Q.そろそろキャリアも中堅。主任を目指すべきでしょうか?
保育歴も10年を超えてくると、給与面やキャリアを考えると、主任や園長を目指した方がいいのでは、そんな思いがあります。一方で、主任や園長になると、子どもと直接触れ合うことは減ってしまう。将来のためにも、どのように考えるべきでしょうか?
A.管理職になっても、子どもと触れ合う方法はいくらでもあります!
30歳で園長に。周囲に助けて!と言える大切さを知りました
主任や園長を目指したい、けれど子どもと触れ合う機会が減ってしまうのは寂しいな…というお気持ち、ということでよろしいでしょうか?
私は30歳で園長に抜擢されました。その時の正直な気持ちを言いますと…「担任を持てないのは寂しいな…でも、給料は前より沢山もらえるかな?」でした。(笑)その後、そんな気持ちはどちらも全く出てくることはなく、園長業務に四苦八苦します。初めは「大変」「しんどい」「どうしよう」「誰か助けて〜〜〜」という感じでした。そこで、実際に助けてもらいました。職員の皆さんに。「助けて」と言えることの本当の大切さを、この時学んだように思います。次に「園長が楽しくなかったら先生たちが楽しいハズがない!」という思いに行きつきました。つまり、「子どもが楽しむためには、まず、先生たちが楽しむこと」この仕組みです。そうですよね?
園長になってからも、子どもたちとたくさん触れ合いました
私は子どもたちと遊ぶこと、触れ合うことが大好きです。ですから園長になっても、いっぱい!子どもたちと触れ合いました。朝は30分早く出勤して、各クラスを時間をかけてまわり、一人ひとりの子どもと必ず挨拶をし、乳児さんは抱っこしました。おやつの時間をどこかのクラスで手伝いました。その後一時保育の部屋へ行き、泣いている子がいれば、しばらく保育を手伝います。(いなくても結構な時間を一時保育室で過ごす)これらは、自分が子どもといたいから(笑)ということと、子どもに安心してもらうことの両方の目的です。おかげで病気やケガなど、子どもが一番不安になる時に、安心して私に身を任せてくれる「絆」ができるのです。
主任と交互に保育を手伝い、事務作業の時間も作れる工夫!
主活動にも進んでお手伝いに入りました。散歩、絵具あそび、プール、そしてクッキングなど、人手が余分に欲しい時、園長か主任、どちらかがお手伝いに入ります。フリーの先生もいましたが、代わりばんこに保育に入り、職員室に残る先生が事務仕事を進める時間にしていました。これは、保育士からしても事務仕事を保育時間中にできるナイスアイディアで、次第に主任が午後から保育に入り、担任の先生は職員室でお仕事、という日を作ったりしました。そして夕方はなるべく園内をウロウロして保護者の方とコミュニケーションしました。
管理職になっても、子どもと関わる方法はいくらでもある!
いかがですか?子どもと触れ合う機会が減って寂しそうですか?
要は、やり方はいくらでもある、ということです。今、私は研修講師として各園の園長先生や主任さんにも研修をしていますが、給食は必ずどこかのクラスで食べるようにしている、職員室で毎日3人ずつ給食を食べる子がいる(順番で。子どもたちも楽しみにしているそうです)、夕方には絵本を読みにいくようにしているなど、みなさんそれぞれ工夫しておられ、そんな園長たちのお話を聞くのはとても楽しいです。
自分がどうなりたいかを見つめなおそう!
園長はこうあるべき、主任はこうあるべき、それは誰が決めたことですか?
人は、自分のことを自分で決めます。ある意味、他人には決められないのです。主任や園長を目指すのも、誰かに決めてもらうことではなく、自分がどうしたいか、何をやりたいか、です。
(人事で命令されて、なったとしても、引き受けると決めるのは自分です)
どんな主任になり、園長になるのかも、同じです。自分が目指す保育を実現する。この基本はどのポジションの職員でも同じです。そして、まず自分が楽しむ。この基本も同じです。管理職を目指すもよし、目指さないのもよし。あなたが、何を目指していて、そのためには、どのポジションでいたいのか。そこを見つめなおしてみましょう。私は、園長先生になって、と〜〜〜っても楽しかったですよ!!
※この連載では、現役の保育士の皆さんからのお悩みを募集しています。
こちら(info@hoikushibank.jp)まで、保育士お悩み相談と明記の上、お送りください。
プロフィール
内田淑佳(うちだよしか)
一般社団法人そだち 代表理事。心理カウンセラ―。
保育士、認可保育園の園長などを経て、一般社団法人を立ち上げ、子育て支援、保育運営サポート、研修講師を数多く務める。
カウンセラーとしてメンタルサポートの仕事に取り組みつつ、現役の保育士、保育教諭から主任・園長などの管理職、資格取得を目指して勉強中の人、潜在保育士などに向けて、保育の仕事の素晴らしさや、保育をする上で大切なことを伝え続けている。
ウェブサイト https://www.sodachi.net/