1歳児の3月には、どのような保育活動や援助を計画していくとよいのでしょうか。子どもの姿にあわせて1カ月のねらいや活動計画を立てるため、毎月頭を悩ませる保育士さんも多いかもしれません。今回は、1歳児クラスで使える3月の月案の文例を紹介します。ねらい、配慮、子どもの様子、家庭連絡など、項目別にまとめました。

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■目次
1歳児クラスの3月の月案を考えよう
進級を目前に控えた3月は、日差しに暖かさが増して気持ちよい天気の日が多くなる頃です。
この時期は体調に配慮しつつも、自然とふれ合える戸外遊びを積極的に取り入れたいですよね。
3月の1歳児クラスでは、以下のような特徴が見られるかもしれません。
- 生活の流れに少しずつ見通しがつくようになる
- 排泄に意欲を持ち始める
- 言葉でのやり取りや見立てができるようになる
1年間過ごしたことで生活リズムが身につき、自分でやりたいと意欲が湧いたり、友だちや保育士さんと言葉でのやり取りができるようになったりする頃と言えそうです。
以上の点をふまえて、3月の1歳児クラスにおける月案作成の例文やポイントを見ていきましょう。
【3月】1歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
3月に近づく頃には、1歳児に以下のような姿が見られるかもしれません。
- 保育者や友だちに対して、自分の気持ちを言葉で伝えようとする
- 着脱や手洗いを自ら進んでしようとしていた
- 体調を崩し、熱を出して休んだり鼻水を出したりしている子どもが多い
- 友だちとの結びつきが強まり、並行遊びを楽しむ姿がある
2月末頃に見られるようになった、子どもの体調や生活面の様子や、友だちとのかかわり方について詳しく記入するとよいでしょう。
このような子どもの様子をふまえて、3月のねらいや活動に活かしていきましょう。
【3月】1歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
ねらい
まずは、前月の子どもの姿をもとに、3月のねらいを立てていきます。
養護
- 室温や湿度に留意してもらい、適切な環境の中で安心して過ごす
- 生活に見通しを持って過ごし、着替えや食事など身の回りのことを自分でやろうとする
教育
- 進級することに期待感を持って過ごす
- 見立てやつもりを通して、友だちといっしょに遊ぶ楽しさを味わう
- 春らしい戸外遊びを通じて、季節の変化を楽しむ
養護面では、引き続き体調に注意するとともに、生活習慣の自立に関するねらいを立てるとよいでしょう。
教育面では、進級に向けたねらいや、友だちとのかかわりに関するねらいを考えるとよさそうです。
活動内容
ねらいをもとに、詳細な活動内容を考えていきましょう。
養護
- 鼻水が出たことに気づき、ティッシュを取ってもらい自ら拭こうとする
- こまめに換気をしてもらい、新鮮な空気を取り入れながら過ごす
- 排泄の自立に意欲を持ち、個々のペースで声をかけてもらいながらトイレに行く
- 自ら着替えようとし、自分でできることを行い達成感を味わう
- 保育者に促され、皿に残った食材を食具で集めて完食しようとする
教育
- ひな祭り会に参加し、歌を歌ったりお話を聞いたりしながら楽しい雰囲気の中過ごす
- お別れ会を通して、出し物やお話を楽しみながら年長児を見送り、進級への意欲を持つ
- 2歳児クラスの保育室を見学し、進級することに見通しを持つ
- 歌や手遊びを通して、進級への期待感を持ち、成長したことのよろこびを味わう
- 戸外に出て春の陽気を感じながら遊び、春の自然を発見する
3月の1歳児には、進級をふまえ、排泄や身の回りのことを自分で行えるようにするともに、子どもの興味や関心に沿った春らしい活動を取り入れられるとよいですね。
【3月】1歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮

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活動内容に合わせて、保育士さんが意識する配慮事項を考えます。
養護
- 子どもの体調や気候に合わせて室温や活動内容を調整する
- 身の回りのことをやろうとする姿は見守り、しっかり認めて褒めることで意欲を育む
- 食具を両手で持つことを繰り返し教えるとともに、自分で皿をきれいにできるよう声をかける
- 個々の排泄のサインやペースを把握し、適切なタイミングでトイレに行けるよう促す
教育
- 気候のよい日は戸外に出て、春の陽気を感じられるようにする
- 言葉でやり取りしようとする姿を見守り、必要に応じて代弁して仲立ちをする
- 手遊びや絵本を通して、大きくなったことへのうれしさを育み、進級への期待につなげていく
- 春の自然や生き物にちなんだ歌を取り入れ、季節の変化を感じられるようかかわる
- 散歩や園外活動を通して、地域とのかかわりを育んでいく
3月にはほとんどの子どもが満2歳になるため、「自分でやりたい」という意欲を大切にしつつも、個人の発達に合わせた援助が求められるでしょう。
また、手遊びや見立てを通して、言葉でのやり取りの楽しさも大切に育んでいけるとよいですね。
【3月】1歳児の月案の文例:家庭連絡・行事・食育
家庭連絡
保護者の方への連絡事項を伝えていきましょう。
- 来年度の準備物や注意事項などを各家庭に伝えていく
- 進級に向けて保護者の不安や悩みがないか、相談できる機会を持つ
進級の準備や心構えができるよう、早めにフォローしていけるとよいかもしれません。
行事予定
3月に1歳児クラスの子どもが参加する行事の予定を記入します。
- ひな祭り
- お別れ会
- 避難訓練
食育
食育につながるかかわりを書きましょう。
- 食具を持っていない方の手でお皿を押さえられるよう、手を添えて指導する
- ひな祭りについて伝え、ひなあられや菱餅などの和菓子に親しむ
- 食が細い子どもには、盛り付ける量を調整しながら完食したよろこびを味わえるようにする
地域によっては、ひな祭りやお別れ会などで特別メニューの給食が出る保育園もあるようです。
行事食に親しむきっかけを持ち、食への関心を育んでいきましょう。
【3月】1歳児の月案の文例:反省・自己評価
3月の末には、1カ月を振り返って、月案の反省や自己評価を行います。
養護
- 換気や手洗いを徹底することで、体調を崩す子どもが減った
- こまめに排泄のタイミングを見計らうことで、トイレが成功する場面が増えた
- 食具の使い方の定着は個々によって差があるため、今後も繰り返し伝えていく
教育
- 友だちとのかかわる中で、場所や玩具の取り合いが生じたが、仲裁に入って互いの気持ちを代弁していけた
- 戸外遊びを積極的に取り入れて、園庭でたんぽぽを探したり、菜の花を見に散歩に行ったりと、地域にある春の自然にふれる活動ができた
- 2歳児の活動を見せてもらったり、2歳児クラスの保育室で遊んだりといった機会を持ち、進級に向けて期待感を育むことができた
クラスの実態や、保育士さん自身のかかわりにあわせて、例文をアレンジしながら取り入れてみてくださいね。
3月の1歳児の特徴を知って、月案に活かそう
今回は、1歳児クラスで使える3月の月案の文例を、ねらいや子どもの様子、家庭連絡など、項目別に紹介しました。
この時期には、1歳児の持つ意欲を大切にした援助を心がけるとともに、進級に向けて見通しを持てるような活動を計画できるとよいですね。
2歳児になることをふまえて、排泄や着替えの自立だけでなく、食事や手洗いなどにも目を向けてしっかりと援助していきましょう。
3月の文例を参考に、1歳児クラスの月案の作成に活かしてみてくださいね。