保護者の方とのコミュニケーションを大切にするうえで、重要な「保育園の連絡帳」。保育士さんの中には、「書き出しがわからない」、「文章が上手くまとめられない」など書き方に対して不安を感じることもあるでしょう。このコラムでは、保育園の連絡帳を書くポイントや年齢別、ケース別の例文などを紹介します。
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■目次
保育園での連絡帳が必要な理由は?
保育園では子どもたちを預かるうえで、保護者との信頼関係を育むことが大切になります。
連絡帳は子どもの様子や体調、子育てに対する不安などの情報交換を行うもので、保育士と保護者にとって大切なコミュニケーションツールです。
仕事が多忙な保護者の方の中には、登降園時や参観時などに意思疎通が図れない場合もあるかもしれません。
連絡帳を通して子育てに対する不安や園への要望などを確認し、ともに子どもたちの成長を分かち合えるような関係を築きあげていきましょう。
また、保育士さんの中には「文章が上手く書けない」、「書き出しがわからない」など不安に思うこともあるかもしれません。
連絡帳の書き方のポイントや例文などを紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
保育園の連絡帳の書き方のポイント
5W1Hを意識して書く
連絡帳の文章を書く際は、ビジネスシーンでもよく使われる5W1Hを意識して作成すると書きやすいかもしれません。
5W1Hとは以下の内容のことを指します。
- いつ(When)
- どこで(Where)
- だれが(Who)
- なにを(What)
- なぜ(Why)
- どのように(HOW)
5W1Hを活用することで短文の場合もわかりやすく保護者に伝えることができるため、日頃の子どもたちの様子を伝えやすいでしょう。
例えば、「今日○○ちゃんは、砂場遊びをしていました。」と書いてしまうと、○○ちゃんがどのように砂場でどのように遊んでいたのかは保護者の方に伝わりにくくなります。
そのため、「今日○○ちゃんは、砂場遊びで水を流したり、穴を掘ったりすることに夢中になり、笑顔で楽しんでいました。」とより具体的に子どもの様子を伝えることで、保護者の方も情景をイメージしやすくなりそうです。
文章のまとめ方に迷う場合は、5W1Hを念頭におき、具体的に書くことを意識してみましょう。
子どもたちの様子を詳しく書く
保護者の方が連絡帳を確認するときは、「今日は保育園でどんなふうに過ごしたのかな?」、「何か困ったことはなかったのかな?」などと、我が子の様子を知りたいという気持ちで見ることが多いでしょう。
できるだけ子どもたちの様子を具体的に書くことを意識して、読み手の気持ちを考えながら記載するとよいかもしれません。
しかし、新人の保育士さんや働き始めの方は、保育活動を行うのに精いっぱいで、子ども同士のやり取りや興味のある遊びなどに気づかなかったりすることもあるでしょう。
その際は以下のような保育活動のシーン別に一定の子どもたちの様子を観察することで、エピソードを拾いやすくなりそうです。
- 登降園
- 自由保育
- 設定保育
- 給食
一日の活動をシーンごとに区切って子どもたちの様子を見守ると、「自由保育中に○○ちゃんは○○ちゃんと楽しく遊んでいたな」、「給食では○○くんが嫌いな食べ物を一生懸命食べていたな」と印象に残りやすいかもしれません。
保護者の心に寄り添って返事をする
連絡帳では保護者からの相談や子育てのアドバイスを求められることもあるでしょう。保育士さんはともに子どもの成長を見守るものとして、保護者の方の気持ちに寄り添った内容を記載するように心がけることが大切です
ときには、保護者から「ゆっくりご飯を食べるので、給食時間に食べ終われているのか心配です。」などすぐに解決できない悩みなどを問いかけられることもあるかもしれません。
その際は、「保育園でも○○ちゃんのペースを大切にしながら、適度に声をかけながら見守っていきます。」といった言葉を記載し、保護者の方と同じ気持ちで「見守っている」ということ返事の中に盛り込むとよいでしょう。
書く時のポイントを押さえたところで、次からは例文を紹介します。
【年齢別】保育園の連絡帳の書き方の例文
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特に0、1歳児など低年齢児の連絡帳の書き方に悩む人も多いかもしれません。
年齢別の例文を紹介します。
0歳児
例文1
今日は大好きなおもちゃがテーブルにあると、つかまり立ちをしようと頑張っていました。給食のときは、白いご飯をたくさん食べていたのですが、私にも食べさせようとしてくれて、かわいかったです。食べるふりをすると、笑顔でよろこんでくれました。
例文2
今日はお散歩したあとにホールで誕生日会がありました。前回は、ホールで大勢のお友だちがいてびっくりしていたものの、みんなの様子を見て手をパチパチしながら拍手の真似をしていました。これからも○○くんといっしょにお祝いの気持ちを大切に、楽しく誕生日会に参加できるように声かけをしていきたいと思います。
0歳児はハイハイやつかまり立ちなど成長が著しい時期でしょう。「挑戦していたこと」、「はじめてできたこと」などの様子を詳しく記載し、保護者の方とともに子どもの成長を見守りましょう。
1歳児
例文1
例文2
1歳児は繰り返し遊びが増えたり、自分の興味をもった遊びを何度もしてみたり遊びの幅が広がる時期かもしれません。
子どもの興味や発見を詳しく記入すると、保護者の方が保育活動中の子どもの様子をイメージしやすいでしょう。
【ケース別】保育園の連絡帳の書き方の例文
次に、ケース別の保育園の連絡帳の書き方について例文を紹介します。
登園初日
例文1
担任の○○です。1年間どうぞよろしくお願いします。今日はお母さんと離れるのがさみしくて、朝から泣いていましたね。その後、15分ほど泣いていた○○くん。クラスに車のおもちゃがあることを知ると、一台一台丁寧に並べていて笑顔も見られました。まずは好きな遊びを通して少しずつ保育園に慣れていけるように、見守っていこうと思います。
例文2
登園初日は保護者の方も子どもたちも新しい環境中で不安になることも多いでしょう。連絡帳には、ありのままの子どもの様子を記載し、「園生活に慣れるまで共に歩んでいこう」という思いを共有できるとよいですね。
遊びのとき
例文1
段ボール遊びに興味津々の○○くん。いつもはおもちゃで遊ぶことが多かったのですが、寝転がってみたり、ハイハイしてみたり、積極的に遊んでいました!明日も段ボールでトンネルと作る予定なので、○○君が元気に安全に遊ぶことができるように配慮しながら、いっしょに楽しみたいと思います。
例文2
今日の外遊びでは、春を探しに出かけました。○○ちゃんは色鮮やかなチューリップやかわいいちょうちょを見て楽しんでいました。ちょうちょが目の前にとまると、びっくりして泣き出していましたが、すぐに泣き止んで友だちと葉っぱ集めに夢中になっていました。
連絡帳に子どもたちの遊びの様子を伝えるときは、興味をもったものや季節にちなんだ活動などを織り交ぜながら伝えると書きやすいでしょう。
友だちと上手くいかなかったとき
例文1
いつも仲がよい○○くんと○○くんですが、朝からおもちゃの取り合いになり、ケンカをしていました。保育士が間に入って、お互いの話を聞くと2人とも泣いていましたが、そのあと「ごめんね」と仲直り。自分の気持ちを友だちに表現できるというのも大切ですね。
例文2
今日はおままごとの役割について話していた○○ちゃんと○○ちゃん。「お姉ちゃんがいい!」と2人の意見がぶつかり、けんかになりました。2人をそっと見守っていると、「じゃあ、お姉ちゃんと妹で」と決着がついた様子でした。2人でちゃんと話し合って仲直りできているのを見ると成長を感じました!
子どもたちは、友だちと上手くいかなかったときには帰宅した後に保護者の方に相談することも多いかもしれません。「子どもの話だけでは状況がわからない」と不安になる方もいるでしょう。
連絡帳に内容を詳しく記載することで、「先生が見守ってくれている」という安心感につながるとよいですね。
怪我をしたとき
例文1
今日はホールで○○くんと○○くんが掴み合いになり、左腕にかみつきがありました。氷で冷やしましたが、赤くなっています。私たちの配慮不足しており、痛い思いをさせてしまい大変申し訳ありませんでした。今後このようなことが起こらないように、子どもたちを見守っていきたいと考えています。
例文2
今日○○公園に遊びに行ったときに転んで膝をすりむきました。傷口を洗い、消毒して、絆創膏を貼っています。配慮が足りず、申し訳ありませんでした。ご家庭でも様子を診てあげてください。また変わったことあればいつでもご連絡お待ちしています。今後このようなことが起こらないように身を引き締めて子どもたちを見守りたいと思います。
ケガの小さい大きいに関わらず、保護者の方には状況や応対をきちんと伝えるようにしましょう。連絡帳では謝罪の気持ちが伝わらないこともあるので、直接電話や登降時に挨拶することが大切です。
【書き出しや書き終わり別】保育園の連絡帳の書き方の例文
連絡帳の書き出しや書き終わりの例文を紹介します。
書き出し
「活動」の話から始める
- 今日は天気がよいのでお散歩に出かけた○○くん。お花を見るとにっこりとして、花びらを触っていました。
- 今日はホールでゲームをしたときに、ボールをめがけて一生懸命ハイハイをしていました。
「友だち」との関わりから始める
- 今日は朝から○○ちゃんとホールで追いかけっこをして盛り上がっていました。
- 「今日は○○ちゃんが泣いていると、頭をよしよししてくれていた○○くん。
「体調の様子」から始める
- 今日は朝から少し鼻水が出ていました。皮膚が荒れないように濡れティッシュで鼻を拭いていましたが、ご家庭でも発熱などがないか様子を見てみてください。
- 今日は食事の時間に咳こんでポテトを少量吐いてしまいました。その後は元気に遊んでいたのですが、体調の変化がないかご家庭での様子を見ていただければと思います。
書き終わり
「保護者への気遣い」で締めくくる
- 体調面やお子さんの変化で不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
- 先日はご家庭での様子を教えてくださり、ありがとうございます。イヤイヤ期はお子さんの成長の証でもありますので、ともに○○くんのペースを大切にして見守っていきましょう。
「子どもの様子」で締めくくる
- 給食中に好きなくだものを教えてくれました。くだものの名前をたくさん知っていておどろきました!「すいかはたねがとるのがいや」と大人のような口調で言っていたのには笑ってしまいました。
- ○○ちゃんが今日おままごとで「いってきます。ご飯用意しておいてね」とお父さんになりきっていました。最近はおままごとが大好きでお父さんの役を引き受けることが多いみたいです。
保護者が読みやすい保育園の連絡帳を書こう
連絡帳は保護者の方と子どもの成長を見守るうえで大切なものです。登園初日や休み明けは、不安なことも多いため、コメントに対しての返事などは気遣いの言葉を添えるとよさそうですね。
また、「毎日同じような文章になってしまう」、「まとめ方がわからない」など書くことに不安を感じる場合もあるでしょう。
先輩保育士さんの連絡帳を参考にしたり、インターネットで情報を探したりすると、どのような視点で書けばよいのかヒントが隠されているかもしれません。
特に0歳児は子育てのブログや育児日記などには、保護者から見た子どもの様子が詳しく書かれているものも多く、参考になりそうです。
連絡帳が大切なコミュニケーションの場であることを意識して、少しずつ経験を積みながら作成していきましょう。