スポーツ・食欲・読書の秋と言われるように、秋という季節には保育に取り入れられるものがたくさんありますね。木々の葉っぱの色が黄色や赤に変わり、セミの声が鈴虫の声に変わり、そしてさまざまな食べものの収穫の時期ですよね。今回は、子どもたちの好きな折り紙を通じて楽しめるアイデアをまとめたので参考にしてみてくださいね。
折り紙を作るときのねらい
子どもにとっての折り紙は、集中力や想像力を養うのにとても役に立つ遊びです。そして、季節の特徴物をテーマに折り紙をすることで、子どもたちに季節を体感させることもできる良さがあります。
さらに、できあがった折り紙を使って次の活動に発展させていくこともできます。例えば、壁面や保育室内の装飾として、みんなの折り紙を合体させて大きな一つの作品を作ることもできますね。それにより、ひとりではできないことでもみんなで力を合わせればできること、子どもたち同士の協調性などを育てる場を作ることにもつながります。
また、作品を使ってごっこ遊びに発展させたり、折り紙作品を材料にさらに工作を作るなど、活動の幅が広く、子どもたちの可能性をより広げることができます。
折り紙の教え方
子どもたちに折り紙を教える際のポイントをまとめてみました。
折り方にストーリーを
折り紙の折り方をシンプルに教えていくのも良いのですが、子どもたちにとっては少し単純で飽きてしまうかもしれません。折る動作をするときに、いっしょにストーリーを加えながら教えてあげると、子どもたちの興味を引きつけやすいでしょう。
例えば、折り紙の端と端を合わせるように折るところでは「端っこの折り紙さんが、隣町の折り紙さんに会いに行きました」とお話ししながら折ってみたり、袋をひらくときに「ここに傘を作ってあげましょう」というのもよいでしょう。お絵描き歌のようなイメージですね。しっかりしたストーリーの関連性を考える必要はないので、簡単なもので大丈夫です。
特に「袋をひらいてつぶす」など、少し複雑な工程にストーリーを添えてあげると、難しい折り方でも挫折せずに完成まで折れそうですね。
苦手な子への対応
折り紙がうまくいかないと、折るのを諦めて泣いてしまったり、折り紙に苦手意識を持ってしまう子どももいるかもしれません。折り紙が苦手な子のために、大きな画用紙を使って工程が分かりやすいようにして折ると、見本をマネしやすいかもしれません。また、折り紙の苦手な子を1つのテーブルに集めて教えるなどすると、子どもたちの様子も見やすく、サポートをしやすくなる環境づくりができます。
すでに苦手意識がある子には、折り紙を折るのではなく、完成した折り紙を使って工作をするなど、折り紙にふれさせることを意識してみるのもよいでしょう。お花の折り紙を使って、みんなでそれを集めてお花畑を作るようにして、壁面工作を作るのも一つのアイディアです。
早くできた子への対応
折り紙の得意・不得意や、こだわり度合い、集中できる時間の長短などによって、子ども一人ひとりが折り紙を完成させる早さは異なりますよね。できた後に遊べる工作なら「できたらこっちで遊びましょう」と声をかけて遊べる場所を作ってあげると、手持ち無沙汰にならず、まだできていない子へちょっかいを出すことも防げそうです。
遊べるものではない場合には、もう一つ違う色で作ることを促してみたり、アレンジ方法を教えて応用編を作らせてみるのもいいですね。下の章で完成した折り紙のアレンジアイディアを少し紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
折り紙の資格にチャレンジ
保育園でより折り紙の楽しさや技法を子どもたちに教えたい保育士さんは、「折紙講師」の資格を取得するのもよいでしょう。これは日本折紙協会が折り紙の普及活動の一つとして行っている資格制度で、日本折紙協会が発行しているテキストの100作品をマスターすると、折紙講師として認定されます。転職時のアピールポイントにもなりそうですね。通信講座や養成講座などもあるようなので、スキルアップしたい保育士さんはぜひ挑戦してみてくださいね。
秋の花の特徴
折り紙を折るのといっしょに、秋の植物について学んでみましょう。写真もいっしょに見せてあげてくださいね。
9月の花
9月に咲く花々の一つに、コスモスがあります。ピンクや白、黄色などの色があり、日当たりと風通しのよい場所であればどこでも育つ丈夫さを持っています。道路脇など、比較的いろいろな場所で見られることが多いです。花言葉は「調和」「謙虚」です。他にも、キンモクセイやリンドウなどがあります。
10月の花
10月に咲く花々の一つに、牡丹があります。「花の王様」とも表現され、重厚感があるのが特徴です。見た目はシャクヤクの花とも似ていますが、低い場所で茎の先に咲くシャクヤクに対して、牡丹は木に咲く花です。花言葉は「風格」「高貴」です。他にも、サザンカ、ゼラニウムなどがあります。
11月の花
11月に見られる植物の一つとして、イチョウがあります。秋にはきれいな黄色に染まるイチョウですが、1年中温暖な気候の下では葉が緑のままのようです。公園の並木道などでよく見られますね。花言葉は「荘厳」「長寿」です。他にも、カランコエ、葉牡丹などがあります。
実際に作ってみよう
特徴をふまえて、秋を題材にした折り紙を折ってみましょう。
9月 コスモス
秋のお花の代表である、コスモスの作り方です。ピンクや白など、みんなでいろいろな色の折り紙を使ってコスモスを作ってみましょう。作ったあとには、みんなの作品で壁面装飾を作ることで、次の活動へ展開させることもできますよ。
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10月 牡丹
木に咲くお花、牡丹の折り方です。仕上げにハサミを使ったりと、子どもたちにとっては少し難易度が高い折り紙ですが、その分本格的な牡丹を折り紙で表現することができますよ。先生の壁面装飾などの場面におすすめです。
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11月 いちょう
いちょうの葉を折り紙で折ってみましょう。中心の特徴的な切れ目や、葉脈の縦線も表現できる、本物そっくりの折り紙です。後半の工程が少し難しいので、これも先生の壁面装飾におすすめの折り紙かもしれません。
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さんま、くり、まつたけ
秋の味覚として代表的な、さんま、くり、まつたけを折り紙で作るアイディアです。秋の旬な食べものを学ぶことができますね。保育園での食育として給食と関連付けて、それぞれの味を知ってもらう、ということもできそうです。細かい工程もあるので適宜様子を見てあげてくださいね。
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紅葉アート
折り紙以外にも、秋の紅葉にまつわる工作を作ってみましょう。
ポンポンお絵描き
ガーゼと脱脂綿で作るタンポを使った工作です。ポンポンとスタンプのようにして簡単に色をつけられ、完成度の高さにかかわらずかわいらしい作品に仕上がるので、年少さんにおすすめですよ。絵の具を溶いたり、タンポを作るところは少し手伝ってあげましょう。
プリント遊び
枯れ葉と食品トレーを使って、枯れ葉のプリントマシーンを作ってみましょう。園庭や公園で拾った落ち葉のシルエットを、カラフルな色で画用紙にプリントすることができます。絵葉書などとして作るのもいいですね。同じ形がない落ち葉を使うことで、世界に一つだけのオリジナル絵葉書を作りましょう。
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折り紙を活かした工作
先に紹介した折り紙を材料に、次の工作へと展開してみましょう。
コスモス花束
作ったコスモスの花を応用して、花束を作ってみましょう。はじめに、画用紙を斜めに細くくるくるして茎を作ります。何本か茎を作ったら、先端に折り紙で作ったコスモスの花をテープで固定します。
束ねたお花を不織布やラッピングフィルムで包み、持ち手の部分をリボンで結んだら完成。かわいらしいコスモスのブーケができあがります。お花の高さがきれいにそろっていないくらいの方が、自然な花束の雰囲気がでそうです。
牡丹ロゼット
折り紙で作った牡丹を用いて、牡丹のロゼットにアレンジしてみましょう。細長くカットした色画用紙を用意したら、1cm間隔で蛇腹に折っていきます。そうしたら、色画用紙の端と端を合わせて円になるようにして、ホチキスでとめます。その上に折紙の牡丹を重ねて、裏からテープで牡丹を固定します。
Vの字に折ったリボンの先を飾り切りし、ロゼットの裏から貼りつけて、そこに両面テープを貼ったら完成です。リボンは、画用紙で代用してもOKですよ。
カラフルイチョウリース
細いハリガネやモールを使って、イチョウのリースを作ってみましょう。まず、細いハリガネを円形にして3重くらいになるようにカットします。次に、黄色や茶色、オレンジなどで作ったイチョウの折り紙にキリで穴をあけます。イチョウの穴にハリガネを通し、2カ所の端部分を近くのハリガネに固定して、イチョウの全体のバランスを整えたら完成。
秋らしいカラフルなイチョウの葉がたくさん飾られた、かわいいリースができあがります。イチョウの量を少なく調節すれば、花冠にもさらにアレンジできますよ。
秋ならではの折り紙を楽しもう
秋のものを題材にした折り紙工作の作り方や、折り紙の指導方法のアイディアについて解説してきました。秋の自然や食べものを楽しく学べる折り紙を活用しながら、子どもたちといっしょに気持ちのよい秋の季節を体感してみてください。
また、折り紙の指導についても、紹介したアイディアを応用して自分なりの教え方に発展させるのもよいでしょう。子どもも先生も楽しく過ごせる秋にしたいですね。