年度初めなどに行うことが多い目標設定。保育士さんのなかには、目標を立てる意味や立て方に悩む方も多いかもしれません。今回は、保育士の目標設定のポイントや、目標に対して自己評価をする意味などを紹介します。1年目の新人や5年目の中堅など、経験年数別の具体的な例文もまとめているので、参考にしてみてくださいね。

E-Saishu/stock.adobe.com
保育士が目標設定をする意味や重要性
年間を通して定期的に行われる目標設定。
保育士として働くうえで、目標を立てるのにはどのような意味があるのでしょうか。
仕事のモチベーションを高める
目標を設定する意味の一つとして、仕事に対するモチベーションを上げることが挙げられます。
仕事に対する目標がないと、自分が働いている目的を見失い、やりがいや達成感を得にくくなってしまうかもしれません。
「いつまでに、何をできるようになりたいのか」を明確にすれば、目標に向かって努力しようとする意欲が湧くうえに、達成すればやりがいや自信にもつながるでしょう。
スキルアップに役立つ
保育士としてのスキルは、研修を受けて身につくものもあれば、日々の業務の中で経験的に身についていくものもあるでしょう。
具体的な目標を立てて仕事に取り組めば、日々の業務の中でも自身の伸ばしたい部分を意識するようになり、将来的なスキルアップにつながるかもしれません。
人事・自己評価のポイントになる
目標設定と同様に、自己評価や振り返りを通して反省することも大切でしょう。
自己評価によって、自身を振り返って技術を磨いていく必要性は、保育所保育指針にも示されています。
また、1年間の目標を設定して上司に提出することで、自身の仕事に対する熱意や目的意識が伝わりやすくなるでしょう。
自分で目標を設定し、目指すべき成長像をより具体的に描くことは、保育士としての成長にもつながるかもしれません。
保育士が目標設定をするときのコツ

garage38/stock.adobe.com
目標を立てる重要性はわかったものの、実際にどのように設定すればよいのか分からないこともありますよね。ここでは、簡単に目標設定のコツを紹介します。
振り返りを行う
目標を立てる際は、現在のスキルや自身の状況の振り返りから始めてみましょう。
現状をしっかりと把握できていなければ、やるべきことや将来像が曖昧になってしまいます。
そのため、今の自分ができること・できないことを明確にすることが大切です。
保育士としての課題を書き出せば、自分に足りないものや今後の目標が見えてくるかもしれません。
他者の評価も参考にする
「自分の評価だけではよくわからない」といった場合は、職場の同僚や先輩からアドバイスをもらうのも一つの手です。
「先輩はどうやって目標を決めていますか?」「先輩から見て私の長所と短所は何だと思いますか?」など、目標の立て方や自身への客観的な評価を聞くことで、目標を設定しやすくなるかもしれません。
数字を入れて具体的な内容にする
数字などを用いて、目標に具体性を持たせるようにしましょう。
目標はいわばゴールのようなもので、達成度を測る重要な指針となります。
いつまでにどの程度達成するのかを数字を用いて具体的に決めることで、ゴールが明確になるだけでなく、自己評価もしやすくなるでしょう。
実現可能な目標にする
具体的であることに加えて、達成できる目標であることも重要です。
あまりに実現しにくい目標を立てると、達成できなかった場合に自信を失ってしまうことも。
「今の自分が少し背伸びしてできる」くらいの高すぎない目標を設定し、小さな成功体験を積み重ねていけば、仕事のモチベーションにつながりそうです。
【経験年数別】保育士の目標の例文

beeboys/stock.adobe.com
ここからは、1年目や3年目、5年目など保育士さんの経験年数別に目標設定の具体例を紹介します。
1年目の新人保育士
例①スキルアップを目標にした例文
- 毎週新しい手遊びを1つ以上覚えて、子どもの前でやってみる
- 先輩保育士の声かけのしかたや接し方を観察し、知識を深める
1年目の場合、新人として頑張りたいことを目標にしてみましょう。
例文のように保育現場で活かせる実践的な知識を身につけることを目標にして、今後のスキルアップに役立てるのもよいですね。
期間などを数字で具体的に示し、かつ実現可能な目標にすることで、1年目でも取り組みやすく自己評価もスムーズに行えるかもしれません。
例②仕事に慣れることを目標にした例文
- 日常の保育業務をできるようにする
- 子どもや保護者の顔と名前を覚える
新人として日々の保育業務を覚えることを目標とした具体例です。
1年目では、子どもとのかかわりや書類作成はもちろん、清掃など保育以外の業務も覚えていく必要があります。
早く仕事を身につけてスムーズに業務を進める姿勢を目標で示してみましょう。
例③チームワークを目標にした例文
- 報告、連絡、相談を徹底する
- わからないことがあれば積極的に質問し、コミュニケーションを図る
先輩保育士さんや保護者に、保育活動の内容や子どもの様子を連絡することは欠かせません。
口頭で話したり連絡帳やおたよりを用いたりと、内容に合わせて連絡方法を柔軟に選び、円滑にコミュニケーションをとることがポイントです。
こまめに相談することで、子どもが元気に過ごせる環境づくりはもちろん、スムーズな業務の進行や信頼関係の構築につながるかもしれません。
2年目の保育士
例①スキルアップを目標にした例文
- 子どもの興味・関心に合わせてさまざまな活動を考え、発達に沿って適切に計画していく
- 子どもの目線に立ったコミュニケーションを心がけ、表情や仕草を注意深く見守る
保育士2年目になると仕事にも慣れてきて、子どもの気持ちや関心を汲み取れるようになったり、活動内容を思いつきやすくなったりするかもしれません。
子どもの発達についての知識を深めていろいろな活動を取り入れていくことで、保育士としてさらなるスキルアップにつながるでしょう。
例②1年目の経験をもとにした例文
- 1年間の流れを意識し、見通しを持って計画的に保育を進める
- 行事の準備は1週間の余裕を持って進めておく
2年目では、1年目の経験から年間の行事や子どもの発達をふまえて、計画的に保育を進めることが大切です。
他にも「書類の準備は〇日前に着手し、子どもの様子や記録を反映させながら作成する」など具体的な数字を用いた目標もよいかもしれませんね。
例③保護者とのコミュニケーションを目標にした例文
- 1日に3人の子どもの成長を発見して、保護者とエピソードを共有する
- 送迎のタイミングで、保護者から悩みや不安を聞く時間を設ける
2年目からは、保護者との関係構築に焦点を当てた目標もよいでしょう。
例文のように、3人という比較的クリアしやすい目標にすれば、毎日実現しやすく自信にもつながるかもしれませんね。
3年目の保育士
例①後輩の指導を目標にした例文
- 後輩に業務や保育内容について丁寧に伝えるとともに、相談しやすい雰囲気づくりをする
3年目になると業務に少しずつ余裕が生まれて、クラス運営や後輩指導を任されることもあるでしょう。
そこで、子どもだけでなく後輩保育士さんとのかかわり方に焦点を当てた目標を立ててみてもよさそうです。
中堅やベテラン保育士さんよりも年齢が近いぶん、1年目の保育士さんにとって相談しやすい存在になれるかもしれませんね。
例②保育の質の向上を目標にした例文
- 子どもの発達段階や興味を理解し、時季に合わせて遊びこめる活動を展開していく
クラス運営の中核を担うようになる3年目には、保育の質を高めることに関する目標もよさそうです。
クラスの状況や季節に合わせてさまざまな経験ができる遊びを展開することで、子どもの能力や感性を培うことにつながるかもしれませんね。
例③スキルアップを目標にした例文
- 子どもの発達について保健、心理の両面から学び、学年全体で共有する
園によっては中堅に近い存在として扱われることもある3年目の保育士さんは、保育の専門知識を深め、スキルアップに注力するのもよいでしょう。
また、自分だけでなく他の保育士さんと学びを共有することで、園全体の専門性を高めることにもなるかもしれません。
5年目の保育士

miya227/stock.adobe.com
例①職員同士の連携を目標にした例文
- クラス間での連携をスムーズに行えるように、職員とのコミュニケーションや情報共有を密に行う
5年目になると、中堅保育士としてクラス運営だけでなく職員や園の雰囲気づくりへの貢献を求められるようになるかもしれません。
自身の保育の向上だけではなく、園全体に関わっていくような目標を立てるとよさそうです。
例②後輩の育成を目標にした例文
- 週に1度クラスの保育士と面談の時間を設けて、後輩の育成に力を注ぐ
中堅となる5年目では、ベテラン保育士さんと新人保育士さんの橋渡しをすることも重要な役割になるでしょう。
例文のように、新人保育士さんや後輩の指導を積極的に行い、園の人材育成にも関わっていけるような目標を設定してみるとよいかもしれません。
また、日々の業務をフォローしたり密なコミュニケーションを図ったりして、相談しやすい関係を作っておくことも重要になりそうです。
例③行事の計画を目標にした例文
- 4年間の経験をもとに行事の計画を緻密に立て、園全体で計画的に遂行できるようリードしていく
5年目になると、クラス運営に力を入れるのはもちろんのこと、行事など職員同士の連携が必要な場面で積極的に役割を全うすることが求められるかもしれません。
自身のスキルアップのためにも、どのように計画を立てて実行していくのか、具体的なプランを立ててみるのもよいでしょう。
7年目の保育士
例①キャリアアップを目標にした例文
- 副主任へのキャリアアップを見据えて、3カ月に1分野のペースでキャリアアップ研修を受講する
勤続7年目は、中堅からベテランへとキャリアアップするにあたって、副主任保育士など新しい役職に目を向ける時期でもあるようです。
キャリアアップ研修や勉強会への参加など、自身の将来を見据えた目標を立てるとよいかもしれませんね。
例②職場の環境改善を目標にした例文
- 1週間に1つ現場の改善点を見つけ、翌週の月曜日に現場チームで共有する
7年目は中堅保育士として後輩を指導する機会が増え、園の中でも現場の中心となって活躍する世代かもしれません。
よりよい職場環境を整えるために、どんなことをすべきなのかをメインの軸として目標を立ててみましょう。
例③職場をまとめることを目標にした例文
- 園全体の様子を把握し、困っている職員に声をかけてともに問題解決に向かう
現場の中心的な立ち位置として、園全体を俯瞰して職場をまとめていくことが大切となるでしょう。
また、さまざまな年齢のクラス担任を務めた経験や、これまでに培った子どもとのかかわりを活かして、悩みを抱える保育士さんの相談に乗るといった目標もよいかもしれません。
7年目は中堅からベテランになっていく時期でもあるため、職場全体に声をかけて改善に向かっていくことを目標に掲げるとよさそうですね。
10年目の保育士
例①職場でのコミュニケーションを目標にした例文
- 1週間に1回、現場の若手や中堅保育士、主任や園長と、園の方針や現場の現状について話す時間を設ける
ベテラン保育士となる10年目の目標のポイントは、職員とのスムーズな連携によって園全体を支えることです。
若手や中堅の保育士さんに自身の知識を共有したり相談に乗ったりすることで、園全体のスキルアップや働きやすさの向上につなげていけるとよいですね。
例②キャリアアップを目標にした例文
- 主任へのキャリアアップを目指して1カ月に一度必要な研修を受け、園内に研修内容を還元する
10年目を超えると後輩から頼られることが多くなり、主任や園長へのキャリアアップについて考え始める方も多いのではないでしょうか。
例文のように、キャリアアップ研修制度を活用して学びを深めるとともに、園全体にその知識を広めていくことを目標に掲げるとよさそうです。
例③マネジメントを目標にした例文
- マネジメントの本を月に〇冊読み、リーダーになるための素養を身につける
10年目のベテラン保育士になると、キャリアアップの一環としてリーダーシップを身につけることを見据えた目標も大切になってくるでしょう。
例文を参考に、クラス運営だけでなく園全体の運営や職場改善に携わっていくような目標を立ててみるのもよさそうです。
目標設定のあとは保育士の自己評価をしよう!

garage38/stock.adobe.com
目標を立てた後は、それに対する振り返りとして「自己評価」をすることが大切です。
ここでは、どうして自己評価をするべきなのか、タイミングや方法とあわせてまとめました。
自己評価をする意味
目標に対して自己評価をすることで、自分自身の成長を感じたり、足りないところが見えてきたりするようになります。
年間を通して定期的に自己評価を行えば、1年の中で少しずつ成長していることを実感でき、さらなるスキルアップを意識することにつながるでしょう。
自己評価をするタイミング
長期的な目標に対する自己評価は、大体3カ月に一度くらいのペースで行うとよいかもしれません。
また、大きな目標達成のためにクリアすべき中間目標は、週に一度などできるだけ短いスパンで振り返ることがポイント。その都度成果に対する反省を行い、達成度に応じて目標を修正しましょう。
毎日の小さな目標に対して自己評価をするのも、モチベーションの維持につながりそうですね。
自己評価をする方法
効率的な方法として、「目標管理シート」を使うやり方があります。目標管理シートとは、目標設定から自己評価まで一貫してできるものです。
目標管理シートには、「いつまでにこれをする」といった具体的な数字を設定して記入するとよいでしょう。
また、大きな目標の中に中間目標を定め、段階的な年間計画を作ってみても自己評価がしやすくなりそうですね。
保育士の目標設定は振り返りも大切
今回は、保育士さんの目標の立て方について、経験年数別の例文や自己評価の方法とあわせて紹介しました。
仕事のモチベーション維持やスキルアップをするうえで、目標設定は重要な意味を持っています。
また、目標に対して自己評価をすることは、現在の自身を客観的に把握して課題を見つけることにもつながるでしょう。
今回紹介した具体例を参考に、まずは自身を振り返り、保育士としてのキャリアアップに役立つ目標を立ててみてくださいね。
保育士バンク!は、保育士さんの転職をサポートするお仕事紹介サービスです。
専属のアドバイザーが履歴書の添削から面接対策まで全面的にフォローいたします。
転職に不安を感じている方はぜひご登録くださいね!