多様な保育スタイル
「縦割り保育」「異年齢保育」「慣らし保育」「混合保育」など、保育にはさまざまなスタイルがあります。
これらすべての違いをしっかり理解していますか?
今一度、それぞれの意味をおさえ、保育に当たる際のポイントを見直していきましょう。
「縦割り保育」「異年齢保育」「混合保育」とは
まずは「縦割り保育」「異年齢保育」「混合保育」についてご紹介します。
実はこれらの保育はすべて同じ内容を指します。
保育所や識者によってさまざまな呼ばれ方をしているだけ、ということですね。
ここでは、「縦割り保育」として話を進めていきます。
〇「縦割り保育」の定義
保育所には乳児(0歳児)から小学校入学前の幼児までが通所しています。
一般的に、保育所では同年齢の園児ごとにクラス分けし、保育しています。
しかし、時として異なる年齢の幼児が混合で保育される場合もあります。
縦割り保育とは、このように年齢別ではなく、異なる年齢の子どもたちを一つのグループとして生活する保育のことを言います。
〇「縦割り保育」のメリット
縦割り保育のメリットは、以下の4つです。
1.子ども同士の豊かな関わり合いが、年齢という枠を越えて展開されること。
2.個々の子どもにとって、拠点となる場所や居場所が広がること。
3.異年齢でクラス編成を行うことによってクラスの状態が安定するケースが多いこと。
〇「縦割り保育」の留意点
縦割り保育を実施するにあたって、保育者が留意すべき点を挙げます。
・年上の子どもたちにとって過度の負担にならないよう配慮すること
保育者は年上の子どもに対し、年下の子どもの世話をするよう促します。
それと同時に、年下の子どもへの対応に困った場合に対処する方法や、意思の伝達方法を教えておく必要があります。
・年齢別保育よりも幅広いフォローが必須
年上の子どもが年下の子どもと刺激し合うと言っても、年齢差は1~2歳差です。
子どもたちに任せっきりにするのではなく、むしろ年齢別保育よりも幅広いフォローや危険性を察知するアンテナを張り巡らせるようにしましょう。
・年長者も年少者も皆が満足する保育内容に!
保育内容を年下の子どもができるものに合わせることにより、年上の子どもにとっては物足りなさを感じたり、待ち時間が多かったりと、年齢に応じての保育ができにくい環境となってしまうこともあります。
年齢幅がある分、保育士側で、いかにフォローするかが重要になってきます。
「慣らし保育」とは?
子どもがある程度の月齢(年齢)になり、保護者の復職等で保育園に預ける際、子どもが段階を踏んで新しい環境に慣れることができるよう、短時間の保育から少しずつ時間をのばし、本格的な保育に入ることを慣らし保育と呼びます。
〇慣らし保育にかける期間
慣らし保育は、文字通り子どもが初めて入る保育園に慣れるための制度です。
慣らし保育にかける期間は、園の方針や子どもの様子によって変わりますが、たいてい5日~10日程度が目安になります。
子どもが保育園にすぐなじみ、全く泣いたりしなければ2、3日程度になることもありますが、実際に通ってみないと分かりません。
〇年齢別必要期間
月齢が低いほど、保護者は心配しがちですが、0歳児は人見知りがまだないため、すんなり慣れるパターンも多くあります。
また、2歳児より上になると、言葉がある程度理解できるため、例えば「今日は○○時にお迎えに来るよ」と話しておけば、理解して安心してくれたりします。
一番手がかかるのは1歳児で、母親や父親への執着心が強い時期のため、離れてしまうことを分かるだけに、泣いてしまう子が多いようです。
〇泣いてしまう子を「慣らす」には?
保護者と離れる瞬間は泣いてしまうかもしれませんが、保護者の姿が見えなくなり、楽しい遊びやおもちゃを見つけると、案外すんなり受け入れて楽しめる子も多いです。
そして段階的に保育園に慣れて、それが日常になっていきます。
慣らし保育は園の方針と個人差が大きいため、一概には断定しづらいですが、ペースを事前に知っておくことで保護者も心の準備ができます。
予定通りにうまくいかなくても焦らず、それが当たり前だと前もって心構えしておくことで、保護者に心の余裕ができます。
さまざまな保育スタイル
今回ご紹介した内容は、基本的なことではありますが、今一度、それぞれの定義を確認することで、日々の保育を充実させてくださいね。