障害児保育とは?現状や意義、働くために必要な資格など

障害児保育とはどのようなものか、興味を持っている保育士さんもいるかもしれません。保育所などでも、障害をもつ子どもの受け入れは年々増加しているという現状があり、適切な保育が必要となるでしょう。今回は、障害児保育の概要や現状、障害児保育施設で働くために必要な資格やボランティア情報などについて紹介します。


子どもと母親

milatas/shutterstock.com

 

障害児保育とは

障害児保育とはどのようなものかご存じでしょうか。ここでは、障害児保育についての概要と現状をくわしく解説します。

 

障害児保育の概要

 

障害児保育とは、広い意味で言うとあらゆる障害をもった子どもに対して保育をすることです。

児童発達支援施設や障害児を専門とした保育園で実施されるほか、一般の保育所等で障害児を受け入れて保育が行われることもあります。

 

厚生労働省「障害児及び障害児支援の現状」の資料によると、2016年度時点の保育所等で受け入れている障害児の数が6万5000人となっており、10年前と比較すると約2倍増えていることがわかります。

 

このことから、障害児保育のニーズが高いことがうかがえるでしょう。

 

障害児と障害児支援の現状

 

厚生労働省の資料では、在宅で生活している18歳未満の障害児の数は推計で約21万5000人と説明しています。(全国在宅障害児・者等実態調査:2011年時点)

 

また、身体障害がある児童(身体障害者手帳を持っている)は7万3000人で、知的障害がある児童(療育手帳を持っている)は15万2000人となっています。

 

さらに、社会福祉施設などに入所している児童数は、身体障害がある児童が2009年時点で約5000人、知的障害がある児童が2011年時点で約7000人となっており、身体障害をもつ児童数は減少していますが、知的障害をもつ児童数は増加している現状にあります。

 

そもそも障害児支援を行う施設には、主に利用者が通所するタイプと入所するタイプのものがあります。

 

入所支援を利用する児童数は、2012年から2014年にかけて横ばいで推移していますが、通所支援を利用する児童数は年々増加しており、それに伴って障害児通所支援を行う事業所の数も徐々に増えている状況といえるでしょう。

 

出典:【保育課関係】P20/厚生労働省

 

出典:障害児及び障害児支援の現状P1/厚生労働省

 

出典:障害児支援についてP4/厚生労働省

障害児支援の体系

2012年の児童福祉法改正によって障害児支援施設や事業が一元化され、障害児支援の体系が入所と通所という大まかな分類に分けられました。

 

障害児が利用できる障害福祉サービスには、入所支援や通所支援という分類に加えて、訪問支援と相談支援があります。

これら4つの支援体系についてくわしく見ていきましょう。

 

障害児通所支援

 

障害児通所支援には、以下のサービスがあります。

 

  • 児童発達支援
  • 医療型児童発達支援
  • 放課後等デイサービス
  • 保育所等訪問支援

 

一つずつ紹介します。

児童発達支援

児童発達支援は、日常生活の基本的な動作の指導や知識技能の付与、さらには集団生活への適応訓練などの支援を行います。この支援は、集団療育や個別療育を行う必要があると認められる、小学校入学前の未就学児を対象としています。

 

児童発達支援センターと児童発達支援事業所で支援が行われ、身近な地域における通所利用障害児への療育や、その家族に対するサポートがメインとなっています。

 

とりわけ、児童発達支援センターはその専門性を生かして、保育所等訪問支援や相談支援といった地域支援を行い、地域の中核的な支援施設として機能しています。

医療型児童発達支援

医療型児童発達支援は、先ほど紹介した児童発達支援の内容に含まれる、日常的な動作の指導や知識の付与などに加えて、医療の提供を行うのが特徴です。

 

この支援は、肢体不自由があり、理学療法などの機能訓練や医学的管理下での支援が必要とされた障害児を対象としており、医療型児童発達支援センターと指定医療機関で行われます。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、放課後や休校中の期間に、学校通学中の障害児に対して生活能力向上のための訓練や社会との交流を支援します。

 

障害児の自立を促進し、放課後の居場所づくりを推進することを目的としています。

保育所等訪問支援

保育所等訪問支援は、保育所等を利用中もしくは今後利用予定の障害児が、保育所等での集団生活に適応するために専門的な支援を必要とする場合に、訪問支援を実施することで安定して施設を利用できるようにすることを目的としています。

 

訪問員が施設を訪問し、障害児が障害児以外の児童との集団生活に溶け込めるように、本人や施設のスタッフに対して専門的な支援を行うことが主なサービス内容です。

 

障害児入所支援

 

障害児入所支援には、以下のサービスがあります。

 

  • 福祉型障害児入所施設
  • 医療型障害児入所施設

 

どちらも身体障害や知的障害、および精神障害をもつ施設入所児童に対して、保護や日常生活の指導、知識技能の付与などを行います。

また、医療型障害児入所施設では、障害児の支援に加えて医療提供も行われるのが特徴です。

 

障害児訪問支援

 

疾病等により外出が困難な障害児に対して訪問支援が行われます。

 

主に、以下のサービスがあります。

 

  • 居宅介護
  • 同行援護
  • 行動援護
  • 重度障害者等包括支援

 

これらは、障害が重度で介護の必要性がある児童や、外出時に支援を必要とする児童を対象としており、利用者の居宅に訪問して介護をしたり、外出するときに必要な情報提供や支援を行ったりするものです。

 

相談支援

 

障害をもつ人が自立した日常生活や社会生活を営めるように、身近な市町村を中心として相談支援事業が実施されています。

 

相談支援には、以下の2つがあります。

 

  • 計画相談支援
  • 障害児相談支援

 

計画相談支援は、障害福祉サービスや地域支援相談を利用する際に必要となる「サービス等利用計画」の作成やモニタリング、計画の見直しなどを行います。

 

一方障害児相談支援は、障害児通所支援を利用する際に必要となる「障害児支援利用計画」の作成などを行います。

 

障害福祉サービス等の利用計画を作成することで、障害をもつ人の自立した生活を支え、抱える課題の解決や適切なサービスの利用に向けたきめ細かい支援を目指しているようです。

 

出典:障害児支援について/厚生労働省

 

出典:障害のある人に対する相談支援について/厚生労働省

障害児保育施設で働くには?

スマホを見る女性

miya227/shutterstock.com

 

障害児保育施設で働くために必要な資格や、求人状況について紹介します。

 

必要となる資格

 

児童発達支援センターや児童発達支援事業所などの施設では、児童指導員や保育士を配置することが定められています。そのため、保育士の資格を活かして働くことができるでしょう。

 

他にも、幼稚園教諭免許や教員免許、社会福祉士の資格などを持っていれば応募できる施設もあるため、求人を見る際に確認してみてくださいね。

 

障害児保育施設の求人状況

 

児童発達支援施設の求人募集を見てみると、正社員保育士の求人が多いものの、一部パートやアルバイトでの保育士を募集している園もあるようです。

 

正社員保育士の月給はおよそ18万円から25万円程度と、地域や施設によってばらつきがあります。

 

また、パートやアルバイトの場合では、時給900円~1000円程度の求人が多く、施設によっては1200円以上のところもあるので、求人票を見る際は比較したうえで検討するとよいかもしれません。

障害児保育施設で働く保育士の役割・仕事内容

障害児保育を実施する施設で働く保育士が果たす役割や意義、仕事内容について見ていきましょう。

 

役割

 

障害児保育施設で働く保育士には、以下のような役割があります。

 

  • 障害をもつ子どもを支援する
  • 障害をもつ子どもの家族を支援する

子どもの支援

障害児保育施設で働く保育士さんは、個人の障害の状態や発達の過程に応じて、児童の成長を促すための発達支援を行います。

 

また、障害のある児童が集団生活や地域社会に参加できるように手助けし、専門的な知識をもってそれぞれの障害に合った支援を行っています。

家族の支援

さらに、家族支援を行う役割もあります。障害児保育施設があることで、障害をもつ子どもを育てる家族が仕事などの社会参加をしながら子育てを行えるようになるでしょう。

 

また、保育士さんが家族と密に連携を取ることで交流を図ることができ、心理的負担を軽減させることもできそうです。

 

保育士さんは、障害をもつ子どもとその家族の両方を支援するという、意味のある存在と言えるかもしれません。

 

仕事内容

 

障害児保育施設で働く保育士の仕事内容は、一般的な保育園で働く保育士さんと同様に、

 

  • 遊びを通した活動支援
  • 食事
  • 着替え
  • 排せつ

 

など、毎日の生活にかかわる指導をすることがメインのようです。

 

しかし、障害の度合いや発達状況に応じて必要となるサポートの形は異なるため、子ども一人ひとりに合った適切な保育をするのが大切と言えるでしょう。

 

他にも、保護者の方の相談に乗ったりアドバイスを行ったりして、障害児の家族をケアするのも仕事と言えそうです。

 

出典:【保育課関係】P20/厚生労働省

 

出典:児童発達支援ガイドラインP5,P6/厚生労働省

ボランティアで障害児保育はできる?

障害児の子どもを預かる保育施設や放課後デイサービスなどでは、ボランティアを募集していることもあります。

 

知的障害や身体障害を抱えた子どもを対象に、発達を支援したり社会参加の機会を増やすサポートを行うのがボランティア活動の重要な意義となっています。

 

例として、以下のような活動内容があります。

 

  • 日中活動の手伝い
  • 遊びや運動の相手
  • 季節の行事の手伝い

 

日中活動の手伝い

 

施設の日中活動の準備やお手伝いを行います。

具体的には、施設で働く児童指導員の業務補助や、活動で使用する教材や製作物を作ります。

 

つまり、施設をスムーズに運営できるようにサポートする役割を持っていると言えるでしょう。

 

遊びや運動の相手

 

いっしょに遊んだり運動をしたりして、子どもの相手をします。また、絵本の読み聞かせや子どもたちとおやつを食べる場合もあります。

 

未就学児を相手にする場合には児童の発達を支援し、小学生や中学生が利用する放課後デイサービスなどでボランティアをする場合には、学習のサポートをすることもあるようです。

 

季節の行事の手伝い

 

季節ごとに行われるハロウィンやクリスマスなどのイベントのほか、定期的に実施される遠足などの補助を行います。他にも、夏の水遊びやキャンプなどの野外活動をする際のサポートもあるようです。

 

施設や自治体のボランティアセンターのホームページを見てみると、いろいろな種類の募集情報があるので、参加する際には確認してみるといいでしょう。

障害児保育をするうえで大切なこと

赤ちゃんと母親

takayuki/shutterstock.com

 

障害をもつ子どもを保育するうえで配慮するポイントや大切なことを紹介します。

 

障害の知識を身につける

 

保育士さんのなかには、障害児保育を経験したことがなく障害について知らないという方もいるかもしれません。

 

障害児保育では、子どもの障害の状態や発達に合った支援が必要となるため、子どもたちの障害に関する知識を習得することは大切なことと言えるでしょう。

 

身体障害や知的障害、精神障害など程度や種類はさまざまであるため、子どもによって配慮が必要になるポイントも異なります。必要となる正しい知識を身につけて、保育にあたるようにしましょう。

 

保護者の方とのコミュニケーションを積極的にとる

 

子どもとの接し方だけでなく、保護者の方との接し方にも配慮が必要となるでしょう。そのため、保護者の方とコミュニケーションを積極的にとることも大切になります。

 

身につけた知識だけで障害児に対応すると、実際に子どもと関わったときに上手くいかないこともあるかもしれません。そのような場合には、保護者ならではの視点で「このような場合にはこうしたらよかった」などの具体的な配慮の仕方を聞いておくのも得策と言えるでしょう。

 

保護者とのコミュニケーションをしっかり行うことができれば、保護者自身も施設に子どもを預けることへの安心感にもつながるかもしれません。信頼関係を築くためにも、保護者とのかかわり合いを深めていきましょう。

 

子どもをしっかりと観察し、一人ひとりに合った保育をする

 

保育をするうえで大切なことは、子どもたちをしっかりと観察して見守ることでしょう。

 

障害児を保育するときには、子ども一人ひとりのできることとできないことを把握したり、どのような時に助けを必要としているのかを理解したりすることが大切になります。

 

もちろん配慮は必要になりますが、子どもの意思や自主性を尊重しつつ、子どもの成長を促せるような支援をするといいかもしれません。

障害児保育についての理解を深め、転職活動における選択の幅を広げてみよう

今回は、障害児保育の現状や意義、支援を受けられる施設などの概要と、障害児保育施設で働く保育士の役割や必要な資格、ボランティア活動などについて紹介しました。

 

保育園等を利用する障害児の数は年々増えており、児童発達支援は重要な意味を持つニーズが高い支援であることが分かりました。

 

障害児保育施設では保育士資格を生かして働くこともできるので、障害児保育に興味がある保育士さんは、ボランティアなどに参加して視野を広げてみるのもいいかもしれません。

 

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