保護者に選ばれる保育園を目指す「太陽の子 東五反田保育園」
Twitterで話題の男性保育士てぃ先生。
最も近い目標は、自分で保育園をつくること。
「てぃ先生の園長見習い中」は、てぃ先生が実際に保育園を訪問し、保育園を経営する先輩からヒントをもらう対談企画です。
五反田駅から徒歩3分という便利な場所にある「太陽の子 東五反田保育園」は、HITOWAキッズライフ株式会社が運営する東京都認証保育所です。今年で開園2年目を迎える同園は、ビルの中にあるにも関わらず広々として明るい雰囲気です。0歳から2歳までの子どもたちが過ごすこの園では、どのような保育が行われているのでしょうか。
代表取締役社長の大井安治さん、園長の河田雅子さんにお話を伺いました。
■話を聞く人
てぃ先生。Twitterフォロワー数44万を超える現役保育士。
Twitter原作のマンガ『てぃ先生』のほか、
書籍『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』『ハンバーガグー!』を刊行。
マンガのアニメも公開中!(タテアニメ)
https://twitter.com/_happyboy
■話を聞いた相手
HITOWAキッズライフ株式会社 代表取締役社長 大井安治さん
元銀行マン。20年以上前から子育て支援や保育に携わりたいという思いがあり、勤めていた銀行を退職して保育士資格を取得。以後、白梅学園大学大学院で保育について学び、修士課程を修了。
出産で仕事を離れる女性を見て…銀行マンが保育士になった理由
てぃ先生:大井さんはもともと銀行で働いていたとのこと。なぜ保育に興味を持ったのですか?
大井さん:20年くらい前に銀行で人事を担当していた時、活躍している女性たちが結婚や出産で辞めていく姿を見て、「もったいないな……」と思ったことが保育を志したルーツなんです。
銀行を退職し、自分がやりたいことは子育て支援や保育、教育に携わる仕事だと考え、まずは保育士資格を取得しました。さらにもう少し深く勉強してみたいと思い、白梅学園大学大学院へ入学しました。以前から汐見稔幸先生の考えには興味があり、保育や幼児教育を学ぶのであれば、汐見先生が学長を務める白梅学園大学で、と考えていました。
4万冊の絵本を手に取ることができる環境
東京・神奈川・千葉・埼玉・北海道の各地で80以上の保育園や学童クラブを運営するHITOWAキッズライフ。保育の特色について、園長の河田さんに教えていただきました。
河田さんは結婚を機に一度保育士を退職し、育児が落ち着いたタイミングでパート保育士として現場復帰を果たしました。その後、正社員になり、現在は太陽の子 東五反田保育園の園長として勤務しています。
HITOWAキッズライフ太陽の子 東五反田保育園園長の河田雅子さん
てぃ先生: 河田さんは潜在保育士の鑑(かがみ)のようなキャリアですね。こちらの保育園ではどのような保育を行っているのでしょうか。
河田さん:HITOWAの保育園では、絵本の読み聞かせに力を入れています。グループ園ごとに環境が違うので、それぞれ取り組み方は異なりますが、子どもたちが絵本を手に取りやすいように工夫しています。
例えば、絵本の背表紙ではなく表紙が見えるように陳列したり、各園で絵本を交換してこまめに入れ替えを行ったり。グループ全体で約4万冊の絵本があり、2カ月ごとに40〜60冊を入れ替えているんです。定番の作品から新しいものまで、絵本の数が日本で一番多い保育園を目指しています。
散歩から帰ってくるとすぐに絵本を手にしたり、登園すると「これ読んで」とお気に入りの絵本を持ってくる子たちもいます。
河田さん:子どもたちに読む絵本を選ぶと担任の好みに偏りがちですが、さまざまなジャンルの絵本を紹介できるのはグループならでは。その他にも、地域の方も一緒に参加できるおはなし会を開催したり、絵本だけでなくダンボールシアターやパネルシアターなど、絵本の世界を楽しめるような取り組みを定期的に行っています。
園内あちこちに絵本がある環境が特徴的
また、太陽の子 東五反田保育園では食育にも力を入れているようです。
河田さん:ごはんは「頑張って食べる」ものではありません。当園では、食事を”楽しむ”ことを大切にしています。例えば、おはなし会で読んだ『おべんとうバス』の絵本にちなんで、プチトマトやブロッコリーなど絵本に出てきた食べ物を詰めたお弁当箱を給食で出したり。
また、園内でも野菜の栽培を試みたのですが、園庭がないため難しいことに気づきました。そこで、日光がなくても育てられるきのこをこれから栽培しようとしています。
オープニング園ならではの課題は?!職員が保育士の主体性を発揮してカバー
写真左 リーダー保育士の辻さん
職場の人間関係は働きやすさの決め手となります。実際に現場で働いているリーダー保育士の辻さんに本音を聞いてみました。
辻さん:和気あいあいとした雰囲気の中で仕事をしています。20代から50代まで幅広い年齢層のスタッフがいますが、保育のことも相談しやすいです。
てぃ先生:2年前に開園したとのことですが、オープン時には方向性の違いなどでギクシャクしませんでしたか?
河田さん:過去に勤めていた園ではそういったことも経験してきたので、働く人たちの負担をできるだけ減らせるように、「この業務は本当にできるのか?」「年度末だけど忙しくないか?」など、話し合いの機会を何度も設けました。
最初は意見が出しづらい雰囲気もありましたが、開園2園目を迎える現在、園長の私が意見を言わなくても会議の場で積極的に議論が交わされるようになっています。子どもの主体性ばかり注目されていますが、保育士の主体性も大切ですね。
てぃ先生:保育士の主体性を考えるのは良いですね。保育園の中には、ベテラン職員の言うことを聞かなくてはいけないという風潮がある場合もありますから。良い人たちが集まっているんですね。
河田さん:スタッフ同士、お互いを尊敬しているのを感じます。一人ずつ面談をする時に、「一緒に組んでいる人とはうまくやっているか」「言いづらいことはないか」と聞くのですが、皆、他のスタッフの素晴らしいところを教えてくれるんです。
尊敬しているという気持ちは、なかなか面と向かって言えないと思うので、私はそれを繋ぐ役割を担っています。「○○さんがあなたのことを褒めていたよ」と伝えると、本人のモチベーションアップにもなるようです。
保育士の専門性とは、子どもを理解する力
てぃ先生:入社してくる方の中には、いろいろな人がいると思いますが、保育士の専門性とはどんなことだと思いますか。
大井さん:私が白梅学園大学の大学院でまとめた修士論文のテーマが「親から見た保育者の専門性」でした。医師や看護師、教師など、「専門性」という言葉にプライドを持って働いている保護者を対象に、自分の子どもが通う園の保育者に感じる専門性について調査しました。
調査に協力してくださった親御さんは、ハッとしたそうです。自分が我が子のことを一番分かっていると思っていたけれど、保育者にはそれを超えるものがあると感じたそうです。
てぃ先生:これからの保育士に求められるのは、子どもの気持ちを理解する力と、保護者のニーズに応えられる力だと思います。インターネットですぐに情報を検索できる現在、トイレトレーニングの方法も、イヤイヤ期の対応も、誰もが知ることができるんですよね。つまり、かつては保育士の専門性と言われていたものに、誰でもふれられるようになってしまったんです。
子どもの気持ちを汲み取り、保護者のニーズに応える「個別対応」の部分がこれからの保育士の専門性ではないでしょうか。
河田さん:保護者の気持ちに寄り添うことは大切なことですね。当園は東京都の認証保育園ですが、受かっていた認可保育園に入らず太陽の子 東五反田保育園を選んでくださったという方もいます。
保護者に選んでいただける保育園になれたことは、とても嬉しかったです。
大井さん:園の良さは子どもから保護者に伝わります。どんなに楽しいか、園の良さや先生の良さなど、言葉だけでなく姿からも自然と伝わるものです。そして、この園なら、この先生ならと任せてくれるのです。
園長会やキャリアごとの研修で、他園とも方向性を合わせる
てぃ先生:グループ園が複数あると、法人の考え方や思いに関して共通意識を持つことは難しくありませんか?どのような方法で指導を行っているのでしょうか。
大井さん:まさに難しいところです。保育園は園長が作る家だと思っています。
河田さんのようなタイプの園長もいれば、また違うタイプの園長もいます。園長によって家のカラーが決まってきます。
河田さん:園長と本社の人が一堂に会する月1回の会議で情報共有をしたり、方向性を合わせたりします。
また、キャリアごとにさまざまな研修があるので、そこで共通理解を行うことも。園長会も地域別、キャリア別とさまざまなパターンがあります。
大井さん:ひとつ守らなければいけないのは安全です。でも、子どもは喧嘩をするし、怪我をして学ぶものです。
園長がそれを理解し、保護者に対してしっかりと説明できることが大切です。複数の園においてそういった面で共通理解を持ち、実現させることは、今後の課題でもあります。
てぃ先生:なるほど。僕も自分の保育園を作る時にはぜひ参考にさせていただきたいお話です。
今日は、貴重なお話を聞かせてくださって、ありがとうございました。
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てぃ先生の訪問日誌
今後の保育園には、子どもの主体性はもちろん、保育士の主体性が求められるのは明白です。今までのことを今まで通りに…ではなく、新しいことに対して、園長含めてみんなで進んでいこうという意識が感じられる素敵な園でした。
こういったマインドが広がっていくと業界全体が良くなると思いますので、HITOWAキッズライフさんのような大きなグループ園が心がけていることが有難いですね。ありがとうございました。
てぃ先生:
関東の保育園に勤めるカリスマ保育士。
保育園の日常をつぶやくツイッターには44万人を超えるフォロワーがいる。
Twitter原作のマンガ『てぃ先生』のほか、
著書に『ハンバーガグー』『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』
(ともにベストセラーズ)など。マンガのアニメも公開中!(タテアニメ)
https://twitter.com/_happyboy