潜在保育士のための復帰支援。自治体が講じる支援を受けて復帰する方法

現在は保育士の職を離れているものの、復帰を検討している潜在保育士の方もいるでしょう。潜在保育士を対象とした復帰支援のセミナーや研修などの対策を活用すれば、復職する際に役立てられるかもしれません。厚生労働省の潜在保育士ガイドブックや地方自治体の情報をもとに、潜在保育士の現状や再就職支援、就業継続支援などについてまとめました。


復帰支援を受けている写真

milatas/shutterstock.com

 

保育士不足の解消に期待される、潜在保育士の存在

厚生労働省「潜在保育士ガイドブック」によると、潜在保育士とは保育士資格を持ちながらも、現在は保育施設で働いていない元保育士のことと説明しています。

 

この潜在保育士が近年注目されているのにはどんな背景があるのでしょうか。

 

潜在保育士の現状と注目される理由

 

2011年のデータによると、保育士資格を持つ人のなかで1年以上の保育経験がある人は全体の約8割を占めている状況です。

 

しかしながら、2018年の厚生労働省の資料を見てみると、日本全体で約95万人の潜在保育士が存在しています。

 

保育士資格を持つ潜在保育士の方は保育園にとっては即戦力であり、待機児童、保育士不足の解消に大きく貢献する存在として期待されているのかもしれません。

 

潜在保育士の就業意向は?

 

2020年度の厚生労働省の資料では、過去に保育士として働いていた方の退職理由として「職場の人間関係(33.5%)」「給料が安い(29.2%)、」「仕事量が多い(27.7%)」ことが多く挙げられています。

 

その一方で、復職する際に希望する場合の条件としては以下の意見があります。

 

  • 通勤時間
  • 勤務日数
  • 勤務時間
  • 給与
  • 雇用形態(パート、非常勤採用など)

 

働き方や労働環境に関する条件を希望する声が多く挙げられていることがわかります。

 

また、結婚後や出産後の潜在保育士の方の場合、時間単位勤務で復職したいという意向が強く、「家庭との両立」が再就職に関する不安要素として最も多いようです。

 

潜在保育士の復職の糸口となるのは、勤務時間の短さ=働きやすさを重視していることが伺えるでしょう。

 

出典:潜在保育士ガイドブック/厚生労働省

出典:保育士の現状と主な取組 p22、24~25/厚生労働省

出典:平成 23 年度 保育士の再就職支援に関する報告書 データ集 p12/厚生労働省

潜在保育士の復帰支援:厚生労働省の対策や取り組み

窓口で復帰支援の申請を行う女性の写真

Syda Productions/shutterstock.com

 

厚生労働省では、潜在保育士の復帰及び現職保育士の就業継続支援を行っています。

詳しい内容を紹介します。

 

支援金の拡充

 

復職を検討している潜在保育士の方に向けて、支援金の貸付を行っています。

就職準備金貸付事業

潜在保育士が保育園などに再就職する際に必要な費用を貸し付けする制度が設けられており、2020年には貸付額の上限が20万円から40万円に引き上げられました。

 

無利子で貸し付けてもらうことができ、保育士として2年間勤務した場合、返還を免除されるというメリットもあります。

未就学児をもつ保育士の保育所復帰支援

小さい子どもを持つ潜在保育士の復帰支援として、保育料の一部を貸し付けするという制度があります。

これによって小さな子どもを持つ潜在保育士の再就職の促進につながるでしょう。

 

貸付額は月額2万7000円が上限となっており、1年間の貸し付け期間があります。

 

こちらの制度も、再就職後、2年間保育士として働けば返還を免除されるため、保育士として子育てをしながら働き続けたいという潜在保育士の方には有用な制度と言えそうです。

 

再就職支援の強化

 

各自治体に保育士・保育所支援センターを設置し、潜在保育士に対して再就職に関する相談・就職あっせん、求人情報の提供を行っています。

 

潜在保育士の方が希望する条件と求人のマッチング強化システムの導入も実施されており、より求職者にとって心強い施設となっています。

 

研修や指導の充実

 

ブランク期間を不安に感じる潜在保育士の方の不安を解消するため、研修や入職後の指導の充実にも力を入れています。

 

保育士等キャリアアップ研修では、保育実践研修という研修分野を設け、環境構成や遊びの内容について再び学べる機会を作っています。

 

また、潜在保育士再就職支援事業として、潜在保育士の方が入職したあと、園内研修やOJTの実施にかかる費用を自治体が負担するという支援も実施されており、安心して復職できるよう対策されています。

 

働きやすい職場環境の整備

 

潜在保育士の方が復職したあとも長く就業できるような環境整備の支援を紹介します。

雇用管理の支援

厚生労働省は、保育園の管理職にあたる園長や法人向けに「保育士が働きやすい職場作りのための手引き」といった雇用管理マニュアルや、「保育所の雇用管理のための事例集」「潜在保育士ガイドブック」などを発行しています。

 

実際に働いている保育士にアンケートを取り、職場に求められる条件やよい事例などを掲載し、保育園の運営に役立てられるようにしているようです。

保育士の業務負担の軽減

仕事が多く残業続きで大変だと言われる保育士ですが、厚生労働省によって、保育士の業務負担を改善するための調査が行なわれています。

 

アンケートやタイムスタディによって保育士の仕事内容を研究した結果、書類を簡素化することや、書類レイアウトを策定して無駄を省くこと、ICT活用の推進といった対策が講じられているようです。

 

これから保育士が働きやすい環境が整えられると、潜在保育士の方もより復職しやすくなるかもしれません。

 

出典:保育士の現状と主な取組p40、p48、p51、p61、p65/厚生労働省

出典:保育士が働きやすい職場づくりのための手引き/厚生労働省

出典:保育所の雇用管理のための事例集/厚生労働省

出典:潜在保育士ガイドブック/厚生労働省

出典:令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究事業報告書p54/厚生労働省

 

復帰率の高い保育士求人一覧

 

潜在保育士の復帰支援:地方自治体の対策や取り組み

自治体が行っている復帰支援とは、保育士・保育所支援センターによる

 

  • 研修
  • セミナー
  • 就職合同説明会
  • 就職フェア

 

などがあります。

 

ブランクの不安がある保育士に対して、現場に戻っても自信を持って保育ができるように、最近の保育事情や実践に役立つ遊びを紹介したり、保育園の職員と実際に会って話が聞ける説明会やフェアを開催したりしています。

 

地方自治体が行なう復帰支援の具体例をみていきましょう。

 

神奈川県の潜在保育士支援:就職支援セミナー

 

神奈川県では、県独自の地域限定保育士試験、保育士対象の就職準備金貸付事業の実施などの他にも、就職支援セミナー・就職相談会を行っています。

 

セミナーでは保育園の園長先生から、実際の保育現場の話を聞けたり、就職相談会では県内で保育求人を出している法人がそれぞれブースを設置し、保育方針や勤務条件などを聞けたりするようです。

 

県のホームページでは、こうした復帰支援を受けて保育士として復職した人の経験談などを見ることもでき、求職者に向けてメッセージを伝えているところもあります。

 

千葉県の潜在保育士支援:保育士・保育所支援センター


千葉県では、2013年に「ちば保育士・保育所支援センター」を設置し、潜在保育士の方への再就職支援を行っています。

 

研修内容も充実しており、保育実技や安全管理などについての研修や、保育所見学と就職相談会を組み合わせた再就職支援研修などを行っています。

 

千葉県離職保育士制度を利用して、退職をした際などに登録を行うと、研修やセミナーなどの案内や、それぞれの希望状況に応じた復職相談や情報提供などを行っています。

 

埼玉県の潜在保育士支援:就職フェアなど

 

埼玉県では民間企業に委託をして、保育士・保育所支援センターを設置し、埼玉県の潜在保育士の方への復帰支援を行っています。

 

こちらも千葉県と同様に、就職相談や求人情報の公開、保育士再就職支援コーディネーターによるマッチング、合同面接会や就職説明会などを実施しています。

 

求職登録をすると、インターネットにはない求人情報を窓口で紹介してもらえるほか、紹介状の発行、面接日の調整などを行ってもらうことができます。

 

模擬面接の実施や応募書類の作成に関するアドバイスまで、手厚い再就職支援を行っています。

また、現役保育士の声を公開し、仕事内容やプライベートとの両立方法、仕事でうれしかったエピソードなど、現場復帰への不安を抱える潜在保育士の方に役立つ情報を公開しています。

復帰支援を利用して、保育の現場に戻ってみませんか

今回は、潜在保育士の背景から復帰支援の内容についてまとめました。

 

待機児童対策として保育士の需要が高まる中、厚生労働省では復帰を検討している方のために、研修や就職あっせん、処遇改善の点でも手厚い支援体制が整いつつあります。

 

各自治体の支援センターなどでも、研修やセミナー、就職相談といった手厚い再就職支援を受けることができるようです。

保育士への復職を検討する際は、潜在保育士の復帰支援を活用してみてくださいね。

 

復帰率の高い保育求人を紹介

 

特集コラム一覧

プロ厳選!プレミアム求人

保育士求人を探す

コラム記事を探す

よくある質問

Q

保育士バンク!のコラムにはどんな記事がありますか?

A

転職に関する記事の他に、日常の保育で使える手遊びや工作の動画など、幅広いジャンルで保育士さんや幼稚園の先生に役立つ情報を提供しています。詳細はコラム総合トップからご確認ください。

Q

最新の記事や動画はどこから見る事ができますか?

A

最新記事はこちらです。保育士バンク!では週に3~5本くらいの新しい記事や動画を公開していますのでぜひご覧ください!最新記事や人気記事はコラム総合トップからもご確認いただけます。

Q

最新の記事や動画をもっと簡単に見たいです。

A

保育士バンク!アプリがオススメです!iPhoneアプリはこちらからAndroidアプリはこちらからダウンロードください!