保育園で行われる懇談会の進め方に悩む保育士さんもいるでしょう。全体の流れを知っておけば、司会進行もスムーズにできるかもしれません。今回は、保育園の懇談会の進め方について、保育士さんの挨拶や保護者がリラックスできるような自己紹介のテーマ例を紹介します。また、懇談会のレジュメ(資料)作成のポイントもまとめました。
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■目次
保育園で懇談会を開く目的
保護者の方を集めて、日頃の様子や保育園での取り組みについて話す懇談会。
保護者の方とじっくりとお話できる数少ない機会となるため、よりよい話し合いの場にしたいと考える保育士さんも多いかもしれません。
保育園で懇談会を開く目的には、次のようなことが考えられるでしょう。
園やクラスの方針などを伝える
保護者の方に園の運営や方針などについて説明することが目的とされています。
日々のおたよりだけではなく、資料をもとに保育士さんから直接説明を行うことで、保護者の方が改めて保育園について理解を深める場となるでしょう。
子どもたちの保育園や家庭での様子を共有する
保護者の方から家庭での子どもの様子を伺いましょう。
また保育士さんからは、保育活動の内容や遊びに、子どもが活き活きと過ごしている様子などを話すとよいかもしれません。
子どもの情報を共有し、子どもの成長を保護者の方と共に見守っていくという姿勢を示すことが大切です。
保育士と保護者の信頼関係を築く
懇談会での交流をきっかけに、保育士さんと保護者の方との信頼関係を築くことも目的とされているようです。
保護者の方との相互理解を深めることで、子どもに関することももより気軽に話せるようになるかもしれません。
保護者同士の親睦を深める
保育園は送迎時間がバラバラなので、保護者同士がゆっくり顔を合わせる機会は少ないでしょう。
懇談会は、保護者同士で子育てにまつわる悩みを共有するなど、コミュニケーションを図るきっかけにもなりそうです。
保育園の懇談会を通して、保育士さんと保護者の方や、保護者同士の信頼関係が築けるとよいですね。
保育園の懇談会に向けて準備すること
保育園で懇談会を開くために準備することをまとめました。
1.プログラムの考案
懇談会をどのようなタイムテーブルや進め方がよいのかを考え、作成しましょう。
当日話し合いたい内容については、保護者の方へアンケートを取ってから考案してもよいかもしれません。
懇談会当日に渡す資料にプログラムを箇条書きで示しておけば、保護者の方に全体の流れを伝えやすいでしょう。
2.レジュメの作成
懇談会の流れや話す内容が決まったら、保護者の方に渡すレジュメ(資料)を作ります。
先述したようにプログラムに沿って懇談会で話す内容をまとめるほか、参加できなかった保護者の方にも内容がわかるように資料を作成しましょう。
レジュメの効率的な作り方については、このあとくわしく説明します。
3.参加人数の把握
おたよりなどを通して、事前に出席確認を済ませておきましょう。
参加人数にあわせて、椅子と机の配置も考えておいたり、資料を置いておいたりするとよいですね。
4.保育室の整備
保護者の方が保育室を利用したときに清潔感を感じられるよう、整理整頓をして、念入りに清掃を済ませておきましょう。
また、子どもが作った作品で壁面装飾をすると、保護者の方によろこんでもらえそうです。
子どもが静かに遊んでいられるようなスペースを設けたり、授乳やオムツ替えのしやすい場所を確保したりして、子どもの世話をしながらでも懇談会に参加できるような環境を整えておくのもよいですね。
保育園の懇談会の進め方
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懇談会の流れや進め方は、保育園によって違うようです。
ここでは、一般的な懇談会の進め方の例を挙げて紹介します。
1.始まりの言葉
2.保育士からの挨拶
3.保護者の方の自己紹介
4.子どもの様子について
5.連絡事項
6.保護者からの相談など
7.終わりの言葉
では、懇談会の流れに沿ってくわしく見ていきましょう。
始まりの言葉
予定の時間になったら様子をみて懇談会を始めましょう。
<始まりの言葉の例文>
本日はお忙しいなかお集まり頂き、ありがとうございます。
お時間になりましたので、〇〇クラスの懇談会を始めさせて頂きます。
保護者の方はどんなことを話すのかわからず、緊張しているかもしれません。
リラックスした雰囲気を作れるように、笑顔で挨拶することを心がけましょう。
保育士からの挨拶
始まりの言葉のあとに、保育士さんからの挨拶へ進みましょう。
懇談会で活用できる文例をケース別に紹介します。
年度始めの挨拶の例文
△△クラスの担任をさせていただくことになりました、〇〇と申します。
初めての3歳児担当となりますので、日々学ばせて頂きながら、かわいい子どもたちといろいろなことに挑戦して楽しく過ごしたいと思っています。
年度初めに行われる懇談会では、保育士さんの自己紹介も交えて話しましょう。
どんな人物なのかわかるように、簡単な経歴や好きなものなどの紹介も加えると、親しみをもってもらえるかもしれませんね。
年度途中の挨拶の例文
進級から〇カ月が経過し、子どもたちもずいぶんと豊かな表情を見せてくれるようになりました。
現在は〇月の運動会に向けて、毎日一生懸命踊りやかけっこの練習に励んでいます。
保護者の皆様には、日頃から園生活にご協力いただいており、心から感謝申し上げます。
年度途中の懇談会では、保護者の方ともある程度関係性が築けてきているのではないでしょうか。
最近の子どもたちの様子や、成長したこと、今後の行事などについてふれながら挨拶をすると、クラスのことが伝わりやすくなりそうです。
年度末の挨拶の例文
至らない点もあったかと思いますが、1年間あたたかく見守ってくださり本当にありがとうございました。
お家の方々のあたたかい言葉や、子どもたちのかわいい笑顔にいつも癒されていました。
4月の子どもたちの姿を思い返すと、いろいろなことが自分でできるように成長したことを嬉しく感じます。
クラスが変わっても、子どもたちのことをこれからも見守っていきたいと思っています。
年度末に懇談会が開かれる場合は、保護者への感謝の言葉と、子どもの成長への喜びについて語るとよいでしょう。
保護者の方の自己紹介
保育士さんの挨拶のあとは保護者の方から一言ずつ自己紹介をしてもらいましょう。
簡単なテーマを決めて行うと、保護者の方も話しやすくなるかもしれません。
挨拶のテーマの例として、以下が挙げられます。
- 子どものこんなところが好き
- 子どものこんなところに困っています
- 私の子育てマル秘術
- 私のストレス解消法
- 最近の子育て失敗談
- 私の趣味、子どもの趣味
趣味や失敗談など、子育てに関係のないテーマでも面白そうです。
ゲーム感覚で楽しめるような雰囲気を作れば、保護者の方もリラックスして話すことができるかもしれませんね。
子どもの様子について
次に、保育園での子どもたちの様子を伝えましょう。
保護者の方にクラスのことをイメージしてもらうためにも、「保育活動」と「クラスの課題」の2つの視点から話すとよさそうです。
保育活動について
直近の保育活動における子どもの様子を保護者の方に話しましょう。
年度最初に行う懇談会の場合は、年間保育計画や保育目標なども交えながら話を進めるとよいかもしれません。
子どもの様子や成長を感じた点など、保育のワンシーンから日常の情景が伝わるように話してみると、より伝わりやすくなりそうです。
クラスの課題
子どもが片づけに意欲的ではない、トイレに行きたがらないなど、クラス全体で改善したいと思っていることがあるかもしれません。
これから取り組みたい課題として伝えることで、保育士さんの思いを知ってもらったり、今後の成長について意識してもらえたりするでしょう。
家庭でも協力して欲しいことがあれば、保護者の方に相談したりお願いしたりして、改善に向けて連携を図れるとよいですね。
連絡事項
全ての持ち物に記名をすることなど、保護者の方へ改めて周知したいことや確認したいことを伝えましょう。
年度始めの懇談会であれば、園の決まりやルールとあわせて、年間行事の流れを説明してもよいかもしれません。
また、保護者の方が顔合わせをした機会として、役員決めの相談を持ちかけることもあるようです。
保護者からの相談など
最後に質問コーナーとして意見交流の場を設け、保護者の方から気になることがないかを伺いましょう。
もし特に無さそうであれば、「子どもの離乳食の進め方でお困りではないですか?」などと、具体的な話題を設けて提案をしてみるのもよいかもしれません。
終わりの言葉
保護者の方からの質問などが落ち着いたタイミングで、懇談会を終了しましょう。
<終わりの言葉の例文>
質問がほかにないようであれば、以上で懇談会を終了させて頂きます。
何か困ったことなどがあれば、いつでも気軽に相談してください。
本日はありがとうございました。
懇談会を終える前に、あらためて今後に対する挨拶を伝えてもよいでしょう。
終了後に保育室を開放すれば、保護者同士で交流する時間を確保することができるかもしれませんね。
保育園の懇談会におけるレジュメや司会進行、挨拶のポイント
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最後に、懇談会において大切になる「レジュメの作成」「司会進行」「保育士さんからの挨拶」の3つの仕事のポイントをまとめました。
レジュメの作成
懇談会で保護者の方に配布するレジュメ(資料)の効率的な作成方法を紹介します。
大まかに枠組みを作ってから作成する
レジュメには、懇談会で話すことの概要を大まかに記す必要がありますよね。
まずは、懇談会の進め方をもとに、どのような内容にするか大まかな枠組みを作成するとよいでしょう。
<レジュメに書くことの例>
- 懇談会の流れ
- クラス目標、年間目標
- デイリープログラム
- 行事予定
- 連絡、お願い
このように、簡単に内容の見出しを作成して、大まかに書く内容を決めておくと、資料の作成もスムーズになりそうです。
保護者の手元に置いてほしい情報を記載する
レジュメは保護者の手元に残るという点を意識して作ることが大切になります。
例えば、毎日の準備物や行事の日程など、懇談会が終わっても繰り返し確認したい事項は、資料に残しておくと、保護者の方にとって役立つものとなるでしょう。
昨年度の資料を参考にする
レジュメを作成する際に、ゼロから書いていくのは大変かもしれません。
そのため、昨年度の懇談会資料など参考にできるものがあれば活用するとよいでしょう。
構成やお願い事項の書き方など共通するものは参考にして書き、子どもの姿やクラス目標などは自身のクラスのものにアレンジして作れるとよいですね。
司会進行
ここでは、スムーズに司会進行をするためのポイントやコツを紹介します。
万全の準備を整える
保育室の整備や保護者の方へ配布するプリントの印刷など、懇談会に向けて用意することはいろいろありますよね。
懇談会当日を落ち着いて迎えられるよう余裕をもって準備しておけば、スムーズな式の進行にもつながるでしょう。
全体へ向けて話す
全体に目を向けながら話すように意識しましょう。
口数の少ない方にも気を配り、適宜話を振るなど全員が意見を言えるような空気を作れるとよいかもしれません。
笑顔で話し、リラックスできる雰囲気にする
保育士さんが固い表情をしていると、保護者の方も緊張して話しにくくなってしまいます。
緊張しても笑顔を忘れずに振る舞えば、緊張感のある空気も和らぐかもしれませんね。
分からないことは保留にする
保護者の方からの質問の答えに悩んでしまったときは、「園長に確認して、のちほどお知らせします。」などと伝えて一旦保留にするとよいかもしれません。
誤った答えをすると保育士さんの信用が薄れてしまったり、園の方針と異なってしまったりすることもあるので、不明な点をきちんとクリアにしてから伝えるようにしましょう。
おたよりや資料など、書面を通して改めて回答するとより丁寧ですね。
時間通りに終了する
懇談会が盛り上がったからと言って、予定の時間よりも延長してしまうと、保護者の方に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。
そのため、規定の時間内に終わらせられるようにタイムスケジュールをしっかり管理しましょう。
例えば、自己紹介では1人の話す持ち時間を設定するなどして、プログラムの項目ごとに時間を決めて進行するとよさそうです。
挨拶や自己紹介
大勢の前でうまく話すことができるのかと不安になる保育士さんもいるかもしれません。
ここでは、保育士さんが自己紹介や挨拶をするときのポイントを紹介します。
保育の展望を伝える
クラスのことについて保育士さんの言葉でしっかり伝えられる懇談会では、子どもとどのように過ごし、どのような保育をしていきたいのかを保護者の方へ伝えましょう。
絵の具の製作やリズム遊びなど、取り入れたい保育活動を具体的に設定すると話しやすいかもしれません。
保護者への感謝の言葉を述べる
忙しいなか集まってくださる保護者の方へ向け、感謝の言葉を忘れずに伝えましょう。
次回の懇談会の日程が決まっていれば、ぜひまた参加してもらえるように案内ができるとよいかもしれませんね。
相談しやすくなるような言葉を添える
何か気になることがあっても、大勢の前では話しにくさを感じていたという保護者の方もいるかもしれません。
懇談会の終わりには、この場に限らず困ったときはいつでも気軽に相談してほしい旨を伝えましょう。
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保育園の懇談会の進め方を知り、保護者と親睦を深めよう
今回は、保育園で開催する懇談会の進め方や流れについてまとめました。
保護者の方が忙しい時間を作って集まってくれる懇談会。限られた時間のなかで有意義な話ができるとよいでしょう。
リラックスできるような空気作りや挨拶を意識すれば、保護者の方に参加してよかったと思ってもらえるかもしれません。
司会や自己紹介をするときのポイントも押さえて、保育士さんと保護者の方だけでなく、保護者同士のコミュニケーションも深められるような、温かい雰囲気の懇談会にできるとよいですね。