保育士お悩み相談 第15回「行事に凝りすぎてしまう同僚をどう説得する?」

保育のあるある ゆるりホッと相談室タイトル

Q.行事に凝りすぎてしまう同僚をどう説得する?
1歳児の副担任です。組んでいる同僚が凝り性で、行事の製作など、1歳児でこれは作りこみすぎではないか、というものに毎回取り組んでいます。
一方で、子どもはちょっと顔を描いて終わりなど、参加感が薄いのが残念に感じています。
私はもう少し簡単でもいいから、もっと子どもがメインに取り組めて思い出に残るものを、と思うのですが、見栄えを気にしているのもあり、取り合ってくれません。
どう説得したり、話したらよいのでしょうか?


お悩み相談 第15回 行事に凝りすぎてしまう同僚をどう説得する?
A.まずは相手の気持ちを聞き出した上で、あらためて保育の目的を確認し合いましょう。


お気持ちはとてもよく伝わってきました。でも、私に伝わっても意味がないですよね...。はい、コミュニケーションにおいて、肝心な相手に上手く伝わらない、ということは多々あります。とても、もどかしく感じますね。でも実は、「伝わらない」と感じる相手こそ、相手の思いもこちらに「届いていない」と考えてもよいくらいで、思いが「すれ違って」いることがほとんどです。


相手と気持ちのやり取りをできるようになろう



「子どもがメインに取り組めて、思い出に残るもの」がやりたい、というあなたの思いの「なぜ、そうしたいのか」の部分=「気持ち」が伝わっていかないのは、相手と「気持ちのやり取り」をしていないからです。
自分の「思い、気持ち」を受け取ってほしい。わかってほしい。これだけでは「やり取り」ではなく「やりやり」になってしまいます。


同僚の方の「作りこみたい、見栄えを気にする」の「なぜ?」の部分=どんな「気持ち」でそうするのか?を受け取って始めて「やり取り」になります。コミュニケーションというのは、相手の気持ちを知りたいと思うことから、始まります。


コミュニケーションの基本はキャッチボール



つい、「私の気持ちをわかって!受け取って!」とやってしまいがちですが、まず、出来たら先に相手の気持ちを受け取るようにしましょう。コミュニケーションはキャッチボールです。お互いが投げてばかりでは、成立しません。

私が投げるボールを受けとって欲しいのであれば、まずは相手の投げたボールをキャッチして、それを投げ返すのです。元は相手が投げたボールなので、相手も受け取りやすくなる、とうことですね。


まずは「ねぇ、なんでそこまで凝りたいの?」「見栄えがいい方が、やっぱりいいと思う?」という風に、相手の気持ちを出してもらって、その後、ご自身の思いを伝えてみてはいかがでしょうか。

保育に正解・不正解はありません。保育は「酸素と水素を一定の割合で混ぜたら、必ず水が出来ます」というものではないからです。どちらのやり方が良い、正しいという見方ではなく、お互いの思いを互いに尊重できて始めて、話し合うことが出来ます。


つまり「説得したい」と思っている時点で、話し合いをするではなく、こちらの思いに沿わせたいという無意識が出てしまっていますから、それではコミュニケーションは滞るばかりですね。


子どもを育てるという元の目標に立ち返る



ただ、プロとして、子どもたちに携わるのですから、目的を見失ったり、すり替えたりしないようには注意して欲しいなと思います。あくまで保育の目的は「子どもが、自分の力で豊かな人生を生きていけるように、育てる」ということですよね?
行事や装飾、季節の製作などは、この目的に向かうための一つの方法です。決してそれ自体が目的になってしまわないよう、「子どもの育ちにとって何が必要か」「この経験から子どもは何を得るのか」という視点で見つめることが大事です。


まずは目的を再確認し、同じ目的に迎えるチームを目指していこう



質問者さんは、そこがずれているように感じることがもどかしいのではないですか?ずれているな、と感じるならば「私たち、目指すところが違ってる?目的がずれているような気がするのだけれど、もう一度確認しませんか?」と発信する必要があると思います。


人は同じ目的に向かうからこそ協力します。「私は福岡に行きます「私は北海道に行きます」という二人が同じ電車に乗ることはありません。まずは目的を再確認しましょう。同じ目的に向かってこそが「チーム」です。


プロフィール



内田淑佳(うちだよしか)
一般社団法人そだち 代表理事。心理カウンセラ―。
保育士、認可保育園の園長などを経て、一般社団法人を立ち上げ、子育て支援、保育運営サポート、研修講師を数多く務める。
カウンセラーとしてメンタルサポートの仕事に取り組みつつ、現役の保育士、保育教諭から主任・園長などの管理職、資格取得を目指して勉強中の人、潜在保育士などに向けて、保育の仕事の素晴らしさや、保育をする上で大切なことを伝え続けている。
ウェブサイト https://www.sodachi.net/

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