退職を予定している保育士さんのなかには、手続きについて知りたい方もいるでしょう。必要な書類や確認すべき事項を知っておけば、退職に向けてスムーズに準備できるかもしれません。今回は、保育士の退職手続きについて、流れやポイントを解説します。また、退職時に必要な書類などのチェックリストも設けました。
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■目次
保育士が退職する際の一般的な流れ
保育士さんが自己都合で保育園を辞めるときは、どのような準備が必要なのでしょうか。
退職の意思を伝えてから半年~3カ月の間に、引継ぎ業務以外にもさまざまな書類を提出する必要があるようです。
日々の保育業務と並行しながら退職準備を進めることになるため忙しいかもしれませんが、落ち着いて一つずつ手順を踏んでいきましょう。
ここでは、保育士さんが退職する際に行うことを、一般的な流れに沿って解説します。
1.遅くても3カ月前までには退職の意思を伝える
保育園を退職すると決めたら、 まずは直属の上司へ退職する旨を伝えましょう。
退職する半年前に退職の意思を上司へ伝えておけば、代わりの保育士さんを採用する準備や引継ぎ業務なども、余裕をもって進めることができるかもしれません。
しかし、さまざまな理由から急な退職を決断することもあるでしょう。
遅くても3カ月前までなど、できる限り早い時期に退職の意思を伝えられると、園に大きな影響を及ぼすことなく円満に退職できるかもしれません。
2.1カ月前を目安に退職願を提出する
保育園を退職する日程が正式に決まったら、一般的に退職する1カ月前を目安に退職願を提出 します。
ちなみに退職届は会社の都合で保育士を辞める時に提出するもので、退職願は自己都合により仕事を辞める場合に使用します。あわせて覚えておきましょう。
3.業務の引継ぎをする
クラスの担任をしている場合は、受け持ちの子どもの性格や家庭環境、保護者についての情報などを次に受け持つ保育士さんへ伝えましょう。
自分が担当していた係や行事がある場合、これまでに気づいたことや反省点をノートなどに記して引き継ぐと、わかりやすいかもしれません。
4.返却物と交付してもらう書類などを確認する
保育園から借りているものがあれば、全て返却しましょう。
なお、保育園から交付してもらう書類については、あらかじめ何が必要なのか調べておくことが大切です。
これらの手順を踏んだうえで、退職日当日は子どもたちや保護者、お世話になった職場の方へ挨拶をしましょう。
可能であれば、直接会ってきちんと感謝の言葉を伝えられるよいですね。
次は、保育園へ提出する書類や返却するもの、交付してもらう書類についてまとめました。
保育園を退職する際の準備【園内で行う手続き】
保育園を退職する際に園内で行う手続きをまとめました。
以下のチェックリストを参考に、退職へ向けて漏れのないように準備を進めましょう。
保育園へ提出・返却するもの
☑退職願
退職することを上司や園長へ伝えたら、書面を通して退職の意思を表します。
提出先については、上司に確認するとよいでしょう。
☑健康保険証
退職したあとは新たな職場の社会保険または国民健康保険へ加入しなおすため、保育園から交付されていた健康保険証を保育園へ返却します。
☑業務資料
業務に関係のあるマニュアルなどの書類は、全て保育園へ返却しましょう。
園児の個人情報がわかるような資料も忘れずに戻します。
☑社員証
IDカードなど、保育士さん自身を証明する書類などがあれば、全て返却する必要があります。
☑制服
保育園から制服が支給されていた場合は、洗濯またはクリーニングに出して綺麗な状態で戻しましょう。
☑備品
文房具用品やパソコンなど、保育園から借りていたものは全て保育園へ返却します。
☑通勤定期券
退職時に使える期間が残っている通勤定期券があれば、保育園へ返すようにしましょう。
保育園から交付してもらうもの
☑雇用保険被保険者証
雇用保険の受給手続きをする際に必要です。
転職先が決まったら、新たな保育園などに提出をしましょう。
☑離職票
失業手当を受給する場合、申請のために必要になります。
退職後10日以内に交付してもらうようにしましょう。
転職先が既に決まっている場合も、念のために交付してもらうとよいかもしれません。
☑健康保険被保険者資格喪失証明書
次の職場の健康保険に加入する際や、国民健康保険へ切り替わるときに必要な書類です。
☑年金手帳
保育園に提出していた場合は受取り、新しい職場へ提出しなおす必要があります。
☑源泉徴収票
年末調整や確定申告の際に必要な書類です。
☑保育園の制度
保育園で利用している制度があれば、終了の手続きをしましょう。
このように保育園を退職する際には、さまざまな手続きが必要なようです。
チェックリストを活用し、余裕をもって準備を進めましょう。
保育園を退職する際の準備【公的な手続き】
次に、保育園を退職する際に必要な公的な手続きについてお伝えします。
転職先が決まっているか否かで流れが異なるため、注意しましょう。
雇用保険
国の保険制度で、失業保険とも呼ばれています。
転職先が決まっている場合
転職先が決まっている場合は、失業手当の受給資格はありません。そのため手続きは不要となります。
転職まで期間が空く場合
手続きに離職票が必要となり、退職後に次の職場が見つかるまで失業手当を受け取れます。
ただし、転職の意思がない場合は受給することができないので注意しましょう。
健康保険
公的な保険制度で、退職により権利が消失するため、保育園を退職する際に健康保険証を返却します。
転職先が決まっている場合
退職時に交付してもらう健康保険被保険者資格喪失証明書を転職先に提出すると、新たな健康保険証が通常1週間ほどで発行されます。
転職まで期間が空く場合
任意継続被保険者制度を利用することで、最長2年まで継続して健康保険に加入できます。
また、年収額により、家族の健康保険に被保険者として加入できるかもしれません。
あるいは、国民健康保険へ加入することとなります。
年金
これからの転職事情により、加入条件が変わります。
すぐに転職する場合
転職先で厚生年金に加入する場合、必要に応じて年金手帳を転職先に提出しましょう。
転職まで期間が空く場合
転職先が決まっていない場合は国民年金に切り替えるか、厚生年金に加入している家族の被扶養者になるための手続きが必要となります。
このように、退職後の転職先が決まっているかどうかによって、手続きの仕方に違いがあるようです。
重要な手続きなので、期間に余裕をもって漏れのないように行いましょう。
保育士の退職手続きをする際のポイント
保育園を自己都合により退職する場合に、手続きをスムーズに行うコツについてまとめました。
個人的な退職理由を伝える
保育園を退職する旨を上司に伝える際には、保育園の待遇面などを理由にすると改善策を挙げたうえで引き止められる可能性もあるでしょう。
ほかの職種へ転職したいなど、個人的な理由で退職したいという意思を伝えれば、比較的スムーズに話が進むかもしれません。
伝える時期を考慮する
保育園を退職する時期として一番望ましいのは、クラス担任が変わるタイミングとなる年度末でしょう。
新年度の雇用について個人面談があれば、その際に退職について伝えるとよいかもしれません。
年度途中で退職をする場合でも、次の保育士さんを確保するための準備期間などに考慮し、遅くても2~3カ月前までに報告をするとよいでしょう。
大きな行事が控えているときは園全体が準備に追われて忙しないため、行事を終えたタイミングで伝えるとよいかもしれません。
準備を早めに行う
退職手続きの際に必要な書類を揃えておくなど、早めに準備を進めましょう。
やることのチェックリストを作り、準備する時期などもわかるようにすると慌てずに済むかもしれません。
保育園を円満に退職できるよう余裕をもって手続きをしよう
今回は、保育園を退職する際の手続きについて、流れや気をつけるべきポイントなどをお伝えしました。
業務上の引継ぎのみならず、保育園へ返却・提出するものや申請する書類などさまざまあり、何から手をつけたらよいのか戸惑う保育士さんもいるかもしれません。
スムーズに手続きを進められるようにするのはもちろん、保育園の職員や子どもたち、保護者にもできる限り迷惑をかけないように考慮することが大切です。
退職をする時期だけでなく伝えるタイミングにも気を配り、できることから着々と手続きを進めるようにしましょう。保育園へお世話になった感謝の気持ちも忘れずに、円満に退職できるとよいですね。
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