北海道唯一の政令指定都市である札幌市。そんな札幌市の保育施設に転職しようと考えている保育士さんもいるのではないでしょうか。しかし、実際に働くなら、事前にその地域の平均給与や年齢などを知っておきたいものですよね。今回は、札幌市を含む北海道の給与事情や保育士不足を解消するために行なっている取り組みなどを詳しく解説します。
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北海道の保育士の現状
まずは厚生労働省が発表した令和4年賃金構造基本統計調査をもとに、札幌市を含む北海道の保育士さんの労働時間や平均給与などを全国平均と比較してみましょう。
北海道 | 年齢(歳) | 勤続年数(年) | 労働時間(時間) | 給与 (万円) |
賞与 (万円) |
平均年収(万円) | 労働者数(人) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性保育士 | 41.4 | 21.4 | 160 | 31.97 | 117.15 | 500 | 170 |
女性保育士 | 41.0 | 12.1 | 169 | 25.48 | 77.67 | 383 | 8370 |
全国 | 年齢(歳) | 勤続年数(年) | 労働時間(時間) | 給与 (万円) |
賞与 (万円) |
平均年収(万円) | 労働者数(人) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性保育士 | 30.5 | 5.7 | 166 | 27.79 | 70.82 | 404 | 16320 |
女性保育士 | 38.6 | 8.3 | 167 | 26.61 | 71.23 | 390 | 267870 |
北海道の保育士の平均年齢
北海道の保育士さんの平均年齢は、男性が41.4歳、女性が41.0歳です。
全国の保育士さんの平均年齢は、男性が31.7歳、女性が39.2歳であるため、北海道では男女ともに全国平均よりもベテランの保育士さんが活躍していることがうかがえます。
北海道の保育士の平均勤続年数
北海道の保育士さんの平均勤続年数は、男性が21.4年、女性が12.1年です。
全国の保育士さんの平均勤続年数は、男性が6.5年、女性が8.9年であるため、北海道では男女ともに全国平均よりも長く働き続ける傾向にあることがわかります。
北海道の保育士の所定内労働時間(残業時間は除く)
北海道の保育士さんの月平均労働時間は、男性が160時間、女性が169時間です。
全国の男性保育士さんの月平均労働時間は、166時間、女性は167時間であるため、北海道の保育士さんは男性が全国平均よりも短く、女性が全国平均よりもやや長いといえるでしょう。
北海道の保育士の「決まって支給する現金給与額(給料)」
北海道の保育士さんの平均給料は、男性が31万9700円、女性が25万4800円です。
全国の保育士さんの平均給料は、男性が27万7900円、女性が26万6100円であるため、北海道では男性が全国平均を上回る一方、女性が全国平均を多少下回っていることがわかります。
北海道の保育士の年間賞与その他特別給与額
北海道の保育士さんの年間賞与は、男性が117万1500円、女性が77万6700円です。
全国の保育士さんの年間賞与は、男性が70万8200円、女性が71万2300円であるため、北海道では男性が全国平均よりもかなり多く、女性が全国平均よりわずかに多いようです。
北海道の保育士の平均年収
平均給料と賞与額をもとに平均年収を算出したところ、北海道の保育士さんの平均年収は男性が585万1700円、女性が383万4300円となりました。
全国の保育士さんの平均年収は男性が404万3000円、女性が390万5500円であるため、北海道の保育士さんは男性が全国平均よりもかなり上回っているものの、女性がやや下回っていることがわかります。
北海道の保育士の労働者数
北海道で働く保育士さんの労働者数は、男性が170人、女性が8370人です。
全国の保育士さんの人数は男性が1万6320人、女性が26万7870人であるため、北海道で働く保育士さんが全国に占める割合は男性が約1.04%、女性が約3.12%となります。
札幌市が実施する保育士向けの支援や取り組み
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2018年4月より6年連続で待機児童0人を維持していることからもわかるように、札幌市では、保育人材の確保支援に取り組みつつ、保育環境の整備を進めています。札幌市が実施している保育士さん向けの処遇改善や補助金などの取り組みを確認しておきましょう。
貸付事業
札幌市では、保育人材の確保に向けて3つの貸付事業を実施しています。
保育士修学資金貸付事業
保育士資格取得を目指して指定の保育士養成施設に通学する学生さんを対象に、学習に必要な資金を貸付ける事業です。
札幌市や札幌市に隣接する市町村にある養成施設に在学している学生さんを対象としており、最大2年間無利子で貸付を行ないます。
具体的には、月額5万円以内の貸付の他に、入学時や卒業時のみ、それぞれ20万円の準備金が貸付けられるのが特徴。
卒業後に保育士登録を行ない、札幌市内の保育施設において週20時間以上、5年間保育士として働けば、貸付金の返還が免除となるようです。
未就学児をもつ保育士に対する保育料の一部貸付
保育士として働き始める方に、就職に必要な準備金を貸付ける制度です。
これは、未就学児をもつ保育士さんのうち、新しく札幌市内で保育士として働き始める方や、産後休業・育児休業から復帰し、市内の保育施設で再び勤務を始める方を対象としています。
月額2万7000円を上限として保育料の半額が無利子で貸付けられ、札幌市内の保育所等で2年間、週20時間以上保育士として勤務を続ければ、返還が免除される仕組みです。
保育士就職準備金貸付
保育士として働き始める方に、就職に必要な準備金を貸付ける制度です。
具体的には、保育士資格を持ちながらも勤務経験がない方や現在離職している方のうち、期間内に対象の保育施設で保育士として週20時間以上の勤務を開始する方が対象となります。
1回に限り40万円以内が無利子で貸付けられ、札幌市内の保育施設で保育士として2年間、週20時間以上働いた場合返還が免除されることになっています。
補助金制度
札幌市では、保育士さんの離職防止や処遇改善を目的として3つの補助金制度を実施しています。
札幌市保育支援者配置補助事業
保育の周辺業務を担う保育補助者を雇う際にかかる費用の一部を補助する事業です。
補助金の交付対象は認可保育園などで、1施設あたり月10万円を上限とし、1人あたり月の勤務時間×450円が給付されます。
交付対象となるのは、保育園内の消毒や清掃、準備・後片付けなどの業務を担う「保育士資格をもたない支援者」です。
保育士さんに直接手当が支給されるわけではないものの、対象の施設に勤めれば、業務負担を軽減させながら働けるかもしれませんね。
札幌市潜在保育士短時間就労支援事業
保育園の開所・閉所時間帯にパートタイムで働く保育士さんを配置するためにかかる費用の一部を補助する事業です。主に、潜在保育士さんの再就職支援や常勤保育士さんの負担軽減などを目的として実施されています。
補助金が支給されるのは認可保育所や認定こども園などの一部施設で、保育経験がない方あるいは保育士として離職後半年以上経過した潜在保育士さんが交付対象です。
補助金は1人あたり、月の勤務時間×170円(2万円が上限)が月ごとに支給されます。交付対象の施設は潜在保育士さんの採用に前向きなことが考えられるので、潜在保育士さんにとって再就職を目指しやすいかもしれません。
また、潜在保育士さんではない方も、対象の園に勤めれば業務負担が少ない働き方を実現できそうですね。
札幌市保育人材確保に向けた一時金給付事業
保育士さんの離職防止や人材確保を目的として、市内の認可保育所等で保育士として働く方(採用から3・6・9年勤務を続けた方)に一時金として一律10万円を給付する事業です。
手当を受け取れるのは、認可保育所や認定こども園などの対象施設に勤める保育士さんのうち、以下に該当する方です。
- 雇用契約において、1日の労働時間が6時間以上、かつひと月につき20日以上と定められている
- 保育所で現在保育士として勤務し、その年の4月1日を基準としたときに同一の保育所等での勤続年数が、保育士としての正規採用日から数えて一時金の種類の区分を満たしている
※3年目:勤続3年以上4年未満/6年目:勤続6年以上7年未満/9年目:勤続9年以上10年未満
この処遇改善事業では、対象の保育施設で働き続ければ3年ごとに10万円を受け取れるので、保育士を続けるうえでのモチベーションになりそうですね。
保育のセミナーなど
札幌市では、潜在保育士の掘り起こしや次世代の育成のために、保育士向けの2つのセミナーを実施しています。
保育士職場復帰セミナー
札幌市は、保育士資格を持ちながら現在保育士として働いていない方を対象に、スムーズな職場復帰を支援するためのセミナーなどを開催しています。
保育業界の最新情報や技術を紹介するとともに、実際の保育現場での保育体験も実施しているようです。ブランクがある方や勤務経験がない方などが、就職への不安感を軽減させるのに役立ちそうですね。
札幌市高校生保育職場体験事業
札幌市は、市内に所在する高校に通う学生さんを対象に、保育現場を体験できる機会を1年に2回設けています。
学生さんにとっては、実際の現場に直接ふれることができる貴重な経験となるでしょう。また、保育士の道を目指すうえでのモチベーションアップにもつながるかもしれませんね。
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出典:保育所等入所待機児童の状況について/さっぽろ子育て情報サイト
出典:令和4年賃金構造基本統計調査/政府統計の総合窓口(e-Stat)
札幌市で保育士として働くことを考えてみよう
今回は、北海道の保育士事情や、札幌市が実施する保育士さん向けの手当や処遇改善制度について紹介しました。札幌市は、就職準備金の貸付や各種セミナーなどを実施して保育士さんの確保に努めています。
また、勤務年数ごとに手当を支給したり、慰労金を交付したりして、保育士さんが長く勤めたいと思うような環境作りにも力を入れていることがうかがえるでしょう。
雇用主側と労働者側の両方に向けた支援が充実している札幌市で、保育士として働くことを検討してみてはいかがでしょうか。
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