保育園で行う身体測定について、ねらいややり方などを知りたい保育士さんもいるでしょう。月1回の頻度で行う行事の一つなので、スムーズな進め方や気をつけるポイントなどを把握して当日に役立てられるとよいですね。今回は、保育園での身体測定のやり方やねらい、配慮する点などを紹介します。
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■目次
保育園で身体測定を行うねらい
子どもの身長や体重、頭囲、胸囲などを測る「身体測定」。
行事の一つとして毎月1回の頻度で行う保育園が多いのではないでしょうか。
保育園で身体測定をするねらいには以下が挙げられます。
- 身長の高さや体重の重さに関心を持つ
- 自分の体の成長や発達に関心を持ち、健康の大切さを知る
子どもたち自身が大きくなったことを知ることができたり、体のことについて関心を持てたりするというねらいがあるようです。
自分の身長や体重に関心を持つことができれば、大きくなったことをよろこぶだけでなく、食事をいっぱい食べて大きくなりたいというきっかけにもなるかもしれませんね。
ほかにも、服を脱ぐことに抵抗を感じたり、入園後間もないと怖いと感じたりする子もいるかもしれません。身長計や体重計など実際に見せたり、触ったりして恐怖感を少なくするための配慮も必要ですね。
今回は、保育園での身体測定について、くわしく紹介します。
保育園での身体測定をスムーズに進めるやり方・事前準備
まずは、保育園で身体測定をする前の事前準備とスムーズに進めるやり方をまとめました。
必要機材の整備をする
以下の計測用器具などを、保健所長の指示のもとで実施当日までに整備しておきましょう。
体重計
デジタル式体重計、分銅式台秤のどちらかを感度10g単位以内のものを準備します。
使用前に必ず検査をし、目盛りなどにくるいがないか確認して調整しておきましょう。
身長計
乳幼児の場合は仰臥(ぎょうが)式や学童用、または一般用を準備します。
それぞれ尺柱などが正しく直角になっているか、横規がなめらかにすべるようなものを用意しましょう。
巻尺
布製の新しい巻尺を準備します。金属製巻尺の場合、危険が伴うケースがあるようなので避けたほうがよいとされています。
乳幼児一般診察用具
聴診器、打腱器、舌圧子、懐中電灯のほか、消耗機材など、乳幼児の身体測定に必要な器具や機材を用意しましょう。
保育士の分担を決める
次に、職員間で役割分担をしましょう。
計測者や記入者、誘導や指示担当などをきちんと決めておかないと、長い時間子どもを待たせてしまったり、身体測定がスムーズに進まなかったりすることが考えられます。そのため、短時間で終われるようにきちんと分担をしたうえで身体測定を行いましょう。
クラス内での子どもの順番を決める
準備が早い子や時間がかかる子など、子どもの用意する時間はさまざまでしょう。
それらを考慮したうえで、誕生日が早い子、準備が早くできる子などをクラス内での順番を決めるとスムーズかもしれません。
排泄の確認をする
身体測定をする前に排泄の有無を確認しましょう。
乳児クラス
オムツを履いている子が多いため、そのまま体重を測ってしまうと、排泄の有無で重さが変わってしまうことがあります。排泄がある場合は新しいおむつに変えてから行うようにしましょう。
幼児クラス
幼児クラス場合は、身体測定をする前にトイレに行くよう子どもたちの排泄を促しましょう。
その際、子どもたちに「トイレに行こうね」などと声がけをするとよいですね。
クラスを2グループに分ける
クラス全員で体重や身長を測ると、待ち時間が長くなってしまうことが考えられます。個人差を考慮したうえで、2グループに分けるなどして、交代しながら進めていきましょう。
保育園での身体測定の正しい測り方
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スムーズな進め方を押さえたところで、正しい測定の仕方について見ていきましょう。
計測値は主に体重・身長・胸囲・頭囲になります。
体重は少なくとも10g単位とし、デジタル式体重計で数値が表示される場合は、そのまま値を記入します。身長・胸囲・頭囲はそれぞれ1㎜単位まで記載しましょう。
このとき、位どりを誤らないように注意し、体重での万の桁、身長で百の桁がないときは、区画を空白とするようです。
では、項目に沿って具体的に見ていきましょう。
身長
0歳、1歳児の場合
まず、0歳児と1歳児の測り方をみていきましょう。
まだ上手に立てない乳児の場合、寝て測れる身長計を用意します。
出典:計測器具及び計測方法 図1 仰臥位身長の計測(乳幼児身体発育調査必携より抜粋)/厚生労働省
<測り方>
1.子どもを仰向けにして身長計の台板上に寝かせます。
2.保育士は、子どもの頭頂部を固定板に付け顔が垂直になるように保ちます。
3.計測する保育士は、子どもの片側に立って、頭に近い方の手で両膝をかるく台板におさえて足を伸ばします。
4.もう一方の手で移動板を滑らせ子どもの足の裏にあてて、台板と垂直になるようにします。
5.1mm単位まで計測をします。
乳幼児の場合は、仰向けにして測ります。嫌がって泣いてしまう子がいた場合は、他の子どもから先に測ったり、安心できるように抱っこをしたりして対応しましょう。
2歳、3歳、4歳、5歳児の場合
2歳児以上は、立って測れる身長計を使いましょう。
正しい測り方をまとめました。
<測り方>
1.下着になり、普通の身長計で尺柱を背に直立して計測を行ないます。乳児クラスと同様、1mm単位まで測ります。
2.つま先は30度くらいの角度で開き、かかと、臀部、胸背部が一直線に尺柱に接するようにします。胸をあまり張らないようにし、両腕は軽く手のひらを内側にして自然に垂らします。
3.顎を引き、目は真っ直ぐ正面を見るようにします。
4.計測をする保育士は、子どもの片側に立って、稼働水平棒を手で静かに下げて軽く頭頂部にふれて目盛りを読みます。
(3)では、保育士さんが子どもの顔と同じくらいの高さで話しかけながら行うとよいでしょう。後頭部が必ずしも尺柱につかないこともあるため、強く押し付けないよう注意することが大切です。
体重
次に体重の測り方を解説します。
じっとするのが難しい乳児の場合、かごに入れて測ったり、寝たまま測れる体重計を用意したりしましょう。
<測り方>
1.2歳未聞の乳幼児は、仰向けか座位で秤の台のかごにのせます。
2.2歳以上の幼児は台秤に正しく立たせて計測をします。
3.計測の前後には体重計のメモリが「0」になっているのか確かめます。体重計の中央に子どもを乗せ指針が静止してからメモリを読みます。
4.計測の単位は少なくても10gでとします。ただし、デジタル体重計で数値が表示される場合はその値を記入します。
原則全裸の状態で計測し、授乳直後の計測は避けるようにしましょう。子どもたちには動かないでいてもらえるように、「背中をピッてしてね」などわかりやすい言葉がけをするとよいですね。
また、幼児の場合はあらかじめ排便、排尿をすませておけるように促すとよいようです。
胸囲
胸囲の測り方を見ていきましょう。
子どもたちは上半身を裸になり、乳幼児は仰向けの状態で、2歳児以上は立って計測をします。
<測り方>
1.両腕を軽く側方に開いてもらい、片手で巻尺を持ち、背面から前方に回します。巻き尺は左右の乳頭点を通り、体軸に垂直な平面内になるようにします。
2.巻尺は強く締めず、皮膚面から落ちない程度にします。
3.計測値を読むときは自然の呼吸をしているときの呼気と吸気の間くらいで行います。
(3)では、胸に力を入れてしまう子どももいるかもしれないので、話しかけるなどして緊張感を和らげるようにしましょう。
子どもの緊張感をやわらげるためにも保育士さん自身が笑顔で対応ができるとよいですね。
頭囲
乳児クラスの場合は、仰向けで2歳児以上の場合は座位や立って計測をしましょう。
出典:計測器具及び計測方法(乳幼児身体発育調査必携より抜粋)/厚生労働省
<測り方>
1.計測する保育士は、一方の手に巻尺の0のところを持ち、他方の手で後頭部の一番出っ張っている所を確認したうえで、左右の高さが同じぐらいになるようにします。前頭部にも回して交差して左右の眉の上を通るところを計測しましょう。
2.1mm単位まで測ります。
泣いてしまう乳幼児がいたら、抱っこをした状態で測るなど臨機応変に対応しましょう。
測るときは、額の突出部でなく眉の上を巻尺で測るように注意する必要があります。
このように、それぞれの手順に沿って計測していきます。
計測している保育士さんと記入している保育さんの連携も大切になるので、計測値を聞いたら記入者は復唱し、誤りのないよう記録しましょう。
保育園で身体測定をするときのポイント
最後に、保育園で身体測定を行う時のポイントをまとめました。
部屋の温度を一定に保つ
子どもは下着姿や上半身裸の状態になるので、部屋の温度を上げて一定に保つようにすることが大切です。
部屋が十分に温まっていないと、子どもたちが寒がってしまい風邪をひいてしまうことも考えられます。部屋の温度を保ったうえで、身体測定を行うようにしましょう。
体重計や身長計などの準備をきちんとする
体重計や身長計は、身体測定を行う前にきちんと準備するようにしましょう。
用意されていないと子どもを待たせる原因になってしまったり、スムーズに進まなかったりしてしまいます。事前準備をしたうえで、子どもたちが怖がらないように器具を見せるなどしてもよいですね。
ポイントを知って保育園での身体測定をスムーズに進めよう
今回は、保育園で行う身体測定について紹介しました。
身体測定には、子どもたち自身が自分の体に興味を持ったり、健康の大切を知ったりするというねらいがあるようです。スムーズなやり方や配慮する点などを把握したうえで、事前準備をきちんと行うことが大切です。
この記事を参考にしながら職員間で役割分担を行ない、身体測定がスムーズに行えるとよいですね。