公務員保育士は「給料が高い」「年数を積めば給料が上がる」といった理由から人気が高いと言われています。しかし、実際に私立保育士とどの程度金額が異なるのか知らない方もいるのではないでしょうか。今回は、公務員保育士の給料事情をデータをもとにくわしく解説します!また、地方公務員の給料の仕組みについてもまとめました。
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■目次
公務員保育士の給料事情を知ろう
世間的に給料が高いイメージを持たれがちな公務員保育士。
この記事を読んでいる方のなかにも、給料アップを目指して私立保育士から公務員保育士への転職を考えている方がいるかもしれません。
しかし、本当に公務員保育士の給料は高いのか、平均いくら程度なのかなどご存じですか?
今回は、公務員保育士への転職を検討している方に向けて給料事情を徹底解説します!
また、なぜ私立保育士の方が公務員保育士よりも給料が安いイメージがあるのか、給料額の比較とあわせてお伝えします。
公務員保育士の給料の仕組み
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公務員保育士は地方公務員にあたるため、地方公務員の給料システムが採用されます。
では、早速公務員保育士の給料の仕組みを見ていきましょう。
給料システムの特徴は「年功序列」
地方公務員の給料は自治体の条例によって定められており、地域によって異なります。
人事院の勧告や民間企業の平均賃金を考慮して決定されていますが、仕組みは大きく変わりません。
一定の年数を積むと昇進し、それに伴って給料が上がる「年功序列」が大きな特徴です。
給料表をもとに給料が決定
地方公務員の給料は、「給料表」に基づいて決定されます。
給料表は、職務の難易度に応じて区分される「級」と、級を細分化し経験年数による職務の習熟度を示した「号」によって成り立っています。
級が上がることが昇進、号が上がることが昇給とされ、級と号の組み合わせで給料月額が決まる仕組みです。
地方公務員の中でも「一般行政職」に該当
地方公務員の職種は複数あり、なかでも保育士は一般行政職に分類されます。
先ほど紹介した給料表は職種ごとに作られているため、公務員保育士の給料を知りたい場合は一般行政職の給料表を参照するとよいでしょう。
ただし、保育士以外の職種として役所で働く事務職なども一般行政職に含まれるため、給料表はあくまでも参考程度にとどめておくとよいですね。
公務員保育士の給料を私立保育士と比較!
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ここまで、公務員保育士の給料の仕組みを紹介しました。では、実際に私立保育士の方が給料は安いのでしょうか。
公務員保育士の給料はいくら程度なのか、内閣府の資料をもとに私立保育士と比較したものを以下にまとめました。
公立 | 私立 | |||
---|---|---|---|---|
一般保育士 | 常勤 | 30万3113円 | 常勤 | 30万1823円 |
非常勤 | 16万2859円 | 非常勤 | 18万7816円 | |
主任保育士 | 常勤 | 56万1725円 | 常勤 | 42万2966円 |
非常勤 | 25万7531円 | 非常勤 | 34万4103円 | |
施設長 | 常勤 | 63万2982円 | 常勤 | 56万5895円 |
非常勤 | 値なし | 非常勤 | 53万6146円 |
この表より、一般保育士の給料は公務員保育士の方がやや高いことが分かります。しかし、月額で約2000円程度の差と、私立保育士の給料が極端に安いわけではないよう。
一方、主任保育士や施設長などの役職がつくと月額で10万円以上、年収に換算すると約100万円の差があります。
先述したように公務員は年功序列であるため、年数を重ねて昇進するにつれて給料が上がる仕組みです。
そのため、長く勤めてキャリアアップしていくことを考えると、私立保育士として働く方が総合的に得られる収入が安いケースがあるかもしれません。
ただし、私立園であっても月給30万円以上など好待遇を実現している施設はあるため、今よりも給料アップを叶えたい方はぜひ保育士バンク!にご相談くださいね♪
出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】/内閣府
給料とあわせて知っておこう!公務員保育士の実態
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ここまで、公務員保育士の給料の仕組みや平均給料などを紹介してきました。
では、公務員保育士への転職を考えるうえで知っておきたい給料に関係する実態を見ていきましょう。
平均で見ると給料が高い
公務員保育士の給料が高いと思われている理由の一つとして、平均金額のみが注目されていることが挙げられます。
役職や経験年数の区別がないデータでは、平均給料は高くなりがち。
実際総務省の資料では、保育士を含む一般行政職の1年目の職員の平均給料月額は18万695円と、決して高いわけではありません。
しかし、経験年数1年未満から15年未満までを含めた職員の平均給料月額は31万26円となり、先ほどの表で紹介した平均給料と近い金額となります。
このように、あくまでも経験年数が長いことで平均給料も高く見えている可能性があることを知っておきましょう。
処遇改善の対象になりにくい
国主導の保育士向けの処遇改善策は公立の施設も対象となっていることがありますが、自治体が主体となって実施しているものは公務員保育士さんが対象外になるケースもあります。
代表的な例として挙げられるのが、保育士宿舎借り上げ支援事業。
端的に言えば保育士さんの家賃負担を軽減させるための支援策ですが、公立園は自治体からの補助の対象外となるため、公務員保育士さんはこの制度を利用できません。
このように、自治体主導で行われている保育士向けの制度は公務員保育士が対象に含まれない場合もあるため、勤め先の自治体が実施している支援策の対象範囲を調べておくとよいでしょう。
役職に就くのに時間がかかる
公務員保育士は、私立保育士に比べて役職に就ける年齢が遅いと言われています。
先述したように公務員保育士は年功序列がスタンダードかつ、長く勤める人が多いためなかなかポストが空きにくい、といった現状があるよう。
一方私立園の場合、一つの園で長く勤めなくても転職を機に主任や園長のポストに就くことが可能です。
私立保育士の方が昇進しやすい傾向にあるため、生涯年収を考えると早いうちから私立園で主任や園長職に就いていた方が、公務員保育士の年収を上回る可能性もあるかもしれません。
基本的に退職金はもらえる
公務員保育士さんが人気の理由の一つとして、退職金の存在があるでしょう。
地方自治法により、地方公務員には退職手当という形で退職金が支給されることが定められています。(懲戒免職などの処分を受けて退職した場合は支給されないこともあります。)
総務省の資料によると、公務員保育士を含む一般行政職の1人当たりの退職手当の総額は、自己都合の場合で302万8000円、勤続11年以上25年未満の定年退職などの場合1160万8000円となっています。
しかし、民間企業の場合退職金の支給は義務ではないため、私立園のなかには退職金制度を採用していないところもあるよう。
そういった園では何年勤めても退職金がもらえないため、保育士として長く働き続けるモチベーションにならないこともあるでしょう。
その一方で、公務員保育士は基本的に退職金をもらえるため長く働き続ける人が多く、トータルで得られる収入が私立保育士よりも多くなっている可能性が考えられます。
出典:令和3年地方公務員給与の実態 第6表職種別,経験年数別,学歴別職員数及び平均給料月額/総務省
公務員保育士になりたい方は給料以外の面にも注目しよう
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今回は、公務員保育士の給料事情を、私立保育士と比較しながら紹介しました。
世間的に「公務員保育士は給料が高く、私立保育士は安い」といったイメージがありますが、実際は一般保育士の給料を比べるとそこまで大きな差はありません。
ただし、公務員保育士は年数を重ねるごとに昇給していくため、主任や園長などの役職に就いた場合は私立保育士よりも給料が高くなるようです。
近年は国や自治体を挙げて保育士さんの処遇改善が進んでいるため、公立園と私立園で極端な待遇差はないと言えるでしょう。給料の金額だけではなく、キャリアアップのしやすさや利用できる支援策などに注目しながら転職先を選んでみてくださいね。
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