保育園の工作といえばお絵描きですね。子どもたちの絵を見ていると、毎回いろんな発見があって面白いという保育士さんも多いのでは?今回は、子どもたちの絵が成長段階によってどのような進化を遂げるのかをまとめます。これから保育士を目指す方や子どもと関わる仕事に就く方は参考にしてみてくださいね。
子どもの絵に関する知識を身につけましょう!
保育士として、子どもの絵に関する専門知識を持つことはとても大切。
しっかりとした知識を持つことで子どもたちや保護者の方へのアドバイスも的確にできるようになります。
自信を持ってお絵描き指導を行えるよう、勉強していきましょう!
成長段階によって進化する子どもの絵
まずは、子どもの絵が成長段階よってどのように進化していくのかをおさえておきましょう。
子どもの絵を分類すると大まかに1歳6ヵ月~2歳6ヵ月頃の「なぐり書き期」、2歳6ヵ月頃~4歳頃の「象徴期」、5歳~8歳頃の「図式期」の3つの段階に分かれると言われています。
今回は、この「象徴期」と「図式期」の二つについて詳しくお伝えします。
子どもの絵はこう進化する!象徴期
子どもの絵は、クレヨンなどで単純な点や線を描くという時期を超えると、次第に円や波形などを描くようになり、やがて「象徴期」と呼ばれる時期に突入します。
まずは「象徴期」についておさえていきましょう。
〇描いた物一つ一つに意味づけをする
象徴期になると、丸や渦巻きなどの図形を描くようになり、その一つ一つに、「これはママ」「でんしゃ」「りんご」などと意味づけをし始めます。
子どもの頭の中にあるイメージを象徴として図形で表現することからこの名前が付けられました。
〇図形から徐々に特徴を捉えた物を描き始める
そうしてお絵描きをするうちに、次第に丸や渦巻きの中に目や口、鼻、耳などを描くようになります。
胴体を省略した絵や髪がいっぱい生えた顔を描いたりします。
家族みんなの様子を描いたり、性別や特徴を表現しようとしていることがよくわかります。
さらに象徴期の後半になると胴体も描くようになったり、電車の車両や窓の形がしっかりわかる絵が描けるようになります。
車・人・家といった物の特徴をしっかり捉えて、描きたい物に合わせて色を使い分けられるようになってきます。
子どもの絵はこう進化する!図式期
最後に、5歳~8歳までの子どもの「図式期」についてまとめます。
図式期ではどのような変化が見られるでしょうか。
〇記号を使って紙の中に自分の想像の世界を作る
象徴期では、頭の中に浮かんだ順にそのまま並べて描いていましたが、5歳を過ぎると紙の上の方を「空」、下の方を「地面」と表現するようになり、自分だけの世界を作り出します。
丸に線が放射されて「太陽」、四角の上に三角が乗って「お家」というように絵記号を使って描くことから「図式期」と呼ばれています。
絵記号を使って描き方の概念を固めて行く、という行動は物を認識する心の発達に深く繋がっている大切な作業です。
〇性別の個性なども現れてくる
図式期の半ばを過ぎると、性別によって描きたい物も違ってきます。
男の子は乗り物やヒーロー、ロボットなど戦闘的な物、速い物、メカニックな物を好んで描くようになります。
女の子はお花やお姫様、動物などといったかわいい物、きれいな物、着飾った人などを描きます。
また、女の子の絵には女の子、男の子の絵には男の子というように同性の人間しか登場しないことも図式期の特徴です。
大人から見たら、絵記号を覚えて型にはまった描き方をしているように見える、と感じることもあるかもしれません。
だからといって描く対象を強要したり、無理に描き方に手出しをする必要はありません。
時折「この花はどんな形だったかな?」などと具体的に問いかけてみると、子どもはよく観察して、どうやって表現したらいいかを考えるようになります。
自分から描きたいと思った時に好きな物を描くようにすることが、子どものやる気を引き出したり、創造力の発達へと繋がるでしょう。
発達段階に沿い適切な絵の指導を!
子どもの発達段階に応じた絵の進化の過程についてお伝えしてきました。
絵の指導の基本は、見守ることです。
しかし、子どもが今どんな発達段階にあるのかを知っておくことは保育士としてとても大切なこと。
特に、図式期に入った子どもたちに対しては、時には保育士の声掛けがさらに子どもたち自身の内なる想像力を掻き立てることも。
のびのびとお絵描きを楽しませることを大前提として、保育士として子どもたちの表現力を磨くためにできることを考えていけたらいいですね。