実りの秋には、保育園で食育にまつわる活動を行うことがあるかもしれません。秋野菜や果物を活用して、子どもに食の大切さを伝えられるとよいですね。今回は、保育園で楽しめるクイズやクッキングなど、秋ならではの食育の例を紹介します。あわせて、活動のねらいと、保育園で親しめる秋の食材についてまとめました。

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■目次
保育園で秋の食育活動を行うねらい
「実りの秋」と言われる通り、秋には野菜や果物など多くの食物が収穫の時期を迎えます。
この時季に合わせて、保育園で食育に関する活動を行う計画を立ててみてはいかがでしょうか。
子どもが好きなものをおいしく食べ、苦手な野菜にも挑戦するなど、食べることに関心を持つきっかけになるかもしれません。
保育園で行う秋の食育活動には、以下のねらいが挙げられるでしょう。
- 旬の秋野菜に触れ、香りや感触を楽しむ
- 秋の食材を使った活動を通して、食に興味をもつ
- 食材に感謝の気持ちを持ち、食の大切さを知る
保育所保育指針によれば、保育園という環境の特性を活かして食育を行うことが求められています。
つまり、乳幼児が食育に興味が持てるよう、ときには遊びを取り入れるなどして楽しみながら食の大切さを伝えることが大切でしょう。
子どもが意欲的に食生活を送れるようになることをねらいとして、秋の旬の野菜を使って食にまつわる活動を行えるとよいですね。
保育園で親しめる秋の食材
保育園で秋野菜などを栽培し、子どもといっしょに育てたいと考えている保育士さんもいるかもしれません。
秋に収穫される作物の一例として、以下のような野菜や果物が挙げられます。
- じゃがいも
- さつまいも
- にんじん
- ほうれん草
- 玉ねぎ
- かぼちゃ
- 大根
- かぶ
- レンコン
- 栗
- ぶどう
これらの作物のなかには、保育園で育てやすいものもあるでしょう。
園でいっしょに栽培すれば、子どもが野菜に愛着をもち、苦手な野菜を克服するきっかけにつながるかもしれませんね。
では、保育園で行う秋の食育活動に使えるアイデアを、クイズやクッキングなどのジャンル別に紹介します。
保育園で楽しめる秋の食育の例【体験型活動編】
子どもといっしょに秋野菜を収穫してクッキングを楽しみ、食に興味をもつきっかけにつなげてみましょう。
菜園で秋野菜を収穫
園庭に菜園を設けている保育園では、秋が旬のさつまいもやにんじんなどの収穫を体験してみましょう。
収穫時期に向けて、前もって種まきから取り組むのもよいかもしれません。保育士さんといっしょであれば、1歳児からでも楽しめるでしょう。
毎日の水やりも子どもが行うことで、自分で育てたという意識を持つことができそうです。
菜園がない場合は、プランターを使ってほうれん草などの種を植えて楽しむとよいでしょう。
自分で栽培したり収穫したりする体験を通して、毎日の食事に感謝の気持ちを持てたり、苦手な野菜などにも興味を持てるかもしれませんね。
秋野菜で簡単クッキング
旬の食材を使って、子どもが簡単に作れるクッキングのメニューを紹介します。
包丁を使うアイデアもあるため、子どもの安全を考慮しながら幼児クラスで導入するとよいでしょう。
栗ご飯
栗の木が近くにある場合は、栗拾いを楽しむ活動から始めてみましょう。
栗の皮むきは、あらかじめ保育士さんが済ませておくとスムーズに進められるかもしれません。
研いだ米と栗をいっしょに炊けば、栗ご飯のできあがりです。
子どもにお米の研ぎ方を伝えれば、家庭でもお手伝いするようになるかもしれませんね。
シチュー
身近な秋野菜であるじゃがいもやにんじん、たまねぎを使って、シチューを作りましょう。
子ども用の包丁を使って、じゃがいもやにんじんを小さく切ります。
鍋で野菜がやわらかくなるまで煮て、シチューの素を加えればできあがりです。
じゃがいもとにんじんは、子どもが切りやすいように細長く切って準備しておきましょう。
子どもが調理しにくいたまねぎは、保育士さんが小さく切っておくとよいですね。
サラダ
秋に収穫できる大根やにんじんなどで、旬のサラダを作りましょう。
レタスを手でちぎる工程を加えれば、1歳児クラスからクッキングに参加できそうです。
野菜は、子ども用の包丁で小さく切ります。
保育士さんは、子どもが包丁で切りやすいようにあらかじめカットしておくとよいでしょう。
子どもが切った野菜を、必要に応じて保育士さんが千切りにするなどして食べやすく仕上げればできあがりです。
保育園で収穫した秋野菜を使えば、子どもは自分で育てた作物に愛着を感じて意欲的にクッキングに参加できるかもしれません。
採れた食材で何が作れるか、事前に子どもといっしょに考えてもよいですね。
なお、包丁を用いる際は、子どもが誤って指を切らないよう、保育士さんが傍について目を離さないことが大切です。
保育園で楽しめる秋の食育の例【室内遊び編】

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子どもが夢中になるクイズや、秋野菜を使った製作を通して、食ベ物について学ぶ機会を設けましょう。
秋の食材に親しめるクイズ
秋の味覚にまつわるクイズを出題してみましょう。
楽しみながら、子どもがあらゆる食物に関心を持つようになるかもしれません。
ぶどうの粒は何個ある?
保育士さんがぶどうの房を持って見せ、子どもに粒がいくつついているのかを予測してもらいましょう。
子どもといっしょに数を数えて確認し、一番近い答えを出した子どもが勝ちという遊びです。
図鑑などを用いて、ぶどうにはマスカットや巨峰などいろいろな種類があることも伝えられると、よりぶどうに興味が沸くかもしれませんね。
おいしそうなシルエットはなにかな?
保育士さんが秋野菜や果物の影を子どもに示します。
子どもはスクリーンに映し出された影を見て、なんの食材か当てましょう。
まずはりんごやぶどうなど、子どもが馴染みのある食材から始めれば意欲的に取り組んでくれるかもしれませんね。
これはなんの断面?
子どもが、何の食物の断面なのかを当てるゲームです。
保育士さんは、あらかじめ秋野菜や果物などを半分に切り、断面が見えるように準備しておきましょう。
にんじんやきゃべつなど馴染みのある野菜でも、断面を確認すると新たな発見につながるかもしれません。
クイズを楽しんだあとは、野菜スタンプに発展させてもよいですね。
はじめは子どもが答えやすいクイズを用意すると、積極的に参加してくれそうです。
徐々に難易度を上げながら、子どもにさまざまな秋野菜や果物について伝えてみましょう。
図鑑を見ながら食材に関する豆知識を添えれば、子どもがより親しむきっかけにつながりそうですね。
秋の食材にまつわる製作遊び
秋の味覚を使って、次のような製作を楽しんでみましょう。
芋版
芋版とは、さつまいもやじゃがいもなどを輪切りにして作ったはんこです。
断面にペンで好みのイラストなどをかき、かいたものが浮き出るようにキリなどを使えば作ることができます。
模様を掘る工程が難しいので、年長児向けの製作でしょう。
イラストが細かいと掘る作業が複雑になるので、星やハートのようにシンプルな形を参考にするよう伝えるとよいかもしれません。
マラカス
旬の食材であるお米やあずきを使って、音の出るマラカスを作ることができます。
普段食べているお米で音の鳴る楽器が作れることに、子どもは驚くかもしれません。
作り方は、透明な乳酸菌飲料の容器にお米やあずきを入れ、中身がこぼれないようしっかりと蓋をすればできあがりです。
仕上げとして、容器にシールを貼ってもすてきですね。
できあがったマラカスを使って、みんなで合奏ごっこをして楽しみましょう。
保育園で秋の食材に触れながら楽しく食育活動をしよう
今回は、保育園で楽しく学べる、秋の食育活動の例を紹介しました。
保育園で子どもといっしょに秋野菜などを育てたりクイズを導入したりと、子どもが夢中になれるような食育活動を保育に取り入れてみましょう。
おいしい旬の食材を用いながら学べる環境を整えれば、子どもが食に興味をもつきっかけにつなげることができそうです。
食欲の秋とも呼ばれる季節に保育園でさまざまな食育活動を行い、子どもが毎日食事できることへのよろこびや食への感謝の気持ちを持てる機会になるとよいですね。