Q.保育以外の一般社会も経験しておくべきでしょうか?
「今の保育・仕事環境には満足していますが、一般企業に就職した友人の話を聞くうちに、若いうちに一般社会を経験しておくべきなのでは、という思いが出てきました。こういった考えで転職を検討してもよいものでしょうか?」
A.私は一度保育を離れたことで、保育への思いが強くなりました
何事も経験、という言葉も真実ではあると思います。実は私も、一般企業で働いた経験があります。そこでの経験は大変ありがたいモノばかりですし、そこで「あぁ、私はやっぱり保育がしたい!」と思いましたので、ある意味、一度、保育を離れたことが、かえって保育への思いを強くしたと感じています。ですが、……3か月しか勤めていないのです。はっきり言って会社には、ご迷惑をかけただけのように思っています。
一般企業でも独特なものがあるのは、保育の世界と同じ
ご友人の話から、どのような経験が自分に必要だと感じておられるのでしょうか。
保育の世界と一般企業の世界が、だいぶ違うな、という感覚でしょうか?
たしかに保育の世界には独特のものがあるかもしれません。
同様な業界として、福祉の世界、行政の人、教育者、医療関係者…確かにそれぞれ独特かな、とは思います。しかし、一般企業といっても、業種や職種によって、保育の世界と同じく、独特のモノはあるのではないでしょうか。
一般企業で働いてみて、どれだけの経験ができるでしょうか。
3か月なら3か月、3年なら3年の経験ができますが、それでも、まだまだ世の中の、ほんの一部だと思います。
もちろん、ほんの一部でも、体験したのと未体験では、確かに違うでしょう。しかし、私たちには「知らないことの方が明らかに多い」ということは忘れてはいけません。
それだけ世の中は広いです。何をもって「一般社会」というのでしょうか?
一般企業経験者も、積極的に採用。でも結局は「人柄」!
一般企業での経験は、確かに保育をする上で、役立つと思います。人として大きな成長が期待できます。
園長時代、一般企業で働いた経験のある方も積極的に採用しました。また、他の幼稚園、保育園で働いたことのある方も同じように積極的に採用しました。そして、ブランクのある方も、未経験の方も、新卒の方も、年齢に関係なく採用しました。
何基準だと思いますか?
結局は「人柄」なんです。
経験をどう活かすかは、その人次第です
さまざまな経験は確かに財産です。
しかし、経験から何を得て、それをどう活かすかは、その人次第です。
つまり、一般企業で働くことを選ぶのもよいでしょう。でも、そこで働かせて頂くのは、自分の経験のためではなく、その会社での仕事を通して社会に貢献するためです。あなたは、どんな社会貢献がしたいですか?自分の成長は、あくまで副産物として付いてくるなので、そちらの会社に失礼のないよう務めてください。そして、保育の経験という視線で見れば、ブランクができることは承知してください。
世の中を知ろうという気持ち次第!
つまり、保育の現場にいながらも、世の中を知ろうという気持ちがあれば、意識をすることで自分の世界は広げられるんですね。
まずは、新聞を読むこと。そして、いろいろな職業の人と交流をすること。ご友人との会話から刺激を受けられたのですよね。いろいろとお話して、質問して、知識として得ることは可能です。交流する友達の幅を広げること。積極的に他業種の方とお話をするなど。
それを言うなら、園に通って来ている方たちは、いろーんな職業の方がいるではないですか。
保護者の方からも、世の中のことは教えてもらえます
はい、保護者の皆様です。保護者の方とは、もちろん子どもを中心に話をしますが、職場のこと、働き方、仕事への意識…それぞれ保護者の方の個性として、ある程度、把握していきますよね?お一人ずつ、職業人(働く大人)として関わることは、子育て支援(保護者のサポーター)という意味でも、とても大切なことになります。ぜひ世の中のことを教えて頂くつもりで接していってください。
いかがですか?参考になりましたでしょうか?
自分が何をしたいのか、何を目標にするのか、自分の人生を どう生きたいのか。
全ては あなたの自由であり、あなた自身が決めることです。
※この連載では、現役の保育士の皆さんからのお悩みを募集しています。
こちら(info@hoikushibank.jp)まで、保育士お悩み相談と明記の上、お送りください。
プロフィール
内田淑佳(うちだよしか)
一般社団法人そだち 代表理事。心理カウンセラ―。
保育士、認可保育園の園長などを経て、一般社団法人を立ち上げ、子育て支援、保育運営サポート、研修講師を数多く務める。
カウンセラーとしてメンタルサポートの仕事に取り組みつつ、現役の保育士、保育教諭から主任・園長などの管理職、資格取得を目指して勉強中の人、潜在保育士などに向けて、保育の仕事の素晴らしさや、保育をする上で大切なことを伝え続けている。
ウェブサイト https://www.sodachi.net/