保護者の方に普段の子どもの様子や過ごし方を見てもらう保育参観。保育士さんにとっては緊張のイベントかもしれませんが、内容や気をつけることなどがわかっていると安心ですよね。今回は、保育参観のねらいやポイントを紹介します。当日に使える遊びのアイデアや親子ふれあい遊びなども0歳児から5歳児までの年齢別にまとめました。
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保育参観のねらいとは
保育参観とは、保護者の方に園に来ていただき、普段の保育の様子を見学してもらう行事です。
園によっては、保育の様子を観察するというやり方だけでなく、保護者の方にも製作や親子ふれあい遊びなど実際に保育に参加してもらうという形を取ることもあるでしょう。
このように保育参観の機会を設けるには、以下のようなねらいがあるようです。
保育園での過ごし方や援助の方法を知ってもらう
保育参観を通して保護者の方に、子どもがどのように園で過ごしているかや、保育士さんがどのように子どもとかかわっているかを見てもらうというねらいがあります。
保護者の方に園での様子を知ってもらうことで、子どもの成長を実感することはもちろん、意外な一面を発見することもあるでしょう。
また、子どもが楽しんでいる遊びの内容や保育士さんのかかわり方を見て、子育てに活かすという方もいるかもしれません。
保育園に安心感を持ってもらう
普段、連絡帳や申し送りではくわしい様子がわかりにくく、不安に感じる保護者の方もいるかもしれません。
保育参観で実際に保育の様子を見てもらうことで、「こんな風に過ごしているのだな」「楽しそうでよかった」と安心してもらうことにつながるでしょう。
子どもの表情や保育士さんとの関係性などを見ることができるため、保護者の方は普段の様子も推察できるかもしれません。
保育園やほかの保護者とのつながりを作る
子育てに悩みを抱えていたり、自分一人で子育てをしているような感覚に陥ったりしている保護者の方もいるかもしれません。
保育参観の場や、その後に実施する懇談会などの機会を通じて、保育園と家庭でいっしょに子育てをしているという実感を持ってもらうというねらいもあるでしょう。
また、同じ年齢の子どもを持つほかの保護者とふれあうことで、悩みを共有したり子どもの話題で盛り上がったりすることもできそうですね。
保育参観で保育士が気をつける4つのこと
ここでは、保育参観を行うときに保育士さんが気をつけることを紹介します。
身だしなみを整えておく
保育参観の日は式典など特別な行事ではないため、改まった格好をする必要はありませんが、清潔感のある服装を心掛けましょう。
普段通りで問題ないと言えますが、保護者の方に安心感を持ってもらうためにも、取れかけたボタンや長すぎるエプロンのひもなどは調整して安全性を確保しておくとよいですね。
子どもたちが主役であることを念頭に置く
保護者の方が気になっているのは、保育園で子どもたちがどのように過ごしているかということでしょう。
そのため、保育参観の挨拶は手短に済ませ、子どもの様子をじっくりと見ることができるように配慮するとよいかもしれません。
トラブルには落ち着いて対処する
保育参観中にも、子どものケガやケンカといったトラブルが起きる可能性はあります。
保護者が見ていることを意識すると緊張してしまうかもしれませんが、普段通り落ち着いて冷静に対処することが大切です。
また、いつもの保育ではケンカが起きてもあえてすぐに仲裁に入らず見守ることもありますが、保護者の方は「何もしてくれないのかな?」と不安になるかもしれません。
保育参観の日には、ケンカが起きにくいよう工夫するとともに、言い合いなどには早めに気づいて対応するよう心がけると保護者の方の安心感につながりそうです。
保育参観に参加できない保護者の方にも配慮する
仕事や家庭の都合などで、保育参観に来ることができない保護者の方もいるでしょう。
その際は、子どもと保護者の両方に対して配慮することが必要です。
親子ふれあい遊びや親子製作など、保護者の方も参加する活動を計画している場合は、保育士さんが保護者の代わりに子どもといっしょに行います。
保護者の方は、「保育参観に行けなくて子どもに申し訳ない」と感じていることも考えられるため、「寂しそうだった」など不安をあおることは伝えず、楽しそうにしていた場面のことを伝えるとよいですね。
【年齢別】保育参観で使える遊びアイデア
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進め方のポイントがわかったところで、0歳児から5歳児までの年齢別に、保育参観で使える活動や親子ふれあい遊びのアイデアを紹介します。
0歳児
保育参観のポイント
0歳児の子どもたちは、保護者の方が見えると泣いてしまうことが考えられるため、普段の姿を見てもらうには窓の外からこっそり見てもらうという配慮が必要になるでしょう。
初めて保育園に預けるという保護者の方も多いため、主活動の様子からオムツ交換、授乳、午睡など園生活の流れを知れるプログラムがよいかもしれません。
また、月齢によってまだまだできることや生活のリズムに差がある頃のため、月齢別のグループに分かれて実施するのもよさそうですね。
保育内容の例
- ハイハイレース
- わらべうた
- マット運動
会の終わりに、わらべうたや手遊びを使った親子ふれあい遊びの時間を設けるのもよいでしょう。
スキンシップの取り方をみてもらうことで、家庭でも楽しんでもらえるかもしれません。
親子ふれあい遊びに使えるわらべうたや手遊びは、以下の動画を参考にしてみてくださいね。
関連動画:【手遊び3選】人気の手遊び歌でママと遊んでみた/保育士バンク!
1歳児
保育参観のポイント
1歳児クラスでも、0歳児と同じく保護者の方が見えると泣いてしまう可能性があるため、影などに隠れてこっそり参観できるようにするとよいでしょう。
離乳食が始まる1歳児クラスの保育参観では、食事の様子を見る機会を作るとよいかもしれません。
保育園の給食ではどのような形状や量が出されるのか、自分で食具を持って食べるのかなどをくわしく知れると保護者の方も参考になりそうです。
保育内容の例
- ボール遊び
- ふれあい遊び
- お絵かき・シール貼り遊び
子どもたちが普段から興味を持って楽しんでいる活動内容を見てもらうとよいでしょう。
親子ふれあい遊びを行う場合、マット上で身体を動かす遊びを取り入れてもよさそうですね。
2歳児
保育参観のポイント
2歳児クラスでは、着替えや排泄など身の回りのことを自分で行うようになる頃でしょう。
2歳児になるとイヤイヤ期に入る子どももいるため、こだわり行動などへの対応を知りたい保護者の方もいるかもしれません。
そのため、遊びだけでなく生活の様子もしっかりと見ることができるよう配慮していきましょう。
保育内容の例
- 体操
- おままごと
- 新聞紙遊び
2歳児では友だちといっしょに遊ぶ姿も見られ始めるため、子ども同士のかかわりを楽しめるような活動を行うとよさそうです。
また、活発に身体を動かしたり、歌を覚えて歌ったりする頃でもあるので、新聞紙遊びや音楽に合わせて体操などを行うのも楽しいかもしれません。
3歳児
保育参観のポイント
3歳児クラスは、集まりの時間に保育士さんの話を聞いたり、友だちといっしょに一つの遊びを楽しんだりと集団での行動ができるようになる頃かもしれません。
保育園という集団生活で子どもたちがどのように過ごしているかを保育参観で見てもらえるとよいですね。
保育内容の例
- 椅子取りゲーム
- だるまさんが転んだ
- 変身遊び
集団で楽しめる簡単なゲーム遊びや表現遊びを取り入れてみましょう。
みんなで動物などになりきる変身遊びは、親子ふれあい遊びとして保護者の方もいっしょに楽しむのもよいかもしれません。
かけっこや複雑な製作など、子どもの成長の個人差がはっきりと見えてしまう活動は、保護者の方の不安につながるため保育参観の日には避けておくとよさそうです。
4歳児
保育参観のポイント
園生活に慣れて、自信を持って行動したり、友だちといっしょに過ごすことをよろこんだりするようになる4歳児クラス。
子ども一人ひとりの個性が育まれる時期でもあるため、子どもたちの関心のある遊びや友だちとのかかわりを見られるように工夫しましょう。
保育内容の例
- フルーツバスケット
- じゃんけん列車
- しっぽ取り
集団でルールを守って遊ぶ楽しさを味わえるようになる4歳児では、ゲーム性のある遊びを取り入れてみましょう。
何回か園でやったことのある遊びであれば、子どもがいきいきと楽しむ姿を見てもらえるかもしれません。
5歳児
保育参観のポイント
年長児となり、自分たちで遊びを充実させながら工夫して楽しむ姿が見られる5歳児クラス。
子どもたち同士で話し合い、協同して遊ぶ姿を見てもらえるとよさそうです。
また、5歳児は年長として「お兄さん、お姉さん」であることを自覚し始める頃でもあるため、可能であれば異年齢で過ごす時間も見てもらえるとよいかもしれません。
保育内容の例
- お店屋さんごっこ
- 合奏遊び
- 新聞島ゲーム
子どもの発想でさまざまに遊びを広げていけるごっこ遊びでは、保護者の方も子どもたちの工夫ややり取りを見て成長を実感できるかもしれません。
5歳児クラスで親子ふれあい遊びを取り入れる際には、新聞島ゲームなど親子で協力して楽しめるゲーム遊びを取り入れるとよいでしょう。
新聞島ゲームの遊び方は、以下の動画を参考にしてみてくださいね。(再生時間1:15~)
関連動画:【新聞紙あそび5選】新聞紙だけで準備運動から楽しめる物まで5つ紹介【mocaちゃんTime】/保育士バンク!
保育参観後の懇談会でのポイント
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保育参観のあとには、懇談会や保護者との個別面談を予定している園も多いかもしれません。
保護者の方へ直接話をしたり、質問を受けたりする懇談会。
保育士さんが気をつけることや、よくある質問の回答例を紹介します。
懇談会や保護者面談では普段の様子をしっかり伝えよう
懇談会や保護者面談は、保育士さんから、保育方針やクラスの状況、ねらいなどを直接説明することができる貴重な機会と言えます。
普段の様子が伝わるよう、遊びの内容や生活の様子、楽しんでいる興味のあることや、今後育んでいきたい部分など、具体例を挙げてていねいに話していきましょう。
また、いっしょに子育てをしている感覚を持ってもらえるように、保護者の方に寄り添って話をすることが大切と言えそうですね。
保護者からよくある質問と回答例
ここでは、懇談会や保護者面談で、保護者の方からよく聞かれる質問とその回答例をまとめました。
質問1:保育園に預けるのにうしろめたさを感じます。
周囲から「小さなうちから保育園なんてかわいそう」と言われ、保護者の方が悩んでしまうケースもあるようです。
「やむを得ない事情があるから保育園へ預けている」という保護者の気持ちを汲んで対応できるとよいですね。
よくない回答例
「できれば家庭で見てあげられるとよいですね。」
このような言葉は保護者の方を追い詰めてしまう可能性があります。
保護者の方に安心してもらえる声かけを心がけましょう。
望ましい回答例
「〇〇くんが健やかに成長できるよう、今後も全力でサポートさせていただきます。」
「〇〇ちゃんの笑顔に、私もとっても癒されています。」
保育園と家庭でいっしょに子育てしている、という気持ちを共有できるような回答ができるとよいかもしれません。
質問2:友だちとケンカが多く、うまく遊べているかが不安です。
友だちの存在を意識する時期の子どもたちは時にぶつかり合うこともありますが、保護者の方はトラブルを心配してしまうかもしれません。
園の様子を伝えたうえで、ケンカや言い合いも成長の兆しであると伝えると保護者の方の安心につながるでしょう。
よくない回答例
「〇〇ちゃんとよくケンカしてしまって、園でも心配しているんです。」
このような言い方では、保護者の方を不安にさせてしまいかねません。
望ましい回答例
「友だちのことが気になるぶん、ぶつかることもあるみたいです。心が成長している証拠かもしれません。」
「お友だちとよい関係が築けるよう、これからもしっかり見守っていきますね」
あわせて、園でケンカになった際の対応方法や、ケンカをしたあとの子どもたちの様子も伝えると、「しっかり見てくれているんだ」と安心感を持ってもらえるでしょう。
質問3:子どもが自分のことをきちんとできません。
ほかの子どもは身の回りのことができているのに、と不安に思う保護者の方もいるようです。
保育園での生活の様子を伝えると、安心してもらえるかもしれません。
よくない回答例
「お家の方がなんでも手伝ってあげるからではないでしょうか?」
保護者の方は責められているように感じてしまい、自信を失ってしまうおそれがあります。
望ましい回答例
「園では〇〇をがんばってくれていますよ。一つひとつできるよう、じっくり見守っていきましょう。」
「4月に比べると、〇〇がとっても上手になりました。『すごいね、できるようになったね』と褒めると、すごくうれしそうにしていましたよ。」
個々のペースで成長していけるよう、園でがんばっていることや、その子自身の成長を伝えるとよいかもしれません。
保育参観のポイントをおさえて保護者の方に満足してもらおう
今回は、保育園で行う保育参観のねらいや内容の例、気をつけることについて紹介しました。
保育参観には、保護者の方に安心して子どもを預けてもらえるようにするというねらいがあります。
参観日の保育内容は悩んでしまうポイントですが、普段の園生活の様子を見てもらえたり、親子ふれあい遊びを楽しめたりする活動を考えてみましょう。
0歳児から5歳児までのポイントを参考に、保護者の方に安心してもらえるよう保育参観の内容を考えてみてくださいね。