兵庫県の保育士求人を調べるなかで、地域全体の平均給料や賞与などが気になることもあるでしょう。これから働く予定の地域の現状を知っておけば、転職活動に役立てられるかもしれません。今回は、兵庫県で働く保育士さんの現状をまとめました。あわせて、家賃補助や就職準備金制度など県が実施する支援策も解説します。
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兵庫県の保育士の現状
まずは、兵庫県で保育士として働くにあたって気になる労働時間や給料について、全国平均と比較してみましょう。
兵庫県 | 年齢(歳) | 勤続年数(年) | 労働時間(時間) | 給与 (万円) |
賞与 (万円) |
労働者数(人) | 平均年収(万円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性保育士 | 31.7 | 1.9 | 160 | 269.0 | 510.0 | 440 | 373.8 |
女性保育士 | 39.5 | 4.9 | 163 | 26.51 | 75.69 | 7360 | 393.81 |
全国 | 年齢(歳) | 勤続年数(年) | 労働時間(時間) | 給与 (万円) |
賞与 (万円) |
労働者数(人) | 平均年収(万円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性保育士 | 32.4 | 5.7 | 169 | 27.38 | 72.25 | 14900 | 400.81 |
女性保育士 | 37.9 | 7.8 | 168 | 24.84 | 74.89 | 251760 | 372.97 |
兵庫県の保育士の平均年齢
兵庫県の男性保育士さんの平均年齢は31.7歳、女性は39.5歳です。
全国の保育士さんの平均年齢が男性で32.4歳、女性で37.9歳であるため、全国的な平均と同じ年齢層の保育士さんが活躍していることがうかがえます。
兵庫県の保育士の平均勤続年数
兵庫県の保育士さんの勤続年数は、男性が1.9年、女性が4.9年です。
全国の男性保育士さんの勤続年数が5.7年、女性が7.8年であることから、兵庫県の保育士さんは全国と比べて男女ともに勤続年数が短いことがわかります。
兵庫県の保育士の平均労働時間(残業時間は省く)
兵庫県の保育士さんの平均労働時間は男性が160時間、女性が163時間です。
全国の保育士さんの平均労働時間は男性が169時間、女性が168時間であるため、兵庫県の保育士さんの方が男女ともにやや労働時間が少ないといえます。
兵庫県の保育士のきまって支給する現金給与額(給料)
兵庫県の保育士さんの平均給料は、男性が26万9000円、女性が26万5100円です。
全国の男性保育士さんの平均給料が27万3800円、女性が24万8400円であるため、兵庫県の保育士さんの平均給料は全国と同水準といえるでしょう。
ちなみに「きまって支給する現金給与額」とは、手取り額ではなく所得税や社会保険料などを控除する前の金額です。
兵庫県の保育士の年間賞与その他特別給与額
兵庫県の保育士さんの年間賞与は男性が51万円、女性が75万6900円です。
全国の保育士さんの年間賞与は男性が72万2500円、女性が74万8900円であることから、兵庫県では男性保育士さんの賞与が全国平均を下回ることがうかがえます。
兵庫県の保育士の労働者数
兵庫県で働く保育士さんの人数は、男性が440人、女性が7360人です。
一方全国の労働者数を見ると、男性保育士さんは14900人、女性保育士さんは251760人となっています。
全国に占める兵庫県の保育士さんの労働者数は男女ともに約3%であり、保育人材が少ない地域といえそうです。
兵庫県の保育士の平均年収
兵庫県と全国の平均給料と賞与額をもとに保育士さんの平均年収を算出したところ、兵庫県の男性保育士さんの平均年収は373万8000円、女性保育士さんは393万8100円となりました。
一方、全国の保育士さんの平均年収は男性が400万8100円、女性が372万9700円です。
これらの数字より、兵庫県では全国に比べて男性保育士さんの平均年収が低いものの、女性の場合はやや上回っていることがわかります。
兵庫県が実施する保育士向けの支援や取り組み
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続いて、兵庫県が実施する保育士さん向けの家賃補助や補助金制度などの取り組みについて紹介します。
貸付事業
兵庫県では「保育人材確保対策貸付事業」として4つの貸付事業を実施しています。
保育士修学資金貸付
指定保育士養成施設に在学する学生さん(神戸市に住民登録をしている方を除く)のうち、要件を満たした方に修学資金を貸付ける制度です。
貸付期間は養成施設の在学期間のみで、貸付額は2年分が限度となっています。以下の通り、貸付金の種類と限度額が定められています。
- 修学費:月額5万円(対象経費:授業料、実習費、教材費など)
- 入学準備金:20万円
- 就職準備金:20万円
これらは無利子で貸付けられ、養成施設を卒業してから1年以内に保育士登録を行い、兵庫県内の保育所等で5年間継続して勤務すれば返還が全額免除されます。
未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付
就職や職場復帰と同時に子どもを保育施設に預ける保育士さんを支援するために、保育料の一部を貸付ける制度です。
対象は、未就学児をもつ保育士さんのうち、神戸市を除く兵庫県内の保育施設で新たに週20時間以上の勤務を開始する方や、産後・育児休暇から復帰する方となっています。
月額2万7000円を上限として、勤務開始から最大1年間保育料の半額を無利子で貸付け、県内の保育施設で2年間業務を継続すれば返還が免除されます。
潜在保育士就職準備金貸付
保育士資格を持ちながら保育士として働いていない潜在保育士さんを支援するために、就職に必要な準備金を貸付ける制度です。
神戸市を除く兵庫県内の保育施設で新しく勤務を開始する保育士さんのうち、保育士資格登録後に対象の保育施設を離職した、あるいは勤務経験がない方が対象になります。
1人1回に限り40万円を上限として無利子で貸付を受けられ、県内の保育施設で2年間保育士業務を継続すれば返還が免除される仕組みです。
未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援事業利用料金の一部貸付
既に子どもを保育所に預けながら保育士として働いている方に対し、預かり支援事業の利用にかかる費用を一部貸付ける制度です。
具体的には、以下の条件をすべて満たす方が貸付の対象になります。
- 既に保育施設に通所している未就学児をもち、県内の保育施設(神戸市を除く)で働いている
- 保育士や保育教諭として週に20時間以上勤務している
- 勤務の時間帯によって、子どもの預かり支援事業(ファミリー・サポート事業やベビーシッターなど)を利用している
子どもの預かり支援事業料金の半額(1人につき年額12万3000円が上限)を最大2年間無利子で貸付け、引き続き2年間兵庫県内の保育所等で保育士業務に従事した場合、貸付金の返還が免除されます。
キャリアアップ研修
キャリアアップ研修は、園長先生や主任保育士さんのもとに新しく若手の育成を担うリーダーを設置して、保育の質を向上させることを目的に国主導で始まった研修制度です。
兵庫県では、県の保育協会に委託して実施されており、2021年は「障害児保育」「食育・アレルギー対応」「マネジメント」の3分野の研修が実施されます。
保育士宿舎借り上げ支援事業
兵庫県の一部地域では、保育士さん向けの家賃補助事業が実施されています。
姫路市や明石市、神戸市で行われている「保育士宿舎借り上げ支援事業」は、市内の対象保育施設に対し、勤務する保育士さんの住居にかかる家賃や管理費、共益費などの費用を補助する事業です。
自治体によってくわしい条件や補助金額は異なりますが、対象施設に勤めれば経済負担を軽減させながら働くことができそうですね。
出典:姫路市ホームページ
出典:明石市ホームページ
出典:神戸市ホームページ
保育士等奨学金返済支援事業
兵庫県の一部地域では、保育士さんの就職促進や離職防止を目的として奨学金の返済支援事業が実施されています。
神戸市や姫路市で行われているこの事業は、勤務する保育士さんに対して奨学金返済の支援をしている事業所を対象に、その支援にかかった費用を補助するものです。
保育士さんは市から直接補助金を支給されるわけではないものの、私立保育園や認定こども園など対象の施設に勤めれば補助を受けられるでしょう。
出典:姫路市ホームページ
出典:神戸市ホームページ
職業訓練
兵庫県では、民間の教育施設や事業所等に委託して就労に必要な知識や技能を身につけるための職業訓練を実施しています。
資格取得を目指せる保育士養成コースもあり、受講料は無料です。
職業訓練は兵庫県内の各地域で実施されており、コースによって期間はさまざまなので、復職に向けて自分に合った訓練を選べるかもしれません。
保育のセミナーなど
兵庫県では、地域独自の保育士さん向けセミナーなどが開催されています。
神戸市では、保育施設での就職を考えている方を対象に無料の保育園見学ツアーを実施しています。1日で約3~4園程度をめぐり、施設で実際の保育の様子を見学できるようです。
また、養成校の学生さんや潜在保育士さんを対象とした、インターンやボランティアの受け入れも行われています。
保育現場を実際に体験できるため、保育士としてブランクがある方やこれから新人保育士として働き始める学生さんなどが、就職の不安を軽減させられる機会となるかもしれません。
保育現場や職場環境をじっくりと体験することで、就職先選びの参考にしたり就職後のミスマッチ防いだりすることにも役立ちそうですね。
兵庫県で保育士として働くことを視野に入れてみよう
今回は、兵庫県で働く保育士事情や、自治体が実施する取り組みについて紹介しました。
兵庫県では修学資金や就職準備金の貸付を行い、保育士さんの人材確保に努めています。県の保育協会に委託する形でキャリアアップ研修も実施されているので、保育士として専門性を向上させながら働けるかもしれません。
また、県内の一部市区町村では家賃補助や奨学金返済支援、職業訓練なども行われていることから、保育士を目指しやすく、長く働き続けやすい環境を整えていることがうかがえます。
支援センターでは就職相談やフェアなども実施されており気軽に利用できるので、兵庫県で保育士として働くことを考えてみてはいかがでしょうか。
出典:兵庫県ホームページ