就職活動をこれから迎える保育学生さんの中には、
「どんな条件で保育園を選べばいいのだろう?」
「新卒にピッタリな保育園ってどんな園なんだろう?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな学生さん向けに「新卒可」とか「新卒歓迎」と求人票に記載する保育園が増えています。
このコラムでは「新卒可」の園がどのような特徴の園なのか、保育学生さん向けの就活のアドバイスも交えて解説していきます。
「新卒可」「新卒歓迎」の求人とは?
まずは、「新卒可」の保育園がどのような特徴があるのか見てみましょう。
「新卒可」の園は、文字通り新しく社会人として就職する予定の学生を受け入れますよ、という園のことです。保育園側にとってもまだ現場を知らない新卒保育士を受け入れて指導するのは時間や手間がかかるもの。新卒可の保育園はそうした新卒保育士を受け入れる準備や体制ができている保育園といえるでしょう。
給与に関しては、学歴ごとに少し差があり、4年制大学卒業で18万円程度、短大・専門学校卒の場合は16万円程度が一般的なようです。これに各種手当が加算されたものが新卒保育士さんの給与になります。
保育士にとって重要な新卒期!
保育士にって新卒期はとても重要な時期だといえます。就活中の保育学生向けに、なぜ新卒期が重要なのか、まとめました。
学んできた知識を実践できる
学校を卒業してすぐに保育園で働き始めると、知識を実践に移すことができるという点で、保育士にとっては大きなメリットです。現場で学ぶべきこと、わかることはたくさんありますが、学校で学ぶ理論的な知識は、逆に現場に就職してしまうと、なかなか習得するのは難しいもの。例えば、子どもの発達に関する知識やアレルギー、保健医療に関する正確な知識などは、時間がたつと忘れやすくなってしまうものです。
だから、学校で学ぶ知識も、現場で働く上では必要となるものばかりです。
授業を通しての知識がまだ新しいうちに、現場での実践を通して学ぶことことで、その知識もより確かなものとして定着させることができますよ。
自身の保育士としての基礎を固める時期
新人の時期は保育士としての基礎を固める大切な時期です。現場で働き始めることで、保育士としての仕事を一から学ぶのがこの時期。子どものとの接し方はもちろん、あいさつなどの社会人としての基礎、書類の書き方までさまざまなことを学ぶことができます。新人、後輩として先輩の保育士にわからないことを質問したり、アドバイスをもらいやすいのもこの時期の特徴です。
柔軟に吸収できる新人時代、保育園選びは重要
新卒として働く保育園選びは重要です。まだ自身の保育観などが固まっていないため、保育の技術や保育観などさまざまなものを柔軟に吸収できるでしょう。園ごとに保育の理念や、園の雰囲気、保育の内容は大きく違うもの。新卒の時期に学んだものは、保育を見る際のものさしになり、のちの保育士としての保育観やキャリアに大きな影響を与えます。そのため、自身が納得できる保育を実践している園を選ぶことが重要になってきます。
保育学生の就職活動の実態は?
では、こうして新卒保育士を受け入れてくれる保育園がある一方で、保育学生の就職活動の実態はどのようになっているのでしょうか?
「保育士バンク!」が実施した新卒の就職活動に関するアンケート調査を見てみましょう。
就活時の応募先は少ない
保育業界の就職活動は一つずつ、園に申し込み、合否の判断が決まってから次に応募する「単願応募」が一般的になっています。実際にアンケートでは、約7割の保育士さんが1園のみにしか求人の応募をしていません。また、面接や応募をした園の数に関してもほぼ半数の保育士さんが1園しか応募・面接をしていませんでした。
新卒離職率が約7割
こうした単願応募が保育士にどんな影響を与えているのでしょうか。
例えば、まず約7割の保育士さんは新卒で入った保育園をやめています。そのうち3年以内に辞めてしまった保育士さんが全体の半数以上、1年以内に辞めてしまった保育士さんは27.8%と一定数を占めています。一つひとつの園しか見られないことや、あまりほかの園と比較しないで就職先を決めたしまった人が多く、結果として満足のいく働き方ができず、離職している方が多いという仮説が成り立ちます。
新卒だからこそ視野を広げて就活を
こうした就職活動の実態からわかるように、新卒の保育士と保育園とのミスマッチが起きているようです。
上述のように、新卒の時期は保育士としての基礎を固めるうえで大事な時期です。転職市場ではより経験のある保育士が求められることもあり、ハラスメントや勤務条件など職場環境に問題がない限り2~3年は勤めたいもの。気になる園を見学したり、リサーチの幅を広げることで、自身の希望の園を見つけてみてははいかがでしょうか?
新卒可の保育園で働くメリット
新卒の募集を積極的にしている保育園には、新卒保育士さん向けのメリットが多いのが特徴。ここではそうしたメリットに関して詳しく解説していきます。
研修制度が充実している園が多い!
新卒可の保育園での大きなメリットは研修制度が充実している園が多いということです。
新卒を歓迎している保育園では、現場で働いた経験がない学生の受け入れを前提としているため、研修制度を設けていることが一般的です。学生時代の実習を経験した方も多い一方、保育士として初めて働くのに不安はつきもの。こうした不安を解消するための学びの機会を設けてくれるのが研修制度です。
2016年度の全国保育協議会の調査によると、なんらかの研修制度を設けている園が、全体の約9割を占めます。園内で新人向けに研修会を行ったり、系列園の新人保育士が集まって研修を行う形式などその方法もさまざま。
近年では、メンター制度といって、先輩保育士が新人の指導担当になり、職務の相談やアドバイスをしてくれる制度を設ける園も増えてきています。
こうした、研修制度が充実している園で働くことで、保育士としての基礎をしっかり固めることのできるでしょう。
正社員の求人が多い!
正社員の求人が多いのも特徴の一つです。新卒を受け入れる保育園では、即戦力を募集というよりは、採用した保育士を育成して自身の園で長く働いてもらおうという園がほとんど。ですから、求人に関しても安定した正社員の求人が多いのが特徴です。正社員で働く場合には、安定した雇用のほかにも、福利厚生などの特典が受けられることもあり、長く働きやすい職場になっています。
新卒でも条件のいい求人が増えています
近年では保育園の中にも勤務条件を改善したり、独自の福利厚生を実施している保育園が増えています。近年の保育士不足の流れを受けて、保育士さんに長く勤めてほしいと考える保育園が増えていることが大きな理由です。
例えば、年間休日120日以上の園や宿舎借り上げ制度を実施して家賃の負担を軽減してくれる園、レジャー施設の優待割引制度を設けている園など、その内容もさまざま。
こうした、福利厚生を充実させている保育園でも新卒の募集をしている園も多く、新卒でも長く働くことができる園を見つけてみてはいかがでしょうか。
新卒可の求人は魅力がたくさん!
新卒可の求人は、研修制度を充実させるなど新卒の保育士さんにとって働きやすい職場環境となっています。その中でも、福利厚生を充実させるなど保育園側も保育士確保に積極的に乗り出しています。
一方、これから保育士として働き始める学生さんにとっても新卒として就職する保育園は自身の保育士としてのキャリアに関わる重要な選択になります。自身の理想の保育や勤務条件に合う保育園を見つけられるよう、視野を広く持って就職活動のリサーチ、園見学をしてみてはいかがでしょうか。