春や秋に実施される保育園の遠足は、子どもが楽しみにしている行事の一つでしょう。ねらいを知ったうえで、下見・しおり作成などの準備や、保育士さんが配慮すべき点などをしっかりと把握しておきたいですよね。今回は、保育園の遠足について、ねらいや当日の流れ、保育士さんの持ち物などを紹介します。

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■目次
保育園で遠足をするねらい
数ある保育園行事のなかでも、園から離れて遠くへ出かける遠足は子どもたちに人気のイベントかもしれません。
秋の芋ほり遠足などや春のお別れ遠足など、季節にあわせて実施されることが多いようですが、保育の一環である遠足にはどのようなねらいがあるのでしょうか。
遠足全体を通したねらいと、季節や行先ごとのねらいをまとめました。
共通のねらい
遠足共通のねらいは以下です。
- 公共の場でのマナーや立ち振る舞いを学ぶ
- 友だちや保育士と親睦を深めて思い出を作る
季節や行先ごとのねらい
季節や行先ごとのねらいとして以下が挙げられます。
- 季節や自然の移り変わりを体感する
- 草木や花などにふれて自然に親しむ
- 広い場所で思い切り身体を動かして楽しむ
このように、遠足には季節や行き先、目的ごとにさまざまなねらいがあるようです。
たとえば、親子遠足の場合は「親子でふれ合うことを楽しむ」、お別れ遠足の場合は「いっしょに過ごした保育士や友だちとの思い出を作る」などもねらいとなるでしょう。
動物園や大きい公園など、遠足ならではの場所に行くことで子どもたちの好奇心が刺激され、興味や関心の幅が広がるきっかけになるとよいですね。
保育園の遠足の時期や行き先
保育園の遠足行事が行われる時期や、主な行き先について紹介します。
時期
保育園の遠足は、天候が穏やかで気温も落ち着いている春や秋に行われることが多いようです。
春の遠足は4月から5月に行われ、秋の遠足は9月から11月に行われるのが一般的かもしれません。
園によって異なりますが、親子遠足がある場合は、保護者同士の親睦を深めるために新学期が落ち着いた5月頃に実施されるケースが多いようです。親子遠足がない園では、子どものみで春の遠足が行われるでしょう。
また、年齢によって秋の芋ほり遠足や3月のお別れ遠足などもあり、シーズンにあわせて実施されることが多いようですね。
行先
保育園の遠足で選ばれることが多い定番の行き先として、以下が挙げられるでしょう。
- 近場の大きな公園(総合公園や運動公園など)
- 動物園
- 水族館
- プラネタリウム
総合公園などの屋外の施設を行き先にすると、子どもたちが季節の変化や自然を肌で感じながら楽しめるでしょう。
またレジャー施設などに行けば、子どもたちが周囲の人を意識して行動できるようになり、社会性を育むことにつながるかもしれませんね。
保育園の遠足前に必要な準備

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保育園の遠足を無事に実施するためには、事前準備をしっかりと整えておくことが大切です。
ここでは、遠足に向けて保育士さんがやっておくべきことを紹介します。
行き先を決める
まずは、子どもたちの年齢や興味などを考慮して行き先を決めましょう。
目的地によって交通手段は変わってくるので、徒歩で行くのか、観光バスを借りるのか、あるいは公共交通機関を利用するのかなどもあわせて考える必要があります。
また、親子遠足なのか子どものみの遠足なのかによっても異なるでしょう。
子どものみの場合は、保育士さんの目が届くように人が多いところは避け、視界が開けた公園などに行くとよいかもしれません。
一方親子遠足の場合は、保護者と子どもがいっしょに行動できるように、自由時間にゆっくり遊んだり観覧したりできる目玉スポットがあるレジャー施設を選ぶとよさそうですね。
行き先の下見をする
行き先の候補が決まったら、複数の保育士さんで下見をしましょう。
その場合、以下のポイントを意識してチェックするとよいかもしれません。
- 駐車場や最寄駅から目的地までの道順と所要時間
- トイレの場所や個室の数
- お弁当を食べられる場所
- 写真撮影をできる場所
- 当日の行動ルート
目的地までのルートを確認する際は、途中で危ない場所がないか、また道路の交通量なども確認しておきましょう。
また、トイレの場所を確認するときは、施設全体でいくつあるのか、また子どもが使いやすいのはどこにあるのかなどもあわせて見ておくと、当日もスムーズに誘導できるかもしれませんね。
遠足の行き先の下見は、一日の流れや子どもが取りそうな行動を想像しながら進めることが大切です。
保育士の役割分担を決める
遠足に同行する保育士さんの分担を決めましょう。
保育園の遠足で必要になる主な役割を、以下の表にまとめました。
係・役割 | 内容 |
---|---|
写真係(業者を手配しない場合) | 子どもの様子を写真に収め、後日販売する。 |
引率係 | 子どもの先頭を歩いて引率する。目印となる旗を持って誘導し、全体の様子を細かく確認する。 |
救急係 | 子どもや保護者の体調不良・ケガの対応をする。救急セットを用意して持参する。 |
タイムキーパー | タイムスケジュールを把握し、当日の進行状況を逐一確認する。 |
担当の係がない保育士さんは、トイレに行く子どもを援助したり、遅れている子はいないか周囲を確認したりと、状況に合わせた臨機応変な動きが求められるでしょう。
遠足を安全に実施するためには、保育士さん同士がきちんと連携できていることが重要です。
自身の分担だけでなく誰がどの役割を担っているのかも把握し、何かあったときに互いにフォローに回れるよう、役割を共有しておきましょう。
しおりを作成する
担当の係を決めたら、子どもたちや保護者へ配布するしおりを作成します。
遠足のしおりには、以下の内容を記載しましょう。
- 日程や行き先
- 当日の流れ(集合時間~解散まで)
- 服装や持ち物
- 遠足でお約束
以上の項目以外に、しおりの空いているスペースに行き先にちなんだイラストを添えれば、子どもたちのワクワク感を高められるかもしれません。
しおりの作成は手書き・パソコンでもどちらでもよいですが、手書きの場合は時間がかかってしまうので、余裕を持って用意するとよいですね。
また、親子遠足の場合は、保育士の連絡先や集合場所のマップなども記載しておきましょう。
保護者へお知らせする
おたよりや連絡帳などを通じて、保護者へ遠足の実施をお知らせしましょう。
おたよりには、日程や行き先、集合時間など最低限の項目のみ記載し、遠足の詳細を記載したプリントを別で配布するとよいですね。
念のため、前日の送り迎えの際に「明日の遠足は、〇時に△△集合となっていますので、よろしくお願いいたします。」と一言挨拶を添えてもよいかもしれませんね。
バスの中で行うレクリエーションを考える
バスで遠足に行く場合は、車内で楽しめるレクリエーションを考えましょう。
ずっと座っていることに飽きてしまう子どももいるかもしれません。歌やクイズ、簡単な手遊びなどいくつかのバスレクを行えば、移動中の時間も退屈せずに過ごせるでしょう。
おおよその移動時間を考慮して、いくつ程度ネタを用意しておけばよいか考えておくとよいですね。
親子遠足の場合は、保護者からの挨拶の時間を設けてもよいでしょう。保護者同士が打ち解けやすくなって空気も和やかになりそうですね。
関連記事:【解説】保育園の遠足のしおりの作り方。作成するねらいや書くべき項目、内容など/保育士バンク!
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保育園の遠足当日の流れ
保育園の遠足に向けた準備をふまえ、当日の流れを見ていきましょう。
流れ | 段取り・内容 |
---|---|
1.集合 | 子どもたちに予定通り集合してもらい、保育士さんが人数確認をします。 |
2.保育士の始めの挨拶 | 保育士さんから改めて一日の流れや約束事を確認します。親子遠足の場合は簡単な自己紹介も行いましょう。 |
3.出発・移動 | 貸し切りバスや公共交通機関を利用して目的地へ移動します。 |
4.目的地に到着 | 目的地に到着したら、子どものトイレの時間を確保します。その後、全員揃っているか人数確認を行いましょう。 |
5.記念撮影 | 下見の際に確認した場所で記念撮影を行います。 |
6.施設見学 | 動物園や水族館など、施設を見学します。子どもたちにルールや順番を守って行動することを伝えましょう。 |
7.昼食 | 昼食前に子どもたちのトイレの時間を設けます。全員揃ったら、下見をした場所で昼食をとりましょう。 |
8.自由時間 | 自由時間をたっぷり設けて子どもたちとのびのび遊びます。子どもが動いてもよい範囲をあらかじめ決めておき、お約束として伝えましょう。こまめな人数確認も大切です。 |
9.集合 | 子どもたちを集合させ、人数確認を行います。 |
10.保育士の終わりの挨拶 | 子どもたちに一日の感想を聞き、終わりの挨拶をします。親子遠足の場合は保護者に感謝を伝えましょう。 |
子どものみの遠足と親子遠足では集合や解散の流れが異なることもあるので、園の方針に従ってプログラムを作成しましょう。
屋外かつ人が多くいる場所は、保育士さんの目が届きにくくなりがちです。こまめに人数を数えて、子どもが全員揃っているか確認しましょう。
保育園の遠足に必要な保育士の持ち物

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保育士さんが遠足に持っていくとよい持ち物をまとめました。
遠足の準備をする際に、チェックリストとして活用してみましょう。
☑救急セット ☑ホイッスル ☑子どもの着替え ☑タオル ☑ビニール袋 ☑ティッシュ ☑トイレットペーパー ☑保護者の連絡先 ☑カメラ ☑時計 ☑携帯電話 ☑雨具
遠足先で子どもがケガすることがあるかもしれません。
ばんそうこうや消毒液、ガーゼなどを入れた簡易的な救急セットを持ち歩いておくと、その場ですぐに対処できるでしょう。
また、遠足中に万が一の事態が発生したときのために保護者の連絡先リストも用意し、保育士同士ですぐに連絡を取れるように携帯電話も持っておきましょう。念のため、充電器も持ち歩くと安心ですね。
さらに、天気予報を確認して日焼け止めや雨具の準備もしておくと、急な天候の変化にも対応できるでしょう。
保育園の遠足で配慮すべきポイント
保育園で遠足を実施する際に、保育士さんが配慮すべき点をまとめました。
子どもの安全性を確保する
遠足を無事に終えるためには、子どもたちの安全を確保することが大切です。
行き先決めや下見の段階はもちろんのこと、目的地に到着してからも周囲に危険な場所がないかなど目を配らせましょう。
また、広い運動公園などに出かける際は、子どもたちの様子を確認できるように動き回れる範囲を決めるのもよいかもしれません。保育士さんは、遠足中子どもから目を離さないようにしましょう。
事前準備を入念に行う
子どもたちが安全に過ごせるよう、遠足当日に起こりうるさまざまなトラブルを想定して、念入りに準備を進めましょう。
たとえば、屋外と屋内両方楽しめる施設を選ぶなど、急な天候の変化にも対応できるプログラムを作成するとよいかもしれません。
また、子どもが熱を出したり大きなケガをしたりなど、緊急時の対応についてシミュレーションしておくことも重要です。保育士さん同士で連携を取りながら、当日に向けて準備を行いましょう。
しっかりと準備をして、保育園の遠足を大成功させよう
今回は、保育園の遠足について、ねらいや必要な準備、配慮すべきポイントなどを紹介しました。
保育園の遠足には、子どもが友だちや保育士さんと楽しく過ごし、ルールやマナーを学ぶというねらいがあります。このようなねらいをもとに、子どもの年齢や興味に合わせて行き先を選びましょう。
また、無事に遠足を終えるためには、入念な下見や準備、保育士間の連携などが大切です。
必要な持ち物や当日の流れなどもあわせて把握し、子どもたちの思い出に残る遠足を実施できるとよいですね。