近年、大切な家族へ日ごろの感謝を伝えることをねらいとした「ファミリーデー」を取り入れる保育園が増えてきているようです。由来は何なのか、子どもたちとどのように過ごせばよいのかを知って、行事に親しみを持てるとよいですね。今回は、ファミリーデーの由来とねらい、製作など過ごし方のアイデアを紹介します。
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■目次
保育園でのファミリーデーってどんな行事?
保育園や幼稚園でのファミリーデーは、子どもがお家の人に対して感謝を伝える行事です。
園によっては、保育参観とあわせて行ったり、子どものみでプレゼント製作をしたりと実施方法はさまざまなようです。
では、ファミリーデーにはどのような由来やねらいがあるのでしょうか。
由来
ファミリーデーは、5月の「母の日」と、6月の「父の日」がもとになっているようです。
近年の家庭状況の多様化から、父親や母親だけに限定するイベントを行うのではなく、大切な家族に対して感謝の気持ちを伝えるためにファミリーデーが設けられるようになったと言われています。
明確な日にちや行事の内容は決まっていないため、5月の親子遠足や6月頃の保育参観など、園によって取り組み方はさまざまかもしれません。
ねらい
ファミリーデーのねらいとして、以下の例が挙げられます。
- ファミリーデーについて知り、自分を大事にしてくれている家族へ感謝の気持ちを伝える
- ファミリーデーに家族へのプレゼントを製作したり、ふれあい遊びをしたりして楽しむ
- ファミリーデーの行事を通して、家族とのコミュニケーションを深める
このように、ファミリーデーについて知り、行事を通して家族とコミュニケーションをとることをねらいとしているようです。
子どもが「自分を大切に思ってくれる人がいること」を再認識し、感謝の気持ちをもって臨めるような行事を計画できるとよいですね。
保育園でファミリーデーを行うときに配慮するポイント
次に、保育園や幼稚園で行事としてファミリーデーを取り入れるときに配慮するポイントを紹介します。
事前に子どもの家庭状況を把握する
保育士さんは、ひとり親家庭などクラスの子ども一人ひとりの家庭状況を把握しておきましょう。
子どもが楽しく行事に取り組めるよう、個別のケースにあわせた適切な声かけやフォローをすることが大切です。
また、ファミリーデーの行事があることについて、おたよりなどで保護者に先に知らせておくのもポイントです。
その際、もし保護者から相談や要望を受けた場合には個別に対応しましょう。
一人で判断することが難しい場合は、園長先生などに確認をとりながら対応するとよいかもしれませんね。
家族と楽しく過ごせるアイデアを取り入れる
ファミリーデーの計画をするときは、家族と楽しく過ごせるアイデアを取り入れましょう。
贈る相手を限定しないプレゼントの製作や、家族といっしょに遊べる手作りおもちゃの製作、大人といっしょにできるふれあい遊びなど、家族とのコミュニケーションのきっかけになるようなアイデアを選ぶとよいですね。
保育園でのファミリーデーの導入方法
ここでは、実際に保育園でファミリーデーの行事を行うときの導入方法を紹介します。
子どもたちに意味や目的を話す
ファミリーデーの導入として、以下のように意味や目的などを説明してみましょう。
みんなは、ファミリーデーって知ってるかな?
ファミリーデーは、いつもみんなのことを大切に思ってくれているお家の人に、「ありがとう」を伝える日なんだ。
お母さんやお父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、きっといろんな人がいると思います。
お家の人は、みんなのために、どんなことをしてくれているかな?お料理やお掃除、洗濯、お仕事……いろいろなことをしてくれているね。
そのおかげで、みんなはお家や保育園で楽しく過ごすことができるんだね。
だから、今日はお家の人がよろこぶところを思い浮かべながらプレゼントを作って、「ありがとう」って言って渡してみよう!
導入としてこのような話をすれば、ファミリーデーがどんなものかや、身近な人のことを思い浮かべられるかもしれません。
子どもが感謝の気持ちをもって行事に臨めるような伝え方ができるとよいですね。
家族にまつわる絵本の読み聞かせ
導入として、家族にまつわる絵本を読み聞かせするのも一つの方法かもしれません。
赤ちゃんが生まれたときの親の気持ちを伝える内容や、子どもが保育園に行っている間に仕事を頑張る姿をえがいた内容など、さまざまな絵本があるでしょう。
子どもが自分を大切にしてくれている家族をイメージできるような絵本を選べば、ファミリーデーの行事に対して意欲が湧くかもしれません。
保育園でのファミリーデーの過ごし方アイデア~ふれあい遊び~
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ここでは、ファミリーデーの過ごし方として、ふれあい遊びをするときのアイデアを紹介します。保育参観などで取り入れる際は、参考にしてみてくださいね。
タッチ遊び
乳児クラスの子どもから楽しめる、タッチ遊びのアイデアです。
遊び方
1.子どもは立ち、大人は立ち膝になるなど、目線を合わせて向かい合います。
2.大人が両手を広げて「タッチ!」というかけ声を出し、子どもにタッチしてもらいます。
3.低い位置や、ギリギリ届く高い位置などに手を移動させ、いろいろな場所でタッチをして遊びます。
4.タッチできたことを、子どもといっしょによろこびながら繰り返します。
遊ぶときのポイント
子どもの年齢や月齢により、遊び方をアレンジして楽しみましょう。左右の高さをバラバラにしたり、足でタッチしたりするのもおもしろいかもしれませんね。
おんぶ競争
大人といっしょに楽しめる、おんぶ競争のアイデアです。
遊び方
1.保育室やホール内で子どものスタート位置とゴール位置、その中間でお家の人がスタンバイする位置を決めて、ビニールテープなどで印をつけておきます。
2.子どもたちはスタート位置に横一列に並びます。お家の人は、子どもの正面に立つようにしてスタンバイ位置に並びます。
3.「よーい、ドン!」の合図で、まず子どもたちだけがスタートし、お家の人を目指して走ります。
4.子どもがお家の人のところに着いたら、お家の人が子どもをおんぶしてゴールを目指して走ります。
5.先にゴールしたペアが勝ちです。
遊ぶときのポイント
子どもの年齢によって、お家の人のところまで走るのではなくハイハイしたり、おんぶではなく抱っこしたりと、ルールをアレンジすれば乳児クラスから取り入れられそうです。
幼児クラスでは、障害物を設置したり、おんぶして走る距離を長くしたりしても盛り上がりそうですね。
じゃんけん列車
大人も子どもも混じって楽しむことができる、じゃんけん列車のアイデアです。
遊び方
1.保育室内で、子どももお家の人も、バラバラの位置にスタンバイします。
2.音楽(ピアノで歩きやすい曲を弾くか、CDで曲をかける)を流し、その音楽に合わせて室内を自由に歩き回ります。
3.音楽が止まったら、近くにいる人とじゃんけんをします。
4.じゃんけんに負けた人は、勝った人の後ろにつき、肩または腰に両手をかけます。
5.(2)〜(4)を繰り返して列を長くしていき、最後に列の先頭になった人が勝ちです。
遊ぶときのポイント
じゃんけんのルールが理解できるようになる3歳児後半頃から取り入れられるかもしれません。走ったり早歩きをしたりすると列が乱れて転倒する危険性があるので、歩いて行うことを事前に約束事として伝えておきましょう。
保育園でのファミリーデーの過ごし方アイデア~製作~
最後に、ファミリーデーの過ごし方としてプレゼントを製作する場合の例を紹介します。贈る人を限定しないアイデアをまとめてみました。
子どもの写真入りのしおり
子どもの写真が入った、かわいらしいしおりの製作アイデアです。
用意するもの
- 子どもの写真
- 色画用紙
- ラミネータ―
- ラミネートフィルム
- リボン
- 色鉛筆またはクレヨン
- デコレーション用パーツ
- はさみ
- のり
- パンチ
作り方
1.子どもの顔写真や全身写真を撮って印刷し、余白をはさみで切り落とします。
2.好きな色の画用紙を、短冊形に切ります。
3.子どもの写真の裏側にのりをつけて(2)に貼り、周りにメッセージをかいたりデコレーションしたりします。
4.(3)をラミネートフィルムにはさみ、ラミネートします。
5.(4)の上部にパンチで1カ所穴をあけ、リボンを通して結んだらできあがりです。
製作のポイント
はさみが使えない年齢の子どもたちと行う場合は、保育士さんが何色かの短冊を用意しておき、好きな色を選んでもらうようにしましょう。
デコレーション素材としてシールや押し花などを用意し、子どもが自由にデザインできるようにすれば、よりオリジナリティのあるしおりができあがりますね。
飛び出すカード
飛び出す仕掛けのある、メッセージカードの製作アイデアです。
用意するもの
- 色画用紙
- デコレーション用パーツ
- ペン
- クレヨン
- 両面テープ
- はさみ
製作のポイント
はさみを扱うことが難しい年齢の子どもの場合は、保育士さんがあらかじめ画用紙に切り込みを入れておきましょう。子どもが切る工程も行う場合は、印のみかいてわかりやすくしておくのがポイントです。
飛び出す部分には「いつもありがとう」というメッセージや子どもの写真を貼ると、より素敵なカードになりそうですね。(詳しい説明はこちら)
小物入れ
ティッシュの空き箱を利用した、かわいい小物入れの製作アイデアです。
用意するもの
- ティッシュの空き箱
- 折り紙または色画用紙
- デコレーション用パーツ
- ペン
- テープ
- のり
- はさみ
製作のポイント
箱を作る工程でははさみを使うところもあるため、子どもの様子によってあらかじめ保育士さんがやっておくか、いっしょにやるかを考えましょう。
子どもがやる場合は、どこを切るのかわかりやすいよう線などをかき込んでおくことが大切です。
子どもが自由に折り紙や色画用紙、デコレーションパーツを貼ってアレンジできるように素材を容易しておくと、オリジナリティのある小物入れができそうですね。(詳しい説明はこちら)
行事の由来やねらいを知ったうえで、保育園でファミリーデーを楽しもう
今回は、ファミリーデーの由来やねらい、保育園での過ごし方のアイデアを紹介しました。
ファミリーデーは、お家の人へ感謝の気持ちを伝えるためのイベントです。
子どもがそれぞれ大切な人を思い浮かべながらプレゼントを製作したり、ふれあって遊べたりするようなアイデアを取り入れるとよいかもしれません。
今回紹介した過ごし方を参考にしながら、お家の人といっしょにファミリーデーを楽しめるとよいですね。