再就職手当について知りたい保育士さんもいるでしょう。スムーズに手当を受け取るために、これから復職を検討している方は、受給できる条件やもらえないケースなどを押さえておくとよいですね。今回は、再就職手当とはどのようなものか解説します。また、受給するための条件や支給額の計算方法についてもまとめました。
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再就職手当とは?
保育士さんが復職する際に受け取れる再就職手当。
失業中の方に支給される基本手当(雇用保険)を受給していた方が受給できる手当ですが、具体的にどういったものなのでしょうか。
まずは、再就職手当の概要や目的について見ていきましょう。
概要
失業中の方が再就職すると、基本手当を受け取れなくなる代わりに「再就職手当」と呼ばれるものが支給される場合があります。
再就職手当とは、基本手当の受給中に新たな職業に就いたり、事業を始めたりした際に支給される手当です。
再就職手当は、早期に再就職するほど給付率が高くなる仕組みで、正社員だけでなくパートやアルバイトとして勤務する保育士さんにも受給資格があります。
基本手当を全額受け取っていなくても、新たな職場が早めに決まれば給料が支給されながら再就職手当も受け取ることが可能なようです。
目的
再就職手当は、受け取れる期間を定めることで、求職者が速やかに新たな職場を見つけて働くことを促す目的があります。
また、離職した方の再就職率を高める目的もあるようです。
保育士が再就職手当をもらうための条件
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保育士さんが再就職手当をもらうためには、以下の条件を満たす必要があります。
くわしく見ていきましょう。
基本手当(雇用保険)の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上である
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていれば、再就職手当の受給対象です。
そのため、基本手当をほとんど受給してから再就職した場合、受け取れない可能性があることに留意しましょう。
待期期間が満了した後に就職している
基本手当には、受給手続きの後に7日間の待期期間が設けられており、待期期間が過ぎた後に就職した場合再就職手当の受給の対象になります。
一方、待機期間中に再就職すると手当を受け取ることはできません。
離職理由による給付制限を受けた場合、待期満了後1カ月間においては公共職業安定所(ハローワーク)または許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職している
離職の理由として、自己都合と会社都合の2種類があります。
解雇や倒産といった会社都合で離職した場合は、7日間の待機期間の後に再就職手当を受け取ることができます。
一方、結婚や転職などを理由に自己都合で離職した場合、求職の申し込みから待機期間の満了後1カ月間は公共職業安定所や特定の職業紹介事業所に紹介された職場に転職することで、再就職手当を受給できます。
新たな就職先で1年以上勤務することが確実である
再就職手当をもらえる条件として、新しい職場で1年以上働くことが前提となっていることが挙げられます。
そのため、派遣社員、契約社員、パート、アルバイトとして再就職する予定の方は、契約期間が1年未満だと手当をもらえないので注意しましょう。
離職前の事業主に再び雇用されていない
離職した職場の事業主が経営する保育園などに再就職しないことも、手当を受給するための条件です。
たとえ新たな職場の保育園の場所や名称が違っていても、経営元が同じ であれば手当を受け取ることができません。
求職申し込み前から採用が内定していた事業主に雇用されていない
求職の申し込みを行った日よりも前に内定先が決まっている場合は、基本手当を受け取る条件から外れてしまいます。
失業状態であり、基本手当を受給中に新たな職場で働くことで、再就職手当を受け取ることが可能です。
就職日前3年以内の就職について、再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていない
再就職手当や常用就職支度手当を3年間受け取っていないことも条件として挙げられます。
ちなみに常用就職支度手当とは、基本手当をもらっている最中に、障がいを抱えるなどして仕事をすることが困難になった方が転職した際に受け取れる手当です。
雇用保険に加入している
原則として、離職先で雇用保険に加入していれば基本手当を受け取ることができます。
雇用保険の被保険者になるには、週20時間以上働くことが条件。
再就職手当を受ける場合は、新たな転職先でも雇用保険の被保険者であることが必須です。
再就職手当を受給するためには、これら全ての条件を満たす必要があります。
再就職する際には、自分が受給対象者かどうか確認してみましょう。
出典:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~/厚生労働省
再就職手当の計算方法や受給の手続き
ここでは、再就職手当の受給金額の計算方法や、手続きの方法についてまとめました。
計算方法
再就職手当は一定の金額ではなく、基本手当が何日残っているのかなどによって変動します。
再就職手当がいくらもらえるのかは、以下の計算式に当てはめて算出してみましょう。
支給残日数×基本手当日額×給付率
支給残日数
支給残日数とは、再就職した日の前日までに基本手当を受給したうえで残っている基本手当を受け取れる日数です。
早期に再就職したほうが残日数が多くなるため、手当の支給額が高くなる仕組みになっています。
基本手当日額
基本手当日額とは、離職した方が1日に受給される雇用保険の金額です。
上限額が定められているので、計算する際には注意しましょう。
給付率
給付率はいつ再就職したのかによって変動します。
基本手当の支給残日数に応じて、以下のように定められています。
雇用保険の受給期間の残りの日数が3分の2以上…給付率70%
雇用保険の受給期間の残りの日数が3分の1以上…給付率60%
このように、いつ再就職したのかで給付率が異なり、支給額に差が出てきます。
早めに再就職するほど支給額は多くなりますが、先ほど説明したように雇用保険の受給期間の残日数が3分の1未満であれば、受給の対象外となるので注意しましょう。
受給の手続き
再就職手当を受給するには、以下のような手続きが必要です。
1.再就職手当支給申請書を再就職先に提出して証明を受ける
2.再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証を公共職業安定所に提出する
なお、再就職手当の支給申請書は、就職した日の翌日から1カ月以内に提出することになっています。
再就職手当を受ける保育士さんが知っておきたいこと
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保育士さんが再就職手当を受ける際には、以下のことも知っておくとよいでしょう。
コロナによる給付日数の延長に関する特例がある
新型コロナウイルスの影響で、雇用保険の基本手当の給付日数を延長する措置がとられました。
離職日に応じて設けられた対象者に該当すれば、再就職手当の給付日数が30日または60日間延長されます。
緊急事態措置実施期間が修了した翌日から1年以内、または2022年10月1日までに基本手当の所定給付日数を受け終わる方が対象です。
地域により緊急事態措置実施期間が異なるため、詳細は公共職業安定所に確認してみるとよいでしょう。
就業促進定着手当を受けられる
就業促進定着手当は、早期再就職の促進を目的とした就職促進給付のひとつです。
再就職手当の支給を受けている方が再就職先に6カ月以上雇用され、再就職先での6カ月の賃金が離職前よりも低くなった場合に手当が支給される仕組みです。
基本手当の支給残日数の40%を上限として、低下した賃金の6カ月分がもらえるので、再就職の際には覚えておくとよいでしょう。
出典:新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例について/厚生労働省
保育士も受け取れる再就職手当について知っておこう
今回は、復職を検討している保育士さんに向けて、再就職手当について解説しました。
再就職手当とは、基本手当の受給中に再就職した際に支給される制度で、パートやアルバイトとして働く保育士さんにも受給資格があります。
基本手当を満額もらう前に早めに再就職するほど多く受け取れる仕組みで、いつ再就職したかによって金額が異なります。
なお、新たな職場の契約期間が1年未満だと支給されないなど、受給するためにはいくつかの条件が定められています。
保育士として再就職するときに備えて、再就職手当を受け取れる条件について押さえておきましょう。
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