保育園でできる見立て遊びについて知りたい保育士さんもいるでしょう。フェルトなどの素材や手作りおもちゃを活用し、自由に遊びのイメージを広げられるとよいですね。今回は、見立て遊びが始まる年齢の目安や遊び方の例、環境づくりのポイントなどを紹介します。あわせて、子どもへのかかわり方のコツもまとめました。
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■目次
保育園で行う見立て遊びとは
見立て遊びとは、身近にあるものを別のものに見立て、イメージを膨らませながら行う遊びです。
見立て遊びが発展すると、おままごとなど設定のあるごっこ遊びに展開する姿がみられるようになると言われています。
子どもは玩具などを別のものに見立て遊ぶことで、発想力や想像力を伸ばすことが期待できるでしょう。
具体的にいつからみられるのか、どのような遊び方をするのかなど、いろいろと気になることがあるかもしれません。
次からは、見立て遊びの特徴やポイントを年齢別にみていきましょう。
【年齢別】子どもにみられる見立て遊びの特徴
見立て遊びが始まるのはいつからなのでしょうか。年齢別にみられる見立て遊びの特徴をまとめました。
1歳頃
保育所保育指針解説書によれば、見立て遊びは1歳3カ月頃からみられるようです。
例えば、三角形の積み木をおにぎりに見立てて食べるふりをしたり、四角形の箱を携帯電話のように扱ったりするでしょう。
このような見立て遊びは、本来は異なるものだと理解できるようになったからこそみられる行動といえそうです。
2歳頃
2歳頃になると、保育士さんや家族など、周囲の人の真似をする姿が見られるようになるでしょう。
例えば、砂場の砂などを食べ物に見立てて料理を作るふりや、バッグを持ってお出掛けをする仕草をみせることがあるかもしれません。
保育士さんは、子どもが真似しやすいものを用意するなど、見立て遊びができる環境を整えることが大切といえそうです。
3歳頃
3歳頃には見立て遊びを発展させ、友だちと役割分担を決めて楽しむごっこ遊びをする姿が見られるようになるでしょう。
例えば、おままごとセットを活用してレストランの店員さんになりきったり、保育園の昼寝の時間を真似してハンカチに人形を寝かせたりするかもしれません。
保育士さんは子どもの発想を尊重しながらいっしょに遊ぶようにすると、子どもの自主性を育むきっかけにつながりそうですね。
4歳頃
4歳頃は、友だちといっしょに協力しながら、よりイメージを膨らませて設定のある遊びを楽しむようになるようです。
友だち同士でお姫様やヒーローなどになりきり、個々の役割分担を演じる姿が見られるでしょう。
子どもから「先生は〇〇役をしてね。」とお願いされることもあるかもしれません。
5歳頃
次第に自我が確立する5歳頃は、友だちと話し合いながらお互いのイメージを確認し合う姿も見られるでしょう。
ぬいぐるみを交えてパーティーを開催するなど、道具をほかの何かに見立てながら複雑な設定のごっこ遊びもできるようになるかもしれません。
保育士さんの援助がなくてもごっこ遊びが成立するようになり、子どもの成長を感じられそうですね。
保育で見立て遊びを楽しむためのポイント
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見立て遊びが盛り上がるために、保育士さんはどのような工夫をするとよいのでしょうか。
子どもの発想が広がるようなアイデアをまとめました。
身近にある素材を用意する
できるだけシンプルで、何にでも見立てられる形や素材のものを用意しましょう。
見立て遊びに活用しやすいアイテムの例を以下に挙げました。
- 「新聞紙」:海、剣、布団
- 「空き箱」:人形ごっこの道具(車、家、風呂)
- 「毛糸」:麺類(そば、パスタ、ラーメン)
- 「布」:ドレス、マント
- 「縄とび」:電車、へび
子どもは形にとらわれないぶん、素材に意味をもたせてイメージを膨らませながら遊ぶことができるかもしれません。
保育室の玩具を活用する
玩具を使って、保育室にないものに見立てて遊ぶこともできるでしょう。
- 「積み木」:食べ物、携帯電話
- 「ブロック」:食べ物
保育室にある積み木やブロックなどは単体で見立て遊びに使うこともできますが、積み重ねたりくっつけたりして、あらゆるものに見立てて遊ぶこともできそうです。
自然物を取り入れる
園外保育で見つけた自然物や砂場の砂も、子どもにとっては見立て遊びの素材となるでしょう。
- 「落ち葉」:風呂
- 「どんぐり」:食べ物
- 「小枝」:杖
- 「砂」:山、トンネル、御飯、だんご、プリン
砂場で遊ぶ活動を通して、子どもが想像力を働かせながらさまざまな物を作る姿が見られるかもしれません。
保育士さんが「おいしそうだね。いただきます!」などと声かけすることで、子どもの作品を見立て遊びへと発展させられるでしょう。
手作りおもちゃを作る
子どもが見立て遊びに使えるようなおもちゃを、保育士さんがフェルトなどを使って手作りしてもよいかもしれません。
- 「フェルト」:食べ物
- 「折り紙」:お金
- 「段ボール」:家、車
保育士さんがフェルトでおいしそうな食べ物を作ったり、段ボールで実際に乗れる車を作ったりすれば、子どもの見立て遊びの世界が広がるかもしれませんね。
見立て遊びの楽しみ方を押さえたところで、どのように子どもとかかわればよいのか考えてみましょう。
保育で見立て遊びを行う際の子どもへのかかわり方
見立て遊びを行う際の、子どもへのかかわり方をまとめました。
見本になる
子どもがやってみたいと思えるように、保育士さんが動物になりきるなど、見立て遊びをする様子を示してみましょう。
身近な人の行動を真似してもらうことで、子どもの見立て遊びの世界が広がっていくかもしれません。
興味を持たせる
「これはなんの音?」「何に見えるかな?」などと、遊びのなかで子どもに質問を投げかけてみましょう。
保育士さんの言葉がけがきっかけで子どものイメージが膨らみ、遊びが広がることがあるかもしれません。
いっしょに楽しむ
保育士さんが積極的に見立て遊びを交えながら、子どもといっしょに楽しんでみましょう。
玩具を電話に見立てて「もしもし」と呼びかければ、子どもも電話をする真似をしながら応じてくれるかもしれません。
また、「○○が食べたい」と伝えれば、素材を活用しておいしい料理を用意してくれるでしょう。
保育士さんはいっしょに楽しみながら、盛り上がる雰囲気を作れるとよいですね。
否定しない
保育士さんから見て、子どもが何に見立てて遊んでいるのかわからないことがあるかもしれません。
その場合でも否定せず、子どものもつイメージを認めてそのまま受け止めるようにしましょう。
子どもの問いかけにも積極的に応答しながら、子どもが築く世界観を壊さないようにしたいですね。
保育で子どもが見立て遊びをしたくなるような環境を整えよう
今回は、子どもが行う見立て遊びについて、いつからみられるのか、年齢別の遊び方の特徴などをまとめました。
子どもが砂場の砂や玩具などをほかの何かに見立てたり、自分がなりきって遊んだりすることを繰り返しながら、想像力が豊かに育まれることが期待できるでしょう。
子どもが見立て遊びに夢中になれるように、次の発想のきっかけになるような素材や、フェルト細工など手作りの玩具を用意するなどして、子どものイメージが膨らむような働きかけができるとよいですね。