秋から冬にかけてのお散歩では、どんぐりや松ぼっくりを目にする機会も多いでしょう。木の実を使った工作をすれば、子どもたちが身近な自然に親しむことができるため、保育に取り入れたいと考える先生も多いかもしれません。今回は、どんぐり・松ぼっくりの特徴や使うときの注意点、簡単な工作アイデアなどを紹介します。
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■目次
そもそもどんぐりと松ぼっくりとは?
秋から冬にかけて目にすることの多いどんぐりや松ぼっくり。
それぞれ何の木からできるものなのか、収穫できる季節や場所などについて見ていきましょう。
どんぐり
どんぐりは、ブナ科の植物の実を総称したもののことです。
北海道から沖縄まで広範囲に分布しており、多くの場合9月中旬から10月にかけて実ります。
大きさや形は木の種類ごとに異なり、ぼうしの部分がしま模様になっていたり、うろこ状になっていたりとさまざまです。工作する前に子どもたちと観察してみるのも楽しそうですね。
松ぼっくり
松ぼっくりは、マツ科マツ属の植物がつける実のことで、松かさとも呼ばれます。
松ぼっくりは、閉じていたヒダが乾燥することで開き、中に入っている種が飛ばされることで木から落ちます。
落ちる時期は木によって異なるため、一年中松ぼっくりを拾うことができるようです。
特に秋から冬にかけての時期は、乾燥しやすく風が吹く季節であるため収穫しやすいかもしれませんね。
工作の材料としてのどんぐり・松ぼっくりの特徴
どんぐりや松ぼっくりがどんなものかわかったところで、工作に活かすときの特徴やよさを紹介します。
加工ができる
どんぐりと松ぼっくりは、ともに工作の材料として加工しやすいという特徴があります。
どんぐりはキリで穴をあけたり色を塗ったりすることができます。
また、松ぼっくりではかさの間に紐をかけて結んだり、絵の具で色付けしたりすることも可能です。
また、接着剤を使ってビーズや綿などのアイテムを装飾することもできるため、素材を活かした製作がしやすいでしょう。
材料費がかからない
どんぐりも松ぼっくりも、基本的に自然に落ちているものを拾って工作に使うことができます。
採集するために公園や園の外まで出かける必要はありますが、画用紙や装飾アイテムなどの材料以外の費用はかかりません。
どんぐりや松ぼっくりを使った工作は材料費を抑えることができるため、保育活動にも取り入れやすいでしょう。
材料集めも遊びになる
どんぐりや松ぼっくりを集めることそのものが、子どもたちにとっては楽しい遊びになるでしょう。
「どの辺にあるかな?」と見当をつけて探し、実際に拾うという収穫体験を通して、子どもたちが目的をもって活動に取り組むことにもつながりそうです。
また、どんぐりや松ぼっくりを探しながら、自然ならではの大きさや形、色の違いなどを観察することもできますね。
どんぐり・松ぼっくりを工作に使うときの注意点
どんぐりや松ぼっくりを工作に活用する際に気をつけたいポイントについてまとめました。
必要な数を用意する
先生は、あらかじめ必要となる数の目安を確認しておき、十分な数を準備しておきましょう。
どんぐりや松ぼっくりは、基本的に公園などで拾って調達することが多いですよね。
自然に落ちているものを使用するため、工作でたくさん使いたい場合に数が足りないこともあるかもしれません。
子どもたちと拾いに行った際に数が足りなかったとしても、予備として園に用意しておけば、問題なく工作活動ができそうですね。
きちんと下処理をする
どんぐりや松ぼっくりを工作に使う際には、きちんと下処理を済ませましょう。
どんぐりや松ぼっくりは、煮沸することで殺菌できるようです。また、松ぼっくりの処理方法として冷凍するやり方もあります。
煮沸や冷凍処理が終わったら、新聞紙に並べて2~3日ほど日陰干ししてしっかりと乾かしておきましょう。
さらに、中に虫がいたり卵が産みつけられていたりする場合があるため、穴があいているものは使用しないようにすることも大切です。
次からは、どんぐりと松ぼっくりそれぞれを活用した工作アイデアを紹介します。
どんぐりを使った工作アイデア
まずは、どんぐりを活用した工作のアイデアをまとめました。
どんぐりケーキ
用意するもの
- 牛乳パック 1枚
- どんぐり 適量
- 折り紙
- 接着剤
- 鉛筆
- 両面テープ
- はさみ
製作のポイント
4歳児や5歳児の場合、先生が開いた牛乳パックに切り取り線をかいておけば、線にそって切ることができるかもしれません。
どんぐりをトッピングする作業を通してケーキ職人の気分を味わうことができるでしょう。
ケーキ屋さんやお誕生日会などのごっこ遊びにも活躍する工作ですね。
木の実ヨーヨー
用意するもの
- おわん型カップ 2個
- 千枚通し
- 輪ゴム 3個
- 鈴・どんぐりなど
- 割りばし 3cmに切ったもの
- テープ
- ビニールテープ
製作のポイント
先生は、あらかじめおわんカップの底に穴をあけておきましょう。
輪ゴムが伸びきってしまわないように、どんぐりや木の実を中に入れすぎないようにするのがポイントです。
どんぐりのアクセサリー
用意するもの
- モール
- 穴をあけたドングリ
- はさみ
製作のポイント
先生は事前にどんぐりに穴をあけたものを用意しておきましょう。
三つ編みのやり方がわからない子どももいるかもしれないため、先生が見本を見せて子どものペースに合わせて進めるとよさそうです。
モールの中にワイヤーが入っているため、先端にセロハンテープを貼るなどして、子どもたちの手を傷つけないように配慮しましょう。
どんぐりマラカス(0:39~0:52)
用意するもの
- ペットボトル
- どんぐり
- コットンボールやビーズ
- マスキングテープなど
製作のポイント
ペットボトルの中にどんぐりやコットンボールを入れるだけで簡単に作れるマラカスの工作です。
アレンジとして、どんぐりの量を調整したり落ち葉や木の枝などを入れたりして、振ったときの音の変化を楽しんでみてくださいね。
やじろべえ
用意するもの
- どんぐり 数個
- 竹串 2本
- 電子レンジ
- 接着剤
- キリ
製作のポイント
どんぐりに穴をあける工程までは、先生が行うようにしましょう。
どんぐりの大きさが異なっていると左右のバランスが取れなくなってしまうため、同じくらいのサイズを選ぶことがポイントです。
積み木の上やペットボトルキャップの上などに乗せて、どちらが長い時間バランスを取れるか勝負してみても楽しそうですね。
松ぼっくりを使った工作アイデア
けん玉
用意するもの
- 松ぼっくり 1個
- タコ糸 70cm 1本
- 紙コップ 3個
- トイレットペーパーの芯 1個
- セロハンテープ
- はさみ
製作のポイント
先生はあらかじめ紙コップの底をカットしておき、側面の部分に目印の線をかいておきましょう。4歳児や5歳児であれば、線に沿って切ることができるかもしれません。
硬めのトイレットペーパーの芯を用意しておくと、握った時につぶれにくいので子どもたちが持ちやすくなりそうです。
松ぼっくりの首飾り
用意するもの
- 毛糸 1m
- 松ぼっくり 1個
- ストロー 数本
- はさみ
製作のポイント
先生は事前にストローを細かく切っておきましょう。
毛糸をストローに通す作業は少し細かいですが、3歳児くらいであればチャレンジしてみてもよさそうです。
紐を短くすれば、カバンにつけられるストラップにもなるので、子どもたちといっしょに作ってみてくださいね。
クリスマスツリー
用意するもの
- 松ぼっくり 1個
- 絵の具、ペン、ラメなど
- ビーズ
- 砂(白)
- ペットボトルのキャップ 1個
- 接着剤
製作のポイント
子どもの力では、ボトルを押しながら接着剤を出すのが難しいこともあるかもしれません。
その場合は、開いたかさの間にちぎった綿を入れたり白い絵の具で色付けしたりして代用すれば、雪をかぶったクリスマスツリーを表現することができるでしょう。
ピンクや水色など、子どもたちの好きな色をつけてカラフルなツリーの工作を楽しむこともできますね。
フクロウ
松ぼっくりを簡単にフクロウに変身させてみましょう。
用意するもの
- 松ぼっくり
- フェルト
- 目玉シール
- 接着剤
作り方
1.フェルトを小さな丸い形と鳥の足の形2枚ずつカットします。
2.フェルトでて「羽角(うかく)」と呼ばれる細長い触覚のようなものを2本作ります。
3.フェルトをギザギザに切って羽を2枚作り、松ぼっくりの両サイドに貼りつけます。
4.(1)のフェルトに目玉シールを貼り、松ぼっくりの真ん中上部あたりに並べて貼りつけます。
5.羽角を目の上に貼り、(1)の足を底につければできあがりです。
製作のポイント
松ぼっくりを胴体に見立てて、切ったフェルトをパーツとして貼りつけるだけのシンプルな工程なので、比較的作りやすいでしょう。
フェルトを切る作業は少し細かいため、3歳児や4歳児は先生が切ったもので製作するとスムーズにできるかもしれません。
木の枝の上に乗せれば、本物のようなフクロウに仕上がりそうですね。
どんぐりや松ぼっくりを活用して工作遊びを楽しもう
今回は、どんぐりと松ぼっくりを使った簡単な工作のアイデアを、素材としての特徴や注意点とあわせて紹介しました。
どんぐりや松ぼっくりは自然物であるため、材料費がかからず工作に取り入れやすいアイテムかもしれません。また、保育園の庭や公園などで探して拾うのも遊びの一つとなるでしょう。
ただし、工作に使うときはきちんと下処理をして、衛生面に配慮することが大切です。
秋や冬の季節を感じながら、子どもたちとどんぐりや松ぼっくりを使った工作活動を楽しんでみてくださいね。