保育園では運営をサポートする「事務職・総合職」という職種があります。園によって正社員やパートなど雇用形態は異なりますが、経理や事務処理、保育士さんのシフト作成などさまざまな仕事を担う重要な役目です。今回のコラムでは、正社員として保育園で働く事務職・総合職の仕事内容、給与ややりがいなどを詳しく解説します。
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■目次
保育園の正社員・事務職(総合職)とは?
「事務職・総合職」とは、主に保育園の運営に関する事務や、運営全般を処理する職員のことです。必ず配置されるわけではなく、運営法人の方針によっては事務職員がいない場合もあります。
主な仕事は園の経理、財務、事務などの処理や、場合によっては人材採用なども担います。園長や主任など管理職の事務を引き受けることで保育に専念できるよう設置される場合が多いようです。園の裏方業務を一手に引き受ける、まさに「副園長」という感じの役職になっています。
保育園の正社員・事務職(総合職)はどんな仕事?
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事務、といってもその業務を想像するのは難しいですよね。仕事内容、勤務先、待遇についてまとめました。
保育園の事務仕事は…たくさんあります!
事務員の仕事は、施設によっても差はありますが、基本的に園の裏方業務全般といって差支えないでしょう。以下のような仕事が挙げられます。
- 書類作成
- 職員の勤怠管理
- シフト作成
- 経費精算
- 物品購入
- 補助金の申請
- 電話応対
- 職員採用に関する業務
- 入園案内等の広報活動
- 園内の清掃
- 運営法人との連絡
特に認可保育園は税金がもとになった給付金で運営されていることが多いため、市区町村などに対して、日常的にたくさんの書類を提出しなければなりません。
こうした書類業務はもちろん、園が円滑にまわるよう裏方としてのサポートを行います。保育に使用する物品購入といった庶務的な仕事から労務や経理、人事に関することまで、その仕事内容は幅広く、園の運営を支えています。
事務職として働ける職場
事務職として働ける職場としては、全国展開しているような大規模社会福祉法人や株式会社では、事務職員を置いているようです。
こうした園では運営の効率化のために、園長等の業務負担を減らす一方で、事務職員と法人本社との連携によってスムーズな運営を目指しています。また、法人本社の事務や経営企画の総合職として働くこともできます。
一方で、家族経営の園や地域密着型の園などの比較的小規模な法人でも募集している場合があります。こうした園では園長や代表がパソコンなどの情報機器の操作が苦手な場合など、園長の業務負担を軽くしたい場合に募集している場合があります。
ですが、まだまだ園長が事務を担当する園も多く、全国的に見て事務職の募集はあまり多くはないようです。
給与・福利厚生
給与は保育士と同じか、それより少し高い場合が多いでしょう。厚労省の調査によると2017年度時点で、保育所で働く事務職員の月給平均は、私立園の場合30万5728円、公立園の場合28万5565円となっています。
また、私立園の保育士の月給平均が26万2158円、公立園で27万9797円となっており、事務職員の平均のほうが保育士より少し高い傾向にあります。これは、事務職員数自体が少なくかったり、経理などの専門性が求められることが多いため給与を高めに設定している、同族経営で親族や配偶者を事務職として雇用している、などの理由が考えられます。
福利厚生に関しては、正職員であれば同じ園の保育士と同様の制度が利用できるでしょう。ただし、自治体が実施する宿舎借り上げ制度や給与上乗せに関しては、事務職員は原則適用外になるので注意が必要です。
出典:2017年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果について内閣府
保育園の正社員・事務職(総合職)になるためには?
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ここでは保育園の事務職員に求められる経験、スキルや資格について解説します。
事務職員になるにはどんな能力が必要?
事務処理能力
事務職員に求められるのは、さまざまな事務作業をこなす能力です。上述のように、事務職員には多くの仕事があります。毎日のルーティーンに加えて、書類など締め切りが決められているものもあり、こうした仕事に対して優先順位を決めて、ミスなく一つひとつ正確にこなしていく姿勢が求められるでしょう。
コミュニケーション能力
保育士と同様、コミュニケーション能力も必要です。園の職員と連携するのはもちろんのこと、電話での問い合わせやクレームに対応し、市役所の職員、本社がある場合は本社の担当者などと緊密にコミュニケーションをとる場面が多いです。事務職員がコミュニケーションをしっかりとることで、園の運営がスムーズに進んでいるといえるでしょう。
PCスキル
事務職員にPCスキルは必須といえるでしょう。園の日々の業務にもパソコンやタブレット端末の導入が進んでおり、書類作成やシフト管理などはパソコンなどの情報機器を使って行っている園が増えています。
他にも勤怠管理にタブレット端末を利用したり、園だよりをスマートフォンで配信する園もあります。そのため、パソコンなどの情報端末の使い方を一通り身に着けていることは園のさまざまな事務作業を担当する事務職員として、必須の条件となっています。
必要な資格
求人によっては保育士資格があると有利
施設の方針によっては保育士資格を持っていると、採用されやすい場合があります。事務職員の業務が少ない職場では、人手が足りない時に事務職員が保育補助として現場にヘルプに入る場合もあります。こうした際に事務職員が保育士資格を持っていると、保育補助のお仕事も安心して任せることができるため、採用の際にはアピールになるでしょう。
高度な専門性が求められる職場では簿記などの資格が必要
また、法人によっては事務職のスペシャリストを求めている場合もあります。こうした職場では、経理や労務の管理を任されることが多く、一定の資格を募集要件にしていることも。保育事務として長く働きたいと考えている方は、簿記など経営、財務、労務に関する専門資格を取っていると採用に有利になるでしょう。
保育園の正社員・事務職(総合職)のやりがいや苦労
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では、そんな事務職としては働く上でのやりがいや苦労にはどのようなものがあるのでしょうか?
保育園運営のサポートに徹する「縁の下の力持ち」
縁の下の力持ち、という言葉がぴったりなのが事務職のお仕事です。事務職のお仕事は裏方業務で地味なものが多いですが、どれも園の運営に欠かせないものです。
特に、園長や主任などが任されることが多い事務仕事を代わりに引き受けることになるので、その分園長や主任が保育に集中することができます。管理職も含めて職員が保育に専念できる環境や適切な園運営を支えているのが事務職です。
園の顔としての役割も
保育事務は保護者や地域の方に対する園の顔の役割も担当します。電話での応対はもちろん、入園説明会や保護者会などの説明もします。こうした際の印象は、保護者や子どもにとっての第一印象となるもの。
他にも、市の職員や本社職員との連携を通して、園の外部の人たちとの窓口となっています。コミュニケーションをとる機会が多いため、園の顔としてのやりがいを感じることのできる仕事といえるでしょう。
基本的には一般企業のデスクワークと変わらない
保育事務は、保育園にいるため子どもと関わる機会は比較的多い一方、業務内容は一般企業のデスクワークとそう変わりません。また、事務職は1園に1人が基本なので、他の保育士との関りはあるものの、その仕事もパソコンの向かい合っての作業が多くなります。
保育園で働くといっても、その業務量は企業の事務職とほぼ変わらないといえます。子どもと関わる時間を大切に考えている方は、事務職よりも保育士の方が向いているでしょう。
まだまだ多くない保育事務の求人をどう探す?
国の基準では、保育園の事務員は配置が義務付けられてはいません。そのため事務職員をおくことができるのは比較的に経営に余裕がある園であったり、管理職の負担を減らすような取り組みをしている園で、こうした園はまだまだ珍しいのが現状です
園ごとの採用人数も少ないですから、事務職の募集は全国的にも少なく、募集を見つけるのは難しいかもしれません。
探し方としては、例えば人手がたくさん必要になり、募集も増える3~4月など新園の開設時に合わせて求人を探す、といった方法が有効でしょう。
保育園の正社員・事務職(総合職)への転職を考えてみよう
保育事務のお仕事は、やりがいも多い一方で、仕事量も多くなる傾向にあります。その一方で求人自体は少なく、最初から保育事務一本での就職を目指すのは難しいでしょう。
一般企業で働く中で身に着けたスキルを活かしたいと考えている方や、保育園を離れたけどやっぱり子どもの近くで働きたいと考えている方は、ぜひ求人を探してみてくださいね。
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