3歳児の運動遊びのアイデアについて知りたい保育士さんもいるでしょう。そこで今回は身体を使って楽しめるアイデアを、フラフープ遊びやサーキット、ゲーム性のある遊びなど種類別に紹介します。あわせて3歳児の運動遊びを行うねらいや、指導案作成のコツについてもまとめました。
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3歳児の運動遊びを行うねらい
3歳児の保育において、どのような運動遊びを行うとよいのでしょうか。
3歳児になると、1歳児や2歳児のときよりも上手に走ったり飛び跳ねたりという動きができるようになるでしょう。バランス機能が発達することで、ぶら下がったりよじ登ったりというような難しい動きにもチャレンジしたくなるかもしれません。
3歳児に運動遊びを取り入れることには、次のようなねらいが挙げられます。
- いろいろな運動に自分で取り組もうとする
- 自分でできた達成感を自信につなげる
- 友だちの存在を意識していっしょに遊ぼうとする
- ルールのある遊びを繰り返し楽しむ
運動遊びをする際に活動におけるねらいを明確にすると、保育指導案を作る方向性が見えてくるかもしれません。
3歳児の子どもは自分でできたという達成感を味わうことで、次への自信へとつながっていくでしょう。運動遊びを通して、できたという気持ちを認めてあげられるとよいですね。
指導案を書くときのポイント
保育指導案の書き方に悩む保育士さんは多いもしれません。
ここでは、3歳児の保育で運動遊びを行う際の指導案を書くコツについて、項目ごとにまとめました。
【子どもの状況】子どもの様子を日々把握する
「友だちに競争心を抱く」「自分で達成できたことをよろこぶ」など、3歳児の子どもたちがどのような姿なのか、思い出しながら書くようにしましょう。
普段から個々の遊ぶ様子を観察しながら、子どもの小さな変化にも気づけるとよいですね。
【活動内容】3歳児の発達状況に沿った内容でかく
3歳児の子どもの発達状況を考慮して、どのような活動を行うのとよいのか方向性を決めるとよいでしょう。
運動能力には個人差があるため、どの子どもでも楽しめるようサーキットで複数のコースを設定しておくなど、難易度を調整できるように準備をするとよいかもしれません。
【準備】3歳児の様子を想像した環境構成にする
決めた活動を実際に行うことを想定して、用意するものを書き出しましょう。興味を持って取り組む姿だけでなく活動に集中できない様子など、3歳児のさまざまな反応を想像しながら何があるとより楽しめるのかを考えるとよいかもしれません。
3歳児の行動を充分予期した上でケガをしないよう留意し、安全を考慮して準備するものを揃えておくことも大切です。
【ねらい】ねらいを明確にする
3歳児は、自分の好きな遊び方を見つけたり、友だちといっしょに身体を動かすことを楽しんだりするかもしれません。
そのため「自分の好きな遊び方を見つける」「友だちといっしょに身体を動かすことを楽しむ」などのように、3歳児の行動を想像しながらねらいをいくつか挙げていきましょう。
【保育士の援助】援助する要点や保育士の関わり方をかく
3歳児は自分にとって難しい活動であっても、誰の手も借りずに自分でがんばりたいと思うことがあるかもそれません。「子どもが自分でできるところは最後まで見守る」「達成できたところを褒める」など、保育士としてどのように関わればよいのかを想像しながら書きましょう。
子どもにとってまだ難しい活動の場合には、保育士さんの補助が必要なときもあるかもしれません。具体的にどのような場面でどう指導をするとよいのか、要点をまとめて書くとよいでしょう。
【室内】3歳児の運動遊びのアイデア
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室内でも楽しめる、3歳児の運動遊びのアイデアを紹介します。
マット遊び
室内遊びの定番ともいえるマットを使って運動遊びをする場合は、でんぐり返しに挑戦してみてはいかがでしょうか。
はじめはマットの感触などに慣れるために、寝転だり、コロコロ転がったりとします。そこから、両手をしっかりマットに置き後頭部からマットにつけてでんぐり返しをしてみましょう。保育士さんが見本を見せたあと、一人ずつ保育士さんが回転する子どもの体に手を添えながら、補助をすることが大切です。
でんぐり返しができるようになると、転んだ際に受け身が上手になるようなので、少しずつ運動遊びに取り入れてみてもよいかもしれませんね。
跳び箱遊び
3歳児の場合、まだ跳び箱を手で跳び越えることは難しいかもしれません。
そのため、まずは跳び箱の上を歩いて上からジャンプするなど、跳び箱の高さに慣れるような遊びを取り入れるとよいかもしれません。
フラフープ遊び
3歳児になると片足でケンケン跳びができるようになるかもしれません。そこで、フラフープをケンケンパのできる形に並べ、ケンケンパと足を動かしながらフラフープのなかを進んでみましょう。
ケンパーケンなど、並べ方をいろいろアレンジして、さまざまなコースを作ってみるのも面白いかもしれませんね。
新聞紙遊び
新聞紙を細長く裂き、しっぽに見立てて背後のズボンに入れます。子ども同士でしっぽを取り合って遊びましょう。
保育士さんが鬼になって子どものしっぽを狙ったり、子ども同士でしっぽを取り合ったり、チーム戦にしても盛り上がりそうですね。
サーキット遊び
サーキット遊びとは、さまざまな道具を組み合わせたコースを設置し、周回しながら運動遊びが楽しめる活動です。3歳児ではマットや跳び箱、フラフープ、ボールなどを活用するとよいでしょう。
跳び箱を解体して並べて使うなど、子どもが興味を持ってやってみたいと思えるようなコースが作れるとよいですね。
跳び箱の上からジャンプをする場合は、子どもの能力に合わせて複数の高さを用意するとよいでしょう。安全のため周りにマットを敷くことも忘れないようにしたいですね。
ゲーム性のある遊び
3歳児が室内で楽しめる、ゲーム性のある運動遊びを紹介します。
フルーツバスケット
首からぶら下げるカードの絵を3種類以上用意して、フルーツバスケットを楽しみましょう。フルーツにこだわらず動物や乗り物など、子どもの好みそうな絵にするとよいかもしれません。
最初は保育士さんが鬼になり、カードの絵の名前をひとつ言いましょう。言われた絵のカードを持っている人は他の席へ移ります。そして、座れなかった人が次の鬼になり、鬼が「フルーツバスケット」と言ったときは全員の席をシャッフルして、座れなかった人が次の鬼になります。
3歳児のなかには、自分が該当するフルーツを言われても気づかなかったり、忘れてしまったりするかもしれません。子どもたち全体にカードの絵が見えるように、2回繰り返して伝えたり、「自分のカードはなにかな~?」と子どもたちがカードを確認できるような言葉かけをするとよいかもしれませんね。
チャンバラごっこ
棒を振り回して遊ぶことが好きな子どもも多いかもしれません。そこで、カサ袋に空気を入れて作る棒を作ってみるのはいかがでしょうか。
棒を作ったら、相手の面(頭)、小手、胴の3カ所のみ狙うことを伝え、2人向かい合わせになって戦ってみましょう。
カサ袋に空気をいれた棒は、あたっても痛くないので安全に楽しむことができそうです。ただし、胸から上は(顔や頭など)狙わない、など事前にルールを伝えることが大切です。
【戸外】3歳児の運動遊びのアイデア
戸外で楽しめる、3歳児の運動遊びのアイデアを紹介します。
ボール遊び
3歳児が屋外で楽しめる、ボール遊びを紹介します。
キャッチボール
友だちとペアになり、ボールを転がしてキャッチボールをしましょう。ペアを組む相手を変えたり、友だちとの距離を徐々に離したり、難易度を調整すると子どもが楽しめるかもしれません。
慣れてきたらボールをバウンドさせましょう。最初は大き目のやわらかいボールを使うとよいかもしれません。
シュート
ボールを手で転がして、段ボールなどで作ったゴールに入れて遊んでみましょう。いろいろな幅の複数のゴールを用意すると楽しそうです。
3歳児になるとボールを蹴る力も強くなるので、少し固めのボールを用意して足でキックをしてもよいでしょう。ゴールが決まったときはみんなで拍手をすると盛り上がりそうですね。
縄跳び遊び
縄跳びを2本つなげて、保育士さんがヘビに見立てて動かします。子どもが足をひっかけて転ばないように、縄跳びを床につけながら揺らすようにするとよいでしょう。
縄跳びの振り幅は子どもに合わせて調整して徐々に難易度をあげると、子どもの跳びたいという意欲を刺激できるかもしれませんね。
ゲーム性のある遊び
3歳児が室外で楽しめる、ゲーム性のある運動遊びを紹介します。
玉入れ
かごのなかに小さなボールを投げ入れて遊びます。かごの位置を徐々に高くしたり、保育士さんがかごを持って逃げたり、難易度をあげると盛り上がるかもしれません。
3歳児の競争心を刺激するように、グループで競っても楽しそうですね。
ボール運びリレー
縄跳びで作った輪のなかにボールを入れ、縄跳びを引っぱりボールをひきずりながらゴールまで運びます。
Uターンをして戻り次の友だちにタッチをして交代するなど、リレーのルールを覚えながら楽しめるとよいですね。
3歳児が楽しめる運動遊びを取り入れよう
平衡感覚が発達する3歳児は、行動範囲もグンと広がるでしょう。自分でできたという達成感を味わうことで、いろいろな活動に興味が広がるかもしれません。
ただし、まだ危険に対する判断力は不十分のため、決められた範囲を超えて走り回らないこととや子ども同士がぶつからないように距離感を保って遊ぶことなど、簡単な約束を子どもと交わしてから活動に入るなどの配慮をするようにしましょう。
3歳児は競争心が芽生えてくる時期です。友だちと協力し合って競えるような運動遊びを取り入れ、負けたくないという気持ちを持って楽しみながら活動できるとよいでしょう。