子どもたちに節分の意味や由来を伝える際に、手作りのペープサートを活用してみましょう。ペープサートは目で見て楽しめるうえに動きやセリフがあるため、乳児クラスの子どもでも退屈せずにお話を聞ける出し物かもしれません。今回は、保育園での節分行事に役立つペープサートの作り方を、物語の台本例とあわせて紹介します。

nana77777/shutterstock.com
■目次
節分の由来を子どもたちに伝えよう
2月3日は節分。豆まきをして鬼退治をする風習がありますが、そもそもどんな由来があるのか知らない保育士さんもいるかもしれません。
ペープサートの作り方を見ていく前に、節分の由来を簡単におさらいしておきましょう。
節分の由来
節分とは、季節の変わり目を意味する日です。本来節分は、「立春、立夏、立秋、立冬の前日」であるため、1年に4回存在します。
旧暦では立春に1年が始まるため、前日にあたる節分は現代で言う「大晦日」として大事にされていたようです。そのため、今では立春の前日の節分のみが重視されるようになり、節分と言えば2月3日として定着したと言われています。
ちなみに節分に豆まきをするのは、悪いものの象徴である鬼を払い、新しい1年を気持ちよく迎えるためと伝えられているようですよ。
子どもへの簡単な伝え方
ペープサートを披露する前に、あらかじめ節分とは何か、どんな風習がある行事なのかを簡単に伝えておきましょう。ここでは、子どもからの質問を想定した簡単な伝え方を紹介します。
節分ってなに?
節分は、1年間元気で幸せに暮らせますようにってお願いしながらすごす日だよ。
節分には何をするの?
節分には、豆まきをして鬼を退治するよ。
みんなも風邪を引いたりわがままを言いたくなったりすることがあるよね。それも全部鬼のせい
なんだって。
鬼はみんなの身体や心のなかにも住んでいるから、豆まきをして追い払うんだよ。
このように、かみ砕いた言葉で伝えてみましょう。
節分は鬼を追い払う日であることがわかれば、ペープサートのストーリーも理解しやすくなるかもしれませんね。
節分の由来を伝えるペープサートの作り方

milmed/shutterstock.com
ここでは、保育園で節分の由来を伝えるためのペープサートの台本を紹介します。
「心の中にいる鬼を退治する」という軸を押さえておけば、ストーリーはアレンジ自由なので工夫しながら取り入れてみてくださいね。
作成するペープサート一覧
- 働き者のおじいさん
- なまけ者のおじいさん
- 金色のお家
- 炒り豆
台本
ナレーション
「昔々あるところに、働き者のおじいさんと、なまけ者のおじいさんがいました」
なまけ者のおじいさん
「あー寒い寒い。今日はもう、仕事なんかやめにしよう。」
「隣のじいさんのところにいって、お茶でも飲ませてもらうとするかな」
(歩いていくなまけ者じいさん。)
(反対側に現れる働き者じいさん、畑を耕している。)
なまけ者のおじいさん
「お。さっそく噂をすればとなりのじいさんじゃ。」
「この寒いのに畑なんか耕して、よく真面目に働いていられるのう。」
「おーい、となりの働き者じいさんや。仕事はその辺にして、お茶でも飲まんか?」
働き者のおじいさん
「おう、なまけ者じいさんじゃないか。そうじゃのう、そろそろ休むとするか」
「家に来て、上がっていっておくれ」
(働き者じいさんの立派な金色のお家が登場する。)
ナレーション
「なまけ者じいさんは、働き者じいさんのお家を見てびっくり」
なまけ者のおじいさん
「な、な、なんじゃこの立派な家は!」
「いつの間に、こんな新しい家を建てたんじゃ?」
働き者のおじいさん
「コツコツ真面目に働いたおかげで、新しい家を買うことができたんじゃよ」
なまけ者のおじいさん
「なんとうらやましい!わしも真面目に働いてやる!」
ナレーション
「働き者じいさんのお家をうらやましく思ったなまけ者じいさんは、一生懸命働くことを決めました。それからしばらく経ち、なまけ者じいさんは働き者じいさんのお家を訪ねます。」

Hanasaki/shutterstock.com
なまけ者のおじいさん
「真面目に働こうと思ったんじゃが、どうしても長年染みついたなまけ癖が消えない」
「今日もついつい、仕事をサボってしまったわい」
「働き者じいさんや、どうしてそんなに真面目に働けるんじゃ?」
働き者のおじいさん
「うーん、そうじゃなあ……」
「ところでなまけ者じいさん、去年の2月3日は何をしておった?」
なまけ者のおじいさん
「2月3日?うーん、確か横になって昼寝をしておったかのう?」
働き者のおじいさん
「なんと!節分の豆まきをしていないということか?」
なまけ者のおじいさん
「節分の…豆…まき…?」
ナレーション
「働き者じいさんは、節分の豆まきを知らないなまけ者じいさんに、豆まきがどんなものかを教えることに」
働き者のおじいさん
「いいかなまけ者じいさん、節分の豆まきというのはな…」
という流れで、節分の由来を説明し、なまけ者じいさんのなまけ癖を、豆まきを通して改心させていきます。
働き者のおじいさん
「ワシだって、なまけたいと思うことはある」
「そんなときは心の鬼を、この豆で退治するんじゃよ」
なまけ者のおじいさん
「そうか、そういうことだったんじゃな」
働き者のおじいさん
「今日はちょうど節分だ。ふたりで豆をまこうじゃないか」
二人でいっしょに
「鬼はーそと!福はーうち!」
ナレーション
「こうして、なまけ者じいさんのなまけ癖は治り、真面目にコツコツと働くようになったのでした。」
ポイント
働き者じいさんの裏面に鬼の絵をかいておくと、心の中にいる鬼を表現できるかもしれません。
または、ペープサートにめくれる仕掛けを作り、めくると鬼の絵が現れるようにするのもよさそうですね。
乳児クラスの場合は長いストーリーだと理解しづらいかもしれないため、台本を少し短めにアレンジしてもよいかもしれません。
節分のペープサートを盛り上げる導入アイデア

maroke/shutterstock.com
保育園で節分のペープサートをする前に取り入れたい導入アイデアを紹介します。
節分クイズ
子どもたちに簡単なクイズを出して、節分に興味を持ってもらいましょう。
問題①
Q.「鬼さんの苦手なお魚はなんでしょう?」
A.「いわし」(鬼はいわしのにおいと柊の葉が苦手)
問題②
Q.「豆まきをするときの掛け声は?」
A.「鬼は外、福は内」(悪いものを追い払い、良いものを呼び寄せる意味がある)
問題③
Q.「豆まきが終わったら、まいた豆はどうしますか?」
A.「数え年の分だけ集めて食べる」(鬼を追い払った豆を食べると1年間健康で過ごせると言われている)
答えについて「なんで?」と質問されたら、上記のように理由もあわせて説明してみましょう。
乳児クラスの子どもたちには、「節分にまく食べ物は?」「誰に向かって豆を投げる?」などより易しいクイズを出題してもよいかもしれません。子どもの年齢にあわせて難易度を調整してみてくださいね。
手遊び
乳児クラスでは、言葉やクイズよりも楽しみやすい手遊びを取り入れてみましょう。
鬼のパンツ
軽快なメロディに乗せて鬼の力強いイメージを伝える手遊び歌です。
繰り返しの振り付けがあるので、子どもたちは真似しながら身体を動かしてくれるかもしれませんね。
かみなりどんがやってきた
歌にあわせて、おへそやお尻など身体の一部を隠して楽しむ手遊び歌です。
0歳児や1歳児の場合自分で隠すのは難しいかもしれないため、保育士さんが「おへそどこだっけー?ここだね!」と声をかけてふれ合いながら遊ぶとよさそうですね。
絵本
出し物をする前に、節分をテーマにした絵本を読み聞かせておくのもよいでしょう。
特に乳児クラスの場合、鬼を怖いと感じている子どももいるかもしれません。
「鬼は怖いもの」という意識を植えつけないよう、鬼の優しい一面がえがかれた絵本を読んでみるのもよさそうですね。
節分のペープサートを盛り上げるコツ
最後に、節分の出し物で行うペープサートを盛り上げるための演出のコツを紹介します。
子どもたちに参加してもらう
子どもたちは基本的にペープサートを見ているだけなので、台本が長いと飽きてしまう可能性もあります。
ストーリーの世界に入り込んで楽しめるよう、いっしょに「鬼は外、福は内」と声を出すなど、子どもが参加できるポイントを設けるとよいかもしれません。
クイズを取り入れる
ペープサートの途中でクイズをするのも、盛り上げるためのポイントと言えるでしょう。
たとえば、働き者のおじいさんが「去年の2月3日は何をしておった?」と聞いたときに、なまけ者のおじいさんに代わって子どもたちに答えてもらうと面白いかもしれません。
このように、子どもたちがペープサートを楽しみながら節分の由来を学べるよう、演出のしかたを工夫してみるとよいですね。
出し物にペープサートを取り入れて、子どもたちと節分を楽しもう
今回は、保育園で節分の由来を伝える際に活用できるペープサートについて、台本や盛り上げるためのコツなどを紹介しました。
節分は、1年間の厄を払い新しい年を健康に過ごすための大切な伝統行事です。子どもたちへの伝え方はさまざまありますが、特に乳児クラスの場合は視覚的に楽しめるペープサートを使って子どもたちに由来を説明するとよいかもしれません。
節分への関心を高めるためには、導入として簡単なクイズを取り入れたり絵本を読み聞かせたりして行事を身近に感じてもらうことがポイントです。
今回紹介したストーリーはあくまでも一例なので、子どもたちが参加できるポイントを盛り込みながらオリジナルの台本を作ってペープサートを披露してみてくださいね。
保育士バンク!では、日々の保育に役立つ情報から、転職に関する情報なども公開しています。
「もっと自分の理想とする保育観に合った職場で働きたい」など、転職に関する不安やお悩みがある場合は、保育士バンク!にお気軽にご相談ください!
情報収集のみでもOK。自分に合う働き方を見つけませんか?