保育士の配置基準とは?自治体・施設ごとの基準や見直し、計算方法について

子どもの年齢によって配置する保育士の配置基準は、保育の質を確保しながら施設を運営していくうえで重要になります。今回は、国や自治体、施設ごとの基準や見直し、計算方法などについて紹介します。また、基準を満たしていない場合にはどうなるのかや、見直しによってどう緩和されたのかについてもあわせて解説します。


紙とペンの写真

ESB Professional/shutterstock.com

 

保育士の配置基準とは

ここでは、配置基準の大まかな内容や子どもの年齢ごとの配置人数、自治体や施設によってどのように基準が異なるのかを見ていきましょう。

 

国が定める保育士の配置基準

 

保育園を運営するうえで満たさなくてはならない基準の一つに、保育士の配置基準があります。これは厚生労働省の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」によって定められています。

 

配置基準は、保育士1人に対して子どもを何人まで保育できるのかということを表します。これはあくまでも最低基準であり、現場でゆとりを持ってより質の高い保育を目指すならば、現実的にはより多くの保育士が必要になるでしょう。

 

国が定める保育士の配置基準は子どもの年齢に応じて異なり、より丁寧なケアが必要となる低年齢児になるほど、保育士が1人で保育できる人数は少なくなります。

 

保育園を運営するには以下の基準を満たし、かつ保育園1園につき保育士2人を下回らないことが原則となります。

 

<国が定める保育士の配置基準>

 

  • 0歳児:子ども3人に対し保育士1人
  • 1~2歳児:子ども6人に対し保育士1人
  • 3歳児:子ども20人に対し保育士1人
  • 4歳以上児:子ども30人に対し保育士1人

 

そして、年齢ごとの子どもの定員数を上記の配置基準の人数で割ることで、必要な保育士の人数を算出することができます。

 

自治体による配置基準

 

自治体によっても保育士の配置基準は異なります。地域の実情に合わせて都道府県や各市町村がその基準をそのまま受け入れるか、または自治体独自の基準を決めています。どのような基準であっても、国の配置基準を下回ることはなく、むしろ厳しい基準を設けて保育の質を確保しているようです。

 

では、独自の基準を設けている自治体をいくつか見てみましょう。

豊島区の場合

豊島区では1歳児6人に対して保育士1人のところを、1歳児5人に対して保育士1人としています。 また、定員20人以上60人以下および91人以上の保育施設に対して保育士1人を増員して配置し、61人以上90人以下の施設に対して、非常勤保育士を1人増やして配置することが定められています。

横浜市の場合

横浜市の保育園では、1歳以上の各年齢において配置基準を厳しくしています。1歳児4人に対して保育士1人、2歳児5人に対して1人、3歳児15人に対して1人、4歳以上児は24人に対して1人と、保育士の配置基準を定めています。

京都市の場合

京都市においても、国よりも厳しい配置基準が設けられています。1歳児5人に対して保育士1人、3歳児15人に対して1人に設定しているほか、4歳児20人に対して1人、5歳児に関しても25人に対して1人、という基準で保育の質の高さを維持しています。

 

配置基準を厳しくする、ということは子ども1人あたりの保育士の数が多くなるということになり、その分多くの保育士を確保する必要がありますが、保護者にとっては安心して子どもを預けられる環境が整備されていると言えるでしょう。

 

施設形態による配置基準

 

保育士の配置基準は、認可保育園や認定こども園など施設形態によって異なります。ここでは、地域型保育事業、認定こども園、認可外保育施設の配置基準についてそれぞれ見ていきましょう。

地域型保育事業

そもそも地域型保育事業には、以下の4つの事業類型があります。

 

  • 小規模保育事業
  • 家庭的保育事業
  • 事業所内保育事業
  • 居宅訪問型保育事業

 

一つひとつ配置基準を紹介します。

 

<小規模保育事業>

 

小規模保育は2015年の「子ども・子育て支援新制度」によって作られた新しい施設形態で、認可基準によってA型、B型、C型の3種類に分かれており、この種類によって配置基準が少しずつ変わってきます。

 

A型では、国の保育士の配置基準で計算し、算出した保育士の数に加えて保育士1人を配置しなければいけません。また一般的な保育所のように常に保育士2人が必要になります。

 

B型はA型と同様に、国の保育士の配置基準で必要な保育従事者の人数を計算し、それに1人加算した人数が必要となります。配置されている職員すべての2分の1以上、保育士が必要となりますが、保健師や看護師を保育士としてみなす特例が設けられています。2015年4月1日からは准看護師も対象となったため、1人に限り看護師や准看護師が職員として保育園で働くことができるようになっています。

 

C型はいわゆる家庭的保育のことを言い、0~2歳児3人に対して家庭的保育者が1人とし、補助者がつく場合には5人までを担当できるとされています。

 

<家庭的保育事業>

 

家庭的保育事業は、保育者の自宅やそのほかの場所で行われる5人以下の少人数保育のことを言います。家庭的保育事業の配置基準は、

 

  • 0~2歳児:3人に対して家庭的保育者1人
  • 0~2歳児:5人に対して2人(家庭的保育補助者がつく場合)

 

のように定めれらています。

 

<事業所内保育事業>

 

事業所内保育事業は、事業所の従業員の子どもや地域の保育を必要とする子どもを受け入れて、保育を提供することを言います。

事業所内保育事業の配置基準は、施設の定員が20名以上の場合は国が定めた保育所の配置基準と同じとなり、19名以下の場合には小規模保育事業A型、B型の基準と同様になります。

 

<居宅訪問型保育事業>

 

居宅訪問型保育事業は、保育を必要とする子どもの居宅において1対1で保育を行うことを言います。

居宅訪問型保育事業の配置基準は、0~2歳児1人に対して職員が1人と定められています。保育を行えるのは、必要な研修を修了し、保育士や保育士と同等以上の知識や経験があると市町村長から認められた人とされています。

幼保連携型認定こども園

幼保連携認定こども園は、幼稚園的な機能と保育園的な機能の両方を併せ持った施設で、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」によって新設されました。

 

職員の配置基準は、以下のように定められています。

 

  • 乳児:3人に対して1人
  • 1、2歳児:6人に対して1人
  • 3歳児:0人に対して1人
  • 4、5歳児:30人に対して1人

 

また、満3歳以上の子どもの教育時間は学級を編成し、専任の保育教諭を1人配置することも決められています。

認可外保育園

認可外保育園は、国が設置する基準を満たしておらず、認可を受けていない保育施設のことを言います。

 

認可外保育園における保育士の配置基準は、以下のように定められています。

 

  • 主たる保育時間が11時間以内の場合、国が定める認可保育施設の設置基準と同じ
  • 11時間を超える時間帯では、現に保育されている子どもが1人である場合を除いて常時2人以上を配置する

 

また、職員の3分の1以上は保育士または看護師であることが決められています。

 

このように、所属している保育施設が認可保育園か認可外保育園かによっても保育士の配置基準は異なります。

 

出典:地域型保育事業の概要/内閣府

出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準/厚生労働省

出典:認可外保育施設の質の確保・向上について/内閣府

出典:子ども・子育て支援新制度ハンドブック/内閣府

保育士の配置基準を違反するとどうなる?

計算機を打っている女性

kitzcorner/shutterstock.com

 

保育士の配置基準は、保育園の質を保ちながら安全に運営するために定められているものですが、もし基準を違反した場合にはどうなるのでしょうか。認可保育園と認可外保育園の場合とに分けて見ていきましょう。

 

認可保育園

 

認可保育園を運営するのには、国が定めた基準を満たしていることが原則となります。

そのため、保育士の配置基準を満たしていないと、認可保育園として運営することができなくなってしまいます。都道府県や市区町村による指導監査が行われ、改善が認められない場合には認可が取り消され、国からの補助金が受けられなくなるようです。

 

認可外保育園

 

認可外保育施設においても、基準を満たしていない場合には指導監督が行われます。認可外保育施設の運営状況を把握するために年に1度立ち入り調査が実施され、実施後1カ月以内に改善指導の内容が文書によって通知されます。その後、改善がみられない場合には改善勧告がなされ、それでも改善されずに児童福祉にふさわしくないと判断された場合には、事業の停止命令や施設の閉鎖命令が行われます。

 

このように保育士の配置基準を満たしていないと、保育施設を運営することが困難になってしまうことも考えられるので違反しないように注意しましょう。

 

出典:認可外保育施設に対する指導監督の実施について/厚生労働省

保育士配置基準の見直しや緩和

2016年に施行された「保育所等における保育士配置に係る特例」によって、待機児童が解消し保育の受け皿の拡大が一段落するまでの緊急的な対応として保育士の配置基準が緩和されました。加えて、保健師や看護師等の人材不足により、保育園などで看護師を確保することが困難となっていることを鑑み、保育所等での看護師の配置についても見直されました。

 

では、保育士の配置基準についての見直しや緩和項目について見ていきましょう。

 

看護師・保健師・准看護師を保育士としてカウント

 

医療に従事する人材も保育現場の一員としてカウントできる仕組みが作られました。看護師、保健師、准看護師を保育士とみなすことで、保育園側も雇用しやすい環境を作ろう、ということが背景となっています。

 

これは乳児を4人以上保育する施設が対象で、1人に限り看護師等の医療専門職を保育士1人の配置とみなすことができます。

 

病気の子どもの看護をする看護師等も保育に携わっているという点では、保育士と同様の役割を果たせると想定されるため、看護師等を配置基準を満たす保育従事者とする緩和が進んでいると言えるでしょう。

 

朝夕の保育士配置基準の緩和

 

保育現場の実情に合わせて進んでいるのが、朝夕の配置基準の緩和です。

 

朝夕など子どもが少ない時間であっても保育士2人が必要とされていましたが、そのうち1人を子育て支援員研修を修了した人に代替することができるようになりました。

 

子どもの人数に合わせて配置基準を緩和することで、保育士の業務負担も減らすことが期待できそうです。

 

幼稚園教諭や小学校教諭などの保育士としての活用

 

幼稚園教諭とや小学校教諭、養護教諭の免許を持っている方を保育士に代えて活用可能となりました。

 

そのため、幼稚園の先生や学校の先生は、保育士と同様に子どもと関わる仕事をしているとして、保育士としてカウントできるようになったということです。

しかし、幼稚園教諭は3歳以上児、小学校教諭は5歳児を保育することが望ましいとされており、保育をするうえで必要な研修の受講が求められています。

 

保育と関わることの多い教育の分野を知っている人材を活用することで、保育士不足の解消を目指そうという取り組みの一つです。

 

子育て支援員の活用

 

一定の研修を受けた「子育て支援員」を活用しようという配置基準の緩和も進んでいます。

保育所等を8時間を超えて開所しているなどの理由によって、保育士の最低配置基準を上回った保育士が必要となる場合に、その上回った保育士数については子育て支援員研修を修了した人に代替することができるようになりました。

 

子育て支援員は、自治体が設置する子育てについての専門知識に関する研修を修了した方を指します。専門知識を身につけているので、保育の質を下げることなく保育士の業務負担を減らすことができるでしょう。

 

出典:保育所等における准看護師の配置に係る特例について/厚生労働省

 

出典:保育所等における保育士配置に係る特例/厚生労働省

配置基準の計算方法とシミュレーション

先生と子どもたち

milatas/shutterstock.com

 

では、実際の保育園ではどれくらいの保育士が必要になるのでしょうか。ここでは、自身の働いている園が配置基準を満たしているかを確かめられるように計算方法のシミュレーションを、流れとともに紹介します。

 

1.園の定員を確認する

 

園の定員は保育士の最低配置基準を確認するためにとても重要なものです。ここでは、0~5歳児まで預かる保育園を想定します。各年齢ごとに割り切れるような数字で定員を以下のようにおきます。

 

  • 0歳児:9人
  • 1歳児:12人
  • 2歳児:12人
  • 3歳児:20人
  • 4歳児:30人
  • 5歳児:30人

 

定員113人という大きめの認可保育園と仮定します。

 

2.保育士の配置基準で定員を割る

 

次に、国が定める配置基準をもとに、保育士が何人必要なのかを計算します。各年齢の定員を配置基準で割ることで必要な保育士の人数を算出することができます。

今回は割り切れる数字を設定していますが、もし割り切れずに小数点が発生した場合には小数点以下を四捨五入して計算します。

 

<国が定める配置基準>

 

  • 0歳児:子ども3人に対し保育士1人
  • 1~2歳児:子ども6人に対し保育士1人
  • 3歳児:子ども20人に対し保育士1人
  • 4歳以上児:子ども30人に対し保育士1人

 

国が定める基準をもとに計算すると、結果は以下のようになります。

 

<仮定の配置基準との割り出し>

 

  • 0歳児:9人÷3→保育士3人
  • 1歳児:12人÷6→保育士2人
  • 2歳児:12人÷6→保育士2人
  • 3歳児:20人÷20→保育士1人
  • 4歳児:30人÷30→保育士1人
  • 5歳児:30人÷30→保育士1人

 

以上より、最低でも合計で10人の保育士が必要ということがわかります。

 

3.開園時間で常に保育士が2人いるか考える

 

認可保育園の場合は、常に2人の保育士が園にいなければなりません。この園が7:30~19:30まで開園していると仮定して、担任のクラスを持つ保育士たちの実働時間は8時間(1時間の休憩あり)であるため、休憩を挟んで7時半~16時半まで働いたとします。すると、夕方の3時間分は別の保育士を配置しなければならないため、この時間帯には最低でもあと2人の保育士が必要となります。

 

結果、日中担任する保育士10人に加えて2人、つまり合計12人の保育士が必要になります。もちろんこれは最低基準であり、延長保育の時間帯も利用人数が多ければ、その分保育士も必要になります。

 

12人の有資格保育士を確保するのは、保育士不足である状況のなかでは大変なものでしょう。こうした背景を受けて、子育て支援員や教諭免許取得者も活用して、保育の質を下げずに保育士不足を解消しようという取り組みが進んでいるのですね。

保育士の働き方にも関わる配置基準について知ろう

今回は、国や自治体、施設ごとの保育士の配置基準や、基準を満たしていない場合どうなるのか、さらにはどのような見直しがあったのかについても紹介しました。

 

配置基準というとどこか堅苦しく、施設長や運営側の話かと思ってしまいがちですが、これは現場で働く保育士さんに直結する話題でもあるでしょう。

 

保育施設を安全に運営するために設けられている配置基準は約70年間変わっていませんでした。しかし待機児童問題の解消に向けて、基準の緩和や准看護師の配置を認めるといった見直しが行われ、基準も柔軟に変化しているようです。

 

保育士の配置基準という一見難しそうな話も、身近な問題と置き換えることで自身の働き方を考えるきっかけになるといいですね。

 

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