母子生活支援施設とは?母子支援員の資格要件と保育士の仕事内容・給料を解説

    母子生活支援施設とは、児童福祉法第38条にもとづき、18歳未満の子どもとその母親が一緒に入所できる唯一の児童福祉施設です。全国205カ所に設置され、3,212世帯・児童5,291人が生活しています。入所理由の59.2%はDV(配偶者からの暴力)。保育士資格があれば「母子支援員」と「保育士」の2つの職種で働けます。本記事では、職員の種類と資格要件、仕事内容、1日の流れ、給料の目安、求人の探し方まで解説します。

    この記事でわかること
    • 母子が一緒に入所できる唯一の児童福祉施設。全国205カ所▼詳細
    • 保育士資格でなれるのは「母子支援員」と「保育士」の2職種▼詳細
    • 給料の目安と、数が少ない求人を見つける3つの方法▼詳細

    目次

    母子生活支援施設とは?母子が一緒に入所できる唯一の児童福祉施設

    母子生活支援施設とは、配偶者のない女性とその子どもを保護し、自立に向けた生活支援を行う児童福祉施設です。児童福祉法第38条に定められています。

    児童養護施設や乳児院と大きく異なるのは、母子が離れずに一緒に生活しながら支援を受けられる唯一の児童福祉施設だという点です。

    かつては「母子寮」という名称で住む場所を提供する施設でしたが、平成9年の児童福祉法改正で目的に自立支援が加わり、現在の名称に変更されました。

    対象は18歳未満の子どもとその母親

    入所の対象となるのは、児童(18歳未満)とその保護者である、配偶者のない女性またはこれに準ずる事情にある女性です。

    ただし子どもが満20歳に達するまで、引き続き在所できるとされています。

    入所は本人が施設に直接申し込むのではなく、福祉事務所を通じて保護が行われる仕組みです。所管はこども家庭庁です。

    入所理由の59.2%はDV。施設の現況を数字で見る

    母子生活支援施設の現況
    (令和6年3月末現在)
    施設数 205カ所
    定員 4,241世帯
    現員 3,212世帯(児童5,291人)
    入所理由が配偶者からの暴力 59.2%
    出典:社会的養護の施設等について/こども家庭庁をもとに作成

    近年は入所者の約6割がDV被害を理由に入所しています。加えて、障がいを抱えた母子の利用も増加傾向にあります。

    そのため、住む場所を提供するだけの施設ではなく、保護と自立支援の両方を担う専門的な支援施設へと役割が変化しています。

    支援の柱は「保護・保育・就労」の3つ

    • 緊急一時保護/住む場所を失った母子に一時的に居室を提供し、今後の生活の相談に応じます
    • 保育サービスの提供/保育所に入所できない就学前のこどもを対象に、母親の勤務時間に合わせた保育を行います
    • 就労支援/母親の経済的自立に向けて、資格取得やハローワークの求人情報の提供などを行います

    施設には各世帯の居室のほか、集会室や学習室が設けられています。

    職員はそれぞれの専門分野を担当し、自立支援計画にもとづいてチームで支援を進めるのが基本的な進め方です。

     
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    母子生活支援施設で働く6つの職種と資格要件

    母子生活支援施設の職員kapinon / stock.adobe.com

    母子生活支援施設には、専門分野の異なる職員が配置されています。

    全国の母子生活支援施設で働く職員は2,076人(常勤換算)。1施設あたり約10人という小規模な組織です。

    まずは職種と資格要件を一覧で確認しましょう。

    母子生活支援施設の職種と資格要件
    職種 主な役割 保育士資格で就ける?
    母子支援員 自立支援計画にもとづく相談支援 ◎保育士資格が要件のひとつ
    少年指導員 こどもの生活・学習指導、施設内事務 ◎保育士資格が要件のひとつ
    保育士 施設内での補完保育 ◎保育士資格が必須
    施設長 人事・労務、自立支援計画の策定 △実務経験3年以上などが必要
    心理療法担当職員 母子への心理療法 △心理学系の学歴要件あり
    調理員 施設内保育での食事提供 △外部委託の場合は配置なし

    母子支援員|資格要件は3つのいずれか

    母子支援員は、自立支援計画のもとで母子に寄り添い、相談支援を全面的に担う職種です。全国に658人(常勤換算)が配置されています。

    母子支援員になるには、次のいずれかを満たす必要があります。

    • 保育士・社会福祉士・精神保健福祉士のいずれかの資格を持っている
    • 都道府県指定の児童福祉施設職員養成学校、またはその他の養成施設を卒業している
    • 高校卒業(または通常課程12年の学校教育修了)後、児童福祉事業に2年以上従事している

    つまり保育士資格を持っていれば、それだけで母子支援員の資格要件を満たします。

    追加の研修や試験は必要ありません。

    少年指導員|要件は母子支援員と同じ

    少年指導員は、入所しているこどもに対して生活面や学習面の指導を行うほか、施設内の事務も兼務する職種です。

    資格要件は母子支援員と同じなので、保育士資格があれば就くことができます

    学童保育に近い関わり方をする職種で、放課後の宿題のサポートや行事の企画などを担当します。

    保育士の配置:乳幼児30人につき1人

    保育所に準ずる設備を設けている施設では、乳幼児30人につき1人以上の保育士配置が定められています。

    担当するのは施設内での補完保育です。具体的には、次のような場面で保育を行います。

    • こどもが通う保育施設が休みの日
    • 体調不良などで通園できない日
    • 母親の勤務時間が早朝・夜間にかかる場合

    そのほか、母親からの育児相談に応じることもあります。

    施設長・心理療法担当職員・調理員

    施設長は施設の責任者として人事や労務のマネジメントを担い、自立支援計画の策定にも関わります。

    要件は、医師で精神保健もしくは小児保健の学識経験者であること、社会福祉士であること、母子生活支援施設での実務経験が3年以上あること、都道府県知事が認めた業務の実務経験が3年以上あることのいずれかです。

    心理療法担当職員は、母子支援員や少年指導員と連携して入所中の母子に心理療法を実施します。

    このほか、個別対応職員や自立支援担当職員を配置している施設もあります。

    調理員は施設内保育を実施する施設で栄養バランスのとれた食事を提供しますが、調理業務を外部委託している施設では配置されません。

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    保育士資格でなれる!2職種の仕事内容と1日の流れ

    子どもと遊ぶ保育士maroke/stock.adobe.com / stock.adobe.com

    保育士資格を持つ方が母子生活支援施設で働く場合、選べるのは「母子支援員」と「保育士」の2つです(少年指導員を含めると3つ)。

    どちらを選ぶかで仕事の中身は大きく変わります。

    母子支援員として働く場合

    母子支援員の仕事は、こどもだけでなく母親も支援の対象になる点が最大の特徴です。

    • 母親への支援/就労相談、家計や手続きの助言、health面の相談、関係機関への同行
    • こどもへの支援/保育、学習指導、進路相談
    • 世帯への支援/自立支援計画の作成と見直し、退所後のアフターケア

    保育の経験がそのまま活きるのは、こどもの発達を見る目と、保護者と信頼関係を築く力です。

    一方で、DVや経済的困窮といった保育園では扱わない課題に向き合うため、福祉制度の知識は入職後に学んでいく必要があります。

    保育士として働く場合

    保育士として採用される場合、業務は施設内の補完保育が中心です。

    一般的な保育園と比べると、次の違いがあります。

    • クラス担任を持たない/日によって預かるこどもと人数が変わります
    • 行事や製作の負担が少ない/発表会や運動会のような大規模行事は基本的にありません
    • 0歳から就学前まで幅広い年齢を見る/少人数の異年齢保育に近い形になります

    「こどもと関わる仕事は続けたいけれど、担任や行事の負担を減らしたい」という方には合いやすい働き方です。

    保育園との3つの違い

    保育園と母子生活支援施設の違い
      保育園 母子生活支援施設
    支援の対象 こども(保護者対応は付随) 母親とこどもの世帯
    こどもとの
    関わり方
    クラス担任として日中を担当 必要な日に必要な時間だけ保育
    勤務体制 早番・遅番のシフト制 シフト制+宿直がある施設も

    とくに押さえておきたいのが3つ目の勤務体制です。

    母子生活支援施設は入所者が施設内で生活しているため、夜間の緊急対応に備えて宿直を置く施設があります。宿直手当がつく一方、生活リズムへの影響は事前に確認しておきたいところです。

    1日の流れ(日勤の一例)

    母子支援員の1日(例)
    時間 業務内容
    9:00 出勤・夜勤者からの引き継ぎ・当日の面談予定を確認
    10:00 母親との個別面談(就労相談・手続きの助言)
    11:30 関係機関への同行支援、または記録の作成
    12:30 休憩
    14:00 自立支援計画の見直し・ケース会議
    15:30 こどもの帰宅対応・学習サポート・遊びの見守り
    17:30 記録の入力・遅番への引き継ぎ
    18:00 退勤

    ※施設の体制によって時間帯や業務内容は異なります。上記は日勤の一例です。

    保育園と違い、面談と記録の時間が業務の中心を占めるのが特徴です。

    その分、こどもと過ごす時間は保育園より短くなります。ここは応募前に納得しておきたいポイントですね。

    あなたに合っている?
    働き方の見直しチェック

    下記のうち、当てはまる項目はありますか?

    こどもと関わる仕事は続けたいが、担任や行事の負担を減らしたい
    保護者支援や相談援助にやりがいを感じたことがある
    保育園以外で保育士資格を活かせる職場を調べたことがある
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      母子生活支援施設の給料の目安と求人の探し方

      母子支援員や少年指導員に限定した公的な賃金統計は存在しません。

      そこで、厚生労働省の基幹統計から給与水準を推し測る3つの基準値を押さえておきましょう。

      給与をイメージできる公的データ

      給与水準を考える3つの基準値
      保育士の平均年収 427万6,000円
      保育士の求人賃金(令和8年3月・月額) 23万9,000円
      「医療,福祉」正社員の所定内給与(月額) 32万5,500円

      ※所定内給与額は残業代・賞与を含まない月額です。

      母子生活支援施設を運営する法人は「医療,福祉」に分類されます。同産業の正社員の所定内給与は32万5,500円で、全産業の正社員平均(35万8,800円)の約9割という水準です。

      加えて母子生活支援施設には、宿直手当や夜間対応の手当がつく施設があります。基本給だけでなく手当を含めた総額で比較することが大切です。

      求人が少ない理由と、探すための3つの方法

      母子生活支援施設の求人は、保育園に比べて圧倒的に数が少ないのが実情です。

      施設数が全国205カ所しかなく、1施設あたりの職員も約10人。欠員が出たタイミングでしか募集が発生しないためです。

      そのため、次の3つを並行して進めるのが現実的です。

      ❶転職エージェントに希望を伝えて登録しておく❷母子生活支援施設を運営する法人の採用ページを直接チェックする❸公立施設なら自治体の会計年度任用職員の募集も確認する

      「母子生活支援施設の求人が出たら教えてほしい」と先に伝えておけば、募集が出た段階で情報が届きます。

      応募前に確認したい6項目

      • 宿直の有無と回数、宿直手当の金額
      • 採用される職種(母子支援員・少年指導員・保育士のどれか)
      • 入職後の研修体制と、福祉制度を学べる機会
      • 1施設あたりの職員数と、ひとりが担当する世帯数
      • 記録・事務作業を勤務時間内に終えられるか
      • 運営法人が他にどんな施設を持っているか(異動先の選択肢)

      とくに宿直の条件などは、求人票だけでは判断しづらい項目といえそうです。

      保育士バンク!では、専任のキャリアアドバイザーが法人と直接やり取りしているため、聞きづらい勤務条件の確認を保育士さんの代わりに行えます気になる条件があれば気軽に相談してみてくださいね!

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      母子生活支援施設についてのQ&A

      Q. 母子支援員になるには資格が必要?

      A. 保育士資格があれば要件を満たします。

      母子支援員の要件は、①保育士・社会福祉士・精神保健福祉士のいずれかの資格を持つ、②都道府県指定の児童福祉施設職員養成学校などを卒業している、③高校卒業後に児童福祉事業で2年以上従事している、のいずれかです。

      保育士資格を持っていれば①に該当するため、追加の研修や試験は必要ありません。

      Q. 「母子支援員」という資格試験はある?

      A. ありません。任用資格です。

      母子支援員は、一定の要件を満たす人が母子生活支援施設に配置されたときに名乗る「任用資格」です。試験や登録の手続きはありません。そのため、保育士資格があれば応募の時点で要件を満たしていることになります。

      Q. 母子生活支援施設で働くには何から始めればいい?

      A. まず求人を探すところからで大丈夫です。

      保育士資格があれば、母子支援員・少年指導員・保育士のいずれの職種にも応募できます。事前に取得しておくべき資格はありません。ただし全国205カ所しかなく求人数が限られるため、エージェントに希望を伝えて情報を待つ方法が現実的です。

      Q. 保育士と母子支援員、どちらで応募するのがいい?

      A. 母親も支援したいなら母子支援員、保育に専念したいなら保育士です。

      母子支援員は母親の就労相談や手続きの助言まで担うため、支援の幅が広くなります。面談と記録が業務の中心です。保育士は施設内の補完保育が中心で、クラス担任や大規模行事がない点が保育園との違いです。

      Q. 夜勤や宿直はある?

      A. 宿直を置いている施設があります。

      入所している母子が施設内で生活しているため、夜間の緊急対応に備えて宿直体制を取る施設があります。宿直手当が支給される一方、生活リズムへの影響もあるため、回数と手当額は応募前に必ず確認しましょう。

      Q. 保育園と比べて給料は高い?

      A. 一概には言えません。手当を含めた総額で比べましょう。

      母子支援員に限定した公的統計はありませんが、「医療,福祉」の正社員の所定内給与は月32万5,500円、保育士の平均年収は427万6,000円です。母子生活支援施設では宿直手当などが加わる場合があるため、基本給だけで判断せず総額で比較するのがおすすめです。

      Q. 保育の経験は活かせる?

      A. こどもの発達を見る目と保護者対応の経験が直接活きます。

      0歳から就学前までのこどもを預かるため、月齢ごとの発達の見立てはそのまま役立ちます。また、保護者と信頼関係を築いてきた経験は、母親への相談支援でもっとも重要なスキルです。DVや生活困窮など福祉制度の知識は、入職後に学んでいけます。

      Q. 施設長を目指すことはできる?

      A. 実務経験3年以上で要件を満たせます。

      施設長の要件のひとつが「母子生活支援施設で職員として勤務した実務経験が3年以上」です。1施設あたりの職員が約10人という小規模組織なので、ポストへの距離は比較的近いといえます。

      Q. 転職サービスに登録したら、今の園にバレたりしない?

      A. バレません。あなたの許可なく、今の勤務先に情報が共有されることは一切ありません。

      保育士バンク!では「在職中」と伝えておけば、連絡のタイミングや方法(LINEのみ・夜間のみなど)にもしっかり配慮してもらえます。「バレたらどうしよう」という不安を抱える必要はないので、安心して自分のペースで転職活動できますよ!

      Q. まだ転職するか決めていないけど、相談だけでも大丈夫?

      A. もちろん大丈夫です。

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      母子生活支援施設は保育士資格を活かせる職場

      母子生活支援施設は、母子が一緒に生活しながら支援を受けられる唯一の児童福祉施設です。

      保育士資格があれば、母子支援員・少年指導員・保育士のいずれの職種にも応募できます。追加の資格取得は必要ありません。

      クラス担任や大規模行事の負担がなく、これまでの保育経験と保護者対応の力をそのまま活かせる職場です。

      一方で、宿直の有無や担当世帯数といった勤務条件は施設ごとに大きく異なります。

      保育士バンク!では、児童養護施設企業内保育所など、保育士資格を活かせる職場の求人を幅広く取り扱っています。

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      出典:母子生活支援施設/内閣府男女共同参画局出典:社会的養護の施設等について/こども家庭庁出典:改正児童福祉法、困難な問題を抱える女性支援新法のもとで、母子生活支援施設が果たす役割と機能、および課題/こども家庭庁出典:令和6(2024)年社会福祉施設等調査の概況/厚生労働省出典:保育士/厚生労働省jobtag出典:令和7年賃金構造基本統計調査の概況/厚生労働省 

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