもってスタンピングするのは難しいかもしれません。
そのときは、保育士さんがいっしょに持ったり、指にピンクの絵の具をつけたりして桜の花びらを表現してみるとよいですね。(詳しい作り方はこちら)
デカルコマニー
用意するもの
- 絵の具 3~4色
- 画用紙
ポイント
子どもが誤って画用紙の全面に絵の具をつけないように、反対側に折り返すなどして、色をつける範囲だけ見えるように用意しましょう。
0歳児にとって絵筆を持って絵の具を垂らす作業は難しいかもしれないので、指スタンプで色づけすると簡単にできますね。
「どんな模様ができあがるかな?楽しみだね」と声をかけて、子どもたちのワクワクする気持ちを引き出していきましょう。(詳しい作り方はこちら)
0歳児の製作で必要な配慮やポイント
0歳児は月齢ごとにできるようになることが増えていく分、保育士さんも子どもの姿に応じた配慮や援助が求められるでしょう。
ここでは、製作活動のなかで配慮が必要になるポイントについて紹介します。
子どもが興味を示しそうな明るい色を使用する
0歳児は手足や目、耳など五感をたくさん働かせて周りの情報を吸収する時期と言われています。
また、赤ちゃんは視力が弱く、生後4~7カ月頃に赤・青などの色を認識できるようになるそうです。
そのため、子どもにとって見やすく、かつ視覚を刺激できるような赤や黄色などの明るい色使いを意識するとよいでしょう。
クレヨンやたんぽなどの道具は子どもが持ちやすい太さにする
先述した通り、0歳児の赤ちゃんは製作活動のなかでクレヨンを握ってかいたりたんぽをもって色づけをしたりできるようになります。
しかし、手や指の力はそこまで強くないため、細いものは持ちづらいかもしれません。
赤ちゃん向けの太めのクレヨンや、トイレットペーパーの芯を活用するなどして、0歳児が使いやすい道具を準備するとよいでしょう。
濡れタオルや布巾をあらかじめ用意しておく
絵の具やクレヨンなどを使用するときは、あらかじめ手元に濡れタオルなどを用意しておきましょう。
0歳児のうちは、手や指を口に持っていく動きが見られることがあります。
絵の具などがついた手で口や身体を触らないように、汚れたらすぐに拭くことが大切です。
活動のなかで積極的に声掛けをする
「きれいな模様ができたね」「さくらの絵がかけたね」など、保育士さんから積極的に声掛けするようにしましょう。また、子どもたちが発した声に反応して言葉をかけるのもよいかもしれません。
0歳児は、言葉はわからなくても、保育士さんの表情や声などから気持ちを感じ取ることもあるようです。そのため、声掛けするときは優しい表情で落ち着いたトーンを意識することが大切になります。
0歳児が製作なかでできるようになることを知って、保育に役立てよう
今回は、0歳児が製作でできるようになることや遊びの例、配慮するポイントなどを紹介しました。
0歳児は周りからの刺激に反応し、多くのことを吸収する時期と言われています。そのため、製作を通して色の変化を楽しむことなどをねらいとして、手足の感覚や視覚など、五感を育めるような製作遊びを行うとよいでしょう。
絵の具を使って指スタンプをしたり、クレヨンをもって自由にえがいたりと、子どもが製作のなかでできるようになることはさまざまあります。
0歳児ができることの目安を参考にしながら、大きく成長する子どもたちの姿を見つめて、日々の保育に活かせるとよいですね。