折り紙の教え方を知りたい保育士さんもいるのではないでしょうか。特に2歳児や3歳児など折り紙を初めて取り入れるときには、どう声かけするべきか悩んでしまいますよね。今回は、子どもへの折り紙の教え方を紹介します。活動のねらいや、子どもでもわかりやすい説明のしかたなど、保育に役立つポイントをまとめました。
Purino/shutterstock.com
保育園で折り紙遊びを取り入れるねらい
折り紙遊びは、昔から子どもたちに親しまれている伝承遊びの一つです。
折り紙1枚でさまざまな形を作れるため、現在も子どもだけでなく幅広い世代に人気のある遊びでしょう。
折り紙遊びには、図形への理解を深めたり、指先の細かい動きを促したり、集中力や思考力を育んだりとさまざまな効果があると言われています。
保育園で折り紙遊びを取り入れるときは、このようなねらいを立てるとよさそうです。
- 簡単な折り紙遊びを通して、形の変化や見立てを楽しむ
- 折り方を真似て作品を作り、達成感を味わう
まずは子どもが楽しめる簡単な作品から取り入れて、子どもが折り紙の楽しさを味わえるよう援助していきましょう。
折り紙の教え方の手順
ここでは、一斉に活動する場合を想定し、折り紙の教え方を手順別に説明します。
1.約束事を確認する
最初に活動の約束をみんなで確認しておきましょう。
- 保育士さんより先に折り進めない
- 友だちの折り紙を勝手に折らない
- わからなくなったら先生に言う
以上のようなことを子どもたちに伝えておくと、活動がスムーズになるかもしれません。
保育士さん自身も、わからない子どもや早く終わってしまった子どもに気づけるよう、全体を見るようにしましょう。
2.まずは保育士さんがお手本を見せる
最初に、完成までの折り方をお手本として見せて、子どもがイメージを持てるようにしましょう。
子ども全員からよく見えるよう、模造紙を正方形にカットしたものを使うとよいですね。
折り紙の裏と表を示すため、カラーの紙と白い紙を貼りあわせるのもよいかもしれません。
3.子どもといっしょにもう1度折り進める
次に、また最初からお手本を見せながら、子どもといっしょに折り進めていきます。
教え方としては、2~3工程ずつで区切って、子どもの折り進み具合を確認するとスムーズでしょう。
難しい部分では、こまめに子どもの様子を確認して、難しいと感じている子どものフォローに回るとよさそうです。
4.わからない子どもの指導に回る
一通り折り方を教え終わったら、わからなくなってしまった子どもをサポートします。
その際、折り紙ができた子どもが飽きてしまわないよう、教え役をお願いしたり、絵本やお絵かきなど静かに待てる遊びをしたりと工夫するとよいでしょう。
作品が完成したら壁面や作品スペースに飾るなどして、「ちゃんと折れた」という達成感を味わえるようにするとよいですね。
折り紙の教え方のポイント
折り紙の教え方のポイントをおさえて指導することで、子どもに伝わりやすくなりそうです。
端を合わせて、しっかり折り目をつけられるよう教える
折り紙をきれいに仕上げるには、端と端を合わせること、折り目をしっかりとつけることが大切になります。
片方の手でしっかり折り紙を押さえながら折り目をつけられるよう、言葉がけや援助を心がけましょう。
また、折り目をつけるときは、折り目自体が自分より遠い上側でなく、おへそに近い下側にあるほうがやりやすいでしょう。
折り目が下側に配置されるよう、下から上に向かって折れるよう向きを指導するとよいかもしれません。
わかりやすい声かけをする
2歳児や3歳児など、幼い子どもにも伝わるよう、身近なものに例えたり、見たままの表現をしたりと声かけを工夫してみましょう。
<例>
- 三角…お山、とんがり帽子
- 裏、表…白いほう、○色のほう
- 角を下に向けて置く…ダイヤモンド
- 折り目をつける…指アイロン
「指でしゅーっとアイロンをかけるよ」「ピンととんがっているところをおへそに向けてね」とオノマトペを使うと、子どもも納得しやすいかもしれません。
折り紙が得意な子、苦手な子への配慮をする
3歳児クラスなどで、保育士さんが一斉に折り方を教える際には、苦手な子ども・得意な子どもそれぞれに配慮することが大切になります。
苦手な子
折り紙が苦手な子どもは、できない、難しいと感じると、意欲が損なわれたり、悲しくなってしまったりするかもしれません。
困ったときにはすぐにサポートできるよう、保育士さんが気にかけておくことが重要になるでしょう。
わからないときには、1対1で保育士さんがお手本を見せながらいっしょに折り、できたらたくさん褒めて達成感を育むことが大切です。
援助しやすくするため、折り紙が苦手な子どもには保育士さんの側のテーブルに座ってもらうなど、環境構成にも配慮するとよさそうですね。
得意な子
折り紙が得意な子どもの場合は、早く作り終わってつまらないと感じることも考えられます。
まずは、待っている子どもが飽きないように進めるようにしましょう。
また、保育士さんよりも先に折り進めないように約束をしておき、間違った折り方をしないよう配慮が必要です。
それでも時間が余ってしまうときには、わからない友だちに教える役をしてもらうと、子どものやる気や自己肯定感につながるかもしれません。
その際は、子どもが友だちの折り紙を一方的に折ってしまわないように目を配ることにも注意しておくとよいですね。
初めて折り紙をするときの導入例
JenJ Payless2/shutterstock.com
1歳児、2歳児、3歳児など、保育園で初めて折り紙を教えるときにぴったりな遊び方を紹介します。
びりびり、ぐしゃぐしゃ
1歳児や2歳児など、折り紙自体に初めてふれる際には、まず感触を楽しめる遊びをするとよいでしょう。
びりびりとちぎったり、ぐしゃっと丸めたり、自由に折ったりと感触を楽しみます。
丸めてボールを作る他にも、破片をポリ袋に入れて飾るのもよいですね。
好きなように何回か折って、できた形を何かに見立てて楽しむ活動もよいかもしれません。
おにぎり
三角形に一回折りをして、おにぎりを作りましょう。
子どもが折り目をつけやすいように、折り紙の角をおへそ側に向けて「ダイヤモンド」の形から始めることが大切です。
おにぎりが完成したら、真ん中に丸シールを貼ったりペンで色塗りをしたりして具をつけても楽しめそうですね。
バス
次は、四角形に一回折りをして、バスを作ってみましょう。
折り紙の端と端をぴったり合わせられるよう、「ぴったんこだよ」「白いところは見えてないかな」と声をかけるとよいですね。
できあがったら、ペンで窓をかいたり画用紙で作ったタイヤを貼りつけたりして、オリジナルのバスに仕上げてみてくださいね。
サンドイッチ
三角に折り、頂点をわざとずらして、サンドイッチ作りにチャレンジしてみましょう。
まずは「お山とお山をぴったんこしてね」と折り紙の角を合わせます。
そこで折り目をつけずに、1cmほど下にずらしてから折り目をつけていきましょう。
ずれた部分には、画用紙をカットして作ったレタスやトマト、チーズなどの具材を挟み、サンドイッチ作りを楽しみましょう。
ねこ、いぬ
5つの工程で完成するため、3歳児クラスで取り入れてみましょう。
「折り目を目印にする」部分では、子どもがどこを基準にすればよいかわかるように、保育士さんがお手本を見せながら教えていくとよいですね。
できたものに目や口を自由にかいて楽しめるため、折り紙での形作りに興味を持つ一歩になるかもしれません。(詳しい説明はこちら)
折り紙の教え方を知って、子どもにわかりやすく説明しよう
今回は、保育園で活用できる折り紙の教え方を紹介しました。
初めて折り紙の活動をする2歳児や3歳児クラスでは、おにぎりやバスなど簡単なものから取り入れて慣れていくとよいでしょう。
一方で、折り紙が得意な子と苦手な子に差が生まれてしまうことも考えられます。
苦手な子をフォローしつつ、得意な子どもも楽しめるよう環境設定や声かけを工夫することが大切です。
教え方のポイントを知って、保育園で折り紙を取り入れてみてくださいね。