保育園での餅つき大会に向けて、出し物の内容や導入方法などを知りたい保育士さんもいるでしょう。そもそも餅つきにはどのような由来があるのかを知り、子どもたちに意味などをきちんと伝えられたらよいですね。今回は保育園で餅つき行事をするねらいや内容、保育士として配慮するポイントなどをお伝えします。
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■目次
餅つきの由来と意味
年末の恒例行事として、餅つき大会を行う保育園は多いかもしれません。
子どもにとっても楽しみな行事のひとつでしょう。
そもそも餅つきという風習はどのようにして始まったのでしょうか。
由来と意味についてお伝えします。
餅つきの由来
日本では、昔からお祝いのときに餅を食べてきたという風習があるそうです。
稲は古くから神聖なものと考えられていました。
稲からとれるお米は生命力を強めるとされており、とても大切に扱われていたようです。
特に米をついて固めた餅はその力が強いとされていたことから、お祝い事や特別な日には餅つきをするようになったと伝えられています。
鏡餅を神様にお供えをして感謝をしながら頂くことで、新しい命や力を授かると考えられていました。
餅つきの意味
餅つきは、お正月に向けた準備として行われています。
ただし、餅つきを年末に行う場合は鏡餅を作ること、新年に行う場合は食することといった行う時期によって目的が異なるとされています。
また、作った鏡餅を神様にお供えをして感謝をしながら頂くことで、新しい命や力を授かると考えられているそうです。
なお、一般的に12月25~28日に餅つきを行うのが一般的とされています。
「9」のつく日だと「苦」を連想するという理由から「29日」を避けていたり、「一夜飾り」とならないよう「31日」には行わないようにしたりと言い伝えもあるようです。
保育園によっては年明けに餅つきをすることもあるかもしれませんね。
保育園で餅つきを行うねらい
餅つきを保育園で行うことには、次のようなねらいが考えられます。
- 寒さに負けずに行事を楽しむ
- 協力しながら餅つきをし、協調性を育む
- 日本の伝統行事の雰囲気を感じる
餅つき行事を戸外で行う園もあるでしょう。
冬の寒さに負けず元気に餅つきを行うことも、ねらいの1つと言えそうです。
友だちと2人で杵を持って息を合わせて餅をつくことは、協力し合うよろこびを感じることができそうですね。
また普段なかなか見られない杵と臼に触れて重さや大きさを観察することも、子どもにとっては貴重な経験となるかもしれません。
保育園での餅つき大会の流れ・やり方
保育園で行われる餅つき行事は、一般的に次のような流れで行われるようです。
1.三角頭巾とエプロンを身に着ける
2.男女ペアになって並び、順番がきたら2人で1つの杵を持つ
3.餅をついているところを写真におさめる
4.全員が餅をつき終わったら、保育士の出し物を見る
5.みんなで餅料理を味わう
事前に保育士さんが餅つきの仕方を子どもに見せると、餅つきの動作がイメージしやすくなるかもしれません。
実践するときは、2人ペアになり協力しながら杵を持つことで、記念に撮影する写真も映えるでしょう。
乳児クラスはまだ杵を持つことは難しいので、幼児クラスの子どもの餅つきの様子を見学するようにします。
杵でつく姿を見たり餅をつく音を聞いたりして、餅つき行事の雰囲気をいっしょに楽しみましょう。
また、餅つきや餅料理の準備は、事前に保護者へ声をかけて手伝ってもらうようにするとスムーズに進めることができそうです。
保育士さんが出し物を披露している間に、人数分の餅料理を用意してもらうとよいですね。
保育園の餅つき行事における出し物の導入方法
餅つき行事の担当になった保育士さんは、出し物の内容をどのようにするとよいのか悩んでしまうかもしれません。
ここでは、子どもをひきつける出し物についてアイデアをまとめました。
餅つきの由来をシアターで伝える
餅つきの意味や由来について子どもに分かりやすく伝えるには、パネルシアターやエプロンシアターなどを導入するとよいかもしれません。
子どもがシアターを目で見て楽しみながら、餅つきに興味を持ってくれるとよいですね。
絵本を題材に劇をする
餅にちなんだ絵本をもとに台本を作り、保育士さんが劇をしたり人形劇をしたりするのもよいでしょう。
子どもが行事に興味を持ち、餅料理もおいしく頂けるかもしれませんね。
餅つきの歌を歌う
日頃の保育のなかで餅つきにちなんだ歌に親しんでおき、行事のなかで全園児が同じ歌を歌うと一体感が感じられて楽しそうです。
年長さんはハモリのパートを覚えて歌ったり、楽器をところどころ取り入れたりしても盛り上がりそうですね。
保育士さんは歌の歌詞に合わせて、キャラクターに扮して踊るなどしても子どもはよろこぶかもしれません。
餅にちなんだ手品をする
保育士さんが手品を披露すると、子どもはびっくりすることでしょう。
手作りの臼のなかから杵をつくといろいろな物が出てくるなど、餅つきにまつわる不思議な仕掛けを考えてみるのもおもしろそうですね。
保育園で餅つき行事をする際に配慮すること
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餅つき行事を楽しく行うために、気をつけるポイントについてまとめました。
杵を落とさないように気をつける
杵は子どもにとって持ち慣れた道具ではないため、手を滑らせて落とすことがあるかもしれません。
持ち手を両手でしっかり握るように伝え、餅をついている間はいつでもフォローできるよう保育士さんがそばにつくようにしましょう。
杵の柄がゆるんで抜けやすくなっていないかどうかも、事前に確認をしておくと安心して行えそうです。
火の元に注意する
餅つき行事では餅を作る際に火を使うため、子どもを火の元へ近づけないように充分注意しましょう。
また、お湯を沸かすときには空焚きにならないようにし、餅料理を作る際は熱い餅を触って火傷をすることのないようになど、大人も気をつけて調理をする必要があります。
餅を喉につまらせない
餅はしっかり噛んで食べられるようになる、幼児クラスから与えるのが望ましいかもしれません。
餅を喉に詰まらせないよう、必ず小さく切って調理をしましょう。
最初に水分を飲ませてから餅を食べるようにしたり、汁物料理に餅を入れて味わったりするとよいかもしれません。
餅を上手に呑みこめているか、保育士さんは子どもから目を離さないようにしましょう。
餅つきで使った餅は装飾用として使う
子どもがついた餅は鏡餅に仕上げるなどして、衛生的に心配のないように工夫をしましょう。
鏡餅を保育園に装飾しておくと、餅つきの思い出話にもしばらく花が咲きそうですね。
食中毒に気をつける
食品を扱う行事であることから、手の消毒やうがいの徹底、体調不良の人は休むなどの配慮が必要でしょう。
とくに餅を触る担当は身に着けるものを清潔にし、手袋をはめて作業をすることが望ましいですね。
保育園で楽しむ餅つき行事を成功させよう
一年を締めくくる年内最後の一大イベント、餅つき。
おいしい餅料理を味わえることも楽しみですよね。
保育士さんが餅つきの意味や由来を分かりやすい劇などにして伝えると、子どもが日本ならではの風情に興味をもつきっかけになるかもしれません。
日頃の保育で餅つきごっこなどの餅にちなんだ遊びを導入するなどして、行事に向けて楽しく過ごせるとよいですね。