家族と同居している保育士さんの中には、一人暮らしをしたいと考えている方もいるでしょう。一人暮らしは自由な生活ができる一方、費用やセキュリティ面に不安を感じることもあるかもしれません。今回は保育士さんの一人暮らしのメリットデメリット、生活費のシミュレーション例など、一人で暮らすための計画に活用できる項目を紹介します。

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■目次
保育士の一人暮らしは可能?
一人暮らしをしたいと思っていても、現在の収入では無理かもしれないと不安を感じる保育士さんもいるのではないでしょうか。
また、家族と同居している場合には、収入面以外の悩みを感じることもあるでしょう。
「早朝保育や残業などで、家族が休んでいる時間に家を出入りするため迷惑をかけてしまう」「保育園から自宅までの距離が遠く通勤が大変」など、自身の生活の工夫だけでは解決できない問題を抱えることも多いかもしれませんね。
一人暮らしを検討するときには、以下の点について考えてみるとよいでしょう。
- 一人暮らしをしたときの利点と不便になる点を整理する
- 一般的な一人暮らしの生活費について情報収集する
- 一人暮らしをした際の、生活費のシミュレーションをする
初めて一人暮らしをする場合は、お金や生活面などたくさんの不安を感じてしまうでしょう。
まずは漠然と感じている不安を具体的に考えることで、一人暮らしに必要なことに気づいたり、疑問点が解消されたりすることもあるかもしれません。
ここからは、一人暮らしのよい点や悪い点、平均的な生活費や利用できる制度などについて整理しましょう。一人暮らしの計画をたてる際の参考にしてみてくださいね。
保育士の一人暮らしのメリット・デメリット
ここでは、保育士さんが一人暮らしをした場合に考えられるメリットとデメリットについて紹介します。
メリット
自分のペースで生活ができる
一人暮らしをすると、出勤時間や帰宅時間、食事や入浴など自身の都合だけで動くことができます。
家族に気を遣ったり心配させたりすることもなく自由に過ごせるため、ストレスを感じにくい環境を得られるでしょう。
食事など、健康に影響が出ないよう生活リズムを考える必要はありますが、自分の体調や気分にあわせて自由に過ごせることは、心のリフレッシュにもつながり、仕事にも前向きに取り組めるかもしれません。
立地を選べる
保育園の周辺の部屋を選び、通勤の負担を減らしたいケースや、仕事とプライベートをしっかり分けたいと考える方もいるでしょう。
一人暮らしをすることで、不便にならない範囲で好きな場所の物件を選ぶこともできそうですね。その際は、住む場所の立地条件は重要なポイントといえるかもしれません。
利便性だけではなく、緑が見える場所や静かな住宅街など自身が落ちつける環境を選ぶことで、安心して生活を送ることができるでしょう。
生活能力が向上する
一人暮らしは自由に生活を送れる分、家事や金銭管理なども全て自身で決めるため、生活能力の向上につながるでしょう。
節約のアイデア、コストパフォーマンスの良い買い物の知恵など、日々の生活に役立つ知識も増え、生活スキルが身につくかもしれませんね。
デメリット
金銭負担がふえる
一人暮らしをすることで、家族と同居している際には発生しなかった費用負担が増えるかもしれません。
火災保険、設備が故障した際の点検や修理費用など想定外の出費が発生することもあります。
自由に使えるお金は、生活費やイレギュラーで発生した費用などを除いた限られた分のみとなるため、貯金などをしたくても思うように貯蓄できないということも多いかもしれません。
家事負担がある
保育園の業務が繁忙のときは、帰宅してからの家事が辛いと感じることもあるかもしれません。
休日に行おうとしても疲労がたまっていて、「今日は家事することは無理!」と思うこともあるでしょう。保育士さんの体調などの状態によって、負担に感じることもありそうです。
ピアノなどの楽器がある場合は物件探しに苦労する
保育士さんは業務でピアノを弾くことが多いでしょう。
練習のためにピアノを部屋に置きたいと考えていても、楽器を持ち込める物件は、家賃が高かったり、間取りが悪かったりと部屋探しが難航するかもしれません。
楽器の持ち込みは、気に入った物件を探すことが難しくなる条件の一つであるため、部屋探しの際には、その他に自身が妥協できる範囲の条件を考えておくとよさそうです。
防犯の面で不安を感じる
一人暮らしは防犯面に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
セキュリティ対策がされている物件か、治安に問題はないかなど入居前に周辺の状況もチェックしておいた方が安全でしょう。
保育士の一人暮らしの生活費例

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ここでは、実際に一人暮らしをした場合の生活費について整理していきましょう。
「現在の給与で自活はできない」「収入が少なくて一人暮らしは無理」と考えている方も多いでしょう。しかし、一人暮らしを行った場合の生活費や生活水準などを、具体的に考えることで、イメージがつきやすくなるかもしれません。
まずは月の手取りが18万円である保育士さんを例にあげて、生活費のシミュレーションをしてみましょう。
〈月180,000円の場合の生活費シミュレーション例〉
- 家賃:54,000円
- 光熱費:9,000円
- 通信費:15,000円
- 交通費:20,000円
- 食費:30,000円
- 雑費:5,000円
- 交際費:15,000円
合計:148,000円 となりました。
上記では、家賃を収入の3割を目安に試算しています。2021年の総務省のデータでは、単身世帯での平均生活費は148,542円と記載しており、今回のシミュレーションで用いた金額とほぼ同一の費用ですね。
項目毎の金額は個人によって変わりますが、手取り180,000円であれば一人暮らしをすることは可能かもしれません。
次に、一般的に費用が発生する項目を整理していきます。
家賃
一般的に家賃は収入の3割を目安にするといわれることが多いようです。
家賃は「ある程度綺麗な部屋がいい」「セキュリティ対策がされている所がよい」「間取りは狭くてもよい」「日当たりは気にしない」など、個人の考えによって差がでます。
部屋の構造などこだわりが少ないほど家賃を抑えることができるため、生活に無理が出ない範囲で希望条件と照らし合わせて決定するとよいでしょう。
光熱費
地域や自宅にいる時間などによって差はありますが、水道・ガス・電気をあわせた金額を算出しましょう。
また、地域によって冬季は暖房、夏季は冷房の使用によって春や秋と差がでやすいため、あらかじめ考慮して計算するとよいかもしれません。
通信費
携帯電話やインターネットなどの通信費はほとんどの単身世帯で発生するでしょう。
マンションで完備されているネット環境を使用する場合は、自身が持つ携帯電話の費用だけで済むケースも多いため、契約時に確認しておくとよさそうです。
交通費
1カ月あたりにかかる勤務先の保育園の交通費を計算しましょう。
保育園によって交通費が毎月支給される場合と数カ月まとめて支給される場合があります。自身の状況に応じて配分し、計算漏れのないように注意するとよいでしょう。
食費
食費は、自炊や外食の頻度によって変動しやすい項目です。
健康管理も含めて食生活のバランスをとることを意識しましょう。スーパーの利用や商品によってはドラッグストアの方が安価で購入できるものもあるため、月の食費を超えないよう工夫できるとよいですね。
雑費
生活用品に使用する金額は、個人や男女差によって大きく変動すると考えられます。自身に必要なものを整理し、試算するとよいでしょう。
交際費
友人と食事をしたり出かけたりして発生する交際費は、月によって変動しやすい項目でしょう。節約が可能な項目でもあるため、状況応じて振り分けを変えるとよいですね。
上記が、一般的に一人暮らしをする際に必要な項目です。この項目以外で併せて貯金などをしていく必要があるでしょう。
出典:賃金構造基本統計調査/厚生労働省
保育士が一人暮らしの際に利用できる自治体の制度例
保育士さんの一人暮らしには、地域によって費用面のサポート制度を利用できる場合があります。
自身の地域で展開されている支援事業があるか、あらかじめ調べておくとよいでしょう。
ここでは代表的な地域支援制度について紹介します。
保育士宿舎借り上げ支援事業
各自治体が行っている保育士宿舎借り上げ支援事業があります。
この制度は保育園が借上げた物件に保育士さんが住むことで、家賃の全額または一部を国や区市町村が補助を受けられる支援施策です。
待機児童の解消のため保育施設で働く人材の確保を目的として運用されている事業で、保育士さんの経済負担を減らすサポートを行う制度として利用できます。
自身の地域で実施されている支援事業を確認し、利用条件などを調べてみるとよいでしょう。
住宅補助
住宅補助は、勤務先の保育園が行う福利厚生の一つです。
実施している園もあれば、設定していない園もあるようです。また、補助の金額も保育園によって差があるため、勤務先の園に確認するとよいでしょう。
利用できる状況であれば、福利厚生を使って一人暮らしをすることが可能でしょう。
保育士の一人暮らしに必要なポイントを把握して、快適な暮らしを手に入れよう
今回は、保育士さんが一人暮らしをする際のポイントや生活費の事例について紹介しました。
業務量が多かったり、勤務時間が不規則だったり、さまざまな業務負担がある中で、限られた収入で一人暮らしをすることはできないと思ってしまう方も多いでしょう。
生活費のシミュレーションや一人暮らしのメリット・デメリットを整理してみることで、計画を立てやすくなるかもしれません。
一人暮らしのポイントをふまえて、快適な生活が送れるよう準備を進めていきましょう。